A. 原則として取れます。育児休業は育児・介護休業法で定められた労働者の権利であり、要件を満たしていれば、事業主は「人手不足」「前例なし」といった理由だけで申出を拒否することはできません。薬剤師2人体制の薬局や、これまで誰も育休を取った前例がない職場であっても、会社都合だけで拒否できるものではありません。ただし、労使協定で「勤続1年未満」や「週の所定労働日数が2日以下」などが対象外とされている場合は、法的に取得できないケースがあります。
Q. 勤続1年未満でも育児休業は取れますか?
A. 職場の労使協定で「勤続1年未満の労働者は育休の対象外」と定められている場合、その時点では育休を取得できない可能性があります。就業規則や育児・介護休業規程に「申出日において継続雇用期間が1年以上の労働者」のような記載があるか確認しましょう。一方で、会社が任意で認めるケースもあるため、まずは制度の確認が必要です。なお、産休(産前6週・産後8週)は育休とは別制度であり、勤続年数を問わず認められます。
Q. 産休(産前産後休業)も勤続1年が必要ですか?
A. 必要ありません。産休(産前6週・産後8週)は労働基準法第65条で定められた制度で、勤続年数・雇用形態(正社員/パート/有期/派遣)を問わず、女性労働者に認められています。産前休業は本人が請求した場合、産後休業は原則として就業させてはならない期間です。労使協定で除外することもできません。育児休業が労使協定で勤続1年未満などを除外できるのとは性質が異なります。
Q. 育休を申し出たら「うちでは無理」「前例がない」と断られました。どうすればいいですか?
A. 勤続1年以上で、かつ有期契約の更新見込みなど他の要件も満たしている場合、事業主は「人手不足」「前例がない」といった理由だけで育休申出を拒否することはできません。エスカレーションの順序として、①書面で正式申出 →②社内の人事・労務に相談 →③都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談 →④必要に応じて会社への助言・指導や紛争解決援助を申請 →⑤内容証明郵便で申入書送付 →⑥弁護士相談・労働審判、と段階を踏むのが現実的です。
Q. 労働局に相談すると会社にバレますか?
A. まずは匿名で相談することもできます。ただし、会社への具体的な助言・指導や紛争解決援助を求める段階では、状況に応じて実名での申請が必要になる場合があります。最初から訴訟になるわけではないため、いきなり大ごとにするのが不安な場合でも、まずは相談窓口で制度や進め方を確認するとよいでしょう。
Q. 育児休業中の給料はどうなりますか?
A. 育児休業中は会社からの給与は無給になることが多いですが、要件を満たせば雇用保険から育児休業給付金が支給されます。原則として、休業開始から6ヶ月までは休業前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。ただし、給付金には上限額があり、雇用保険の加入期間などの支給要件もあります。また、産休・育休中は要件を満たして事業主が手続きすれば健康保険料・厚生年金保険料が免除され、免除期間も将来の年金額計算上は保険料を納めた期間として扱われます。
Q. 育休が取れずに退職した場合、失業給付の受給期間延長とは何ですか?
A. 雇用保険の失業給付(基本手当)は本来、離職日翌日から1年以内に受給を終える必要がありますが、妊娠・出産・育児・疾病等で30日以上引き続き働けない場合は、本来の1年に最大3年を加えて、合計4年まで受給期間を延ばせる制度です(雇用保険法第20条)。退職後、働けない状態が30日以上続く場合は、ハローワークで受給期間延長の手続きを確認しましょう。なお、申請のタイミングと、実際の受給のタイミングは別です。失業給付は「労働の意思と能力があり、すぐに就職できる状態」が支給要件のため、乳児期の育児中でまだ働けない間は受給できません。
Q. 失業給付の受給期間を延長すれば、誰でも後から失業給付をもらえますか?
A. いいえ。受給期間延長は、失業給付を受けられる資格を新しく作る制度ではありません。基本手当を受けるには、原則として離職日前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あるなどの要件があります。ただし、妊娠・出産・育児を理由に退職し、受給期間延長の対象になる場合などは、特定理由離職者として扱われ、離職日前1年間に通算6か月以上で対象になるケースもあります。勤続1年未満でも前職の雇用保険期間を通算できる場合はありますが、短期間勤務だけだと対象外になることもあります。退職前に、ハローワークで自分が受給資格を満たすか確認しておきましょう。
Q. 道B(産休後に退職)を選んだ場合、収入面はどうなりますか?
A. 正直に言うと、退職後から失業給付の受給開始(育児が落ち着いて働ける状態になるまで)までの期間は、本人の労働対価としての収入はほぼゼロになります。補完できるのは、在職中の産休期間に受けられる可能性がある出産手当金(健康保険から標準報酬日額の約2/3)、出産育児一時金(原則50万円)、児童手当、配偶者の収入、貯蓄などです。ただし、退職後も出産手当金を継続して受けられるかは、健康保険の被保険者期間や退職日の状況によって変わります。道Bは「配偶者の収入や貯蓄で1〜2年の無収入期間に耐えられる前提」が必要な選択肢です。
Q. 退職後の健康保険や年金はどうなりますか?
A. 配偶者の扶養に入れる場合は、健康保険の被扶養者になり、国民年金は第3号被保険者となるのが一般的です。この場合、本人の健康保険料・国民年金保険料の負担を抑えられます。一方、扶養に入れない場合は、国民健康保険などへの加入と、国民年金第1号被保険者への切替が必要です。第1号被保険者で保険料負担が重い場合は、国民年金の免除申請も検討しましょう。具体的な手続きは、市区町村や年金事務所、配偶者の勤務先に確認してください。
Q. 育休中に転職活動をしてもいいですか?
A. 育休中に、復職後の働き方を考えるために求人情報を見たり、転職エージェントに相談したりすること自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし、育児休業は本来「復職を前提」とした制度で、育児休業給付金も復職する意思があることを前提に支給されます。育休開始時点から退職する意思が明確だったと判断されるような動き方は避け、応募・内定承諾・退職届の提出は復職時期や家庭の状況を見ながら慎重に判断しましょう。個別事情によって判断が分かれるため、不安があればハローワークに確認してください。
Q. 育休を取ったら職場で不利益を受けることはありませんか?
A. 育児・介護休業法により、育児休業の申出や取得を理由とした解雇、降格、減給などの不利益な取り扱いは禁止されています。不利益な扱いを受けた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。まずは、申出日・面談内容・メール・書面などを記録として残しておくことが大切です。
Q. パート・有期契約の薬剤師でも育児休業は取れますか?
A. 取れる可能性があります。雇用形態にかかわらず、子が1歳6ヶ月(再延長の場合は2歳)になる日までに労働契約が満了することが明らかでなければ、有期契約でも育休の対象になり得ます。ただし、労使協定で勤続1年未満や週の所定労働日数が2日以下の労働者が除外されている場合は注意が必要です。「正社員だけの制度」と誤解されがちですが、契約継続の見込みがあり、除外対象に該当しなければ対象になります。
Q. 妊娠の報告は、上司にいつ伝えるのがよいですか?
A. 一般的には、流産リスクが下がる安定期(妊娠16週前後)以降の報告が多いですが、つわりが重い・通院が増える・立ち仕事がつらい・業務上の配慮が必要といった場合は、それより早く伝えても構いません。重要なのは、出産予定日や育休開始予定日の1〜2ヶ月以上前には、正式な申出に向けて動き始めることです。会社側の人員調整・引き継ぎ準備のためにも、ゆとりを持って伝えるのが結果的に自分の負担を下げます。