ネランドミラスト(ジャスケイド)を承認 特発性肺線維症と進行性肺線維症に新たな治療選択肢
薬の概要
- 販売名
- ジャスケイド錠9mg / ジャスケイド錠18mg
- 一般名
- ネランドミラスト
- 効能・効果
- 特発性肺線維症
- 進行性肺線維症
注目ポイント
特発性肺線維症(IPF:idiopathic pulmonary fibrosis:特発性肺線維症)は、肺が少しずつ硬くなっていく病気です。主な症状は乾いた咳と、動いたときの息切れです。進行すると呼吸が苦しくなり、急性増悪(きゅうせいぞうあく:急に悪化すること)を起こすと予後がさらに悪くなります。 進行性肺線維症(PPF:progressive pulmonary fibrosis:進行性肺線維症)は、IPF以外の間質性肺疾患(ILD:interstitial lung disease:間質性肺疾患)のうち、標準治療を行っても肺の線維化が進んでしまう病態です。原因となる病気はさまざまですが、共通して肺が硬くなって呼吸機能が落ちていく点が問題になります。 ネランドミラストは、ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B:phosphodiesterase 4B:ホスホジエステラーゼ4B)阻害薬です。PDE4Bは、炎症や線維化を進めるはたらきに関わる細胞内物質cAMP(cyclic adenosine monophosphate:環状アデノシン一リン酸)を分解する酵素です。これを阻害するとcAMPが保たれ、炎症と線維化を抑える方向に働くと考えられています。 今回の承認では、IPFとPPFの両方に適応が認められました。既存の抗線維化薬としてニンテダニブやピルフェニドンがありますが、審査報告書では、これらは副作用などで継続が難しいことがあるため、長く使いやすい新しい選択肢が必要とされています。臨床試験では、本剤はIPF患者で既存抗線維化薬を使っている患者にも使われており、PPFでは新たな治療候補として位置づけられています。 一方で、非臨床試験ではPDE4阻害薬に共通する消化器症状や、動物種によっては血管障害が確認されています。ヒトでの安全性は臨床試験成績を踏まえて判断されたものの、承認条件として医薬品リスク管理計画の実施が付されています。
注意点
【用法・用量】 通常は、ネランドミラストとして1回18mgを1日2回経口投与します。患者の忍容性に応じて、1回9mgを1日2回に減量できます。9mg錠と18mg錠があるため、処方時は規格の取り違えに注意します。 【副作用・安全性】 審査報告書では、PDE4阻害薬で問題になりやすい嘔吐や悪心などの胃腸症状が懸念されています。非臨床試験では明らかな催吐作用は強く示されませんでしたが、完全には否定できないため、服薬後の消化器症状の有無は確認したいところです。また、動物試験では血管障害が認められており、ヒトでのリスクを完全には否定しきれないとされています。 【相互作用】 本薬は主にCYP3A(cytochrome P450 3A:薬物代謝酵素CYP3A)で代謝され、さらにCYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4を誘導する可能性が示されています。加えて、P-gp(P-glycoprotein:P糖たんぱく)の基質でもあります。審査報告書の試験では臨床用量で重大な相互作用の可能性は低いと判断されていますが、併用薬の確認は重要です。特に強いCYP3A阻害薬や、同じ薬効群のPDE4阻害薬は試験中に禁止されていました。 【妊娠・授乳】 動物試験では胚・胎児への影響が示唆されており、妊娠中の投与は避けることが望ましいとされています。妊娠可能な女性には、投与中および最終投与後4日間の避妊が必要です。授乳婦については、母乳を続けるか中止するかを治療上の有益性を踏まえて検討することになります。 【患者背景】 IPFの臨床試験では、一定以上の肺機能を保っている患者が対象でした。したがって、実臨床では病勢、酸素化、他の抗線維化薬の使用状況をふまえて、処方意図を確認することが大切です。PPFでは背景疾患が多様なので、もとの病気に対する治療が行われているかも合わせて確認します。
まとめ
ネランドミラストは、IPFとPPFに対する新しい経口の抗線維化薬です。PDE4B阻害を通じて炎症と線維化を抑えることが期待され、用量は1回18mgを1日2回、忍容性に応じて9mgへ減量できます。実務では、消化器症状、相互作用、妊娠・授乳への注意を押さえておくとよいです。
詳細は審査報告書をご確認ください。
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