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読者からの相談都内の薬局で働いている薬剤師です。地方に転職すれば年収が上がると聞いたのですが、本当でしょうか?Uターンも考えていますが、生活費なども含めて本当に得なのか気になっています。
📌この記事のポイント
- 地方は薬剤師不足で額面年収が高い傾向があるが、地域だけで判断するのは危険
- 物価差を考慮した「実質年収」で比較すると、同じ額面でも手取りの価値が大きく変わる
- 地域・職種・経験年数・生活コストを総合的に見て判断することが大切
先生、薬剤師は地方に転職すると年収が上がるって本当ですか?Uターンを考えていて気になっているんですが…
結論から言うと、地方は薬剤師不足の影響で額面年収が高い傾向があるんじゃ。ただし、年収は地域だけでなく職種・経験年数・物価でも変わるから、額面だけで判断すると落とし穴があるんじゃよ。今回は厚労省のデータで地域差を確認しつつ、地方転職の判断軸を整理していくぞ。
結論:地方への転職で年収は上がりうるが、地域だけで判断するのは危険
薬剤師が地方に転職すれば年収は上がる?
- 1地方は薬剤師不足で額面年収が高い傾向がある。ただし地域だけで判断するのは危険
- 2物価差を考慮した「実質年収」で比べると、同じ額面600万円でも東京と群馬で約47万円の差が出る
- 3地域・職種・経験年数・生活コストを総合的に見て、自分の条件で確認することが大切
まず、地域による年収差がどのくらいあるのかを押さえておこう。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の全国平均は566.8万円(平均年齢40.1歳)じゃ。同じ調査から、都道府県ごとの数字も確認できるぞ。
全国平均は567万円くらいなんですね。都道府県によってけっこう差があるんですか?
都道府県ごとに金額が異なるから、地域差があること自体は公的データで裏付けられておる。ただし「年収が高い地域に引っ越せば得」と単純にはいかない。年収は職種や経験年数、勤務先の条件でも変わるし、物価の違いもあるからな。
額面の数字だけで比べちゃダメなんですね。じゃあ何を見ればいいんですか?
順を追って整理していこう。まずは地方の年収が高くなりやすい構造的な理由、次に物価を考慮した実質年収の考え方、最後に自分の条件で判断するための視点じゃ。
薬剤師の地方年収が高いのはなぜ?偏在と需給バランスの構造
地域差があるのはわかったんですが、そもそもなんで地方の方が高くなるんですか?人が少ないから…とかですか?
いい勘じゃ。背景としてまず考えたいのが、薬剤師の偏在じゃ。厚生労働省の薬剤師確保計画ガイドラインでは、薬剤師の偏在は都道府県内だけでなく、都道府県間でも生じていると整理されておる。
都道府県の間でも偏りがあるんですね…。私の実家がある県はどうなんだろう。
厚労省が公表している偏在指標資料で、都道府県ごとに薬剤師の充足状況に差があることが示されておるんじゃ。これが年収にも影響してくる。薬剤師が不足しやすい地域では、採用のために条件を調整する必要が出やすく、逆に人が集まりやすい地域では条件が大きく動かないこともある。
つまり、人手不足の地域ほど年収が高くなりやすいということですか?
そう考えるのは自然じゃ。ただし正確に言うと、公的データが示しているのは「薬剤師の偏在がある」という事実までじゃ。偏在が年収差の直接の原因だと明示した公的資料はない。とはいえ、人が足りない地域で採用条件が上がりやすいのは経済の基本原理じゃから、偏在が年収差に影響していると考えるのは妥当じゃろう。
なるほど…。私は今、都内の病院に勤めてるんですが、たしかに薬剤師が余っている感じはあります。地方だと職種によっても違ったりしますか?
そうじゃ。厚労省の薬剤師確保計画ガイドラインでは、特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題とされておる。つまり、同じ薬剤師でも、地域差に加えて、勤務先の違いによっても需給の影響を受けやすい構造があるんじゃよ。

物価・生活費を考慮した薬剤師の実質年収を都道府県別に比較する
額面年収に地域差があるのはわかりました。でも、額面が高ければそれでいいんじゃないですか?
そこが落とし穴じゃ。総務省の消費者物価地域差指数を見ると、都道府県ごとに物価水準が違う。つまり、同じ額面でも「手元に残る豊かさ」は地域によって変わるんじゃ。
それって、たとえば東京と地方だとどのくらい違うんですか?Uターン先と今の生活費を比べたいなって…。
たとえば、額面年収が同じ600万円でも、東京都(物価指数104.0)では実質約577万円、群馬県(物価指数96.2)では実質約624万円になる。額面は同じなのに、約47万円の差が出る計算じゃ。
47万円も!それが「実質年収」の考え方なんですね。
そうじゃ。地方は額面年収が高い傾向がある上に物価も低い。つまり実質年収で見ると、地方の優位性はさらに大きくなることもある。逆に、都市部は物価が高いから、額面が同じでも実質では目減りしやすい。

図で見るとよくわかります…!実家のある県だとどうなるのか気になってきました。他の都道府県のデータもありますか?
令和7年の調査をもとに、47都道府県すべての額面年収と実質年収を並べてみたぞ。額面の順位と実質の順位が入れ替わるところに注目してみてくれ。
実質年収の高い順。額面年収は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」都道府県別第3表(職種「薬剤師」・男女計・産業計)の、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額。物価指数は総務省「消費者物価地域差指数」2024年(総合・都道府県)。実質年収は額面年収÷(物価指数÷100)で算出
| 都道府県 | 額面年収 | 物価指数 | 実質年収 | 順位(額面→実質) |
|---|
| 高知県 | 690.1万 | 100.0 | 690.1万 | 1位→1位 |
| 岡山県 | 655.2万 | 97.7 | 670.6万 | 2位→2位 |
| 茨城県 | 642.4万 | 97.5 | 658.9万 | 4位→3位 |
| 新潟県 | 641.7万 | 98.0 | 654.8万 | 5位→4位 |
| 宮城県 | 652.4万 | 100.6 | 648.5万 | 3位→5位 |
| 富山県 | 636.9万 | 98.6 | 645.9万 | 6位→6位 |
| 和歌山県 | 629.6万 | 98.2 | 641.1万 | 7位→7位 |
| 栃木県 | 622.0万 | 97.6 | 637.3万 | 10位→8位 |
| 滋賀県 | 625.3万 | 98.6 | 634.2万 | 8位→9位 |
| 愛媛県 | 624.5万 | 98.6 | 633.4万 | 9位→10位 |
| 大分県 | 616.9万 | 97.4 | 633.4万 | 12位→11位 |
| 長野県 | 618.2万 | 97.9 | 631.5万 | 11位→12位 |
| 岐阜県 | 607.6万 | 97.1 | 625.7万 | 16位→13位 |
| 三重県 | 610.8万 | 98.7 | 618.8万 | 15位→14位 |
| 宮崎県 | 599.9万 | 97.0 | 618.5万 | 18位→15位 |
| 佐賀県 | 604.2万 | 97.7 | 618.4万 | 17位→16位 |
| 群馬県 | 591.5万 | 96.2 | 614.9万 | 20位→17位 |
| 石川県 | 611.0万 | 99.5 | 614.1万 | 14位→18位 |
| 静岡県 | 598.9万 | 98.3 | 609.3万 | 19位→19位 |
| 千葉県 | 614.9万 | 101.2 | 607.6万 | 13位→20位 |
| 福井県 | 582.4万 | 99.3 | 586.5万 | 22位→21位 |
| 島根県 | 581.3万 | 100.0 | 581.3万 | 23位→22位 |
| 福島県 | 573.6万 | 98.8 | 580.6万 | 24位→23位 |
| 京都府 | 586.7万 | 101.1 | 580.3万 | 21位→24位 |
| 愛知県 | 568.4万 | 98.1 | 579.4万 | 28位→25位 |
| 福岡県 | 565.4万 | 98.0 | 576.9万 | 31位→26位 |
| 長崎県 | 570.6万 | 99.3 | 574.6万 | 27位→27位 |
| 奈良県 | 561.7万 | 98.1 | 572.6万 | 32位→28位 |
| 埼玉県 | 572.7万 | 100.3 | 571.0万 | 25位→29位 |
| 山口県 | 567.8万 | 99.9 | 568.4万 | 29位→30位 |
| 全国平均 | 566.8万 | 100.0 | 566.8万 | — |
| 山梨県 | 551.6万 | 97.7 | 564.6万 | 35位→31位 |
| 北海道 | 572.4万 | 101.9 | 561.7万 | 26位→32位 |
| 沖縄県 | 559.8万 | 100.2 | 558.7万 | 33位→33位 |
| 山形県 | 566.1万 | 101.4 | 558.3万 | 30位→34位 |
| 岩手県 | 555.9万 | 100.0 | 555.9万 | 34位→35位 |
| 熊本県 | 548.3万 | 99.4 | 551.6万 | 36位→36位 |
| 鳥取県 | 543.6万 | 98.9 | 549.6万 | 37位→37位 |
| 広島県 | 541.1万 | 98.7 | 548.2万 | 38位→38位 |
| 香川県 | 531.7万 | 98.6 | 539.2万 | 42位→39位 |
| 徳島県 | 534.9万 | 99.3 | 538.7万 | 40位→40位 |
| 大阪府 | 532.7万 | 99.3 | 536.5万 | 41位→41位 |
| 青森県 | 526.4万 | 98.5 | 534.4万 | 43位→42位 |
| 鹿児島県 | 505.7万 | 96.4 | 524.6万 | 45位→43位 |
| 東京都 | 538.8万 | 104.0 | 518.1万 | 39位→44位 |
| 兵庫県 | 501.5万 | 99.2 | 505.5万 | 46位→45位 |
| 神奈川県 | 514.0万 | 103.3 | 497.6万 | 44位→46位 |
| 秋田県 | 464.9万 | 99.2 | 468.6万 | 47位→47位 |
東京は額面538.8万円で、そもそも全国平均を下回っているんですね…。実質だと518.1万円まで落ちて、群馬県の614.9万円とは約97万円もの開きがあります。
よく見つけたのう。実質年収の上位は高知・岡山・茨城・新潟と続く。逆に、額面では13位の千葉県は物価指数が101.2あるから、実質では20位まで下がるんじゃ。
額面のランキングだけを見ていたら、千葉県と群馬県の順番は逆に見えていたことになりますね。
そこがこの表の使いどころじゃ。ただ、もう一つ気をつけてほしいことがある。この順位は単年の調査結果で、年によって大きく動くんじゃ。令和6年の同じ調査では、熊本県が761.8万円で1位、岡山県は513.5万円で46位じゃった。
え、今の表だと熊本県は36位で、岡山県が2位ですよね…!1年でそんなに入れ替わるものなんですか?
都道府県別は集計対象になった労働者数が県ごとに大きく違うから、その年の顔ぶれで平均が動きやすいんじゃ。じゃから「今年1位の県」を追いかけるより、実質年収で見る目を持っておくほうが役に立つぞ。
こうして並べて見ると、額面の順位と実質の順位ってけっこう入れ替わるんですね。単純に「額面が高い県に行けばいい」って話じゃないんだ…。
その通りじゃ。全体の傾向を整理すると、都市部は求人の選択肢が多いが人が集まりやすく年収は上がりにくい。物価も高い。地方は求人数は限られるが、人手不足で条件が良くなりやすく、物価も低い。どちらにもメリット・デメリットがあるから、実質年収で比べることが大切じゃ。

同じ「額面と実質」でも、地域ではなく求人票そのものの中身を分解して見る方法もあります。ドラッグストアの求人を比べている場合は、こちらもあわせてご覧ください。
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地方転職で年収が上がる人・上がらない人を分ける3つの視点
実質年収の考え方はわかったんですが、正直それだけで転職を決めていいのかなって不安もあって…。
よい気づきじゃ。実質年収以外にも判断の軸がある。ここからは3つの視点で整理していこう。
1. 今の年収が、その地域で妥当か
まず1つ目は、自分の今の年収が、その地域で見てどうなのかじゃ。全国平均だけを見ても、自分の条件には当てはまらない。
たしかに…。私の年収が今の地域で高いのか低いのかもよくわかってないです。
厚労省のjob tagのように、地域差を前提に見られるデータを使って、自分の状況に引きつけて考える必要があるぞ。
なお、不満の中心が地域差ではなく「6年通ったのにこの年収なのか」という水準そのものにある場合は、地域を変えても解消しません。その場合は薬剤師の給与水準がどう決まっているかから確認するほうが近道です。
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2. 地域だけでなく、職種や経験年数もあわせて見る
地域だけ見ればいいわけじゃないんですね。私は病院勤務なんですが、地方に行っても病院と薬局で全然違ったりしますよね…。
そうじゃ。賃金構造基本統計調査では、薬剤師の年収を年齢階級別・事業所規模別に確認できる。同じ地方でも、病院、調剤薬局、ドラッグストアで水準が違うから、地域と職種はセットで見るべきじゃ。
3. 年収だけでなく、物価・生活費・働き方もあわせて見る
地域と職種のセットで見るのか…。今まで「地方は年収高い」ってざっくりとしか考えてなかったです。
そして3つ目じゃが、額面年収が高いことが、そのまま満足度につながるとは限らないことも押さえておきたい。生活コスト、通勤、働き方、将来のキャリアなども含めて考える必要がある。地域差の話は、最終的には「どこで、どう働きたいか」の話につながるんじゃよ。

こんな薬剤師は、地方転職で年収を見直す価値がある
正直、私の場合はUターンしたい気持ちが先にあって、年収のことはあとから考え始めた感じなんですが…こういうケースでも地方転職って意味ありますか?
むしろそういう人にこそ、ここまでの情報は役立つぞ。具体的に言うと、今の年収が低い気がするが地域要因なのか職場要因なのか分からない人。それから、みさのようにUターンや引っ越しを考えていて働く場所も含めて見直したい人じゃな。
私みたいにUターンを考えている人はまさにですね。他にもいますか?
年収だけでなく生活コストや暮らしやすさも含めて働き方を考え直したい人も当てはまるぞ。下のフローチャートで自分が当てはまるか確認してみてくれ。

自分の条件だと年収はどのくらいになりそうか確認するには?
ここまで聞いてきて、地域差のデータは頭に入ったんですが、結局「私の場合どうなの?」がまだわからなくて…。
まさにそこが大事じゃ。地域差の話を読んでも、最後に必要なのは「自分の場合はどうなのか」の確認じゃ。全国平均ではなく、少なくとも地域、職種、経験年数を入れて考える必要がある。Pharma Worksでは、こうした条件から年収の目安を確認できる適正年収診断を提供しておる。この記事の内容を自分ごととして整理するための参考にしてみてくれ。
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地域・経験年数・職種から年収の目安がわかります
まとめ:地方転職は「額面年収」だけで決めないことが大切
地方転職で年収アップを狙うなら
- 1地方は薬剤師不足で額面年収が高い傾向があり、物価も低いため実質年収の優位性はさらに大きくなることもある
- 2ただし年収は地域だけでなく職種・経験年数・働き方で個人差がある。「地方に行けば上がる」と鵜呑みにしない
- 3まずは自分の地域・職種・経験年数で適正年収を確認し、そこから判断することが大切
最後にポイントを整理しておこう。①地方は薬剤師不足で額面年収が高い傾向がある。②物価差を考慮した実質年収で比べると、地方の優位性はさらに大きくなることもある。③ただし、職種・経験年数・働き方で個人差があるから、自分の条件で確認することが大事じゃ。
「地方に行けば上がる」って漠然と思ってたんですが、実質年収とか職種の違いとか、考えることがたくさんあるんですね。まずは自分の条件で適正年収を確認してみます!
そのとおりじゃ。「地方に行けば上がる」と鵜呑みにせず、自分の場合はどうかを確かめてから動くのがいちばんじゃよ。