親の介護と仕事の両立に向けて、薬剤師が最初にやるべきことを厚生労働省「仕事と介護 両立のポイント」の6ポイントで整理。認定申請から職場交渉、ケアマネジャーとの初回面談、家族間の方針決め、雇用形態の判断まで、両立を成功させるためのロードマップを解説します。
💬
読者からの質問先月、一人暮らしの父が自宅で転倒して大腿骨を骨折し、退院後の在宅介護が必要になりました。要介護認定を申請したばかりで、結果待ちです。私は調剤薬局で働く40代の薬剤師で、薬局は2人体制。退院日まであと2週間で、ケアマネジャー面談や認定調査員の訪問の調整に、すでに何度も仕事を空けてもらっています。介護休業の存在は知っていますが、2人体制の薬局で本当に取れるのか…。父の家は車で1時間。これから始まる介護と今の仕事を、どう両立すればいいのでしょうか。何から手をつければよいか整理したいです。
📌この記事のポイント
- 厚労省は「両立は可能」と明言。両立のために最初にやるべきは6ポイント(職場に伝える/介護をしすぎない/認定申請を早めに/ケアマネに何でも相談/家族と方針統一/自分の時間確保)
- 要介護認定は申請から原則30日。サービスは認定前から暫定的に使えるので、退院前から動き出すのが現実的
- 制度活用と介護保険サービスで両立が難しいなら、「正社員のまま両立しやすい職場」へ移る選択肢もある
結論 — 「辞めるか我慢するか」の二択ではない
先生、最近、親の介護がまさに始まりそうな薬剤師さんから「仕事との両立ができるか不安、何から手をつけていいかわからない」という相談をよく受けます。
うむ。今日は、親の介護と仕事の両立を考え始めた薬剤師に向けて話していくぞ。これから介護が始まる方、すでに始まったばかりの方に特に役立つ内容じゃ。なお、まだ介護はしていないが将来に備えたい方は、別の切り口でまとめた関連記事も今後出していくから合わせて見てほしい。
ありがとうございます。両立を考え始めた方からよく聞くのは、「介護休業を取るしかない」「もう辞めるしかない」という二択の思い詰めです。
気持ちはわかる。じゃが、厚生労働省は「介護をしながら働き続けることは可能」と明確に言っておるんじゃ。実際にフルタイム勤務を続けながら両立している薬剤師も多くおる。
厚労省が「仕事と介護 両立のポイント」というパンフレットで、両立のための6つのポイントを示しておる。これがそのまま骨格になるぞ。

薬剤師は2〜3人体制の職場が多くて代替がきかないので、他職種より両立が難しい現実もありますよね。
その通りじゃ。じゃからこそ、6ポイントを薬剤師の現場に置き換えて理解する必要がある。それを順番に見ていこう。最後には、6ポイントだけで乗り切れない場合の中長期判断についても整理するぞ。
ポイント1:職場に「介護をしている」と伝える
ポイント1は「職場に介護をしていることを伝える」じゃ。当たり前のようで、伝えていない人が実は多い。
「迷惑をかけたくない」「評価が下がるかも」と思って言い出せない方も多いですよね。
じゃが、伝えないほうがデメリットが大きい。介護を理由とした遅刻や急な休暇だと分かれば「お互いさま」の空気が生まれる。伝えていないと「最近勤務態度がよくない」と見られる可能性すらある。
確かに、薬剤師2人体制の小さな薬局では「事情を知ってもらうこと」が同僚との関係にもプラスに働きそうです。
さらに2025年4月の育児・介護休業法改正で、介護に直面した社員に対して、会社側は両立支援制度を個別に周知し取得意向を確認することが義務になった。
つまり「介護が始まった」と伝えれば、会社のほうから制度の案内をしてくれるはず、ということですね。
その通り。最初に切り出すのは「親の介護が始まった」「今後急な休みが必要になるかもしれない」という事実だけでよい。制度の話は会社側がしてくれる。
ポイント2:「自分で介護しすぎない」
ポイント2「自分で介護をしすぎない」。薬剤師にとって、これが一番大事かもしれん。
医療職じゃから「自分でできる」と思いやすいし、職業柄まじめな人が多い。「親のことくらい」と全部引き受けて、結果として睡眠不足や疲労が積み重なる。
その結果、本業の調剤でミスを起こす…というのが一番怖いですよね。
そう。介護は「自分でする」ものではなく「マネジメントする」もの。要介護者を一手に引き受けるのではなく、サービスを組み合わせて回すという発想じゃ。
介護保険サービスの種類と主な用途
| 種類 | 主なサービス | 主な用途 |
|---|
| 自宅で受ける | 訪問介護・訪問看護・訪問入浴 | 日常の身体介護、医療的ケア |
| 通って受ける | 通所介護(デイサービス)・通所リハビリ | 日中の見守り、機能訓練、入浴 |
| 短期で泊まる | 短期入所生活介護(ショートステイ) | 数日〜1週間の宿泊、介護者の休息 |
| 組み合わせ型 | 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせ |
自宅・通所・泊まり・組み合わせ。これらをケアマネジャーとプランすることで、自分が直接介護する時間を必要最小限にできる。
全部自分でやろうとせず、サービスをフル活用する発想に切り替えるんですね。
ポイント3:認定申請は早めに、認定前から動き出す
ポイント3。多くの人がつまずくのが「要介護認定が下りないと介護保険サービスが使えない」という誤解じゃ。
申請から要介護認定までは原則30日かかる。じゃがサービスは認定前から暫定的に利用できるんじゃ。
「待たない」ことが現実的じゃ。たとえば親の退院が2週間後に決まっているなら、入院中に申請しておく。要介護認定の調査も病院でしてもらえるし、病院の退院支援室や地域包括支援センターでケアマネを探してケアプランを動かせる。
認定結果が出ていなくても、サービス利用は前倒しできるんですね。
そう。決定された要介護度は申請日にさかのぼって有効になるから、申請時点からサービスを使える。ただし、暫定的に使った後で要介護認定が下りなかった場合は、利用したサービスの費用が全額自己負担になることもある。そのリスクは踏まえつつ、早めに動く価値はじゅうぶんあるぞ。
退院日まであと2週間、というタイトな状況の薬剤師の方も多いと思います。その場合、何をどう動けばいいんでしょうか?
退院前の2週間でやっておきたいことを整理しておこう。
退院前2週間〜退院後の動き方タイムライン
| 時期 | やること |
|---|
| 入院中(退院2週間前) | 介護保険の申請(病院の医療相談室や市区町村窓口)、認定調査員の訪問日程調整、主治医意見書を主治医に依頼 |
| 退院1週間前 | 病院の退院支援室・地域包括支援センターでケアマネジャーを探す、初回面談、暫定ケアプランの作成 |
| 退院当日 | 訪問介護・福祉用具レンタル開始、自宅環境(手すり・段差解消)の整備 |
| 退院後1〜2週間 | サービス利用状況の振り返り、ケアプラン本格運用への移行、職場と勤務調整 |
入院中からこれだけ動けるんですね。認定が下りるのを待たずに、退院後の体制を組めるイメージです。
そう。「認定を待つ」と「サービス利用が始まる」のタイムラグを最小化できるのが、早めに動く最大のメリットじゃ。
ポイント4:ケアマネジャーに何でも相談する
ポイント4「ケアマネジャーに何でも相談する」。意外にも、相談できていない人が多いんじゃ。
介護のことだけ相談する場、というイメージがありますよね。
違うんじゃ。ケアマネは「介護者である家族の働き方」も理解した上でケアプランを作るのが仕事じゃ。
むしろ伝えないとケアプランが現実に合わない。次のことを最初に共有するとよい。
!ケアマネジャーに最初に伝えたいこと
自分の雇用形態(フルタイム・時短・パート)と勤務時間帯
平日昼間に対応できる時間帯はあるか
残業・出張・夜勤の頻度
自分でできる介護と、できない介護(夜間や入浴など)
介護費用としていくらまで使えるか
「日中の見守り」「夜間対応」など、どの時間帯のサービスが必要か
これだけ伝えられれば、本当に自分のライフスタイルに合ったプランになりそうですね。
そう。ケアマネは合わなければ変更も可能じゃ。市区町村や地域包括支援センターに相談すれば調整してもらえるぞ。
ポイント5:家族・近所との関係を築く
ポイント5「家族や近所の方々と良好な関係を築く」。これも意外と見落としがちじゃ。
「きょうだいや配偶者の協力が必要」というイメージですか?
それもあるが、もっと根本的な話じゃ。介護で最も揉めるのは「方針」と「お金」。これを家族間で先に決めておかないと、サービス利用も進められん。
お金の話はナイーブで、なかなか切り出せないですよね。
じゃが厚労省も明記しているが、介護費用は要介護者である親本人の年金や貯金で賄うのが原則じゃ。「子が負担する」前提だと、自分の家計が崩れる。
!家族間で先に決めておきたいこと
介護方針の合意(在宅か施設か、看取り方針など)
きょうだいの中で「キーパーソン」(主に対応する人)を決める
親の経済状況(年金・貯金・生命保険・介護保険)を把握する
介護費用の負担方法(親本人か、足りない分を子が負担するか)
急変時の連絡網
「親本人の年金や貯金で賄う」と言っても、月にいくらかかるか分からないと、家族会議も進められない気がします。
厚生労働省のデータによると、要介護度別の介護保険サービス費用の目安はこうじゃ。
要介護度別の介護保険サービス費用の目安(自己負担1割の場合)
| 要介護度 | 月額費用の目安 | 自己負担(1割) |
|---|
| 要介護1 | 約11万円 | 約1.1万円 |
| 要介護3 | 約22万円 | 約2.2万円 |
| 要介護5 | 約30万円 | 約3万円 |
これに加えて、施設入所の場合は居住費・食費が自己負担となる。家族会議では、この数字をベースに「親の年金・貯金でどこまで賄えるか」を試算しておくとよい。
ここを話し合っておかないと、自分一人で全部抱えることになりますね。
そう。近所の方々や民生委員との関係も、急変時の対応や見守りで助けになるぞ。日頃から声をかけておくとよい。
親の家が遠方にある場合は、近所との関係づくりはどう進めればいいですか?
遠距離介護では、自分が物理的に頻繁に行けないぶん、現地のサポートネットワークが命綱になる。次のような動きを心がけたい。
!遠距離介護で押さえておきたい現地ネットワーク
親の家の近所の方や民生委員に挨拶し、自分の連絡先を共有しておく
訪問介護・訪問看護を毎日のケアプランに組み込む
ケアマネジャーに「自分が来られない平日昼間の状況」を共有
きょうだい間で「自分は遠方なので、近場のきょうだいが主担当」など分担を明確化
急変時の連絡先(ケアマネ・訪問看護・救急)を一覧化して家族で共有
距離があっても、現地の人とケアマネジャーを中心にしたチームを作っておけば、安心ですね。
ポイント6:「自分の時間を確保」する
ポイント6「介護を深刻に捉えすぎず、自分の時間を確保する」。最後にして、最重要かもしれん。
自分の時間を取ることに罪悪感を持ってしまう方も多そうです。
そこが盲点じゃ。一人で介護を抱え込んだり、介護のことばかり考えていると、いわゆる「介護うつ」の状態になる可能性も否定できん。厚労省も介護者のメンタル不調リスクを公式に明記しておるんじゃ。
薬剤師は医療職だからこそ、自分のメンタル変化に気づきにくい一面もありますよね。
そう。「眠れない」「集中できない」「悲観的になる」が続いたら、ケアマネや地域包括、必要なら心療内科に相談してほしい。介護者である家族の支援もケアマネの仕事じゃ。
その通り。介護のために自分が壊れたら、結局親も守れない。「自分の好きなことを我慢しない」「介護を深刻に捉えすぎない」が、両立には絶対に必要なんじゃ。
制度×サービスの組み合わせ — 薬剤師の5つの典型パターン
6ポイントは「考え方」じゃ。次は実際にどう組み合わせるかを5つの典型パターンで見ていこう。これは厚生労働省の事例集を、薬剤師の現場に置き換えたものじゃ。
パターン1:親が軽度認知症で在宅(要介護2)
親が軽度の認知症で、フルタイム勤務の自分が日中の安全を心配しているケース。
パターン1:軽度認知症の親をデイサービスでカバー
| 項目 | 内容 |
|---|
| 課題 | フルタイム勤務で日中の親の安全が心配 |
| 職場制度 | 短時間勤務制度(1日6時間に短縮) |
| 介護保険サービス | 通所介護(デイサービス)平日週5日 |
| 介護休業 | 使わない |
通所介護の送迎時間に合わせて出退社時間を調整。日中は通所介護で過ごしてもらえば、一人にする時間を最小化できる。
パターン2:体調が不安定で急な対応が必要(要介護3〜4)
親の体調が不安定で、急な通院や対応が月数回必要なケース。
パターン2:急な変動には小規模多機能型を軸に
| 項目 | 内容 |
|---|
| 課題 | 急な体調不良・通院対応が月数回必要 |
| 職場制度 | フレックス勤務 + 半日単位の介護休暇 |
| 介護保険サービス | 小規模多機能型居宅介護(通い・訪問・泊まりを組み合わせ) |
| 介護休業 | 使わない |
小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・泊まりを柔軟に切り替えられる介護保険サービスじゃ。出張や残業のある日は泊まり、体調が悪い日は訪問、と組み合わせる。
介護休暇も半日単位で取れるんですね。これなら丸1日休まなくても通院に対応できる。
パターン3:遠距離介護
パターン3:遠距離は訪問サービスで毎日カバー
| 項目 | 内容 |
|---|
| 課題 | 自分は遠方に住み、月1回程度しか帰省できない |
| 職場制度 | 介護休暇(月1回帰省で消費) + 失効年次有給休暇の積立制度 |
| 介護保険サービス | 訪問介護・訪問看護・訪問リハビリ(毎日) |
| 介護休業 | 使わない |
自分が物理的に頻繁に行けない以上、訪問系サービスをフル活用する。月1回の帰省には介護休暇や失効年休の積立を充てるんじゃ。
失効した年休を積み立てて使える制度がある会社なら、年5日の介護休暇と併用できるんですね。
パターン4:施設入所を進める時期(要介護4〜5)
在宅介護が限界となり、施設入所を進めたい時期。施設見学・契約・諸手続きでまとまった時間が必要じゃ。
パターン4:施設探し期は介護休業を活用
| 項目 | 内容 |
|---|
| 課題 | 在宅介護が限界、施設見学・契約・入所手続きで集中時間が必要 |
| 職場制度 | 介護休業 2ヶ月取得 + 復帰後はフレックス勤務 |
| 介護保険サービス | 介護付有料老人ホーム(入所先候補) |
| 介護休業 | 使う(まとまった2ヶ月) |
ここで初めて介護休業が登場する。施設探しは見学から契約、入所まで2ヶ月程度かかることが多い。「両立体制を整えるための準備期間」としての介護休業がぴったり当てはまる場面じゃ。
2ヶ月も休むことになりますが、収入面は大丈夫なんでしょうか?
介護休業中は、雇用保険から「介護休業給付金」として休業前賃金の67%が支給される。月収40万円なら月約26.8万円。2ヶ月の取得で合計約54万円が振り込まれる計算じゃ(上限額に注意)。完全な無収入にはならんから、施設探しに集中できる。
復帰後もフレックス勤務にしておけば、通勤途中に施設に寄って様子を見にいけますね。
パターン5:在宅で看取る時期
パターン5:在宅看取りは医療系サービスをフル活用
| 項目 | 内容 |
|---|
| 課題 | 末期で余命1〜3ヶ月、在宅で看取りたい |
| 職場制度 | 介護休業 1〜3ヶ月(分割使用も可) |
| 介護保険サービス | 訪問介護(週5日)、福祉用具貸与(介護ベッド等) |
| 医療サービス | 24時間体制の訪問看護、在宅療養支援診療所からの訪問診療 |
看取り期は介護休業を使う場面じゃ。24時間体制の訪問看護と在宅療養支援診療所を組み合わせれば、自分が常時付きっきりにならなくても看取りができる。
5パターンから見える本質:介護休業は「カード」、日常はサービスで回す
この5パターンを見て分かるじゃろう。日々の両立(パターン1〜3)では介護休業はほぼ使わない。介護休業は施設探しや看取りといった、まとまった期間が必要な「特定の局面」で使うカードなんじゃ。
実際、介護休業の取得率は介護をしている労働者のうち1割程度と聞きました。多くの人は介護休暇や有給で日々をしのいでいる現実なんですね。
その通り。「介護休業を取らなきゃ」と思い詰めなくても、日々の両立は介護休暇とフレックスとサービスの組み合わせで回せる。じゃからこそ、ポイント2の「自分で介護しすぎない」と、ポイント4の「ケアマネに何でも相談する」が効いてくるんじゃ。
それでも今の職場では難しいなら — 中長期のキャリア判断
6ポイントと5パターンを試しても、「今の職場では構造的に両立が難しい」と感じる場合がある。
薬剤師2人体制の薬局だと、どんなに制度が整っていても物理的にカバーできないですもんね。
そう。それはあなたの問題ではなく、体制の問題じゃ。
介護世代の薬剤師を支える正社員制度を知る
「両立しやすい職場」と聞くと、まずシフトの融通や人員体制を思い浮かべるじゃろう。じゃが、もう一段深いところで「介護世代の正社員を支える制度」を整えている職場があるんじゃ。
代表的なのは「短時間正社員制度」じゃ。週4日勤務や1日6時間勤務といった短い労働時間でも、正社員身分・賞与・退職金・社会保険を維持できる。
大きな違いは「正社員としての処遇が続くこと」じゃ。賞与・退職金・キャリアの積み上げが保たれたまま、勤務時間だけ介護に合わせて調整できる。介護期間中だけ短時間に切り替えて、落ち着いたらフルタイムに戻せる企業もあるぞ。
「勤務地限定正社員(エリア限定社員)」も介護世代に向いておる。転居を伴う異動がないから、介護中の家を離れずに働ける。大手チェーン薬局やドラッグストアで導入が進んでいる制度じゃ。
ただ「介護世代を支える職場」って、求人票だけでは見分けにくそうですね。
そこで使えるのが、職場を3つの観点で評価する方法じゃ。
介護と両立しやすい正社員職場の見分け方
| 観点 | 見るポイント |
|---|
| 制度の整備 | 短時間正社員制度・勤務地限定正社員・テレワーク・フレックスタイムの導入有無 |
| 介護への取り組み | 介護休業の取得実績や復帰率、両立支援制度の社内周知や面談体制 |
| 公的な認証 | トモニン(仕事と介護を両立できる職場環境のシンボルマーク)の取得有無 |
厚生労働省が、仕事と介護を両立できる職場環境の整備に取り組む企業に与えるシンボルマークじゃ。たとえば調剤薬局大手の日本調剤は2021年にトモニンを取得しておる。厚労省の「両立支援のひろば」というサイトで取得企業を検索できるぞ。
ただ、トモニンを取得していない会社は介護に配慮していないということではないですよね?
そうじゃ。トモニンは認定制ではなく自己宣言型の登録制で、取得していなくても介護世代を大切にしている会社はたくさんある。逆に取得していても運用がうまくいっていないケースもある。あくまで「介護への意識を会社として表明しているかどうか」を見る、判断材料の一つと捉えるのが正しいじゃろう。
転職サイトのエージェントへの伝え方
こうした制度や実態は求人票では見えにくい。じゃからこそ、転職サイトのエージェントに具体的にリクエストすることが大事じゃ。
!エージェントに依頼すると効果的なリクエスト例
短時間正社員制度や勤務地限定正社員制度のある会社を紹介してほしい
介護休業の取得実績がある職場を優先的に教えてほしい
トモニンを取得している企業があれば共有してほしい
薬剤師3人以上の体制で、急な休みに対応しやすい店舗を知りたい
エージェントは複数の薬局・ドラッグストアの内部事情を知っているから、求人票には書かれていない実態まで教えてもらえるんですね。
そう。「介護の事情がある人は採用されにくいのでは」と心配する人もおるが、薬剤師の採用は慢性的な人手不足が続いておる。条件を明確にした上で応募するほうが、入社後のミスマッチを防げる。いきなり応募する必要はない。まずは登録して伝えるだけでよい。
🔍比較ガイド薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
パート・派遣を「合理的に」選ぶ
短時間正社員制度のある会社が通勤圏内に見つからない場合や、介護に専念したい時期は、パートや派遣に切り替える選択肢もある。これは「最後の手段」ではなく、状況によっては最適解になり得る合理的な選択じゃ。
「最後の手段」というレッテルだと、選んだ人が罪悪感を持ってしまいますもんね。
そう。介護負担が重く、収入より時間を優先したい時期なら、パート・派遣はむしろ前向きな選択じゃ。パートや派遣の働き方の詳細は、こちらの記事で解説しておるぞ。
あわせて読みたい介護と両立するパート薬剤師の働き方|時給相場・収入シミュレーションと求人の探し方
パートと派遣の比較、収入シミュレーション、介護と両立しやすい求人の探し方を解説
ちなみに、介護休業を職場に取らせてもらえないケースもあると思うのですが、その場合は?
そのときの対処法は、こちらの記事で詳しくまとめておる。
あわせて読みたい薬剤師が介護休業を取れないときの対処法|辞める前に確認すべき2つのステップ
介護休業は法的権利であり事業主は原則拒否できません。正しい申出の手順と、変わらないときの転職判断を解説
まとめ:「自分でやりすぎない」を仕組みで実現する
この記事のまとめ
- 1厚労省「両立6ポイント」の核心は「介護をしすぎない」「自分の時間を確保する」など、現実に即した考え方
- 2介護休業はメインの武器ではなく、施設探しや看取りなどまとまった期間に使う「カード」
- 3日々の両立は、介護休暇・フレックス・所定外労働制限と介護保険サービスの組み合わせで回す
- 4制度活用で限界を感じたら、雇用形態を変える前に「正社員のまま両立しやすい職場」へ移る選択肢がある
介護は、いつ始まるか、いつまで続くか、先が読めん。じゃがな、それは「先のことを心配しすぎる必要はない」とも言えるんじゃよ。
「先が見えない」イコール「自分が壊れるまで頑張る」ではないんですね。
その通り。「自分で全部やらなきゃ」という思い込みを手放し、サービスや家族と分担する。それが両立の出発点じゃ。
先生、ありがとうございます。介護って一人で抱えてしまいがちですけど、6ポイントを意識するだけで、見える景色が変わりそうです。
🔍比較ガイド薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説