テムスシタビン膀胱内システムを承認 BCG不応性の高リスク非筋層浸潤性膀胱がんに新たな選択肢
薬の概要
- 販売名
- イネレスクゾ膀胱内システム225mg
- 一般名
- ゲムシタビン塩酸塩
- 効能・効果
- BCG(Bacillus Calmette-Guérin:カルメット・ゲラン菌)膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク非筋層浸潤性膀胱癌
注目ポイント
非筋層浸潤性膀胱癌(non-muscle invasive bladder cancer:NMIBC)は、がんが膀胱の筋層まで深く入り込んでいない段階の膀胱がんです。今回の承認対象は、その中でもBCG膀胱内注入療法を行っても病変が残る、または再発する高リスク例です。進行すると膀胱全摘除術が必要になることもあり、治療の選び方が難しい病態です。 本剤は、膀胱内に留置して使う膀胱内システムです。ゲムシタビン塩酸塩を膀胱の中で持続的に放出し、がん細胞の増殖を抑える設計になっています。膀胱内に局所的に薬剤を届けるため、全身投与とは異なる位置づけの治療です。 審査では、BCG不応性のCIS(carcinoma in situ:上皮内癌)を含むNMIBC患者を対象にした第III相国際共同試験が重視されました。主要評価項目はCR(complete response:完全奏効)で、膀胱鏡と尿細胞診などで病変が認められない状態を指します。結果は、膀胱内投与後のCR率が示され、一定期間CRが維持された症例も確認されました。これにより、BCG後に治療選択肢が限られる患者に対して、新たな膀胱温存の選択肢として位置づけられる承認となりました。
注意点
【投与方法・用量】 ・成人に通常、1個(ゲムシタビンとして225mg)を膀胱内に留置します。 ・最初は3週間ごとに6か月間、次に12週間ごとに18か月間投与します。 ・膀胱内留置用のシステムなので、処方監査では「膀胱内投与」であることと、投与間隔が経静脈投与と全く異なる点を必ず確認します。 【有害事象】 ・頻度が高い有害事象として、頻尿、排尿困難、尿路感染、尿意切迫、血尿、膀胱痛、膀胱収縮、非感染性膀胱炎などが報告されています。 ・重篤な尿路感染や排尿障害、血尿、膀胱炎が中止・中断につながることがあるため、排尿時痛、発熱、血尿、尿が出にくいなどの訴えは見逃さないようにします。 【投与中止・中断の考え方】 ・Grade 2以上の血尿、Grade 2以上の無菌性膀胱炎の徴候、膀胱閉塞、全身性のゲムシタビン毒性、重い感染症、Grade 2以上の活動性尿路感染などでは中断を検討します。 ・Grade 2以上のアレルギー反応や、その他のGrade 4の有害事象では中止を検討します。 【併用薬・背景患者】 ・BCG膀胱内注入療法後の再発患者では、これまでの治療歴や再発時期が適応判断に重要です。 ・妊婦または妊娠可能性のある女性、授乳中の患者では、添付文書に基づく注意喚起が必要です。 ・本剤は膀胱内留置で使うため、カテーテル操作に伴う感染や粘膜損傷にも注意します。 【実務での確認点】 ・投与前に尿路感染、血尿、尿閉の有無を確認します。 ・留置中は十分な尿量を保てるよう、患者指導が必要です。 ・膀胱鏡や尿細胞診での評価が治療継続判断に関わるため、外来・病棟・薬局の連携が大切です。
まとめ
本剤は、BCG治療後に残存・再発した高リスクNMIBC、特に上皮内癌に対する膀胱内留置治療です。薬剤師としては、経静脈投与の薬とは異なる投与手技と、尿路感染・血尿・排尿障害などの有害事象を軸に確認することが重要です。
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