新薬承認

エラヒア点滴静注100mgを承認 FRα陽性の再発卵巣癌に新たな治療選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • エラヒア点滴静注100mg
一般名
  • ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 葉酸受容体 α 陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌

注目ポイント

卵巣癌は、早く見つかりにくく、再発を繰り返しやすい病気です。特に、白金系抗悪性腫瘍剤に効きにくくなった再発例では、次に使える治療の選択肢が限られます。症状の進行だけでなく、治療を続ける中で生活の質が下がりやすい点も問題です。 本薬は、抗体薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate;抗体薬物複合体)です。葉酸受容体 α(FRα:folate receptor α;葉酸受容体 α)に結合する抗体部分でがん細胞に届き、細胞内に取り込まれたあとに薬剤部分のDM4が放出されます。DM4は微小管重合を妨げるため、細胞分裂を止めてがん細胞の増殖を抑えると考えられています。PMDAは、この作用機序と非臨床試験の結果から、FRα陽性の再発卵巣癌での有効性を説明できると判断しています。 臨床では、1~3回の化学療法歴があるFRα高発現の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性再発卵巣癌を対象にした海外第III相試験MIRASOL試験で、無増悪生存期間(PFS:progression-free survival;無増悪生存期間)が対照群より延長しました。全生存期間(OS:overall survival;全生存期間)も延長傾向が示されており、国内試験でも奏効が確認されています。承認にあたっては、FRαの発現を確認したうえで患者を選ぶことが重要で、どの病理検査法を使うかも実務上のポイントになります。


注意点

【投与対象の確認】 - 効能は「葉酸受容体 α 陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌」です。 - 体外診断用医薬品または医療機器を用いてFRα陽性を確認した患者に使います。 - 審査報告書では、十分な経験を有する病理医または検査施設での評価が重要とされています。 - 臨床試験の対象は、高異型度漿液性の卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌が中心でした。手術の補助療法としての有効性・安全性は確立していません。 【用法・用量】 - 通常、成人にはミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)として1回6mg/kgを3週間間隔で点滴静注します。 - 体重は調整理想体重を使って計算します。 - 調整理想体重(kg)=理想体重(kg)+0.4×[実体重(kg)-理想体重(kg)] - 女性の理想体重(kg)=0.9×身長(cm)-92 - 患者の状態により減量が必要です。 【眼障害への注意】 - この薬で最も特徴的なのは眼障害です。霧視、角膜症、ドライアイ、羞明、視力低下などが一定の頻度でみられました。 - 重い角膜障害は失明に至る可能性があるため、投与開始前から眼科医と連携します。 - 投与中は定期的に眼の異常を確認し、視力検査や細隙灯顕微鏡検査を含めた評価が必要です。 - 投与期間中は人工涙液を1日4回以上使うよう指導します。 - 中等度以上の表層角膜炎または角膜症が出た場合は休薬し、必要に応じて減量を検討します。 - コンタクトレンズは避けるよう説明します。 【その他の主な注意】 - 間質性肺疾患(ILD:interstitial lung disease;間質性肺疾患)が報告されています。咳、息切れ、発熱があれば早めに確認し、必要に応じて中止を検討します。 - 末梢神経障害もみられます。しびれや歩きにくさがあれば、悪化前に休薬や減量を考えます。 - infusion reaction(輸注反応)は初回投与で特に注意が必要です。抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド、解熱鎮痛剤などの前投与が行われます。 - 骨髄抑制、とくに血小板減少症にも注意します。採血でのモニタリングが重要です。 - 妊娠可能な女性では、胎児への影響が懸念されるため、投与中および最終投与後7か月間の避妊が必要です。


まとめ

エラヒア点滴静注100mgは、FRα陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性再発卵巣癌に使うADCです。臨床的には有効性が示されましたが、実務ではFRαの確認、投与対象の見極め、そして眼障害を中心とした安全管理を押さえることが重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

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