「定年まで今の職場にいられるのか」——65歳までの雇用確保措置は99.9%の企業が実施済みです。分かれ目は雇用を確保している形のほう。50代の薬剤師が定年年齢と再雇用の条件を就業規則の3か所で読み取り、3つの型に仕分けて次の一手を決める方法を解説します。
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読者からの相談54歳、調剤薬局に勤めて20年以上になります。今年の春に定年を迎えた先輩が、4月から嘱託として同じシフトに入っているのですが、休憩室で「去年と同じ仕事をしているのに給料は全然違う」とこぼしていました。自分もあと6年でその立場になるのかと思うと落ち着きません。調べると「法律で65歳まで働ける」と出てくるのですが、目の前で起きていることと噛み合いません。恥ずかしい話、自分の職場の定年が何歳なのかもはっきり答えられません。住宅ローンも残っていて、60歳から先の収入が読めないままだと生活の見通しが立ちません。薬剤師の仕事は続けるつもりです。
📌この記事のポイント
- 定年まで働ける職場かは「65歳まで雇用があるか」では見極められない
- 分かれ目は雇用を確保している形。就業規則の3か所で今の職場が分かる
- 読み取った結果を3つの型に分けると、50代のうちにやることが決まる
まず結論:「定年まで働けるか」は雇用の有無ではなく「形」で決まる
このご相談はな、宙づりの状態がいちばんつらいんじゃ。「法律では65歳まで大丈夫らしい」と「先輩の待遇は明らかに変わった」。この2つが噛み合わんまま、6年という時間だけが減っていく。
たしかに、どちらかが間違っているように見えますよね…。調べれば調べるほど分からなくなりそうです。
ところがな、どちらも間違っておらんのじゃ。2つは別のことを指しておる。65歳までの雇用を確保する仕組みのほうは、ほぼすべての企業に用意されておる。じゃから「この職場は65歳まで働けますか」と聞いても、答えはほとんどイエスになる。その質問では職場を選り分けられん。
あ…。相談者さんはずっと、答えがイエスにしかならない質問を自分に投げていたということですか。
そうなんじゃ。見極めに使えるのは別の2点でな。ひとつは定年年齢が60歳なのか65歳なのか。もうひとつは、定年後の条件が規程で決まっとるのか、そのときの協議で決まるのか。
今の職場の就業規則に書いてある。 誰にも聞かずに、自分で確かめられるんじゃ。まずは「65歳まで働ける」と「先輩の待遇が変わった」がなぜ両立するのか、そこから見ておこう。
「法律で65歳まで働ける」と「先輩の給料が下がった」は、どちらも本当
ここで確かめるのは、矛盾の正体はどこにあるのか、という一点じゃ。理解が足りんかったわけではない。
65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%
厚生労働省の「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」という集計がある。令和7年6月1日現在で、常時雇用する労働者が21人以上の企業23万7,739社を集めたものじゃ。このうち、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%じゃった。中小企業でも大企業でも99.9%でな。
ほぼ全部…! それだと「65歳まで働けますか」と聞いても、ほとんどの職場がイエスになりますね。雇用そのものは、もう心配しなくていいということですか?
そこは一段だけ丁寧に見ておきたい。厚生労働省が「高年齢者雇用安定法Q&A」というものを出しておってな。令和7年3月31日改訂・令和7年4月1日適用のものじゃ。そこには、この法律は事業主に雇用確保措置を講じることを義務づけるものであって、個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではないと書いてある。
会社に制度を用意させる法律であって、一人ひとりの65歳までを約束したものではない、ということですか。
そういうことじゃ。そのうえで、以前は労使協定で継続雇用の対象者を絞れる経過措置があったんじゃが、これも令和7年3月31日で終わっておる。令和7年度からは、継続雇用制度の対象は希望者全員じゃ。ただな、ここが分かれ目でな。対象になることと、条件がよいことは別の話なんじゃ。
法が確保しているのは雇用の機会で、そのときの条件ではない
さきほどのQ&Aから、もう2つ拾っておこう。ひとつ目は、継続雇用にあたって嘱託やパートなど労働条件を変更できるということ。1年ごとに契約を更新する形態も可能とされておる。そのうえで「事業主と労働者の間で十分に話し合い決めることが重要」と添えられておるんじゃ。
話し合って決める…。ということは、雇用は続いても中身は変わりうるということですね。
そうじゃ。ふたつ目がもっと踏み込んでおってな。事業主が自社の状況等を踏まえ、合理的な裁量の範囲での条件を提示した場合の話じゃ。その条件で合意が得られず、結果として労働者が継続雇用を拒否したとしても、法違反にはならないとされておる。
拒否しても違反にならない…。それは正直、少し重い話ですね。
誤解のないように言うとな、「会社は何をしてもよい」という意味ではない。合理的な裁量の範囲での条件を提示した場合、という前提が付いておる。賃金についても「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」があって、就業の実態や生活の安定等を考慮して適切なものとなるよう努めること、とされておるんじゃ。
努める、ですか。水準そのものが決まっているわけではないんですね。
そこじゃ。整理するとこうなる。法が確保しておるのは雇用の機会であって、いまの条件ではない。
そうか…。冒頭の相談者さんが聞いた「去年と同じ仕事をしているのに給料は全然違う」って、先輩の職場だけで起きていることではないんですね。
珍しいことではない。制度の作りからして、起こりうることじゃ。ただしな、再雇用ならどんな待遇差でも構わん、という意味ではないぞ。同じQ&Aには、定年後に継続雇用された有期雇用労働者にもパートタイム・有期雇用労働法が適用される、と書いてある。賃金の違いについても、同一労働同一賃金の考え方で不合理な待遇差は禁じられておるんじゃ。
下がること自体は起こりうるけれど、下がり方が何でも許されるわけではない、ということですね。
そうじゃ。どこまでが不合理かは、職務の内容や配置の変わり方などを踏まえて個別に判断される。この記事で扱うのは、その線引きのほうではない。自分の職場では何がどう決まるのかを、先に知っておくことじゃ。
分かれ目は「どの形で65歳までを確保しているか」
65歳までの雇用は、3つの方法のどれかで確保されておる。方法によって60歳という区切りの意味が変わるんじゃ。まずは世の中の分布を見て、物差しを持っておこう。
継続雇用制度65.1%と定年の引上げ31.0%で、60歳の意味が変わる
さっきと同じ集計から、確保のしかたの内訳を見るとな。継続雇用制度の導入が65.1%、定年の引上げが31.0%、定年制の廃止が3.9%じゃ。定年年齢そのものの分布も出ておる。60歳が62.2%、61〜64歳が2.9%、65歳が27.2%、66〜69歳が1.2%、70歳以上が2.5%、定年制の廃止が3.9%。
60歳定年がまだ6割超え…。65歳定年のほうが少ないんですね。
そこで効いてくるのが定年の意味じゃ。65歳より前に定年があって、そこから継続雇用でつないでおる職場では、その定年で雇用契約がいったん切り替わることがある。65歳定年の職場には、その切り替えがない。 なお継続雇用には、いったん退職して契約を結び直す再雇用と、そのまま雇用を延ばす勤務延長があってな、どちらの扱いになるかは職場の制度によって違う。
同じ「65歳まで働ける」でも、中身がまったく違うんですね。先輩に起きたのは、前者の職場で起こることだったと。
大きい会社ほど60歳定年に寄る——直感とは逆の企業規模別
ここからは、多くの人の感覚と逆になるところじゃ。定年年齢を企業規模別に見るとな。
定年年齢の企業割合(厚生労働省「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」令和7年6月1日現在・23万7,739社)
| 定年年齢 | 全企業 | 301人以上 | 21〜300人 |
|---|
| 60歳 | 62.2% | 71.4% | 61.5% |
| 61〜64歳 | 2.9% | 5.2% | 2.7% |
| 65歳 | 27.2% | 21.5% | 27.7% |
| 66〜69歳 | 1.2% | 0.3% | 1.2% |
| 70歳以上 | 2.5% | 0.9% | 2.7% |
| 定年制の廃止 | 3.9% | 0.7% | 4.2% |
え、大きい会社のほうが60歳定年に寄っているんですか…? 逆かと思っていました。
確保のしかたの内訳でも同じ傾向でな。301人以上では継続雇用制度が76.6%、定年の引上げが22.7%。21〜300人では継続雇用制度が64.2%、定年の引上げが31.6%じゃ。
「大手のほうが長く安心して働けるはず」って、私もなんとなく思っていました。
ただしな、これは全産業を企業規模で分けた統計じゃ。薬局やドラッグストアだけを取り出した数字ではない。「大手の薬局チェーンは60歳定年が多い」と決めつけられるものではないぞ。
そこは自分の会社を確かめないと分からない、ということですね。
そうじゃ。参考までに、大手が自社で公表しとる例を挙げておこう。アイングループは「60歳で定年退職を迎えた社員が希望した場合、原則として満65歳まで就業できる再雇用制度」と説明しておる。定年退職者のうち半数以上が定年後も引き続き活躍しておること、2025年4月末現在で65歳以上の社員が218人おることも公表しておるんじゃ。
人数まで出しているんですね。それだけ確かめられる材料があるということですか。
そこがこの話の面白いところでな。大企業だから不利、という単純な話ではない。 こうして実績を公表しとる会社は、その分だけ入る前に確かめられるということでもある。
65歳の先を用意している企業は3社に1社
もうひとつ押さえておきたい数字がある。70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.8%じゃ。中小企業で35.2%、大企業で29.5%じゃった。65歳までは義務じゃが、70歳までは努力義務じゃからな。制度の重みが違うと、実施率にもこれだけ差が出る。それと70歳までのほうは、定年の引上げや継続雇用だけでなく業務委託契約や社会貢献事業といった、雇用によらない形も含まれる。中身は職場ごとに見る必要があるぞ。
65歳までは99.9%だったのに、70歳まではぐっと下がるんですね。つまり、65歳定年の職場に勤めていても、その先まで自動的に用意されているわけではないと。
そういうことじゃ。「65歳まで働けるか」の次に「65歳の先はどうなるか」を見る段階に、もう来ておる人もおる。いずれにしても、まず要るのは自分の職場の情報じゃ。
今の職場がどの形かは、就業規則の3か所で分かる
就業規則は見せてもらえる(労働基準法106条1項の周知義務)
労働基準法89条はな、常時10人以上の労働者を使う使用者に対して、一定の事項について就業規則を作って行政官庁に届け出ることを定めておる。その3号が「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」でな。定年は、この退職に関する事項として定められておるのが通常じゃ。
でも、就業規則って見せてくださいと言いにくくないですか…? 定年のことを聞いたら、辞めるつもりだと思われそうで。
そこがな、106条1項に書いてあるんじゃ。就業規則は「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」とされておる。
周知させなければならない…。ということは、理由を説明して許可をもらうようなものではないんですね。それなら「定年後どうなりますか」と切り出すより、ずっとハードルが低いです。
そういうことじゃ。置き場所は職場によって違う。事務所の棚、社内システム、入社時に配られた冊子。見当たらんかったら、どこにあるかだけ聞けば足りる。わしが見てきたかぎり、就業規則を最後に開いたのは入社のときという薬剤師は珍しくないぞ。もうひとつ、賃金規程・嘱託規程・再雇用規程が別冊になっとることがある。本体だけ見て「書いていない」と決めんことじゃ。
小さな薬局だと、そもそも就業規則が見当たらないこともありそうですけど…。
そのときは、入社時の労働条件通知書や雇用契約書、個別の規程を先に見る。それでも定年や継続雇用の定めが見つからんなら、人事や管理薬剤師に制度としてどうなっとるかを聞く。聞く相手が変わるだけで、確かめる中身はこのあと話す3か所と同じじゃ。
読むのは3か所——定年年齢/継続雇用の条項/継続雇用後の条件の書かれ方
3つ目が一番あいまいそうですね。「どこまで」というのは?
賃金の決め方まで規程に書いてあるのか、それとも「別途定める」で終わっとるのか。 ここで後の見通しが大きく変わる。求人票に「継続雇用制度あり」と書いてあっても、中身は職場ごとにまるで違うからの。
なるほど…。書いてあるかどうかで、60歳以降がどこまで読めるかが変わるんですね。
そのとおりじゃ。判定に迷う書き方もあってな。継続雇用の対象について「会社が必要と認めた者」のように、対象を絞る表現が残っとる場合がある。
それって、さっきの経過措置が終わった話と食い違いませんか?
よい気づきじゃ。対象者を絞れる経過措置は令和7年3月31日で終わっておる。令和7年度からは希望者全員が対象じゃ。つまり規程の記述と実際の運用がずれておる可能性がある。 それが分かっただけでも収穫でな。規程が古いまま残っとるのか、別に新しい運用があるのか。人事に確かめるときの具体的な材料になる。書いていないことが分かるのも、判定のうちじゃ。
読み取った結果を3つの型に分ける

読み取った中身は、大きく3つの型に分かれる。型によって次にやることが違うんじゃ。
A 65歳以上定年・定年なしの型——次に確かめるのは65歳より先
定年年齢が65歳以上、または定年の定めがない場合じゃ。65歳までの途中で契約が切り替わることがないから、6年後に条件が変わる心配はいったん外してよい。
それは安心ですね。じゃあ、この型の人はもう何もしなくていいんですか?
いや、確かめることが2つある。ひとつは役職定年の有無と年齢じゃ。定年とは別に、役職手当と役割が変わる時期を設けとる職場がある。
あ…。定年が65歳でも、役職定年が55歳や58歳にあったら、そこで年収が変わる場合があるということですか。
そういうことじゃ。もうひとつは65歳より先の定めでな。70歳までの措置を実施済みの企業は3社に1社じゃった。自分の職場に定めがあるかは、就業規則の同じあたりを見れば分かる。ただな、制度上は問題ないと分かったのに、それでも「あと何年働けるじゃろう」という不安が消えんことがある。そういうときは、不安の出所が制度ではなく体のほうかもしれん。
制度ではなく体力の面で長く働けるか不安な場合は、こちらで職場の見分け方を解説しています。
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身体的な負担を左右する職場の条件と、求人票・見学・面接でどこを確認するかを解説
B 65歳未満定年・条件が規程にある型——下げ幅が読めるなら設計できる
次はな、定年が65歳より前にある場合じゃ。60歳が多いが、61歳から64歳の職場も2.9%ある。そのうえで、継続雇用後の賃金の決め方・職務・勤務形態が規程に書いてある——これが型Bじゃ。
定年で契約が切り替わることがあるんですよね。それでも大丈夫なんですか?
この型のいちばんの資産はな、下がるとしても幅が先に読めることじゃ。読めるから安心、ではないぞ。読めるから設計できる、という意味じゃ。ひとつは、規程どおりに計算した60歳以降の年収を仮に置いて、住宅ローンや教育費と並べてみること。数字が並ぶとな、感覚で不安がっとった部分と、実際に足りん部分が分かれる。
全部が不安だと思っていたけど、実は一部だけだった、ということもありそうですね。
もうひとつは、足りんと分かったときに、60歳になってからではなく50代のうちに手を打つことじゃ。この時期なら社内での異動や役割の変更も含めて検討できる。選べる幅が広いうちに動くほうが、選択肢は多く残るからの。なお、ここで置く数字はあくまで自分の職場の規程に基づくものじゃ。他所の平均を当てはめても意味がない。
世の中の相場ではなく、自分の会社の規程で計算するんですね。
C 65歳未満定年・条件が都度協議の型——分かってから動くと選択肢が減る
3つ目はな、就業規則に「別途定める」「会社が個別に決定する」としか書いていない場合じゃ。この型は定年を迎えるまで条件が分からん。そして分かった時点では、動ける範囲が狭まっておる。
会社が意地悪をしているようにも見えてしまいます…。
いや、そこは誤解せんでほしい。これは会社の善し悪しの話ではなく、決まる時期の話じゃ。 誠実に運用しとる職場でも、条件の提示が定年の直前になることはある。悪意があって隠しとるのではなく、そのつど決める仕組みになっとるだけでな。
そう聞くと少し落ち着きます。それで、この型の人は何をすればいいんですか?
ひとつは、直近で定年を迎えた人が今どう働いておるかを社内で見ることじゃ。何人残っとるか、勤務形態はどう変わったか。規程に書いていなくても、運用の実績は目の前にある。
たしかに…。相談者さんの職場にも、その先輩がいますもんね。
もうひとつは、それでも読めん場合に、条件が読める職場が世の中にあるのかを50代のうちに見ておくことじゃ。60歳を過ぎると求人の数も雇用形態も狭まる。同じ判断でも、50代でするか60歳でするかで選べる範囲が変わるんじゃ。
今すぐ辞める話ではなくて、見ておくということですね。ただ、実際に移るとなると「年収がいくら動くのか」が気になります。
50代で職場を変えたときに年収がどう動くかは、こちらで解説しています。
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60歳以降の手取りに効く2つの制度は、いま作りが変わっている
型Bで60歳以降の年収を仮置きするとき、型Cで判断するとき。前提として知っておかんと計算がずれる改正が、直近で2つあったんじゃ。
改正、ですか。制度の名前だけは聞いたことがあります。
- 高年齢雇用継続給付:60歳到達時などと比べて賃金が75%未満に下がった、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に支給される給付(被保険者であった期間などの要件もある)。支給率の上限が2025年4月1日から15%→10%に縮小された
- 在職老齢年金:厚生年金に加入して働きながら年金を受け取るとき、収入が一定額を超えると年金の一部が支給停止される仕組み。この基準額が2026年4月から月51万円→65万円に引き上げられた(令和8年度の額。毎年度改定される)
ひとつ目の高年齢雇用継続給付は、この上限そのものが下がった。ここでいう10%は各月の賃金に対する支給率の上限で、下がった額の10%が埋め合わされる、という意味ではないぞ。誰から対象になるかも大事でな。2025年3月31日以前に60歳へ達した人は従前の15%が続くが、いま50代の人は全員10%側じゃ。
ということは、ネットに残っている「最大15%」という説明は、相談者さんには当てはまらないんですね。そもそも賃金が75%未満まで下がっていなければ、対象にもならないと。
そこじゃ。同じ制度名で検索すると古い記事も出てくるからな、書かれた時期を見ることじゃ。
もうひとつの在職老齢年金は、基準が上がったということは、支給停止の対象から外れる人が増えるということですか。
そういうことじゃ。60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける判断が、以前よりしやすくなった。 ただしこの65万円は令和8年度の額で、毎年度改定される。自分の場合いくらになるかも、賃金の下がり方や年金額で変わるからの。ここは記事の数字で決めず、ハローワークと年金事務所で確かめてほしい。
次の職場を見るなら——定年は求人票に書いていない
ここまでで、今の職場の型は分かったはずじゃ。型Cで条件が読めんなら、条件が読める職場があるかを見ておく段階に入る。あくまで確認のしかたを知っておく段階でな、今すぐ辞める話ではない。ただ、定年を条件に職場を探そうとすると、最初につまずくところがある。
求人票の法定明示事項に、定年は入っていない
2024年4月に職業安定法施行規則が改正されて、募集時に明示すべき事項が3つ増えた。従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準じゃ。
増えたんですね。その中に定年は入っていないんですか?
入っておらん。それを含めても、最低限明示せねばならんのは次のものじゃ。業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称——ここまでじゃ。
本当に定年がないですね…。じゃあ求人票に書いていないのは、隠しているからではないんですか?
明示が義務づけられた項目に入っておらんからじゃ。 逆に言えばな、求人票に「定年65歳」と書いてある会社は、わざわざ書いておるということになる。
そう考えると、書いてある求人の見え方が変わりますね。
もうひとつ、横から読める場合がある。募集で年齢の上限を設けるには理由が要るんじゃ。期間の定めのない契約で定年制の対象となる人を募集するなら、定年年齢を上限として、それが定年によるものだと示すという決まりがある。じゃから「64歳以下(定年年齢のため)」のような書き方をしておる求人なら、上限年齢のほうから定年が読めるわけじゃ。
年齢の欄が、定年のヒントになっているんですね。それも書いていない求人は、どう確かめればいいんでしょう。
面接で聞くこと/エージェントに頼むこと/書面で確定させること
定年に関して、何をどこで確かめるか
| 確かめること | どこで確かめるか |
|---|
| 定年年齢 | 面接 |
| 直近で定年を迎えた人が何人残っているか | 面接 |
| 再雇用後の賃金の決め方が規程にあるか、都度協議か | 転職エージェント |
| 役職定年の有無と年齢 | 転職エージェント |
| 65歳より先の扱い | 転職エージェント |
| 上記が書面に残っているか | 内定時の労働条件通知書 |
面接では、制度の有無だけでなく運用の実績を聞くのがおすすめじゃ。「直近で定年を迎えた方は、その後も残っていらっしゃいますか」という聞き方なら答えやすいはずでな。
制度があるかどうかより、実際にどうなっているかを聞くんですね。
規程レベルの話は、転職エージェント経由のほうが確かめやすい。再雇用後の賃金の決め方が規程にあるか都度協議か、役職定年の有無と年齢、65歳より先の扱い。この3つじゃな。
そこは正直に言うておくとな、開示されん情報もある。 「分かる範囲で教えてください」と頼む形にすることじゃ。正確な答えが必ず返ってくるとは限らん。
期待しすぎないほうがいいんですね。最後はどこで確定するんですか?
内定時の労働条件通知書じゃ。労働基準法15条1項と同施行規則5条4号で、労働契約の締結に際して「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」を明示することとされておる。ここに定年が入る。口頭で聞いた内容と書面が一致しとるか、必ず見ることじゃ。
面接で定年の話をすると、印象が悪くなったりしませんか…?
「長く働く前提で考えておる」というメッセージにはなる。じゃが、不利にならんとは言い切れん。 制度への関心としてではなく、「長く勤めたいので確認させてください」と勤続の意思とセットで聞くほうが、意図が伝わりやすい。聞き方ひとつで受け取られ方は変わるからの。
面接で聞くこと、エージェントに頼むこと、書面で確かめること。分けて考えれば、確認そのものは難しくなさそうです。
そうじゃ。それとな、こうした規程レベルの確認まで頼めるかどうかは、使う転職サービスで差が出る。50代の求人をどれだけ扱っとるかも違う。いきなり応募する必要はない。まずは自分に合うサービスの選び方から確かめておくと、確認そのものが進めやすくなるぞ。
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登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
まとめ:定年まで働けるかは、運ではなく確認できる
この記事の要点
- 165歳までの雇用確保措置は99.9%の企業が実施済み。分かれ目は確保している形
- 2法が確保するのは雇用の機会で、そのときの条件までは保障されない
- 3定年年齢・継続雇用の条項・条件の書かれ方の3か所を就業規則で読む
- 4型Cなら、条件が分かってから動くと選べる範囲が狭まっている
定年まで働けるかどうかはな、運や会社の善意で決まるものではない。確認できることじゃ。
今日いちばん残ったのはそこでした。分からないから不安だったのに、分かる場所がちゃんとあるんですね。
そして確認は今日できる。判断はそのあとでよい。就業規則を開いて3か所を読む。それだけで6年後の見え方が変わるぞ。読んだ結果しだいでは次の職場を見ることになるが、そのときの聞き方も、いま知っておけば慌てずに済む。
帰ったら就業規則を開くところからでいいんですね。それなら相談者さんも、今夜から動けそうです。
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