新薬承認

サークリサ皮下注 1,400 mgを承認 多発性骨髄腫に皮下投与の選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • サークリサ皮下注 1,400 mg
一般名
  • イサツキシマブ(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 多発性骨髄腫。他の抗悪性腫瘍剤との併用で使用します。

注目ポイント

多発性骨髄腫(multiple myeloma:骨髄で異常な形質細胞が増え、貧血、感染しやすさ、骨折、腎障害などにつながる病気)は、長く治療が続くことが多い病気です。再発や難治性では、これまでの治療で効きにくくなった患者さんに次の治療をどうつなぐかが重要になります。 イサツキシマブ(遺伝子組換え)は、CD38(cluster of differentiation 38:免疫細胞などにある分化抗原)を標的とする抗体です。がん細胞に結びつくことで、免疫の働きを介して細胞を減らす方向に働きます。今回の承認は、同じ成分の点滴静注製剤に対して、皮下投与できる製剤が加わった点が大きなポイントです。 審査では、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(第3相試験:有効性と安全性を比較する大規模試験)で、皮下投与と点滴静注の有効性が比較されました。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC:治験担当医師とは別に画像や検査を評価する委員会)が判定した奏効率と、トラフ濃度(Ctrough:次回投与直前の血中濃度)でした。いずれも皮下投与群が事前の非劣性基準を満たし、点滴静注と同程度の有効性が期待できると判断されています。 併せて、皮下投与では点滴に比べて、輸液量や投与時間の負担が軽くなることが期待されます。試験では、注入に伴う反応が点滴静注より少なく、皮下投与特有の大きな安全性上の問題は示されませんでした。なお、他の抗悪性腫瘍剤との併用で使う点は従来のイサツキシマブ製剤と同様で、実務上は投与方法の違いを押さえることが重要です。


注意点

【用量・投与方法】 - 成人では、イサツキシマブ(遺伝子組換え)として 1 回 1,400 mg を皮下投与します。 - 併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて、次のいずれかで投与します。 - A法:1週間間隔、その後2週間間隔 - B法:1週間間隔、その後2週間間隔、さらに4週間間隔 - 既承認の点滴静注製剤から切り替える場合は、投与間隔や併用薬の組み合わせを確認します。 【前投与】 - infusion reaction(infusion reaction:投与に伴う過敏反応)の軽減目的で、投与開始15~60分前に次の薬剤を投与します。 - デキサメタゾン - 抗ヒスタミン剤 - 解熱鎮痛剤 - ロイコトリエン受容体拮抗剤 - ロイコトリエン受容体拮抗剤は第1サイクルのみ投与します。 - 初回から4回目までにinfusion reactionがなかった患者では、その後の前投与薬の必要性を再検討します。 【infusion reactionへの対応】 - Grade 2または3では、その回の投与を中断し、再開しません。 - 次回投与からは、必要に応じて前投与薬を追加します。 - Grade 3が3回目、またはGrade 4では中止し、再投与しません。 【注射部位反応】 - 皮下投与なので、注射部位反応にも注意します。 - Grade 2では、投与中なら中断し、Grade 1以下に回復後に再開します。 - オンボディ・デリバリーシステム(OBDS:腹部に装着して自動で注入する装置)では、一時停止しながら再開できます。 - 手動投与では、投与速度を下げて再開できます。 - Grade 3または4では中止し、再投与しません。 【骨髄抑制】 - 好中球減少が目立つため、採血値の確認が重要です。 - Grade 3または4の好中球減少では、好中球数が1,000/mm3以上に回復するまで休薬します。 【併用薬との関係】 - 本剤は他の抗悪性腫瘍剤と併用して使います。 - 多発性骨髄腫では感染症、血球減少、肺炎などが起こりやすいため、併用薬の副作用も合わせて確認します。 【患者背景】 - 体重によって血中濃度が変動する可能性は示されましたが、審査では臨床上大きな問題はないと判断されています。 - ただし、低体重の患者では血球減少などの発現状況をより丁寧に確認したいところです。


まとめ

サークリサ皮下注 1,400 mgは、多発性骨髄腫に使うイサツキシマブの皮下投与製剤です。点滴静注製剤と同程度の有効性が期待され、投与の負担軽減が見込まれます。 一方で、infusion reaction、骨髄抑制、感染症などは従来どおり注意が必要です。実務では、前投与の確認と、皮下投与ならではの注射部位反応への対応を押さえておくことが重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

審査報告書を確認する
X Icon

Pharma Works

供給状況・回収・承認情報など
最新の医薬品情報をいち早くキャッチ!