新薬承認

ウエキクス錠を承認 ナルコレプシーと閉塞性睡眠時無呼吸症候群の日中の眠気に新たな治療選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • ウエキクス錠5mg、同錠20mg
一般名
  • ピトリサント塩酸塩
効能・効果
  • 持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気/ナルコレプシー

注目ポイント

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、寝ている間に気道がふさがって呼吸が止まりやすくなる病気です。日中に強い眠気が残ると、仕事中の居眠りや交通事故などのリスクが問題になります。ナルコレプシーは、十分に寝ても強い眠気が続く病気で、情動脱力発作と呼ばれる「感情が高ぶったときに急に力が抜ける発作」を伴うことがあります。 ウエキクス錠の有効成分ピトリサント塩酸塩は、ヒスタミンH3受容体(histamine H3 receptor:ヒスタミンの放出を抑える受容体)に対する拮抗作用・逆作動作用を持つ薬です。つまり、ヒスタミンが働きやすい方向に調節し、覚醒を保ちやすくします。PMDAは、非臨床試験と臨床試験の成績から、OSASに伴う日中の過度の眠気とナルコレプシーの両方に対して有効性が示されたと判断しました。 注目点は、1つの薬でOSASとナルコレプシーの2つの適応を持つことです。OSASでは、CPAP療法などの気道閉塞に対する治療を続けながら、それでも残る眠気に対して使います。一方、ナルコレプシーでは眠気そのものに加えて情動脱力発作にも有効性が示されました。海外試験も含めて検討されており、国内試験ではOSASの眠気で有効性が示され、ナルコレプシーでは主観的な眠気の改善が示されました。 ただし、承認は「眠気を取る薬」としての位置づけであり、OSASそのものの気道閉塞を治す薬ではありません。したがって、OSASではCPAP療法等の継続が前提ですし、ナルコレプシーでも他の睡眠障害との鑑別が重要です。薬剤師としては、適応の取り違えを防ぎつつ、用法・用量の段階的な増量と朝投与の意味を理解しておくことが大切です。


注意点

【用法・用量】 ・OSASに伴う日中の過度の眠気:成人はピトリサント塩酸塩として5mgを1日1回朝に開始し、1週ごとに10mg、20mgへ段階的に増量します。患者の状態に応じて適宜減量します。 ・ナルコレプシー:成人はピトリサント塩酸塩として10mgを1日1回朝に開始し、1週ごとに20mg、40mgへ段階的に増量します。患者の状態に応じて適宜減量します。 ・朝投与である点が重要です。夜に投与すると不眠につながる可能性があるため、服薬タイミングを確認します。 【副作用・安全性】 ・注意すべき副作用として、頭痛、不眠症、うつ病、自殺念慮、QT間隔延長が挙げられます。 ・臨床試験では、頭痛と不眠症はプラセボより多く、投与中止に至った例もありました。 ・精神症状の既往がある患者では、気分の変化や自殺念慮の有無を確認します。 ・心疾患のある患者やQT延長リスクのある患者では、併用薬も含めて心電図上のリスクを意識します。 【相互作用】 ・ピトリサント塩酸塩は主にCYP2D6(cytochrome P450 2D6:薬物代謝酵素)とCYP3Aで代謝されます。 ・強いCYP2D6阻害剤との併用では曝露量が上がるため、最高用量は20mgとされています。 ・CYP2D6 poor metabolizer(PM:代謝しにくい遺伝型)でも曝露量が上がるため、最高用量は20mgとされます。 ・肝機能障害や腎機能障害でも曝露量が上がることがあるため、処方内容と既往歴を確認します。 【特定の患者背景】 ・重度肝機能障害のある患者は禁忌です。 ・中等度肝機能障害では、増量間隔や最高用量に注意が必要です。 ・重度腎機能障害では、最高用量を20mgとすることが推奨されています。 ・妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいとされています。 ・授乳婦では、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して授乳継続の可否を検討します。 【実務上の確認ポイント】 ・OSASでは、CPAP療法等を継続しているかを必ず確認します。 ・「眠気が改善したからCPAPをやめる」という誤解を防ぐ説明が必要です。 ・ナルコレプシーでは、診断が適切か、他の睡眠障害や薬剤性の眠気ではないかを意識します。 ・眠気改善薬ですが、むしろ不眠を起こすことがあるため、服薬時間と睡眠状況を確認します。


まとめ

ウエキクス錠は、ピトリサント塩酸塩を有効成分とする、OSASに伴う日中の過度の眠気とナルコレプシーに使う薬です。作用はヒスタミンH3受容体を介した覚醒維持の促進で、実務では朝投与、段階的増量、CPAP療法の継続、そしてQT延長や精神症状への注意が重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

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