体表面積(BSA)の計算式はどれを使う?
DuBois式・藤本式・新谷式
の違いと使い分けを解説
体表面積の計算機を使うと複数の結果が出て迷うことはありませんか?
式の違いや実務での選び方をわかりやすく解説します。

先生、体表面積(BSA)の計算機を使うと、DuBois式とか藤本式とか複数出てくるんですけど…どれを使えばいいか迷っちゃいます。

うむ、計算式によって少しずつ数値が異なるからのう。「薬の用量計算ではどれだっけ?」とか、「栄養・代謝関連の評価ではどれを選ぶべきか」と迷うのも無理はない。薬剤師の実務でも式の違いと使い分けを知っておくことは重要じゃ。

そもそも、なんで複数の計算式があるんですか?

体表面積を厳密に求めるにはメジャーで測るしかないが、それは日常診療では現実的ではないじゃろ?だから身長と体重から推定する式が作られたんじゃ。
式を作る対象集団や設計思想が違うから、結果に少し差が出るんじゃよ。今日は代表的な3つの式の違いをマスターしよう!
式を作る対象集団や設計思想が違うから、結果に少し差が出るんじゃよ。今日は代表的な3つの式の違いをマスターしよう!
体表面積の代表的な3つの計算式
01|DuBois式(デュボア式)

まずは一番古典的なDuBois式じゃ。1916年に報告された、世界中でとても有名で広く使われてきた式じゃな[1][3]。

あ、薬の用量計算でよく聞く名前ですね!

そうじゃ。長年の蓄積があるから、体表面積あたりの投与量(mg/m²)で用量が設定されている薬剤では、この式が参照されることが多いのが特徴じゃ。
一方で、もともとはごく少数の対象者データから導かれた古典的な式であるがゆえに、後年になって妥当性の再検討も行われておるんじゃ[3]。日本人データをもとに作られた式と比較すると、推定値に差が出ることがあるのもうなずけるじゃろ。
一方で、もともとはごく少数の対象者データから導かれた古典的な式であるがゆえに、後年になって妥当性の再検討も行われておるんじゃ[3]。日本人データをもとに作られた式と比較すると、推定値に差が出ることがあるのもうなずけるじゃろ。
02|藤本式

次に藤本式じゃ。これは1968年に日本人の実測データをもとに作られた式なんじゃよ[2]。

日本人のデータなんですね!それなら今の私たちには合ってそうです。

その通り。新生児から高齢者まで日本人201名のデータから導き出されておる[2]。
DuBois式とは「身長と体重のべき乗(指数)」そのものが違うから、単なるおまけではなく、日本人独自の式と言えるぞ[1][2]。栄養や代謝の文脈では、この藤本式が参照されてきた経緯があるんじゃ。
DuBois式とは「身長と体重のべき乗(指数)」そのものが違うから、単なるおまけではなく、日本人独自の式と言えるぞ[1][2]。栄養や代謝の文脈では、この藤本式が参照されてきた経緯があるんじゃ。
03|新谷式

最後は新谷式。これも日本人データに基づく式として紹介されることがあるんじゃ。

これも日本人向けなんですね。藤本式とはどう違うんですか?

新谷式の面白いところは、式の構造(身長・体重の指数)はDuBois式と全く同じという点じゃ。違うのは先頭の「係数」だけなんじゃよ。
だからDuBois式の形を保ったまま日本人向けに調整した式と理解しやすい。ちなみに同じ身長・体重で計算すると、DuBois式より少し大きめの値になりやすい傾向があるのう。
だからDuBois式の形を保ったまま日本人向けに調整した式と理解しやすい。ちなみに同じ身長・体重で計算すると、DuBois式より少し大きめの値になりやすい傾向があるのう。
その他の計算式(Mosteller式・Haycock式など)

他にも計算式はあるんですか?

あるぞ。海外ではMosteller式やHaycock式もよく使われておる。
Mosteller式は「√(身長 × 体重 ÷ 3600)」という非常にシンプルな式で、暗算しやすいことから海外の臨床現場で広く使われておるんじゃ。Haycock式は小児を対象としたデータから作られた式として知られておる[5]。
Mosteller式は「√(身長 × 体重 ÷ 3600)」という非常にシンプルな式で、暗算しやすいことから海外の臨床現場で広く使われておるんじゃ。Haycock式は小児を対象としたデータから作られた式として知られておる[5]。

日本ではあまり見かけない気がします。

うむ、日本の実務では主にDuBois式と藤本式が使われておるから、まずはこの2つを押さえておけば十分じゃ。海外の文献やガイドラインを読むときに「Mosteller式」という名前が出てきたら思い出すとよいぞ。
簡単な比較と、実際の計算結果の違い

なるほど。ざっくりまとめるとこんな感じですね。
- DuBois式: 一番古典的で薬の用量計算によく使われる
- 藤本式: 日本人の実測データで、栄養・代謝によく使われる
- 新谷式: DuBois式と同じ指数で係数だけ調整したもの

よいまとめじゃ。では実際にどれくらい差が出るか、いくつかの体格パターンで見てみよう。
| 体格 | DuBois式 | 藤本式 | 新谷式 |
|---|---|---|---|
| 小柄 150cm / 45kg | 1.370 m² | 1.335 m² | 1.403 m² |
| 標準 170cm / 65kg | 1.754 m² | 1.707 m² | 1.796 m² |
| 大柄 180cm / 90kg | 2.099 m² | 2.049 m² | 2.150 m² |
| 肥満 165cm / 100kg | 2.061 m² | 2.027 m² | 2.111 m² |

標準的な体格だと差は小さいですけど、大柄や肥満になると式ごとの差が広がるんですね。

その通りじゃ。標準的な体格の成人なら差はおおむね2〜3%程度に収まる[4]。
じゃが、高度な肥満、るい痩(極端に痩せている)、小児などの場合は差が大きく出やすいから、「どの式で計算しているか」を把握しておくことが大切なんじゃよ。
じゃが、高度な肥満、るい痩(極端に痩せている)、小児などの場合は差が大きく出やすいから、「どの式で計算しているか」を把握しておくことが大切なんじゃよ。
場面別の使い分け。結局どう選べばいい?

いよいよ本題ですね。実務で計算するときはどう選べばいいですか?

「どの式が絶対に正しい」というより、用途に合わせて選ぶのがポイントじゃ。
薬の用量計算では「DuBois式」を第一候補に

体表面積あたりの投与量(mg/m²)で用量が設定されている薬剤では、DuBois式を前提にしていることが多い。日本でもDuBois式への標準化が提案されておるからの[4]。
まずはDuBois式を第一候補とするのが実務的じゃ。
まずはDuBois式を第一候補とするのが実務的じゃ。

じゃあ全部DuBois式でOKですか?

おっと、早とちりはいかんぞ。薬剤によっては開発時に別の式が使われていたケースもある。
基本はDuBoisじゃが、必ず添付文書、適正使用ガイド、院内レジメンや施設のルールを確認することが鉄則じゃぞ!
基本はDuBoisじゃが、必ず添付文書、適正使用ガイド、院内レジメンや施設のルールを確認することが鉄則じゃぞ!
栄養・代謝の文脈では「藤本式」を検討

一方、日本人の体格に基づいた評価が重要な場面、例えば栄養や代謝の文脈では藤本式が参照されてきた経緯があるため、こちらを検討することもある[2]。

なるほど、「何のために使うか」で使い分けるんですね。

その通りじゃ。「薬の用量計算ならDuBois式」「日本人の体格重視の栄養評価なら藤本式」「迷ったら施設や資料の指定に従う」。この3つを覚えておけばバッチリじゃ。
肥満患者の場合の注意点

先生、肥満の患者さんの場合は何か気をつけることはありますか?

よい質問じゃ。高度な肥満の患者では、実際の体重をそのまま計算式に入れると体表面積が過大評価される可能性があるんじゃ。
そのため、施設によっては理想体重(IBW)や補正体重(AdjBW)を用いて用量を調整するルールが設けられていることがある。
そのため、施設によっては理想体重(IBW)や補正体重(AdjBW)を用いて用量を調整するルールが設けられていることがある。

補正体重って、どうやって計算するんですか?

補正体重の一般的な計算式は「IBW + 0.4 ×(実体重 − IBW)」じゃ。ただし、補正係数(0.4の部分)は薬剤や施設によって異なる場合もある。
大切なのは、肥満患者の体表面積計算では「実体重をそのまま使ってよいか」を必ず確認するということじゃ。添付文書や施設のプロトコルに従うのが鉄則じゃよ。
大切なのは、肥満患者の体表面積計算では「実体重をそのまま使ってよいか」を必ず確認するということじゃ。添付文書や施設のプロトコルに従うのが鉄則じゃよ。
よくある質問
Q. DuBois式と藤本式で結果が違うのですが、どちらが正しいですか?
A. どちらが「正しい」というものではなく、対象とした集団や用途が異なります。DuBois式は世界的に広く使われ、薬の用量計算で基準となることが多い式です。藤本式は日本人の実測データから作られており、栄養・代謝の評価で参照されてきました。標準体格の成人では差は2〜3%程度ですが、施設や添付文書の指定がある場合はそれに従いましょう。
Q. 新谷式はどんな場面で使われますか?
A. 新谷式はDuBois式と同じ指数構造を持ちながら、日本人向けに係数を調整した式です。DuBois式の枠組みを保ちつつ日本人データに合わせたい場合に参照されることがあります。ただし、DuBois式や藤本式と比べると使用される場面は限定的です。
Q. 肥満患者の体表面積はどの計算式で求めればよいですか?
A. いずれの計算式でも計算は可能ですが、高度な肥満の場合は実際の体重をそのまま使うと体表面積が過大評価される可能性があります。施設によっては理想体重(IBW)や補正体重(AdjBW)を用いて用量を調整するルールがあるため、必ず施設の取り決めを確認してください。
まとめ

先生、ありがとうございます!すごくスッキリしました。
薬剤師のための BSA計算式の選び方
- 薬の用量計算: DuBois式を第一候補にする
- 栄養・代謝の文脈: 藤本式が参照されてきた経緯があるため検討する
- 施設のルールや資料の指定: それを最優先する
- 肥満患者: 実体重をそのまま使ってよいか確認し、必要に応じて補正体重を使用する
- 標準体格では差は少ないが、肥満・小児などでは差が広がるため「どの式を使ったか」を意識する

うむ、完璧じゃな。式に迷ったときは「何のために計算しているのか」を思い出すんじゃぞ。

はい!計算するときはしっかり確認して業務に活かします!
参考文献
- Du Bois D, Du Bois EF. A formula to estimate the approximate surface area if height and weight be known. Arch Intern Med. 1916;17:863-871.
- 藤本薫喜 ほか. 日本人の体表面積に関する研究 第18篇 三期にまとめた算出式. 日本衛生学雑誌. 1968;23(5):443-450.
- Shuter B, Aslani A. Body surface area: Du Bois and Du Bois revisited. Eur J Appl Physiol. 2000;82(3):250-254.
- Kouno T, Katsumata N, Mukai H, Ando M, Watanabe T. Standardization of the body surface area (BSA) formula to calculate the dose of anticancer agents in Japan. Jpn J Clin Oncol. 2003;33(6):309-313.
- Mosteller RD. Simplified calculation of body-surface area. N Engl J Med. 1987;317(17):1098.
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