Cockcroft-Gault式とは?
CrClの計算式と酵素法Cr値の+0.2補正を解説
腎排泄型薬剤の用量調整で必ず出てくるCrClの推算式。
式の意味と、実務でつまずきやすい補正のポイントを整理します。
Cockcroft-Gault式とは、血清クレアチニン値・年齢・体重・性別からクレアチニンクリアランス(CrCl)を推算する計算式です。1976年に報告され、蓄尿が不要なことから、腎排泄型薬剤の投与量調整の基準として現在も広く使われています。


今日は式の意味から、酵素法の補正、体格による注意点まで順に見ていこうかの。
クレアチニンクリアランス(CrCl)とは



Cockcroft-Gault式とは

Cockcroft-Gault式
CrCl(mL/min)=(140 − 年齢)× 体重(kg)÷(72 × 血清Cr(mg/dL))
※ 女性の場合は算出値に × 0.85


計算例:75歳女性・体重50kg・血清Cr 0.8 mg/dL


- 酵素法の値を補正する:0.8 + 0.2 = 1.0 mg/dL
- 分子を計算する:(140 − 75)× 50 = 3,250
- 分母を計算する:72 × 1.0 = 72
- 割り算する:3,250 ÷ 72 ≒ 45.1 mL/min
- 女性なので 0.85 を掛ける:45.1 × 0.85 ≒ 38.4 mL/min


38と48では、CrCl 40や50を境に減量が指示される薬剤で判断が変わってしまうじゃろ?補正するかどうかで結論が変わり得るという感覚を持っておくことが大事なんじゃよ。

酵素法で測定された血清Crの補正について






肥満患者・高齢者のCrCl計算の注意点
肥満患者の場合




補正体重(ABW)の計算式
ABW = IBW + 0.4 ×(実体重 − IBW)

高齢者の場合




まとめ

- CrCl =(140 − 年齢)× 体重 ÷(72 × 血清Cr)、女性は × 0.85
- もとはJaffe法の測定値を前提とした式。酵素法では+0.2 mg/dLの補正が提唱されている(施設・添付文書により異なる)
- 肥満患者では実体重によるCrClの過大評価に注意し、IBW・ABWの使用を検討する
- 高齢者では筋肉量低下による血清Cr低値でCrClが過大評価されやすい
- 算出値は目安。最終判断は添付文書・ガイドライン・患者の臨床状態を総合して行う

よくある質問
Q. 血清Cr値がとても低いとき(0.4 mg/dLなど)はそのまま計算してよいですか?
A. そのまま代入するとCrClが極端に高く算出されます。やせ型の高齢者など筋肉量が少ない患者では、血清Crが低くても実際の腎機能が保たれているとは限りません。施設によっては血清Crを0.6〜1.0 mg/dLに切り上げて計算する運用(ラウンドアップ)がありますが、この方法の妥当性は一律に確立されたものではありません。算出値をうのみにせず、施設の取り決めと患者の臨床状態を合わせて判断してください。
Q. Cockcroft-Gault式に入れる体重は実体重・理想体重のどちらですか?
A. 原報は実体重を用いた式です。標準的な体格であれば実体重で問題ありませんが、肥満患者では実体重を使うとCrClが過大評価されるため、理想体重(IBW)や補正体重(ABW)を用いる運用があります。逆に浮腫や腹水がある患者では体重が水分量で増えているため、実体重の使用に注意が必要です。どの体重を使うかは、対象薬剤の添付文書や施設のルールを確認してください。
Q. 小児にCockcroft-Gault式は使えますか?
A. 使えません。Cockcroft-Gault式は成人のデータから導かれた推算式で、小児の腎機能評価には適していません。小児ではSchwartz式など小児向けの推算式や、日本人小児の基準値に基づく評価が用いられます。小児の腎排泄型薬剤の用量調整では、必ず小児を対象とした指標・資料を確認してください。
参考文献
- Cockcroft DW, Gault MH. Prediction of creatinine clearance from serum creatinine. Nephron. 1976;16(1):31-41.
- 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023.
- 日本腎臓病薬物療法学会. 腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK.
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