新薬承認

キイジェクト配合皮下注を承認 ペムブロリズマブの皮下投与に新たな選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • キイジェクト配合皮下注395mg、同配合皮下注790mg
一般名
  • ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)/ベラヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、非小細胞肺癌における術前・術後補助療法、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、根治切除不能な尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、腎細胞癌における術後補助療法、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、局所進行頭頸部癌における術前・術後補助療法、根治切除不能な進行・再発の食道癌、治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌、PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法、進行・再発の子宮体癌、がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)、進行又は再発の子宮頸癌、局所進行子宮頸癌、再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、治癒切除不能な進行・再発の胃癌、治癒切除不能な胆道癌、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫、白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌

注目ポイント

非小細胞肺癌(NSCLC:non-small cell lung cancer;非小細胞肺癌)は、肺がんの中でも大きな分類です。進行すると、息切れや咳、胸痛などが出ることがあり、治療は長期にわたることも少なくありません。今回承認されたのは、ペムブロリズマブを皮下投与できる配合剤で、点滴静注製剤の代わりとなる新しい投与方法です。 この薬は、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)とベラヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を組み合わせた製剤です。ベラヒアルロニダーゼ アルファは、皮下組織のヒアルロン酸を分解して薬液の広がりやすさを高めるため、ペムブロリズマブのような比較的大きな分子でも皮下投与しやすくなります。審査では、化学療法歴のない切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象にした第III相試験で、皮下投与時のペムブロリズマブ曝露量が点滴静注と同程度以上であることが示され、奏効率や無増悪生存期間(PFS:progression-free survival;無増悪生存期間)、全生存期間(OS:overall survival;全生存期間)でも大きく劣る傾向はみられませんでした。 注目点は、ペムブロリズマブの「中身」は既存の静注製剤と同じで、そこに皮下投与を可能にする成分を加えた点です。つまり、新しい作用機序の薬というより、投与経路を変えることで患者さんや医療現場の負担軽減が期待される薬です。審査報告書でも、投与時間の短縮や、静脈アクセスの負担軽減が期待されると整理されています。さらに、皮下投与製剤でも既知の免疫関連有害事象に注意が必要で、点滴静注製剤と同様の安全管理が求められます。


注意点

【用量・投与方法】 ・3週間間隔では、ペムブロリズマブ 395 mg/ベラヒアルロニダーゼ アルファ 4,800単位を皮下投与します。 ・6週間間隔では、ペムブロリズマブ 790 mg/ベラヒアルロニダーゼ アルファ 9,600単位を皮下投与します。 ・適応によっては併用薬があります。非小細胞肺癌、胃癌、胆道癌、悪性胸膜中皮腫などでは化学療法との併用、食道癌や局所進行子宮頸癌では放射線療法を含む治療との併用が設定されています。 ・術前・術後補助療法では、投与回数の上限や投与期間の上限が定められているため、処方時に通算回数を確認することが重要です。 【安全性】 ・ペムブロリズマブで注意すべき免疫関連有害事象として、間質性肺疾患、大腸炎・下痢、肝機能障害、腎機能障害、内分泌障害、1型糖尿病、重症皮膚障害、脳炎、重症筋無力症、心筋炎などが挙げられています。 ・特に間質性肺疾患は重症化や死亡例の報告があるため、息切れ、咳、呼吸困難などの初期症状を見逃さないことが大切です。 ・皮下投与製剤では、infusion reaction(過敏反応を含む投与関連反応)や注射部位反応にも注意します。審査では重篤例は多くありませんでしたが、初回投与時を含めて観察は必要です。 【切り替え・運用】 ・点滴静注製剤と皮下投与製剤は投与経路も用量も異なります。現場では、製剤名の取り違えや投与経路の誤りを防ぐことが重要です。 ・審査報告では、患者状態や治療環境に応じて選択される薬として位置づけられています。投与時間短縮や静脈アクセス不要という利点がある一方、どの適応でも同じように使えるわけではなく、併用薬や投与回数の上限を必ず確認する必要があります。


まとめ

キイジェクト配合皮下注は、ペムブロリズマブを皮下投与できるようにした配合剤で、点滴静注製剤と同程度の有効性が期待されると判断されました。薬剤師としては、適応ごとの併用薬、投与回数の上限、そして免疫関連有害事象と注射部位・投与関連反応を押さえることが重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

審査報告書を確認する

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