薬学部にいるけど薬剤師になりたくない。そう感じる薬学生は珍しくありません。なりたくない理由の整理方法、薬剤師免許を取ってから別の道へ進む選択肢、今の段階でやるべきことを解説します。
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読者からの相談 薬学部5年生です。実務実習を経験して、薬剤師になりたくないという気持ちが強くなりました。でも6年間も通う薬学部を無駄にしていいのか、親にどう説明すればいいのかもわからず、毎日悩んでいます。薬学生で薬剤師になりたくないと感じるのは、やっぱりおかしいことなのでしょうか。
📌 この記事のポイント
薬学生が薬剤師になりたくないと感じるのは珍しいことではなく、大切なのは「なりたくない理由」を整理すること 理由は「仕事内容が合わない」「働き方が合わない」「他にやりたいことがある」に分類でき、理由によって取るべき方向性が変わる 薬剤師免許を取ってから別の道に進む選択肢もあり、焦って決断する必要はない 1 薬学部にいるのに薬剤師になりたくないと感じるのは珍しくない 2 薬剤師にならない方がいいのかは「なりたくない理由」で決まる 3 薬剤師になりたくないと感じる理由を整理する 4 今の段階でやるべきこと 5 薬剤師にならない場合の進路 6 薬剤師免許を取ってから別の道へ進むという選択肢 7 まとめ:「薬剤師になりたくない理由」を言語化して次のアクションを決めよう 薬学部にいるのに薬剤師になりたくないと感じるのは珍しくない 「薬学部に入ったのに薬剤師になりたくないなんて、自分はおかしいのだろうか」。そう思っている薬学生がおるかもしれんが、まず伝えておきたい。それは、まったくおかしなことではないぞ。
でも、薬学部って6年もかけて通うわけですよね。「今さら別の道」って、なかなか思い切れなさそうです。
そうじゃな。時間も費用もかけてきた以上、「もったいない」と感じるのは当然じゃ。親や周囲の期待もあるじゃろう。
周りが普通に就活を進めているのを見ると、余計に言い出しにくいですよね。
うむ。しかしな、18歳の時点で選んだ進路が、6年後の自分にぴったり合い続ける保証はないんじゃ。大学で学ぶうちに興味が変わること、実習で現場を知ったことで考えが変わることは、珍しいことではないんじゃよ。
たしかに、高校生のときと今とでは、見えているものが全然違いますよね。私も高校生のときは「薬剤師=安定していて格好いい」くらいのイメージでしたけど、実際に学んでみると、毎日の調剤業務の地道さとか、患者さんとのコミュニケーションの難しさとか、想像と違うことがたくさんありました。
うむ、そういう声は多いぞ。想像と現実のギャップに気づけたこと自体、大学で学んだ成果でもあるんじゃ。「なりたくない」と感じている自分を責める必要はない。その気持ちは、自分の将来を真剣に考えているからこそ生まれるものじゃ。大事なのは、その気持ちに蓋をせず、自分が次に取るべきアクションを考えることじゃよ。
薬剤師にならない方がいいのかは「なりたくない理由」で決まる ここで、検索するとよく見かける「薬剤師にならない方がいい」という言葉にも触れておこう。
実は私も気になっていました。ネットで調べると「やめとけ」「ならない方がいい」という声が目についてしまって、余計に不安になるんですよね。
ああいう声の背景には、共通したパターンがある。責任の重さ、卒業後も続く勉強、対人業務の負担といったものじゃ。じゃがよく読むと、どれも「合わない人には大変な仕事」という話であって、すべての人に向けた結論ではないんじゃよ。
「薬剤師になるんじゃなかった」という、実際になった人の後悔の声も見かけます。ああいう声は、どう受け止めればいいんでしょうか。
働いてから後悔する人がいるのは事実じゃ。ただ、その多くは仕事内容や職場が合わなかった人の声での。働く前に違和感に気づけた学生の相談者さんとは、立場が違う。むしろ今の段階で気づけたからこそ、これから進路を選び直せるんじゃ。
つまり「ならない方がいい」かどうかは、誰かの一般論ではなく、自分の理由から考えるしかないってことですね。
その通りじゃ。それに、薬剤師にならない道を選ぶ人は毎年一定数おる。薬学教育協議会の就職動向調査(2025年3月卒)によると、6年制学科の卒業生9,233人のうち、医薬品関連企業の開発・学術に295人、研究・試験・製造に184人、MR(医薬情報担当者)に164人が就職しておる。大学院への進学も212人じゃ。
毎年数百人規模で薬剤師以外の道を選んでいるんですね。「ならない」のが特別な選択ではないとわかると、落ち着いて考えられそうです。
うむ。じゃから「ならない方がいい」かどうかを一般論で決める必要はない。次の章で、なりたくない理由を整理するところから始めよう。
薬剤師になりたくないと感じる理由を整理する 次のアクションを決めるには、まず「薬剤師になりたくない理由」を言語化することが大切じゃ。漠然とした気持ちのままでは動けんからの。
でも、具体的な理由がうまく言葉にできない人も多いんじゃないですか? 私もそうでしたけど、「なんとなく嫌」としか言えない時期がありました。
それは珍しくないぞ。言語化できていない場合でも、大きく分けると3つのパターンのどれかに近いことが多いんじゃ。まずはこの3つを順に読んで、自分に近いものを探してみてほしい。
! 薬学生が薬剤師になりたくない主な3つの理由
仕事内容が合わない
働き方が合わない
他にやりたいことがある
薬剤師の仕事内容自体が合わない場合 まず1つ目は、薬剤師の仕事内容自体が合わないケースじゃ。調剤、服薬指導、薬歴管理。こうした中心業務に対して「やりたいと思えない」「興味が持てない」と感じる場合じゃな。
ここで大事なのは、「薬を通じて人の健康に関わること自体に興味が持てるかどうか」じゃ。薬剤師の業務は調剤や服薬指導だけではない。DI業務、在宅医療、公衆衛生など、現場によって業務内容は異なる。しかし、どの業務にも共通するのは「薬を通じて人の健康に関わる」という点なんじゃ。
たしかに、薬剤師の仕事の形はいろいろあっても、根っこの部分は同じですよね。
うむ。薬に関わること自体に興味が持てないなら、薬剤師以外の進路を視野に入れる段階じゃ。この記事の「薬剤師にならない場合の進路」と「薬剤師免許を取ってから別の道へ進むという選択肢」で詳しく整理しておる。
興味はあるけど、患者対応や服薬指導がうまくできなくて「向いてない」と感じる場合はどうなんでしょう?
よい視点じゃ。ここで大事なのは、「苦手」と「苦痛」の違いじゃ。対人業務が苦手なだけなら、経験を積むことで克服できる可能性がある。その場合は次の「働き方が合わない」のセクションも読んでみてほしい。
でも、人と話すこと自体がどうしても苦痛な場合はどうすれば良いんですか?
苦痛なら無理に続ける必要はない。薬剤師の中でも対人業務が少ない領域、たとえばDI業務や品質管理もあるし、薬剤師以外の道を検討する価値もあるぞ。
「薬に関わること自体への興味」と「苦手か苦痛か」が、判断の分かれ目になるんですね。
薬局・病院の働き方が合わない場合 2つ目は、薬剤師の仕事自体は嫌ではないが、薬局や病院の働き方が合わないケースじゃ。
「毎日同じ場所で同じルーティン」みたいな部分ですか?
うむ。それに加えて、「閉鎖的な人間関係」「給与の伸びが見えにくい」といった不満もあるじゃろう。こうした不満は、薬剤師という職種の問題ではなく、働く環境の問題なんじゃ。
つまり、環境を変えれば解決する可能性があるってことですか? でも、実習先を見て「薬局ってどこもこんな感じなんだろうな」って思ってしまいました。
その気持ちはわかるが、実習先は1〜2箇所しか経験しておらんじゃろう。それだけで「薬局はどこも同じ」と判断するのは早いぞ。
うむ。実際には、ドラッグストア、企業内薬局、在宅医療に特化した薬局など、同じ薬剤師でも働き方は大きく異なるんじゃ。この場合は「薬剤師をやめる」のではなく、「合う職場を探す」方が解決策に近いかもしれんの。
他にやりたいことがある場合 そして3つ目は、薬学部で学ぶうちに、研究やIT、ビジネスなど、薬剤師以外の分野に興味が出てきたケースじゃ。
やりたいことがある場合は、「薬剤師か、やりたいことか」の二択になってしまうんですか?
そう考えがちじゃが、実はそうでもないんじゃ。研究職、メディカルライター、医療系IT、ヘルスケア領域のコンサルタントなど、薬学の知識を活かせる仕事は複数ある。まずは両方を活かす道がないか探ってみるとよいぞ。
両方を活かせる道があるなら、無理に二択で考えなくてもいいんですね。
うむ。ただ、一つだけ確認しておきたいことがある。「もし薬剤師の仕事内容や働き方に不満がなかったとしても、その分野に進みたいか?」と自分に問いかけてみてほしい。
「それでも進みたい」なら、本当にやりたいことがあるケースじゃ。このまま読み進めてくれればよい。でも「うーん、どうだろう」と迷うなら、やりたいことがあるというよりも、今の状況から離れたい気持ちが強いのかもしれん。その場合はまず、仕事内容や働き方の不満を具体的に整理する方が先じゃ。前の2つのセクションを読み直してみてほしい。
なるほど。まず本当にやりたいことなのか確認するのが大事なんですね。ちなみに、やりたいことが薬学とまったく関係ない場合はどうすればいいですか?
その場合は、無理に薬剤師免許を活かそうとする必要はないぞ。「せっかく薬学部に入ったのだから」と免許に縛られると、かえって視野が狭くなってしまう。大学生のうちなら、まだ十分やり直しがきく。やりたいことに振り切るのも立派な選択じゃ。
免許を活かす道を探りつつ、こだわりすぎないことも大事なんですね。
今の段階でやるべきこと 理由を整理できたら、次はアクションじゃ。今の段階でやるべきことを2つのステップで整理しよう。すぐに結論を出す必要はないぞ。
情報を集める まず1つ目は情報収集じゃ。理由によって集めるべき情報は変わってくる。
理由ごとに、具体的にどんな情報を集めればいいですか?
仕事内容が合わないと感じている人は、DI業務や品質管理など、自分が知らない薬剤師の業務領域を調べてみることじゃ。働き方が合わないと感じている人は、薬局見学やインターンに参加して、実習先以外の職場を知ることが大切じゃ。他にやりたいことがある人は、その分野で実際に働いている人の話や、薬学部から異分野に進んだ人の事例を探してみるとよい。
どの理由でも、情報がないまま判断すると選択肢を狭めてしまいそうですね。
その通りじゃ。まずは「自分が知らない選択肢がないか」を確認するところから始めてみてほしい。
誰かに話してみる 2つ目は、誰かに話してみることじゃ。一人で考え続けると、視野が狭くなる。信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが整理されることがあるぞ。
でも、「薬剤師になりたくない」って相談しても大丈夫なんですか? なんとなく言いにくいです。
相談して問題ないぞ。むしろ、決まっていない段階だからこそ、第三者の視点が役立つんじゃ。大学のキャリアセンター、ゼミの教授、キャリアカウンセラーなど、相談先にはいくつかの選択肢がある。
どこに相談すればいいか迷ったら、相談先の選び方を調べるところから始めてもいいですね。
あわせて読みたい相談先の選び方・活用法ガイド
キャリアセンター・キャリアカウンセラーなど、薬学生が進路を相談できる場所の特徴と使い方を解説
薬剤師にならない場合の進路 ここからは、薬剤師以外の道を検討している人向けに話しておこう。薬学部卒の進路は、薬局・病院だけではないんじゃ。製薬企業、CRO、行政、医療系ITなど、薬学知識を活かせる職種は複数あるぞ。
そんなにあるんですね。でも、どれが自分に合うのかイメージしにくいです。
うむ。職種ごとに仕事内容も就活の進め方も異なる。別の記事で詳しく整理しておるから、興味がある方は見てみてほしい。
あわせて読みたい薬剤師以外の進路を詳しく知る
製薬企業・CRO・行政・医療系ITなど、薬学部卒で薬剤師以外に就職できる職種一覧と就活の進め方を解説
薬剤師免許を取ってから別の道へ進むという選択肢 薬剤師以外の道を考えている場合でも、「薬剤師免許を取るかどうか」は別の問題として考える必要があるぞ。先ほど「やりたいことに振り切るのも立派な選択」と話したが、それでも免許を取っておくという判断もあり得るんじゃ。
薬剤師にならないのに、免許を取る意味があるんですか?
大きいぞ。免許があれば、自分が選んだ道がうまくいかなかったとしても、薬剤師として働くことで一定の収入を確保できる。薬剤師は求人が安定しておるから、「いざとなれば食いっぱぐれない」という安心感は大きいんじゃ。
たしかに、それがあると新しいことに挑戦しやすくなりますね。精神的にもだいぶ楽になりそうです。
うむ。いわば精神安定剤のようなものじゃ。国試の勉強は大変じゃが、免許を持っておくだけで、その後の挑戦を支えてくれる。
でも、なりたくない気持ちが強い状態で国試の勉強を続けるのは、きつくないですか?
「薬剤師として働くため」ではなく「将来の自分を守るため」と捉えれば、気持ちの持ち方は変わるかもしれん。もちろん、やりたいことが具体的に決まっていて、薬剤師免許は自分には不要だと思えているなら、無理に取る必要はない。じゃが、迷っているなら取っておくことをおすすめするぞ。
もし今回は取らないと決めて卒業したら、免許への道は完全に閉ざされてしまうんでしょうか。後から「やっぱり取りたい」と思っても、もう遅いですか?
閉ざされはせんぞ。薬剤師国家試験の受験資格は、6年制課程を卒業しておれば卒業後も失われん。試験は年1回、例年2月に実施される。じゃから、いったん別の道へ進んで、後から受験し直すこともできるんじゃ。
道が残っているとわかると、少し気が楽になります。ただ、働きながらの受験勉強って現実的なんでしょうか…?
簡単ではない、というのが正直なところじゃ。第110回試験(2025年2月実施)では、新卒の合格率84.96%に対し、既卒を含む全体では68.85%じゃった。卒業後は勉強の環境を保つのが難しく、合格率は在学中より下がる傾向にある。「後からでも取れる」は事実じゃが、「取るなら在学中が最も有利」も事実。ここを踏まえて判断してほしいぞ。
あと、現実的なお金の話ですが…6年間の学費を奨学金でまかなっている方は、進路を考えるときに返済のことも頭をよぎりますよね。
大事な視点じゃ。薬剤師が実際にいくら借りているのかという実像と、返済を軽くする打ち手を整理した記事がある。返済に不安がある方は、あわせて見ておくとよいぞ。
あわせて読みたい薬剤師で奨学金返済がきつい人へ|薬学部の学費と負担を軽くする選択肢
奨学金の返済が不安な方はこちら。薬剤師の借入実態を公的データで確認し、減額返還制度・自治体の返還支援制度・年収を上げる方法を整理します
まとめ:「薬剤師になりたくない理由」を言語化して次のアクションを決めよう 薬剤師になりたくない理由別のおすすめアクション
1 仕事内容が合わない → まず「薬に関わること自体」に興味があるか確認する。興味がなければ薬剤師以外の進路を検討。対人業務が苦痛なら対人の少ない領域を検討する 2 働き方が合わない → 職場選びを工夫することで解決できる可能性がある 3 他にやりたいことがある → 薬学と掛け合わせる道を探りつつ、合わなければ振り切ってもよい 薬学部にいるのに薬剤師になりたくないと感じることは、珍しいことではないんじゃ。大切なのは、「なりたくない理由」を言語化して、自分に合ったアクションを取ることじゃよ。
焦らなくていいんだって思えると、少し気が楽になりますね。
うむ。まずは情報を集め、必要であれば誰かに相談してみてほしい。「なりたくない」と感じたことは、自分の将来を真剣に考え始めた証拠じゃ。一つずつ整理していけば、自分に合った道は見つかるぞ。
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