働き方・キャリア

薬剤師の仕事にやりがいがない・毎日同じと感じたら|仕事を楽しくするきっかけの作り方

公開日: 更新日:

毎日同じ処方の繰り返しでやりがいを見失った薬剤師へ。やりがいがないのは環境の構造的な問題です。目の前の仕事で結果を出す、環境を変える、方向性を整理する。3段階のアプローチを解説します。

登場キャラクター

薬剤師じいさん

薬剤師じいさん

薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ

みさ

新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!

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読者からの相談

調剤薬局勤務5年目の薬剤師です。皮膚科の門前薬局で毎日ほぼ同じ処方箋ばかりです。入社当初は覚えることが多くて必死だったのですが、今は何も考えなくても手が動きます。やりがいを感じられず、毎日惰性で出勤しています。モチベーションも上がらないのですが、かといって転職したいわけでもありません。このままでいいのかモヤモヤしています。

📌この記事のポイント
  • 薬剤師が毎日同じ仕事でやりがいを感じないのは、あなたの問題ではなく職場の構造的な要因が大きい
  • 仕事は「自分の工夫でうまくいった」体験があると楽しくなる。まず目の前の業務で結果を出してみる
  • それでもピンとこないなら環境を変える・キャリアの方向性を整理するという選択肢がある

やりがいを感じないのは「あなた」ではなく「構造」の問題

先生
「やりがいがない」「毎日同じことの繰り返し」。そう感じているなら、まず伝えておきたいことがある。それは、あなたの意欲や能力の問題ではないということじゃ。
新人
でも、つい「やりがいがないのも、モチベーションが上がらないのも、自分がダメだからかな」って思っちゃいませんか? SNSでも「やりがいを見つけられない自分が悪い」みたいな投稿を見かけることがあって…。
先生
その気持ちはわかる。じゃが、考えてみてほしい。皮膚科や眼科の門前薬局なら、処方箋の大半は同じパターンじゃ。何も考えなくても手が動くのは、それだけ経験を積んだ証拠でもある。問題は、その環境に「成長を実感できる仕組み」がないことなんじゃよ。
新人
たしかに…。ミスなくこなして当たり前で、誰からも特に何も言われない。患者さんから感謝される場面も正直少ないですよね。そういう環境だと、やりがいを感じようがない気がします。
先生
その通りじゃ。同じ処方の繰り返しで新しい学びが少ない。評価される機会もない。これは職場の構造の問題であって、自分を責める必要はまったくないんじゃ。
新人
でも、それって私の職場がたまたまそうなだけ、ということはないんでしょうか。
先生
いや、国も同じところを課題として見ておる。厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」は、副題が「『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ」じゃ。門前薬局が立地に依存して便利さだけで選ばれる状態から脱却し、調製などの対物中心の業務から対人業務へ移る、という方向が示されておる。令和4年のワーキンググループのとりまとめでも、対人業務を充実させるには対物業務の効率化が欠かせないとされておるぞ。同じ処方が続いて手だけが動く環境は、あなたの努力不足ではなく、国が見直す対象に挙げてきた構造のほうなんじゃ。
新人
構造の問題なんだとわかるだけで、少し気が楽になりますね。でも、じゃあこの状態からどうすればいいんでしょうか。
先生
うむ。わしの経験も交えて話そう。

自分の工夫でうまくいった体験があると、仕事は楽しくなる

やりがいを取り戻す3段階のステップ:結果を出す→環境を変える→方向性を整理する
先生
実はわしも調剤薬局で働いていた頃、同じような時期があったんじゃ。毎日同じ処方箋を捌いて、閉局時間になったら帰る。日曜だけが楽しみで、月曜の朝が憂うつ。そんな日々が続いておった。
新人
先生にもそんな時期があったんですか…。何がきっかけで変わったんですか?
先生
わしが現場におった頃は、後発品への切り替えがまだ進んでいる途中じゃった。あるとき、その使用率を自分で上げてみようと決めて動いたんじゃ。患者さんへの説明の仕方を工夫して、少しずつ切り替えが進んで、数字が目に見えて上がっていった。そのとき久しぶりに「自分の工夫で何かが変わった」という感覚があったんじゃよ。
新人
「やりがいを探した」んじゃなくて、「結果を出したら後からやりがいがついてきた」ということですか?
先生
まさにそうじゃ。仕事というのは、自分が能動的に工夫して、それがうまくいった体験があると楽しくなるものなんじゃ。「やりがいのある仕事を見つけなきゃ」と考えると途方に暮れるが、「目の前の仕事で1つ数字を上げてみよう」なら、明日からでも始められる。
新人
なるほど…。やりがいは「探す」ものじゃなくて「結果の中に見つかる」ものなんですね。

目の前の業務で「結果が見える」工夫をする

先生
ポイントは、結果が数字で見えることじゃ。数字が上がれば管理者や経営者からも「ここ良くなったね」と気づいてもらえる。評価される体験が1回でもあると、仕事への向き合い方が変わることがあるぞ。
新人
数字で見える結果…。やりがいが見つからないと悩むよりも、まず数字を1つ動かすところから始めるってことですね。何から手をつければいいですか?
先生
たとえばこのあたりは、特別な準備なしで始められるぞ。
  • 業務効率化で待ち時間を短縮する:ピッキングの動線見直し、事前準備のルール整備など
  • 加算の算定率を上げる:直近の調剤報酬改定の内容と自局の算定状況を突き合わせ、取りこぼしている加算がないか確認する
  • 後発品使用率を改善する:声かけの仕方を工夫して切り替え率を上げる
  • 在庫管理を見直す:デッドストックを減らしてコスト削減に貢献する
新人
加算の算定率アップは売上に直結するから、評価されやすそうですね。
先生
うむ。大事なのは、どれか1つでいいということじゃ。全部やろうとすると続かん。「これなら自分にもできそう」と思えるものを1つだけ選んで、小さく始めてみるとよいぞ。
新人
1つだけでいいなら、ハードルがぐっと下がりますね。まずは何か1つやってみて、結果が出たらそこから見え方が変わるかもしれないってことですね。

なお、工夫を試す余地そのものが見当たらない場合もあります。入職3年前後で、任される仕事が増えないまま同じ一日が続いているなら、悩みの中心は手応えではなく仕事の増え方のほうかもしれません。

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環境を変えると見える景色が変わることもある

先生
結果を出す工夫を試しても、「やっぱり楽しくならない」と感じることもある。その場合は、今の環境が自分に合っていない可能性があるんじゃ。
新人
環境を変えれば本当に変わるものなんでしょうか。どこに行っても同じなんじゃないかって不安もありますけど…。
先生
正直に言うと、やってみないとわからん。じゃが、いろんな経験をしないと自分が何を楽しいと思えるかはわからないのも事実じゃ。

同じ「薬剤師」でも環境が違えば仕事は別物

先生
同じ薬剤師でも、環境次第でやりがいの感じ方はまったく違うぞ。単科門前は処方パターンが固定されやすく、ルーティン化しやすい構造じゃ。一方で、総合病院の門前なら多科の処方を扱うから学びの幅が広いし、疑義照会の機会も多い。
新人
私は病院で働いていますけど、たしかに病棟ごとに処方の傾向が違うので、飽きるということはあまりないですね。在宅メインの薬局とかだと、また違うやりがいがありそうです。
先生
うむ。在宅なら患者さんとの関係が深く、自分の介入で状態が変わる実感を得やすい。大手チェーンなら研修制度やキャリアパスが整っていて、ステップアップの道筋が見えやすいという特徴もある。
新人
どれが正解かは人によるんですね。今の自分が何に物足りなさを感じているかで、合う環境が変わるんだ。
先生
うむ。「転職を決めた」わけではなくても構わん。どんな環境があるのか見ておくだけでも、自分の選択肢が広がるぞ。
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それでもピンとこないなら、キャリアの方向性を整理しよう

先生
結果を出す工夫をしても、環境を変えてみても、どうしてもピンとこない。そういう場合は、薬剤師という仕事自体が自分に合っていない可能性もあるんじゃ。
新人
それを認めるのって、けっこう勇気がいりますよね…。6年間大学に通って資格を取ったのに、って。
先生
気持ちはわかる。じゃが「逃げ」でも「甘え」でもないぞ。合わないものは合わない、それだけのことじゃ。ただ、こうした判断は感覚的なものだから、一人で考え続けると堂々巡りになりやすい。
新人
たしかに、「辞めたいのか」「環境を変えたいだけなのか」「そもそも何がしたいのか」、整理がつかないまま時間だけ過ぎちゃいそうです。
先生
そういうときは、キャリア相談で自分の考えを言語化してみるのも手じゃ。話すことで、自分でも気づいていなかった本音が見えてくることがあるぞ。
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キャリア相談で方向性を整理する

薬剤師→異業種を経験した相談員が、考えの整理をお手伝いします

先生
もう1つ、「薬剤師以外の道も気になるが、自分はつぶしがきかない気がして動けない」という人もおるじゃろう。その閉塞感のほどき方は、別の記事で異業種も含めた出口を3方向に整理しておるぞ。
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まとめ:やりがいは「探す」のではなく「結果の中に見つかる」もの

この記事のまとめ

  1. 1毎日同じでやりがいを感じないのは、職場の構造的な要因が大きい。自分を責める必要はない
  2. 2仕事は自分の工夫でうまくいった体験があると楽しくなる。まず目の前の業務で結果を出してみる
  3. 3環境を変えるといろんな経験ができ、自分に合う仕事が見えてくることもある
  4. 4それでもピンとこないなら、キャリアの方向性を整理する段階
先生
やりがいは「探す」ものではなく、自分が工夫して結果を出す中で見つかるものじゃ。もしモヤモヤしているなら、まずは目の前の業務で1つ、自分なりの工夫をしてみてほしい。焦る必要はないぞ。
新人
先生の話を聞いて、「やりがいが見つからない」って悩むより、まず何か1つやってみることが大事なんだなって感じました。結果を出す、環境を変える、方向性を整理する。自分のペースで段階的に試していけばいいんですね。
先生
うむ。全部一度にやる必要はない。自分のペースでよいんじゃ。やれることをやってみて、それでもモヤモヤが続くようなら、一度キャリア相談で考えを整理してみるのもよいぞ。
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よくある質問

Q. 薬剤師がやりがいを感じられないのは甘えですか?

A. 甘えではありません。特に単科門前の調剤薬局では、処方パターンが固定されやすく、成長を実感しにくい構造があります。やりがいを感じにくいのは職場環境の問題であり、個人のやる気の問題ではないケースが多いです。

Q. 薬剤師の仕事がつまらない・飽きたと感じるのは普通ですか?

A. 珍しいことではありません。処方のパターンが決まっている職場では、覚える段階が終わったあとに手応えを得られる場面が減ります。飽きたと感じるのは慣れた証拠でもあり、意欲が低いという意味ではありません。ただ、その状態が続くと働き方の選択肢を考えにくくなります。まずは目の前の業務で結果が見える工夫を1つ試すところから始めてみてください。

Q. 調剤薬局の仕事が毎日同じでつまらないときはどうすればいいですか?

A. まずは目の前の業務で「数字で見える結果」を出すことを試してみてください。加算の算定率アップ、後発品使用率の改善、業務効率化による待ち時間短縮など、小さな工夫でも結果が出ると仕事への見え方が変わることがあります。

Q. 薬剤師のモチベーションが上がらないときの対処法は?

A. 3段階で考えるのがおすすめです。まず今の職場で結果を出す工夫を試す。それでもダメなら環境を変えてみる。それでもピンとこないならキャリアの方向性を整理する。焦らず段階的に試していくのが大切です。

Q. 薬剤師が環境を変えればやりがいは見つかりますか?

A. 環境によって大きく変わる可能性はあります。同じ薬剤師でも、単科門前・総合病院門前・在宅メインなど、環境次第で仕事の中身はまったく異なります。ただし、いろんな経験をしてみないと自分に合う環境はわからないため、まずは選択肢を知ることから始めてみてください。