介護と両立するためにパート薬剤師への転職を考えている方へ。パート薬剤師の時給相場(平均2,639円)、週3〜4日勤務の収入シミュレーション、派遣との比較、パート求人の探し方を元薬剤師が解説します。
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読者からの質問調剤薬局で正社員として働いている薬剤師です。最近、親の介護が必要になり、フルタイム勤務が難しくなってきました。パートに切り替えれば介護と両立できそうですが、収入がどのくらい下がるのか不安です。パート求人の探し方もわからず、何から始めればいいか困っています。
📌この記事のポイント
- パート薬剤師の平均時給は2,639円。週3〜4日勤務でも月15〜21万円程度の収入が見込める
- ただし切り替える前に、短時間正社員制度や介護休業など正社員のまま続ける選択肢を確認するのが先決
- パート求人は転職サイトのエージェントに介護事情を伝えると、シフト柔軟な職場を絞り込みやすい
パートに切り替える前に — まずは正社員継続の道を模索する
フルタイムが難しいと感じると「パートに切り替えるしかない」と思い込みがちじゃ。じゃが、薬剤師が介護と両立する方法はもっと幅広く、雇用形態を下げる前に試したい選択肢がいくつもある。
私の周りでも「介護=パート」と決めつけている方が多い気がします。具体的に、他にどんな道があるんですか?
大きく2方向じゃ。1つ目は「正社員のままで勤務時間や残業を減らせる制度を、今の職場で使う」。2つ目は「短時間正社員制度や両立支援に積極的な会社へ、正社員のまま転職する」。この2つを試してから、それでも難しい場合にパートを検討する、という順番が基本じゃ。
パートに切り替えると年収だけでなく、社会保険・退職金・キャリアまでまとめて影響を受けるからじゃ。介護がいつ落ち着くか読めないからこそ、雇用形態を下げる判断は慎重にしたい。次のセクションで違いを具体的に見ていこう。
正社員からパートに切り替えるときの「実質コスト」を知る
パートと正社員の違いは、月収や時給だけでは見えにくい部分も大きい。表で総合的に比較してみよう。
正社員とパート(週3〜4日勤務)の主な違い
| 項目 | 正社員 | パート |
|---|
| 賞与 | あり(年2〜4ヶ月分が一般的) | なし、または寸志程度 |
| 退職金 | あり(勤続年数で増加) | 制度がない企業が多い |
| 社会保険 | 完備(健康保険・厚生年金) | 週20時間以上で加入できるが上限あり |
| キャリアの積み上げ | 業務範囲が広く経験が積みやすい | 任される業務が限定されることもある |
| 介護後のフルタイム復帰 | 勤務時間を戻すだけ | 再度の正社員転職が必要 |
短期的には「介護に時間を割けてラク」と感じても、長期で見ると差が積み上がっていくんですね…。
そうじゃ。薬剤師は資格職じゃから「一度パートに下げても、すぐ正社員に戻せる」と思いがちじゃが、希望勤務時間や年齢によっては再就職時のハードルが上がることもある。介護がいつ落ち着くか読めない以上、雇用形態を下げるのは『正社員のままで両立する道を試した後の選択肢』として位置付けたい。
正社員のまま続けられないか — まず制度と職場選びを検討する
正社員のまま両立する道は、意外と幅広い。短時間正社員制度(週4日や1日6時間でも正社員身分を維持)、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、勤務地限定正社員、両立支援に積極的な職場(トモニン取得企業など)への転職。これらを組み合わせれば乗り切れるケースは多いんじゃ。
「介護=パート」と決めつけて損をしないためにも、まずは正社員でできることを一通り見ておきたいですね。
うむ。具体的な制度の中身や、両立しやすい職場の見分け方は、以下の記事で詳しく解説しておる。介護が始まったばかりの方は、まずはこちらで全体像を整理してから戻ってきてもよいぞ。
あわせて読みたい親の介護、何から始める?薬剤師の初動を厚労省「両立6ポイント」で整理
短時間正社員制度や介護休業、両立支援に積極的な職場の見分け方など、正社員のまま両立する道を網羅的に解説しています
もう一つ、「介護休業を職場に申し出にくい」「実際に断られた」という場合の対処は別記事にまとめてある。『もう辞めるしかない』と感じている方は、こちらも合わせてどうぞ。
あわせて読みたい薬剤師が介護休業を取れないときの対処法|辞める前に確認すべき2つのステップ
介護休業は法的権利であり、人手不足を理由に拒否することはできません。正しい申し出の手順と、変わらないときの転職判断を解説
こんなケースならパートも選択肢になる — ただし基本は正社員継続の模索が先
ここまで見てきた通り、まずは正社員継続の道を模索するのが基本じゃ。じゃが、短時間正社員ではカバーしにくく、パートのほうがフィットするケースもある。具体的には次の2つじゃな。
「正社員継続の道を一通り探したうえで、こうした条件に当てはまるならパートを選ぶ」という順番なんですね。
そう。逆にこのどちらにも当てはまらないなら、パートに切り替える前にもう一度、先に紹介した記事の制度や両立しやすい職場を試してみてほしい。ここから先は、パートを選んだ場合に「実際いくら稼げるのか」「求人をどう探すのか」を具体的に見ていくぞ。
パート薬剤師の時給相場と収入シミュレーション
フルタイムからパートに切り替えるとき、一番気になるのは「いくら稼げるのか」じゃろう。漠然と「かなり下がるだろう」と思いがちじゃが、具体的な数字を見ると意外と見通しが立つものじゃ。
正社員からパートに変わるとなると、年収が半分以下になるんじゃ…って不安になりますよね。私の周りでも、介護のことを考えながら「でもお金が…」と悩んでいる人がいます。
パート薬剤師の平均時給
まず時給の相場を確認しよう。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、短時間労働者に該当する薬剤師の平均時給は2,639円じゃ。
2,639円ですか。一般的なパートの時給が1,300〜1,500円くらいだと思うので、約2倍ということですよね。薬剤師の資格があるからこそ、パートでもこの水準なんですね。
その通りじゃ。職場によっても差がある。ドラッグストアが最も高い傾向で2,000〜3,000円。調剤薬局は2,000〜2,500円が中間帯。病院はやや低めで1,800〜2,200円じゃ。地域によっても変わり、薬剤師不足の地方では都市部より高い時給が提示されることもあるぞ。
収入シミュレーション — 週3日・週4日でいくら稼げるか
では、平均時給2,639円をベースに、介護と両立しやすい勤務パターンで月収と年収を試算してみよう。
※ 時給2,639円で計算。月4.3週換算。交通費・手当は含まない。
| 勤務パターン | 月間労働時間 | 月収の目安 | 年収の目安 |
|---|
| 週3日 × 6時間 | 約72時間 | 約19万円 | 約228万円 |
| 週4日 × 5時間 | 約80時間 | 約21万円 | 約253万円 |
| 週3日 × 4時間 | 約48時間 | 約12.7万円 | 約152万円 |
週3日×6時間でも月19万円くらいになるんですね…! 正直、もっと少ないと思っていました。週4日×5時間なら月21万円。介護の時間を確保しながらでも、生活を維持できそうな数字ですね。
うむ。正社員時代と比べれば下がるが、「介護の時間を確保しながら生活を維持する」という目的で見れば、十分に現実的な水準じゃ。介護の負担が重い時期は週3日×4時間に抑えて、落ち着いたら日数や時間を増やすという調整もしやすいのがパートの良いところじゃぞ。
パートと派遣、どちらが介護と両立しやすいか
次に、パート以外の選択肢についても整理しておこう。「派遣薬剤師」という働き方もある。時給だけ見ると派遣のほうが高いが、介護との両立を考えるとそれぞれ向き不向きがあるんじゃ。
派遣のほうが時給が高いなら、短い時間で効率よく稼げそうな気もしますけど…。実際のところ、どう違うんですか?
※ 時給は令和6年賃金構造基本統計調査および求人サイト掲載情報に基づく目安。
| 比較項目 | パート | 派遣 |
|---|
| 平均時給 | 約2,639円 | 約2,800〜3,500円 |
| シフトの柔軟性 | 職場と直接相談。融通が利きやすい | 派遣会社経由。契約外の変更は難しい |
| 契約期間 | 期間の定めなしが多い | 3〜6ヶ月ごとの更新が一般的 |
| 同じ職場で長期勤務 | 可能 | 最長3年(派遣法の制限) |
| 急な休みへの対応 | 職場の理解次第で取りやすい | 契約条件による。代替要員の手配が必要 |
| 福利厚生 | 勤務先の制度が適用される | 派遣会社の制度が適用される |
パートが向いている場合
介護がいつまで続くか見通しが立ちにくい場合は、パートのほうが安心感がある。同じ職場で長く働けるため、職場の人間関係を築きやすいんじゃ。介護で急に休む必要があるときも、普段から一緒に働いている同僚のほうが理解してもらいやすいぞ。
たしかに、派遣で初めての職場に行って「すみません、親の介護で急に休みます」って言いにくいですよね…。「週3日で」「午前中だけ」みたいな希望も、パートなら職場と直接相談できるのは大きいです。
派遣が向いている場合
一方で、派遣が合うケースもある。派遣の契約は3〜6ヶ月単位が一般的じゃから、たとえば「きょうだいが交代で介護を担ってくれる数ヶ月間に集中して稼ぎたい」「親の入院や施設のお試し入所で介護負担が一時的に軽くなる期間にフルタイムで働きたい」といった場合に、派遣の時給の高さが活きる。期間を区切って集中的に稼ぐ使い方じゃ。
なるほど。介護の状況に応じて、ある時期はパート中心、別の時期は派遣で集中して稼ぐ、みたいに切り替える使い方ができそうですね。
よい視点じゃ。ただし、派遣は即戦力が求められるから、調剤経験が浅い場合はハードルが高い。また、契約期間ごとに職場が変わる可能性があるから、安定を重視するならパートのほうがストレスは少ないじゃろう。どちらが良い悪いではなく、自分の介護の状況に合わせて選ぶことが大事じゃ。
介護と両立するためのパート求人の探し方
パートへの切り替えを考え始めたら、次は求人の探し方じゃ。介護をしながらの転職活動にはコツがあるぞ。
介護で忙しい中、求人を探すだけでも大変そうです…。何から手をつければいいですか?
パート求人で確認すべき3つの条件
まず、求人を比較するときに必ず確認してほしい条件が3つある。
!パート求人で確認すべき条件
シフトの柔軟性:週何日から勤務可能か。急な休みにどこまで対応してもらえるか
通勤時間:自宅から30分以内が目安。介護施設や自宅からのアクセスも考慮する
職場の人員体制:薬剤師が常時2名以上配置されている職場なら、急な休みも取りやすい
「週3日〜OK」と書いてあっても、実際には「できれば週4日来てほしい」という職場もありそうですよね。求人票の情報だけだと判断が難しい…。
その通りじゃ。だからこそ転職サイトのエージェントを活用するのが効率的なんじゃ。「親の介護があるので、急な休みに理解のある職場がいい」と最初に伝えておけば、条件に合う求人を提案してもらえる。求人票には書かれていない職場の雰囲気や、実際にパート薬剤師が急な休みを取れているかどうかまで確認してくれることもあるぞ。
自分で1件ずつ確認する余裕がなくても、エージェントに「介護の事情」を伝えておけば条件を絞ってもらえるんですね。介護しながらの転職活動は大変ですけど、それなら現実的に動けそうです。
あわせて読みたい親の介護、何から始める?薬剤師の初動を厚労省「両立6ポイント」で整理
厚労省の6ポイントを薬剤師の初動に落とし込み、認定申請から職場交渉までを整理した記事です
転職サイトはたくさんあるから、自分に合ったものを選ぶことも大事じゃ。パート求人の扱いが多いサイトとそうでないサイトがあるからの。
🔍比較ガイド薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
まとめ:パートなら介護と薬剤師の仕事は両立できる
この記事のまとめ
- 1パートに切り替える前に、短時間正社員制度や介護休業など正社員のまま続ける選択肢を確認する
- 2パート薬剤師の平均時給は2,639円。週3〜4日でも月15〜21万円の収入が見込める
- 3パートは同じ職場で長く働けてシフト相談がしやすい。派遣は短期集中で稼ぎたい場合の選択肢
- 4転職サイトのエージェントを使えば、介護に理解のある職場を効率的に探せる
フルタイムからパートへの切り替えは、収入が下がるぶん不安を感じるのは自然なことじゃ。じゃが、今日見てきたように、パート薬剤師の時給は一般職の約2倍。週3〜4日でも月15〜21万円は確保できる。わしの教え子にも、介護をきっかけにパートに切り替えて、今も薬剤師として働き続けている人がおるよ。
具体的な数字を見ると、「漠然とした不安」がかなり軽くなりますね。介護もお仕事も、どちらも大切にしたい気持ちは当然だと思います。まずはパート求人の条件を見てみるところから始めれば、次の一歩が見えてきそうです。
🔍比較ガイド薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説