イソトレックスカプセルを承認 大量化学療法後の神経芽腫に新たな治療選択肢
薬の概要
- 販売名
- イソトレックスカプセル8mg、同カプセル16mg
- 一般名
- イソトレチノイン
- 効能・効果
- 大量化学療法後の神経芽腫
注目ポイント
神経芽腫(しんけいがしゅ)は、小児に多いがんの1つです。治療後に再発すると治りにくく、特に高リスク群では治療後の維持療法が重要になります。今回承認されたイソトレチノインは、その維持療法の選択肢として位置づけられました。 イソトレチノインは、レチノイン酸受容体(RAR: retinoic acid receptor:レチノイン酸受容体)に結合し、がん細胞に「増え続ける状態」から「分化して増えにくい状態」へ向かわせる薬です。PMDA資料では、神経芽腫細胞で増殖を抑え、分化を促す作用が示されており、国内第Ⅱ相試験でも一定の有効性が確認されたと判断されています。 今回の承認で注目されるのは、海外で標準的治療の1つとされてきた薬が、日本でも神経芽腫の維持療法として使えるようになる点です。国内試験は非盲検非対照試験(比較対象を置かない試験)で症例数も16例と少ないため、結果の解釈には限界がありますが、1年イベントフリー生存率(EFS: event-free survival:無イベント生存期間)は93.8%、1年全生存率(OS: overall survival:全生存期間)は100%でした。承認条件として、医薬品リスク管理計画(RMP: Risk Management Plan:医薬品リスク管理計画)の実施も求められています。
注意点
【用法・用量の確認】 本剤は1日2回、14日間連日投与し、その後14日間休薬するサイクルを繰り返します。体重12kg未満では体重ベース、12kg以上では体表面積ベースで1回量が決まります。カプセルは8mgと16mgのため、実際の処方では計算値を用量表に当てはめて確認する必要があります。 【投与前後に特に見たい検査】 PMDA資料で特に注意喚起されているのは、脂質異常症、高カルシウム血症などの電解質異常、肝機能障害です。次サイクル開始時には、ALT<300 IU/L、TG(triglyceride:トリグリセリド)<300 mg/dL、eGFR(estimated glomerular filtration rate:推算糸球体濾過量)≧30 mL/min/1.73m2、皮膚障害≦Grade 1を目安に延期や減量を検討します。 【重大な副作用として意識したいこと】 精神障害、皮膚障害、骨端早期閉鎖、横紋筋融解症、眼障害、頭蓋内圧亢進症、膵炎、聴覚障害、重度の下痢、過敏症も重要です。特に精神症状は、投与前から投与中まで慎重な観察が必要です。頭蓋内圧亢進症については、テトラサイクリン系抗生物質との併用でリスクが問題になるため、併用薬確認を忘れないことが大切です。 【禁忌と妊娠関連】 妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与できません。ビタミンA製剤、ビタミンA過剰症、成分過敏症も禁忌です。催奇形性があるため、妊娠可能な女性では避妊指導が必須です。
まとめ
イソトレックスカプセルは、大量化学療法後の神経芽腫に使うイソトレチノイン製剤として承認されました。維持療法の選択肢として期待される一方、脂質異常症や電解質異常、精神障害などの副作用管理と、妊娠回避を含む安全対策が実務上の重要ポイントです。
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