ヒブサーゴ皮下注150mgシリンジを承認 B型肝炎ウイルス持続感染の機能的治癒に新たな選択肢
薬の概要
- 販売名
- ヒブサーゴ皮下注150mgシリンジ
- 一般名
- ベピロビルセンナトリウム
- 効能・効果
- B型肝炎ウイルス持続感染における機能的治癒
注目ポイント
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:B型肝炎ウイルス、HBV)は、肝臓に長く感染し続けると慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌へ進むことがあるウイルスです。多くの患者さんでは核酸アナログ(nucleos(t)ide analogue:HBVの増殖を抑える薬)でウイルス量を下げられますが、HBs抗原(HBV surface antigen:B型肝炎表面抗原)は残りやすく、治療をやめると再燃しやすいことが課題でした。 ヒブサーゴ皮下注は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide:標的RNAに結合して働く核酸医薬)であるベピロビルセンナトリウムを有効成分とする注射薬です。HBVのmRNAに結合して、その産生を抑え、HBs抗原を含むウイルス関連タンパク質やHBV DNAを減らすことが期待されます。審査報告書では、核酸アナログ併用下でHBs抗原量が低い持続感染患者を対象に、有効性が示されたとされています。 注目点は、HBVを「抑える」だけでなく、治療中止後もウイルスを抑えた状態を保つことを目指している点です。第III相試験では、24週間の投与後に治療を中止し、その後もHBs抗原陰性とHBV DNA抑制が続くかを評価していました。これは、限られた期間の治療で機能的治癒を狙う考え方で、従来の長期継続が前提の核酸アナログ治療とは位置づけが異なります。 一方で、安全性は薬剤の特徴を踏まえて丁寧な管理が必要です。審査報告書では、肝酵素上昇、血小板減少、免疫関連事象、腎機能低下、注射部位反応などが重要な注意点として整理されていました。とくに肝硬変のある患者や、血小板数が少ない患者は禁忌とされており、実務では投与前の確認が重要です。
注意点
【投与前に必ず確認すること】 - 本剤は核酸アナログとの併用が必須です。単独では使いません。 - 対象は、核酸アナログ治療中で、HBs抗原量が3,000 IU/mL以下のB型肝炎ウイルス持続感染患者です。 - 肝硬変(Child-Pugh分類クラスA~C)は禁忌です。 - 血小板数100,000/μL未満は禁忌です。 - 本剤投与開始前の6カ月間以上、核酸アナログ治療を受けていることが前提です。 【用法・用量】 - 成人にベピロビルセンとして1回300 mgを皮下注射します。 - 投与1週目と2週目は3~4日ごとに週2回投与します。 - 投与3週目以降は24週目まで週1回投与します。 - 投与期間は休薬期間も含めて24週間です。 【肝機能の確認】 - ALT(alanine aminotransferase:アラニンアミノトランスフェラーゼ)上昇が比較的多くみられます。 - ただし、HBs抗原低下に伴う免疫反応として起こる場合と、薬剤性肝障害の可能性がある場合があります。 - 総ビリルビンやHBs抗原も含めて定期的に確認する必要があります。 - 肝機能異常が強い場合は休薬・中止基準に従って対応します。 【血小板の確認】 - 血小板減少は重要な注意点です。 - 投与中は血小板数を定期的に測定し、低下した場合は休薬や中止の判断が必要です。 - 出血症状、あざ、点状出血がないかも確認します。 - 抗血小板薬、NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs:非ステロイド性抗炎症薬)、抗凝固薬を使っている場合は、出血リスクを意識して確認します。 【腎機能の確認】 - 糸球体濾過率減少や尿蛋白は注意が必要です。 - 腎機能を定期的に検査し、異常が続く場合は投与中断を検討します。 - 腎機能低下のある患者では、投与可否を慎重に判断します。 【その他の注意】 - 注射部位反応は頻度が高いですが、多くは軽度~中等度でした。 - 発熱、倦怠感、免疫関連事象、血管炎などにも注意します。 - 製造販売後も長期有効性や耐性関連変異の情報収集が続くため、今後の情報更新にも注意が必要です。
まとめ
ヒブサーゴ皮下注は、核酸アナログ併用下でB型肝炎ウイルス持続感染の機能的治癒を目指す新しい核酸医薬です。実務では、対象患者の適格性確認に加え、肝機能、血小板数、腎機能、注射部位反応を定期的に確認することが重要です。
詳細は審査報告書をご確認ください。
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