薬剤師1年目で辞めたいのは甘え?新卒転職の判断基準と具体的な進め方
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新卒薬剤師1年目で辞めたいと感じるのは甘えではありません。医療福祉職の約8人に1人が1年以内に離職しています。辞めるべきか残るべきかの判断基準と、1年目でも転職できる理由・具体的な進め方を元薬剤師が解説します。
登場キャラクター

薬剤師じいさん
薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ
新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!
💬
読者からの質問
新卒で調剤薬局に就職した薬剤師1年目です。毎日薬歴が終わらず残業続きで、人間関係もつらくて「辞めたい」と思っています。でも1年で辞めるのは甘えなのか、こんなに早く転職できるのか不安です。
📌この記事のポイント
- 薬剤師1年目で辞めたいと感じるのは甘えではない。医療福祉職の約8人に1人が1年以内に離職している
- 体調不良・長時間労働・教育体制の欠如・パワハラは環境を変えるべきサイン。人間関係ややりがいの悩みはまず今の職場で試せることがある
- 薬剤師は資格職のため1年目でも転職は可能。まずは在職中に情報収集から始めよう
1年目で辞めたいと思うのは甘えではない

「まだ1年も経っていないのに辞めたいなんて、自分は根性がないんじゃないか」。そう自分を責めておる人は多い。じゃがな、結論から言うと、1年目で辞めたいと感じること自体は甘えではないぞ。

でも、周りからは「3年は続けろ」ってよく言われますよね。1年で辞めたいと思うのは早すぎるんじゃないかって、不安になりますよね。

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、医療・福祉職に就いた大卒者のうち、1年以内に離職する人は約13%。およそ8人に1人じゃ。「1年で辞めるのは自分だけ」ということはまずないぞ。

8人に1人…。それなら、辞めたいと思うこと自体は珍しくないんですね。

「3年は続けろ」という言葉もよく聞くが、この数字に明確な根拠はない。ただし、続けることに一理はある。1年目は覚えることが多くて当然つらい時期じゃし、2年目以降に楽になるケースもある。大事なのは「3年続けるべきかどうか」ではなく、「今の自分の状況で続けるのが正しい判断なのか」を冷静に見極めることじゃ。

つまり、「3年続けなきゃ」と思考停止するのではなく、自分の状況で判断すべきということですね。
薬剤師1年目で辞めたほうがいいケース

辞めたい気持ちがあっても、感情だけで決めると後悔しやすい。大事なのは「辞めたい理由」の中身を見て判断することじゃ。まずは「環境を変えたほうがいい」ケースから見ていこう。以下に当てはまるものがあるか、チェックしてみてほしい。
!当てはまったら環境を変えるべきサイン
- 体調に異変が出ている(眠れない、食欲がない、吐き気がするなど)
- 残業・長時間労働が慢性的で、改善の見込みがない
- 教育体制がなく、相談相手もいない
- パワハラを受けている

当てはまるものがあったら、それぞれどう考えればいいんですか?

順番に見ていこう。
つらいのは甘えじゃない:体調不良は限界のサイン

朝起きたとき体が動かない、日曜の夜に眠れない・涙が出る、出勤前に吐き気がする、食欲がなくなった。こういった身体のサインが出ているなら、迷わず環境を変えることを考えてほしい。

これ、「つらいけど我慢しなきゃ」って思って気づかないこともありそうですね…。

その通りじゃ。これらは甘えではなく、心身が限界に近づいているサインじゃ。自分を壊してまで続ける仕事はないぞ。
薬歴が終わらない・残業が常態化している

薬歴が終わらず毎日残業が続いておる場合、まずは今の職場でできる改善を試してほしい。薬歴の書き方を見直す、調剤の効率化を工夫する、といった個人でできることはあるぞ。

自分の工夫で改善できる部分もあるんですね。でも、それでも変わらない場合は…?

自分にやれることをいくらやっても毎日22時まで残業が続くなら、それは職場の構造的な問題じゃ。人手不足で増員の見込みがないなら、あなたがどれだけ効率を上げても根本は変わらん。そういう場合は環境を変えるべきじゃ。

「食べて風呂入って寝るだけ」の生活が続くと、心も体も持たないですよね…。
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新卒なのに教育体制がない・一人薬剤師を任される

「見て覚えて」の放置型で、質問しても忙しそうで聞けない。新卒なのに一人薬剤師のシフトに入れられて相談相手もいない。これも職場の構造の問題じゃ。教育に投資する気がない職場では、何年いても成長が難しい。

新卒でいきなり一人薬剤師は怖いですね…。それは個人の努力でどうにかなる話じゃないですよね。

1年目は薬剤師としての基礎を固める時期じゃ。処方の読み方、疑義照会の判断、患者対応の引き出し。こういったスキルは、先輩の横で実際のケースを見ながら覚えるものじゃ。

たしかに、教科書で学ぶのと現場で判断するのは全然違いますもんね…。教えてくれる人がいないと、自己流になっちゃいますよね。

そうじゃ。教育がない環境で自己流を続けると、2年目以降に他の薬剤師との差が開いてしまう。実は、マンツーマンで先輩がつく薬局や、研修カリキュラムが整っている職場は珍しくないんじゃ。わしが以前いた薬局でも、新人には必ず指導担当をつけておった。

そういう職場もあるんですね…。でも、求人票に「教育体制あり」と書いてあっても、実態はわからないですよね。

よい気づきじゃ。求人票だけでは実態はわからん。転職サイトの担当者に「常時2人以上の体制か」「新人への指導担当はつくか」と聞けば、内部の情報を教えてもらえるぞ。今の職場が当たり前だと思わず、他の環境を知ることが第一歩じゃ。
上司・先輩からパワハラを受けている

暴言や人格否定、無視といったパワハラがある場合は、我慢する必要はまったくない。相談窓口がない職場なら、なおさら環境を変えるべきじゃ。

ここまでのケースに共通しているのは、個人の努力ではどうにもならない「構造的な問題」ということですね。

その通りじゃ。構造が変わらない限り、あなたがどれだけ頑張っても状況は改善せん。そういう場合は環境を変えるのが正しい判断じゃ。
環境を変えると決めたら、まずは転職サイトの選び方を確認しておくと安心です。
🔍比較ガイド
薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
新卒薬剤師がもう少し続けてもいいケース

一方で、もう少し様子を見てもいいケースもある。こちらもチェックしてみてほしい。
!すぐに辞めなくてもいいかもしれないケース
- つらいのは特定の一人との人間関係だけ
- 薬剤師の仕事にやりがいを感じられない(業務自体は嫌いではない)
- 入職して間もなく、まだ業務に慣れていない
職場の人間関係がつらいが、特定の一人だけが原因

人間関係がつらいが、それが特定の一人との問題で、異動や配置換えの余地がある場合。これは環境を丸ごと変えなくても解決する可能性があるぞ。

少人数の薬局だと、たった一人との関係が悪いだけで毎日つらくなりますもんね。でも具体的にどうすればいいんですか?

まずはエリアマネージャーや本部の人事に、店舗異動の相談をしてみることじゃ。「人間関係がつらい」とストレートに言いにくければ、「通勤の都合」や「他の店舗も経験したい」という理由でも構わん。大手チェーンなら店舗数が多い分、異動のハードルは比較的低いぞ。

なるほど、まずは異動を打診してみるんですね。でも、店舗が1つしかない薬局だったらどうすればいいですか?

その場合は異動という選択肢がないから、状況は変わりにくい。相手が変わる見込みがないなら、環境を変えることを考えてよいケースじゃ。「特定の一人だけ」でも、逃げ場がないなら話は別ということじゃな。
薬剤師の仕事にやりがいを感じられない

「ピッキングと薬歴の繰り返しでやりがいがない」という声はよく聞くが、これは1年目に限った話でもある。2年目以降に服薬指導や在宅業務を任されるようになって、仕事の見え方が変わるケースは多い。

「6年間は何だったのか」って感じてしまう気持ちはわかりますけど、1年目の業務がすべてではないんですね。でも、ただ待っているだけでいいんですか?

受け身で待つ必要はないぞ。たとえば、先輩の服薬指導を横で聞いて「自分ならどう説明するか」を考えてみる。処方箋を見たときに「なぜこの組み合わせなのか」を調べる。こういった小さな習慣で、同じ業務でも学びの質がまったく変わるんじゃ。

同じ作業でも、意識の向け方次第で見え方が変わるってことですね。

うむ。どんな仕事もある程度できるようにならないと楽しさは見えてこないものじゃ。だから基本的には、もう少し続けてみることをすすめる。ただし、工夫しても「薬剤師として働く気持ち自体がもうない」と感じるなら、それは別の話じゃ。

やりがいの問題ではなく、薬剤師という仕事そのものへの気持ちが消えかけている場合ですか…。

そうじゃ。その場合は一人で抱え込まず、キャリアの方向性を整理してみるとよい。「薬剤師を続けるべきか」「他の道もあるのか」を客観的に考える場を持つだけで、頭の中がだいぶ整理されるぞ。
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キャリア相談で方向性を整理する
薬剤師→異業種を経験した相談員が、考えの整理をお手伝いします
入職直後でまだ調剤業務に慣れていない

入職して3ヶ月以内なら、慣れの問題でつらく感じている可能性もある。心身に不調が出ていないなら、もう少し時間をかけて判断してもよいぞ。

でも、慣れるまでの間がつらいですよね。何か乗り越え方ってあるんですか?

「3ヶ月後の自分」を目安にするとよい。今できないことを書き出しておいて、3ヶ月後に見返す。少しでもできるようになっていたら、それは成長しておる証拠じゃ。逆に3ヶ月経っても何も変わっていない、あるいは心身に不調が出てきたなら、そのときは環境を変えることを考えてよいぞ。

期限を決めて振り返るんですね。漠然と「いつか慣れるかも」と思い続けるより、ずっと判断しやすいです。

うむ。どのケースにも共通して言えるのは、「続けたほうがいい」と言いたいわけではないということじゃ。ただ、一時的な感情で辞めると「前の職場のほうがマシだった」と感じるリスクもある。判断に迷うなら、まず情報を集めてからでも十分間に合うぞ。
薬剤師1年目の転職は本当に不利なのか

「辞めたいけど、1年目で転職なんてできるの?」。これが一番の不安じゃろう。正直に両面を伝えるぞ。
不利になる面

1年目の転職には、確かに不利な面がある。まず、採用側は「すぐ辞める人なのでは」と考える。面接では転職理由を必ず聞かれるぞ。

スキルや実績がほぼない状態だと、即戦力としても見てもらいにくいですよね。どうすればカバーできるんですか?

面接では「前の職場の悪口」ではなく、「次の職場で何をしたいか」を伝えることじゃ。たとえば「教育体制が整った環境で、しっかり基礎を固めたい」「患者さん一人ひとりに向き合える服薬指導がしたい」。前向きな理由を伝えれば、1年目でも「この人は成長意欲がある」と受け取ってもらえるぞ。

「なぜ辞めたか」より「次に何をしたいか」を軸にするんですね。

うむ。それから、転職サイトの担当者に面接対策を相談するのも手じゃ。1年目で辞める理由の伝え方は、担当者が一番よく知っておる。一人で悩むより、プロに相談したほうが早いぞ。
それでも転職できる理由

薬剤師には一般職にはない強みがあるんじゃ。薬剤師は国家資格。資格があるだけで一定の需要がある。そして薬剤師は慢性的な人手不足じゃ。経験が浅くても「来てほしい」という職場は多い。

最近は「第二新卒歓迎」と書いてある薬局やドラッグストアの求人も増えていますよね。

その通りじゃ。1年でも調剤業務の基本は身についておる。ピッキング、監査、投薬の流れを知っているだけでも、まったくの未経験とは違う。一般職の1年目転職とは状況が異なるんじゃ。「薬剤師免許を持っている」という時点で、転職市場での立場は想像以上に強いぞ。

資格の力って大きいんですね。不利な面はあるけど、「転職できない」というわけではないと。

その通り。転職できるとわかったら、あとは具体的にどう動くかじゃ。
転職すると決めたら:具体的な進め方

ここまで読んで「環境を変えよう」と思った人に向けて、具体的な動き方を説明するぞ。やることはシンプルじゃから、気負わず聞いてほしい。
在職中に転職活動を始める

転職活動は、今の職場に在籍したまま始めるのが鉄則じゃ。辞めてからだと収入がなくなって、焦って条件を妥協しやすくなる。在職中なら「やっぱり今の職場で頑張る」という選択肢も残せるぞ。

まずは情報を集めるだけでもいいんですか?「転職するぞ」って決意しなくても。

もちろんじゃ。情報を集めるだけで十分。「転職するぞ」と決意する必要はない。
転職サイトに登録して条件を伝える

具体的にやることはシンプルじゃ。薬剤師向けの転職サイトに登録して、担当者に「今の職場で困っていること」と「次の職場で重視したい条件」を伝える。条件に合う求人を紹介してもらえるぞ。

転職を決めていなくても、相談だけでもいいんですか?

まったく問題ない。「今の状況で転職できるか聞いてみたい」という段階で登録する人はたくさんおる。条件を伝えれば、あとは担当者が求人を探してくれるから、自分で一から探す必要もないぞ。

それなら気軽に始められますね。どの転職サイトを使えばいいか迷う人もいそうですが…。

どのサイトを選ぶかも大事じゃ。まずは選び方を確認しておくとよいぞ。
比較ガイド
薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
まとめ:つらいなら動いていい、まずは情報収集から
この記事のまとめ
- 1薬剤師1年目で辞めたいと感じるのは甘えではない。医療福祉職の約8人に1人が1年以内に離職している
- 2体調不良・長時間労働・教育体制の欠如・パワハラがあるなら環境を変えるべき。人間関係ややりがいの悩みはまず今できることを試す
- 3薬剤師は資格職。1年目でも転職は可能で、第二新卒を歓迎する職場も増えている
- 4転職活動は在職中に、まずは転職サイトで情報収集から始めよう

1年目で辞めたいと思う自分を、どうか責めないでほしい。あなたの心と体が一番大事じゃ。「辞める」と決める必要はない。まずは今の自分の状況を整理して、選択肢を知ることから始めてみるとよい。それだけで少し気持ちが楽になるはずじゃ。

辞めたいと思った自分を否定しなくていいんですね。まずは情報を集めて、選択肢を知るところから。それなら今日からでもできそうです。
具体的な一歩目として、転職サイトの上手な使い方をまとめた記事を用意しました。
🔍比較ガイド
薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説