転職

ドラッグストアから調剤薬局への転職は難しい?壁は業態ではなく「調剤経験の中身」にある

公開日:

ドラッグストアから調剤薬局への転職が難しいと言われるのは、業態のせいではありません。調剤薬局の面接で問われやすいのは、業態より処方箋の枚数・科目・薬歴・特殊調剤・鑑査という調剤経験の中身です。求人票の条件を満たしたうえで、直近1か月の経験を数字にして、応募できる求人の範囲を自分で決める方法をまとめました。

登場キャラクター

薬剤師じいさん

薬剤師じいさん

薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ

みさ

新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!

💬
読者からの相談

調剤併設のドラッグストアで4年目の薬剤師です。調剤室には毎日入っていて、処方箋は1日15〜20枚くらいをほぼ私が調剤していますが、近くのクリニックが決まっていないので科目はばらばらです。午後は登録販売者さんと一緒に売場にも出ます。調剤薬局の求人を見始めたら「調剤経験3年以上」と書かれているものが多くて、自分の経験がその3年に入るのか分かりません。同期でOTC専門店に配属された子は「調剤したことがないから無理だと思ってる」と言っています。ドラッグストアから調剤薬局への転職は、やっぱり難しいのでしょうか。

📌この記事のポイント
  • ドラッグストアから調剤薬局への転職は、調剤経験があれば移りやすく、無くても未経験可の入口から移れる
  • 調剤併設店の調剤室は薬機法上の薬局で、DSの調剤は調剤医療費の約2割。DS出身は珍しい経歴ではない
  • 直近1か月の調剤経験を5つの数字にすると、応募できる求人の範囲が自分で決まる

まず結論:調剤経験があれば移りやすく、無くても未経験可の入口から移れる

先生
今日は「ドラッグストアから調剤薬局への転職は難しいのか」という相談じゃ。先に答えを言う。調剤経験があれば、移りやすい。面接で問われやすいのは業態より、処方箋の枚数・科目・薬歴・特殊調剤・鑑査という調剤経験の中身じゃからな。
新人
業態じゃなくて、中身…。でも相談者さんの同期の方みたいに、調剤をほとんどしていない人はどうなるんですか?
先生
調剤経験がほとんど無くても、未経験可の求人という別の入口がある。じゃから転職は可能じゃ。励ましで言っておるのではない。求人票の区分として、実際に存在する入口じゃ。
新人
入口が別にある、という言い方なら、無理だと思っている人にも届きそうです。ただ、入口が違うと何が変わるんでしょう。
先生
応募できる求人の範囲と、面接で問われることが変わる。そして、自分がどちらの入口に立っておるかは、直近1か月分の経験を5つの数字にすれば自分で決められる。今日はそこまで一緒にやる。
新人
「DS出身だから門前払い」というイメージが、相談者さんの中にはありそうです。そこはどうなんですか?
先生
制度上も、業界の規模から見ても成り立たん。まずその思い込みを外し、面接で問われやすい5つの項目を示す。それから数字の書き出し方、求人票の言葉との突き合わせ、面接での言い方、年収の比べ方、求人票に無いことの聞き方まで順に進む。
新人
「難しい」と感じている気持ち自体は、否定しないんですね。
先生
否定はせん。ただ、難しいのは業態ではなく、自分の経験がどの入口に使えるのかが自分でも見えておらんことじゃ。そこは、数えれば見える。
新人
見えていないだけ、と言われると少し力が抜けます。ところで、この記事はドラッグストアで働いている人向けということでいいですか?
先生
そうじゃ。年齢そのものが最大の不安という人は、先に年齢の壁に答えた記事がある。MRや企業、病院から薬局へ移りたい人は、今日の話の対象ではないことも断っておく。

40代以降で調剤未経験という「年齢の壁」が最大の不安の方は、先にこちらの記事を読んでください。

あわせて読みたい

薬剤師40代で転職は難しい?調剤未経験でも選べる2つのルート

40代・調剤未経験の薬剤師が薬局へ転職できるのか、受け入れ先の探し方と年収の現実、心理的ハードルへの対処を解説します

調剤併設ドラッグストアの調剤室は「薬局」で、そこでの経験は調剤薬局と同じ種類の経験

先生
まず言葉の定義からじゃ。調剤を行うドラッグストアの調剤室とは、薬局開設許可を受けた「薬局」のことじゃ。医薬品医療機器等法は、薬剤師が調剤の業務と薬学的知見に基づく指導を行う場所を薬局と定めておる(第2条第12項)。開設には都道府県知事等の許可が要る(第4条)。
新人
つまり、看板がドラッグストアでも、調剤室そのものは法令上「薬局」なんですね。調剤薬局と同じ種類の施設、ということですか。
先生
そういう区分じゃ。わしは法律家ではないから、詳しくは条文を見てほしい。じゃが、業態の壁が制度上あるわけではない、ということはここで分かる。
新人
規模の面ではどうなんでしょう。ドラッグストアの調剤って、調剤薬局の人から見るとまだ特殊なものに見えていませんか?
先生
もう例外的な存在ではない。日本チェーンドラッグストア協会の「2025年度JACDS実態調査」(2026年9月1日公表)では、併設薬局の調剤額は1兆6,586億円で、前年度より9.1%増えた。調剤医療費総額に占めるシェアは、暫定値で19.7%じゃ。
新人
調剤医療費のおよそ5分の1が、ドラッグストアの調剤室で生まれている計算ですね。それなら、採用側にとってDS出身の薬剤師は「初めて見る経歴」ではないはずです。
先生
受け入れる側も広がっておる。厚生労働省の「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(2025年12月23日公表)では、薬局の従事者は197,437人で、届出薬剤師の60.0%じゃ。前回の2022年より6,702人、3.5%増えておる。
新人
薬局で働く薬剤師が増え続けているなら、受け皿は縮んでいないんですね。じゃあ、そこまで心配しなくても…。
先生
「簡単」と言うつもりはないぞ。この節で外したのは「業態の壁がある」という思い込み1つだけじゃ。問われるのは業態そのものより、調剤室で何をどれだけしてきたか、じゃ。

調剤薬局の面接で問われやすい5つの項目と、あなたの経験がどちらのタイプか

先生
ここからは、面接で「業態」の代わりに問われやすい項目を5つ示す。そのうえで、自分の経験がどちらのタイプに当たるかを決めてもらう。

問われやすいのは処方箋の枚数・科目の幅・薬歴・特殊調剤・鑑査の5つ

先生
わしの経験では、調剤薬局の中途採用の面接で問われやすいのは次の5つじゃ。
  • 処方箋の枚数:自分が調剤や鑑査に関わった処方箋が1日平均で何枚か。店舗全体の枚数ではなく、自分の手を通った枚数
  • 科目の幅:どの科目の処方をどれだけ見てきたか。門前1科目で深いのか、多科目で広いのか
  • 薬歴:自分で記載してきたか、1日に何件くらいか。服薬指導を自分の言葉で残してきたかを知りたい
  • 特殊調剤・在宅:一包化・粉砕・在宅・施設など、門前薬局で日常的に発生する業務の経験があるか
  • 鑑査で担った役割:鑑査を担当した時間帯があるか。薬剤師が自分だけの時間帯を回した経験があるか
新人
5つとも「どこで働いたか」ではなくて「何をどれだけしたか」なんですね。先生が調剤薬局にいらしたときも、こういう見方だったんですか?
先生
わしが調剤薬局におった頃、中途で入る人にまず聞いたのは前の職場の業態ではなかった。「ご自身で1日何枚くらい見ていましたか」「何科が多かったですか」「薬歴はご自身で書いていましたか」の3つじゃ。業態を聞いても、その人が明日から鑑査に入れるかは分からんからな。
新人
なるほど…。でも求人票には「調剤経験3年以上」のように年数で書かれていますよね。あれは何を見ているんですか?
先生
求人票の年数は応募条件じゃ。「3年以上」が必須条件なら、満たしておらんと応募自体が通らんこともある。ただ、条件を満たしたあとの面接で確かめられるのは年数ではなく、この5項目の中身じゃ。
新人
相談者さんの「自分の経験がその3年に入るのか」は、まず求人票の条件を満たすかの話で、その次に面接で中身を聞かれる、と分けて考えればいいんですね。自分で数えられるのは5項目のほう。

処方箋をほとんど触っていないか、触っているが枚数と科目が薄いかで、壁の場所が変わる

先生
5項目に照らすと、ドラッグストアで働く薬剤師の経験は、おおよそ2つに分かれる。自分がどちらに近いか、先に決めてほしい。

!あなたの経験はどちらに近いか

  • 【処方箋をほとんど触っていない人】調剤室に入るのは週1日以下、または調剤室のない店舗で働いている
  • 【処方箋をほとんど触っていない人】5項目のうち3つ以上が空欄になる
  • 【処方箋をほとんど触っていない人】1日の中心は売場で、処方箋は手伝いで触る程度
  • 【枚数と科目が薄い人】調剤室に毎日入っている
  • 【枚数と科目が薄い人】調剤室に入っても、自分が調剤や鑑査に関わる処方箋の枚数が少ない
  • 【枚数と科目が薄い人】門前の科目が定まらず、科目がばらばら
新人
処方箋をほとんど触っていない人は、やっぱり壁が高いんでしょうか。
先生
壁の種類が違うんじゃ。ほとんど触っておらん人の壁は「調剤未経験」の壁で、応募できる求人は未経験可のものに限られる。その代わり、未経験可の求人の中では、経歴の中身を細かく問われにくい。慰めではなく、未経験可という区分の性質じゃ。
新人
範囲は狭いけれど、その中では経歴で弾かれにくい…。では、枚数と科目が薄い人のほうは?
先生
こちらの壁は「経験が薄いと見られる」壁じゃ。応募できる求人の範囲は広い。ただ、数字を出さずに「ドラッグストアで4年」とだけ言うと、「DS出身はOTCが中心だったのだろう」という先入観で読まれる。数字を出せば、その先入観は消える。
新人
相談者さんは後者で、同期のOTC専門店の方は前者ですね。壁の場所が違うなら、この後の数え方も求人の絞り方も変わってくる、ということですか。
先生
その通りじゃ。じゃから、次の節では数え方を、その後の節で求人の絞り方を、それぞれ2タイプに分けて渡す。

明日できること:直近1か月の調剤経験を5つの数字にする

先生
ここからが今日の核じゃ。分析でも反省でもない。直近1か月の経験を、数字にして書き出すだけじゃ。
直近1か月の調剤経験を、枚数・科目・薬歴・特殊調剤と在宅・鑑査の5つの数字にすると、応募できる求人が決まることを示した図
書き出すのは5つだけ。数えると、応募できる求人の範囲が自分で決まる

直近1か月の調剤経験を5つの数字にする

項目何を数えるか処方箋をほとんど触っていない人の代替項目
枚数自分が調剤や鑑査に関わった処方箋の枚数を、調剤室に立った日数で割る(店舗全体の枚数ではなく、自分の手を通った枚数)1日に受けたOTC相談の件数
科目受けた処方の科目を、多い順に上位3つ書く受診勧奨した回数
薬歴自分で記載したか。1日に何件くらいか登録販売者に引き継いだ相談の内容と件数
特殊調剤・在宅一包化・粉砕・在宅・施設の有無と、月の回数要指導医薬品・第1類医薬品の販売件数
鑑査鑑査を担当した時間帯。薬剤師が自分だけだった時間帯の有無一人で売場の医薬品相談を回した時間帯の有無
新人
1か月分を数えるのは、忙しい中だと少し腰が重い気もします。どこまで正確にやればいいんでしょう。
先生
いちばん負荷の低い方法で構わん。レセコンの日計や月報が出せる職場なら、枚数と科目はそれで足りる。出せんなら、スマホのメモに「正」の字を書くだけでよい。1か月分を1回だけ。続ける必要はない。
新人
数字が小さいと、書くのがちょっと怖い気持ちもありそうです。「1日15枚」って、自分で見ても小さく見えてしまいそうで…。
先生
小さくても書くんじゃ。次の節で、その15枚が「応募できる求人の範囲」を決める材料になる。小さい数字が損になることはない。書かんことだけが損になる。
新人
相談者さんなら、枚数は店の15〜20枚のほとんどに関わっているので15前後、科目は上位3つを書く、薬歴はあり、特殊調剤はなし、鑑査は日中に自分だけの時間帯あり…と埋まりますね。これで次に進めるんですか?
先生
それで十分じゃ。数字が5つ揃ったら、求人票の言葉と並べる。

5つの数字を求人票の条件と突き合わせて、応募できる求人の範囲を決める

先生
求人票にある「未経験可」「経験3年以上」「在宅あり」といった言葉は、5つの数字のどれかを言い換えたものじゃ。自分の数字と並べれば、応募できる求人の範囲は自分で決められる。対応を表にしておく。

求人票の言葉と5つの数字の対応

求人票の言葉対応する数字自分の数字がこうなら応募できる
調剤未経験可・研修あり5項目すべて数字がほぼ空欄でも応募できる。研修の内容が具体的に書かれているものを選ぶ
調剤経験1年以上・3年以上枚数と期間必須条件なら満たしていることが前提。満たしていれば枚数と科目を数字で伝える。「歓迎」「目安」の表記なら数字で補える
在宅あり・施設あり特殊調剤・在宅数字が0なら、「在宅は入社後に覚える前提か」を確認したうえで応募する
1人薬剤師なし・複数体制鑑査自分だけの時間帯があった人は、鑑査を分けてもらえる体制かを確認して応募する
新人
「経験3年以上」が必須条件なら満たすことが先で、満たしていれば相談者さんの4年目の経験も数字で読んでもらえる、ということですね。ただ、大手の調剤チェーンだと基準が厳しい、という話も聞きます。
先生
伝聞として添えておく。大手の調剤チェーンの中途採用は、即戦力で転居もでき、将来は管理薬剤師を任せられる人を求める傾向がある、という現場の声がある。大手が悪いという話ではない。同じ対応表で、中小や地域のチェーンも見ておく理由になる、という話じゃ。判断は自分の5つの数字で行ってほしい。

処方箋をほとんど触っていない人は、未経験可で研修内容が具体的な求人に絞る

先生
「調剤未経験可」の求人は実在する。薬剤師向けの転職サイトの多くには、検索条件として「未経験可」や「未経験者歓迎」の絞り込みがある。入口が無いわけではない。
新人
入口はある、と。でも「未経験可」だけで選んで大丈夫なんでしょうか。研修が名ばかりだったら、入ってから苦しそうです。
先生
よい心配じゃ。じゃから条件をもう1つ加える。「研修の内容が具体的に書かれているか」じゃ。「研修充実」の一語だけの求人と、「入社3か月は鑑査に入らず、先輩薬剤師と2人で調剤に入る」と書かれた求人では、入ってからの3か月がまったく違う。
新人
誰が、何か月、どの業務から教えるのかが読める求人を選ぶ、ということですね。面接では何を持って行けばいいですか?
先生
代替項目の数字じゃ。OTC相談の件数、受診勧奨した回数。「調剤はしていませんが、患者さんの話を聞いて判断した経験は、1日にこれだけあります」と数字で言える状態にしておく。言い方は、面接の節でまとめる。

枚数と科目が薄い人は、1人あたりの枚数が今より大きく跳ねず、科目が絞られた門前を目安にする

先生
自分が見てきた枚数が1日15枚前後なら、いきなり1人で何十枚も回す門前には行かん。薬剤師1人あたりの枚数が今より少し多い程度で、門前の科目が1つか2つに絞られた薬局を最初の目安にする。段階を踏むと科目の深さが先に身につく、とわしは見てきた。
新人
いきなり忙しいところに行って鍛えられるほうが早い、という考え方もありそうですが…。
先生
わしの経験では、枚数が急に増えた人は鑑査で詰まりやすかった。科目が絞られた薬局から入った人のほうが、処方の読み方が先に安定しておった。ただしこれは経験に基づく目安であって、基準ではない。自分の5つの数字で調整してほしい。
新人
具体的には、求人票のどこを見ればいいですか?
先生
やることは1つじゃ。求人票の「1日平均処方箋枚数」を薬剤師数で割って1人あたりにし、「主な診療科」と合わせて自分の数字と並べる。1人あたりの枚数が今より大きく跳ねず、科目が絞られておる求人に印をつける。枚数が書かれておらん求人は、後の節で担当者に聞く項目に回す。
新人
相談者さんなら、1人あたりの枚数が今と大きく変わらない、内科か整形外科の門前が最初の目安になるんですね。数字が出ていると、求人票の見方がはっきりします。
先生
印をつけた求人を、どのサイトで探すかまで決めたい人もおるじゃろう。業態を調剤薬局に決めて、雇用形態や勤務地で絞る段階なら、自分の条件から合う転職サイトを診断で絞る方法がある。転職を決めておらんでも使える。
新人
未経験可や在宅の有無みたいな条件は、診断では絞れないですよね?
先生
そこは診断の軸に無い。この後の節で、担当者に聞く側に回す。
🎯
無料・約30秒・登録不要

あなたに合う転職サイトは?

かんたんな質問に答えるだけで、マッチ度つきでおすすめ上位3サイトを比較できます。

面接では「ドラッグストアでの経験」を調剤薬局の言葉に翻訳して話す

先生
ドラッグストアでの経験は、調剤薬局の面接では「患者さんの話を聞いて判断した経験」として話せる。OTC相談は症状の聞き取りと受診勧奨の判断、登録販売者との協働は他職種との業務分担、繁忙時間帯の接客は患者対応じゃ。調剤後の服薬指導そのものとは言わず、そう言い換えれば伝わる。

ドラッグストアでの経験を調剤薬局の言葉に翻訳する

ドラッグストアでやってきたこと調剤薬局の面接で使う言葉数字で添えるもの
OTC相談・要指導医薬品の販売症状の聞き取りと受診勧奨の判断1日の相談件数、受診勧奨した回数
登録販売者との売場運営他職種との業務分担引き継いだ相談の内容と件数
調剤併設店の少人数での調剤一人で処方を最後まで見た経験自分だけの時間帯、その時間帯の枚数
繁忙時間帯の接客患者対応・優先順位づけ時間帯と、その時間帯の件数
新人
売場での経験を「症状の聞き取りと受診勧奨の判断」と言い直せるのは、DS出身の人にとって大きい気がします。転職理由はどう言えばいいでしょう。前の職場の不満を言うのは、良くないですよね。
先生
同じ向きで言えばよい。前の職場の不満ではなく、次にやりたいことで言う形じゃ。たとえば、「ドラッグストアでOTC相談を続けるうちに、処方薬まで含めて患者さんの薬を通して見たいと思うようになりました」。ドラッグストアを否定せずに、調剤薬局を選ぶ理由が伝わる。
新人
相談者さんの「午後は売場に出る」も、隠すことじゃないんですね。要指導医薬品の販売と受診勧奨の経験として、数字を添えて言えばいい。
先生
そういうことじゃ。言葉は揃った。残る不安は、年収じゃろう。

年収が下がるかは業態別の統計では分からない。新卒と中途の提示額を分けて比べる

先生
ドラッグストアから調剤薬局へ移ると年収が下がるかどうかは、統計では答えが出ん。業態別に分けた薬剤師の年収統計が、公的には存在せんからじゃ。厚生労働省の賃金構造基本統計調査の「薬剤師」は産業計の数字で、調剤薬局とドラッグストアに分かれておらん。
新人
え、業態別の統計が無いんですか。「ドラッグストアは年収が高い」って、よく見る話なのに…。
先生
分かるのは構造だけじゃ。ドラッグストアには、新卒の提示額を高めに設定しておる会社がある。その額を、中途で応募する調剤薬局の提示額と直接並べると、下がって見えやすい。業態の差ではなく、新卒と中途という採用区分の差が混ざって見えておるだけの場合がある。
新人
新卒の高い提示額と、中途の提示額を並べていたら、比べる土台が違いますね。じゃあ、どう比べればいいんですか?
先生
やることは1つ。今の給与明細を、年収本体・住宅補助・固定残業代に分ける。応募先の求人票も同じ3つに分ける。同じ条件に揃えて、初めて並べられる。揃え方の手順は、ドラッグストアの年収を検証した記事にまとめてある。
新人
「下がる覚悟をしましょう」でも「下がらないから安心」でもなく、比べられる状態にすること。それがこの節の到達点、ということですね。

求人票の年収を今の職場と同じ条件に揃える3つの手順は、こちらの記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい

ドラッグストア薬剤師の年収は本当に高い?求人票を同じ条件に揃える3つの手順

業態別の公的統計が無い中で、採用区分・住宅補助・固定残業代を揃えて求人票の年収を今の年収と比べる手順を解説します

先生
求人票に書いてあることは揃えられる。書いておらんことは、聞くしかない。

研修の中身・実際の処方箋枚数・DS出身者の実績は求人票に無いので、担当者と面接で聞く

先生
研修を誰が何か月見るのか、処方箋枚数と同じ時間帯の薬剤師数から見たおおまかな負荷、ドラッグストア出身者を受け入れた実績。この3つは求人票には書かれておらん。転職サイトの担当者に確認を頼み、面接で聞く。
  • 研修:誰が、何か月、どの業務から教えるか。「研修充実」の中身を具体で聞く
  • 人員:1日の平均処方箋枚数と、同じ時間帯にいる薬剤師の人数。鑑査を分ける運用があるか
  • 実績:ドラッグストア出身者を紹介した、または採用した実績があるか。あるなら、その人は処方箋をほとんど触っていなかった人か、枚数と科目が薄かった人か
  • 提示額の内訳:年収本体・住宅補助・固定残業代を分けて出してもらえるか
新人
聞いたはいいけれど、返ってきた答えをどう読めばいいのかが難しそうです。
先生
読み方も渡しておく。「研修は先輩がつきます」だけで期間が出てこない。処方箋枚数を聞いても、同じ時間帯の薬剤師数や鑑査の分担まで答えが返ってこない。ドラッグストア出身者の実績を答えられない。この3つは、今の不安が入ってからも解けんサインじゃ。1日の平均枚数だけでは実際の負荷は分からん。一包化・在宅・施設対応の量、事務体制、鑑査の分担まで、業務の中身で答えが返ってくるかを見るんじゃ。
新人
逆に、良いサインはどんな答えですか?
先生
「3か月は2人体制で鑑査に入りません」「ドラッグストア出身の方を昨年2名紹介しました」のように、期間と人数で答えが返ってくる職場じゃ。受け入れる準備がある、と読める。
新人
期間と人数で返ってくるかどうか、ですね。担当者にはどう頼めばいいですか?
先生
このままで構わん。「ドラッグストア出身で調剤薬局へ移った方の紹介実績はありますか。研修の担当者と期間も確認してもらえますか」。5つの数字と、この4つの質問があれば、話は具体的に進む。
新人
数字と質問を持って行けば、こちらから確認する側に立てるんですね。どのサイトに聞くかは、選び方を知っておいたほうがよさそうです。
🔍
比較ガイド

薬剤師転職サイトの選び方・使い方

登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説

まとめ:「難しい」は業態の話ではなく、数えれば見える話

この記事のまとめ

  1. 1ドラッグストアから調剤薬局へ移れるかは業態より、求人票の条件と調剤経験の中身で決まる
  2. 2調剤併設店の調剤室は薬機法上の薬局。DSの調剤はすでに調剤医療費の約2割
  3. 3直近1か月の枚数・科目・薬歴・特殊調剤・鑑査を数字にすると、応募できる求人の範囲が決まる
  4. 4研修の中身・実際の枚数・DS出身者の実績は求人票に無いので、担当者と面接で聞く
先生
ドラッグストアから調剤薬局への転職が難しいと感じるのは、業態のせいではない。自分の経験がどの入口に使えるのかが、自分でも見えておらんかったからじゃ。直近1か月を5つの数字にすれば、それは見える。
新人
数えた結果、「今のドラッグストアであと1年、枚数を積んでから動く」と決める人もいそうですね。
先生
それも同じ重さの選択じゃ。数字を見て決めたなら、後回しではなく判断じゃ。動くと決めた人は、5つの数字を持って、ドラッグストア出身者の実績を担当者に聞いてみる。そこから始めれば十分じゃ。
新人
「難しい」と思っていたものが、数えれば見えるものに変わりました。相談者さんも、まず1か月分を書き出すところから始められそうです。
🔍
比較ガイド

薬剤師転職サイトの選び方・使い方

登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説

よくある質問

Q. ドラッグストアから調剤薬局への転職は難しいですか?

A. 業態そのものが壁になるわけではありません。調剤薬局の面接で問われやすいのは、処方箋の枚数・科目の幅・薬歴・特殊調剤・鑑査という調剤経験の中身です。調剤経験があれば移りやすく、求人票の条件を満たしたうえで直近1か月の経験を数字にして求人票の条件と突き合わせれば、応募できる求人の範囲を自分で決められます。

Q. 調剤未経験のドラッグストア薬剤師でも調剤薬局に転職できますか?

A. できます。薬剤師向けの転職サイトには「調剤未経験可」で絞り込める求人があり、別の入口として実在します。選ぶときは「未経験可」に加えて、誰が・何か月・どの業務から教えるかという研修内容が具体的に書かれた求人に絞り、OTC相談の件数や受診勧奨した回数を数字で持って面接に行きます。

Q. 調剤併設ドラッグストアでの調剤は、調剤薬局で経験として認められますか?

A. 認められます。調剤を行うドラッグストアの調剤室は、医薬品医療機器等法上の薬局開設許可を受けた「薬局」で、法令上は調剤薬局と同じ種類の施設です。ただし面接で問われやすいのは業態より、自分が関わった1日の処方箋枚数・科目・薬歴・特殊調剤・鑑査の中身なので、数字で示せるようにしておくことが大切です。

Q. ドラッグストアから調剤薬局に転職すると年収は下がりますか?

A. 統計では答えが出ません。業態別に分けた薬剤師の公的な年収統計は存在しないためです。ドラッグストアには新卒の提示額を高めに設定する会社があり、中途の調剤薬局の提示額と直接並べると下がって見えやすい構造があります。年収本体・住宅補助・固定残業代を分けて、同じ条件に揃えてから比べてください。

Q. 面接でドラッグストアでの経験はどう伝えればいいですか?

A. 調剤薬局の言葉に翻訳して伝えます。OTC相談は症状の聞き取りと受診勧奨の判断、登録販売者との協働は他職種との業務分担、繁忙時間帯の接客は患者対応です。それぞれに1日の相談件数や受診勧奨した回数などの数字を添え、転職理由は前の職場の不満ではなく次にやりたいことで話します。