新薬承認

エマパルマブを承認 全身型若年性特発性関節炎・成人発症スチル病に伴うMASに新たな治療選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • ガミファント点滴静注液50mg
一般名
  • エマパルマブ(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 全身型若年性特発性関節炎又は成人発症スチル病に伴うマクロファージ活性化症候群

注目ポイント

マクロファージ活性化症候群(MAS)は、免疫の暴走で強い炎症が続き、発熱、血球減少、肝障害、凝固異常などが急速に進むことがある重い病態です。全身型若年性特発性関節炎(sJIA)や成人発症スチル病(AOSD)に合併すると、既存治療である糖質コルチコイド(glucocorticoid:ステロイド)だけでは抑え切れないことがあります。 エマパルマブ(遺伝子組換え)は、インターフェロンγ(IFNγ:インターフェロン ガンマ)に結合してその働きを抑えるヒト免疫グロブリンG1(IgG1:免疫グロブリンG1)モノクローナル抗体です。IFNγは炎症を強める物質の1つなので、これを中和することでMASの悪化を抑えることが期待されます。今回の承認は、IFNγを標的にした新しい選択肢として位置づけられます。 審査では、sJIAまたはAOSDに伴うMASで、高用量のステロイドを使っても効果が不十分な患者を対象に、有効性が期待できると判断されました。主要評価項目は「完全奏効」で、臨床症状の消失に加えて、白血球数、血小板数、乳酸脱水素酵素(LDH:乳酸脱水素酵素)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、フィブリノゲン、フェリチンの改善をそろって確認する設定でした。試験全体では統計学的な有意差は示されませんでしたが、各検査値の改善傾向や、ステロイド減量につながった点などから、臨床的意義があると評価されました。


注意点

用法・用量は、初回6 mg/kg、その後5回は3日ごとに3 mg/kg、以降は週2回3 mg/kgを1時間以上かけて点滴静注します。臨床症状や検査所見で調節できますが、3日間の累積投与量は10 mg/kgが上限です。試験では効果不十分な場合に投与間隔の短縮や増量が行われたため、実臨床でも患者ごとの反応を見ながら慎重に調整する必要があります。 注意したいのは感染症です。IFNγを抑える薬なので、サイトメガロウイルス感染、肺炎、帯状疱疹などの感染症が問題になりました。投与前には活動性結核の有無を確認し、投与中も感染徴候をよく観察します。B型肝炎ウイルス再活性化にも注意が必要です。重篤な感染症がある患者には、適切な治療が始まるまで投与しないことが基本です。 また、注入関連反応もみられます。発熱、発疹、呼吸苦などの有無を投与中から確認し、異常があれば速やかに対応します。免疫原性として抗薬物抗体(ADA:抗薬物抗体)が一定数で認められましたが、現時点では臨床的な影響は明確ではありません。さらに、IFNγの低下によりCYP(cytochrome P450:薬物代謝酵素群)で代謝される併用薬の血中濃度が下がる可能性があるため、治療域の狭い薬では効果や濃度の変化に注意します。添付文書どおり、sJIAやAOSDに伴うMASの診断・治療に精通した医師のもとで使うことが大切です。


まとめ

ガミファント点滴静注液50mgは、IFNγを中和してsJIAまたはAOSDに伴うMASを抑える薬です。高用量ステロイドで不十分な患者の新たな治療選択肢として承認されました。 実務では、感染症、とくにサイトメガロウイルス感染や帯状疱疹、結核、B型肝炎ウイルス再活性化に注意しながら、用法・用量の調整と投与中の観察を丁寧に行うことが重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

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