キネレット皮下注100mgシリンジを承認 全身型若年性特発性関節炎と成人発症スチル病に新たな治療選択肢
薬の概要
- 販売名
- キネレット皮下注100mgシリンジ
- 一般名
- アナキンラ(遺伝子組換え)
- 効能・効果
- 全身型若年性特発性関節炎、成人発症スチル病
注目ポイント
全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:全身型若年性特発性関節炎)と成人発症スチル病(adult onset Still’s disease:成人発症スチル病)は、発熱、関節症状、皮疹が中心となる全身性炎症性疾患です。炎症が強い状態が続くと、マクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome:マクロファージ活性化症候群)という重い合併症につながることがあり、早めに炎症を抑えることが重要です。 今回承認されたアナキンラは、インターロイキン-1(interleukin-1:IL-1)という炎症を進める物質が、インターロイキン-1受容体(interleukin-1 receptor:IL-1R)に結合するのを競合的に阻害します。これにより、下流の炎症性サイトカイン産生が抑えられ、病態の中心にある炎症を弱めると考えられています。既存の第一選択薬はグルココルチコイドですが、長期使用による副作用が問題になりやすく、審査報告書では本剤が早期から使える治療選択肢になり得ると整理されています。 有効性は、国内第III相試験(第III相:承認判断の中心になる比較試験)を含む成績で示されました。主要評価項目である投与2週時の改変American College of Rheumatology 30達成率(改変ACR30達成率:炎症症状が一定以上改善したことを示す指標)で、プラセボを上回りました。さらに、発熱、CRP(C-reactive protein:C反応性タンパク)などの炎症指標や関節症状も改善傾向を示し、グルココルチコイドの減量も示唆されました。 対象患者は、成人と生後8カ月以上かつ体重10kg以上の小児です。体重50kg以上は1回100mgを1日1回、50kg未満は1kg当たり1回2mgを1日1回投与します。16歳未満では、効果不十分な場合に1kg当たり最大4mgまで増量できます。
注意点
【投与設計】 ・皮下投与です。 ・体重50kg以上では1回100mgを1日1回、体重50kg未満では1kg当たり1回2mgを1日1回です。 ・16歳未満では、効果不十分な場合に1kg当たり最大4mgまで増量できます。 ・生後8カ月未満、または体重10kg未満の患者は臨床試験に含まれておらず、十分な情報がありません。 【感染症】 ・IL-1を抑える薬なので、感染症には注意が必要です。 ・重篤な感染症は重要な特定されたリスクとされています。 ・投与前に活動性結核の有無を確認し、投与中も感染症の発現・再発・増悪をみます。 ・B型肝炎ウイルス再活性化は本剤で明確な頻度増加は示されていませんが、免疫抑制薬として一般的な確認は必要です。 【血球減少・免疫関連】 ・好中球減少症が重要な特定されたリスクに設定されています。 ・投与中は定期的に血球数、とくに好中球数を確認します。 ・アナフィラキシーを含むアレルギー反応、薬剤性過敏症症候群にも注意します。 【注射部位反応】 ・注射部位反応は比較的よくみられました。 ・発赤、疼痛、発疹、そう痒感などが起こることがあるため、自己注射指導では部位の確認が重要です。 【併用薬・腎機能】 ・シトクロムP450(cytochrome P450:CYP)で代謝される治療域の狭い薬、特にワルファリンなどでは、効果や血中濃度の変化に注意します。 ・審査報告書では、軽度・中等度の腎機能障害で用量調節は原則不要とされていますが、重度腎機能障害や末期腎不全では曝露増加が示されているため、慎重な対応が必要です。 【長期安全性】 ・日本人での使用経験はまだ限られているため、承認後も長期投与時の安全性、とくに重篤な感染症やマクロファージ活性化症候群の発現状況が重要です。
まとめ
キネレット皮下注100mgシリンジは、IL-1を抑えることで全身型若年性特発性関節炎と成人発症スチル病の炎症を抑える薬です。審査では有効性と安全性は許容可能とされましたが、感染症、好中球減少症、アレルギー反応、長期安全性には引き続き注意が必要です。
詳細は審査報告書をご確認ください。
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