親の介護による急な呼び出しや通院付き添いで、休みを言い出せない薬剤師へ。介護休暇は年次有給休暇とは別に、対象要件を満たせば当日・口頭でも申請できます。時間単位取得の注意点、職場への伝え方、断られたときの対処、急な休みに対応できる職場の見分け方を解説します。
💬
読者からの相談調剤薬局で働く薬剤師です。薬剤師2人体制の小さな薬局で、最近親の介護が始まりました。施設から急に呼び出されたり、親の通院に付き添ったりで、当日になって休ませてもらうことが増えています。そのたびに「また休むのか」という空気を感じて、次はもう言い出せません。有給も残り少なくて、本当はつらいのに無理して出勤しています。
📌この記事のポイント
- 介護休暇は年次有給休暇とは別枠で、対象要件を満たせば当日・口頭でも申し出られる
- 介護休暇は年5日、対象家族が2人以上なら年10日まで取得できる
- 時間単位で取得できるが、原則として始業時刻から、または終業時刻まで連続して取得する
- 人手不足だけを理由に休みを拒まれる場合は、会社への確認や職場の見直しが必要
まず結論|介護休暇は有給とは別に当日申請できる

最初に結論を言うておくぞ。介護のための急な休みには「介護休暇」が使える。これは年次有給休暇とは別枠の制度じゃ。有給の残りが少なくても、対象の要件を満たしていれば利用を検討できる。
有給とは別なんですか! お便りの方は「有給も残り少ない」と悩んでいたので、それを知るだけでも救われますね。
しかも介護休暇には事前の申請期限がなく、当日の電話など口頭での申し出でも取得できるとされておる。施設からの急な呼び出しにも間に合う制度なんじゃ。ただし、介護休暇中の賃金を支払うかどうかは会社によって異なる。就業規則や人事・総務への確認が必要じゃぞ。
当日でも申請できるけれど、お金の扱いは会社次第、と。そこを知らずに「もう休めない」と思い込んでいた人は多そうです。
うむ。「自分が抜けたら現場が回らない」という罪悪感で無理を重ねる人も多いが、人員の確保は本来、事業主の役割じゃ。罪悪感を抱えすぎる必要はない。この記事では、介護休暇を使える条件から当日の伝え方、断られたときの対処、職場の見直し方まで順に確認していくぞ。
介護と仕事の両立の全体像を先に整理しておきたい方は、以下の記事もあわせてどうぞ。
あわせて読みたい薬剤師が親の介護と仕事を両立するには?厚労省「両立6ポイント」で最初にやるべきことを整理
介護休暇・介護休業などの制度の基本と、介護保険サービス・ケアマネ活用を含めた両立の全体マップを整理したハブ記事です
介護休暇を使える条件と日数
「うちの親が対象になるのか分からない」と、ここでためらう人は多い。介護休暇は、要介護状態の家族を介護したり、通院の付き添いなどの世話をしたりするための休暇じゃ。ここでいう要介護状態とは、けがや病気、心身の障害によって、2週間以上にわたり常時介護が必要な状態を指す。
要介護認定を受けていないと使えない、というわけではないんですか?
認定の有無だけで決まるわけではないし、要介護2以上でなければ使えない制度でもない。お便りの方のように、施設で継続して介護を受けている親御さんの世話なら、対象に当てはまる可能性は高い。一方で、一時的な体調不良や単発の通院までが必ず対象になるわけではないんじゃ。当てはまるか迷うときは、自己判断で外さず人事・総務に確認するとよい。
「親が急に倒れたから当然使えるはず」と決めつけるのも早いんですね。基本の条件をまとめて見ておきたいです。
介護休暇の基本条件
| 項目 | 内容 |
|---|
| 対象となる状態 | けがや病気、心身の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態(要介護認定の有無だけでは決まらない) |
| 対象家族 | 配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫(同居や扶養の有無は問われない) |
| 取得できる日数 | 年5日(対象家族が2人以上なら年10日) |
| 年次有給休暇との関係 | 別枠。有給の残日数を使い切っていても利用を検討できる |
| 賃金 | 会社に支払い義務はない。有給扱いか無給扱いかは就業規則による |
| 対象外となる場合 | 日々雇用される人は対象外。労使協定により、週の所定労働日数が2日以下の人が対象外となる場合がある |
対象家族は思ったより広いんですね。実の親だけでなく、義理のご両親や祖父母の介護でも検討できるんですね…。
そうじゃ。ただし、すべての労働者が例外なく取れるわけではない点には注意じゃ。表に挙げた対象外の定めがないか、就業規則と労使協定を一度確認しておくと確実じゃよ。
当日に介護休暇を申請するときの伝え方
制度が分かっても、「実際にどう言えばいいのか」で止まる人は多い。当日の連絡で押さえることは、この5つじゃ。
- 介護対応が必要だと分かった時点で、できるだけ早く連絡する
- 「介護休暇を取得したい」と制度名を明確に伝える
- 取得する日時(何時から何時まで)を具体的に伝える
- 必要な引き継ぎ事項を簡潔に共有する
- 病名や家庭の事情を、必要以上に詳しく説明しない
「始業前に連絡」ではなく「分かった時点で」なんですね。お便りの方のように、勤務中に施設から呼び出されることもありますもんね。
そうじゃ。目的は、必要事項を過不足なく伝えて、職場が人の手配や引き継ぎをしやすくすることじゃ。病状や家庭の事情を詳しく説明する義務まではない。そのまま参考にできる連絡例を置いておくぞ。
当日の連絡例(自分の状況に合わせて調整する)
| 場面 | 連絡例 |
|---|
| 勤務中に呼び出され、午後から休む | 「親が常時介護を必要とする状態にあり、本日、施設から急な連絡がありました。本日の○時から終業時刻まで、介護休暇を取得したいです。急な連絡となり申し訳ありません。必要な引き継ぎ事項は○○に共有します」 |
| 朝から休み、途中から出勤する | 「親の介護対応が必要になったため、本日は始業時刻から○時まで介護休暇を取得したいです。対応が終わり次第、○時から出勤予定です」 |
このまま言えばいいと思えると、電話をかける心のハードルがだいぶ下がります。
会社に所定の申請様式や社内システムがある場合は、それに従えばよい。当日はまず口頭で伝えて、書類の提出が後日になっても問題ないとされておる。
まず電話で伝えてしまってよくて、書類はあとから。それなら施設に向かいながらでも連絡できますね。
うむ。加えて、日常的に引き継ぎ事項を共有しておくのも効くぞ。注意が必要な処方や連絡事項を日頃からメモで共有しておけば、急な欠員時にも残ったスタッフが必要な情報を確認しやすくなる。
介護休暇を時間単位で取るときの注意点

「丸一日休むほどではない」という日もあるじゃろう。介護休暇は1日単位だけでなく、1時間単位でも取得できる。ただし、法律上求められている取り方は、原則として「始業時刻から連続」または「終業時刻まで連続」じゃ。
朝から数時間休んで途中から出勤するか、途中から終業まで休んで早退するか、どちらかの形が基本ということですね。
そうじゃ。午後の通院付き添いなら「○時から終業時刻まで」、朝の手続きなら「始業時刻から○時まで」という使い方になる。時間単位で取得した結果、半日程度休むこともできる。一方で、勤務の途中で職場を離れて、後でまた戻る「中抜け」まで一律に認めることは、法律上義務づけられてはおらん。中抜けができるかは、会社の制度や運用の確認が必要じゃ。
「数時間だけ抜けて戻れるはず」と思い込んだまま当日を迎えると、職場と食い違いが起きそうですね。当日になる前に、就業規則を確認しておくと安心です。
もう一つ注意がある。労使協定で「時間単位での取得が困難な業務」と定められている場合は、時間単位では取れず、1日単位での取得になることがある。該当するかどうかも、就業規則や労使協定で確認しておくんじゃ。
介護休暇と介護休業の違い
制度を調べていると、「介護休業」という似た名前も出てきて混乱するじゃろう。介護休業は、介護サービスの手配や家族内の役割分担など、仕事と介護を両立する体制を整えるために、一定期間休業する制度じゃ。当日の急な休みに使う介護休暇とは、目的が違う。
名前は似ていても、「今日を乗り切る」ための介護休暇と、「体制を整える」ための介護休業、という違いなんですね。
介護休暇と介護休業の違い
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|
| 主な目的 | 急な呼び出しや通院付き添いなど、その日ごとの介護・世話 | 仕事と介護を両立する体制づくりのための、一定期間の休業 |
| 申出時期・方法 | 事前の申出期限はなく、当日・口頭でも可 | 原則、休業開始予定日の2週間前までに書面等で申出 |
| 取得単位 | 1日単位または時間単位 | まとまった期間(対象家族1人につき3回まで分割可) |
| 取得可能日数・期間 | 年5日(対象家族2人以上なら年10日) | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 賃金・給付 | 会社に支払い義務はない(有給か無給かは就業規則による) | 会社に支払い義務はないが、要件を満たせば雇用保険から介護休業給付金が支給される |
給付金があるのは介護休業のほうなんですね。介護休暇と混同しないよう気をつけないと。
介護休暇を断られたときの確認手順
対象要件を満たす労働者から適切な申し出があった場合、人手不足だけを理由に介護休暇を拒むことはできん。ただし、ここまで見てきたように対象外となる例外もあるから、断られたときは感情的にぶつかる前に、順を追って確認するのが確実じゃ。
- 1. 就業規則と労使協定を確認する(対象外の定めや申請方法をチェック)
- 2. 上司だけで止めず、人事・総務や社内相談窓口へ確認する
- 3. 申し出た日時と会社の回答を、メールなどで記録に残す
- 4. 解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談する
上司に断られた時点で諦めてしまいそうでしたが、確認する先はその先にもあるんですね。記録を残すのも、話を感情論にしないために大事そうです。
うむ。なお、介護休暇ではなく、まとまった介護休業を拒否された場合の詳しい対処は、こちらの記事で解説しておる。
あわせて読みたい薬剤師が介護休業を取れないときの対処法|辞める前に確認すべき2つのステップ
介護休業は法律で定められた権利であり、人手不足を理由に拒否できません。正しい申し出の手順と、変わらないときの選択肢を解説しています
急な休みを取りやすい職場の見分け方
制度を正しく申し出ても、急な休みを使いにくい職場は残念ながらある。その場合に確認するのは「制度」「人員体制」「実際の運用」の3点じゃ。
制度が就業規則にあっても、人が足りなかったり、実際に使った人がいなかったりすれば機能しない——3つセットで見るんですね。
そうじゃ。次のチェックリストで、今の職場や転職先の候補を見比べてみるとよい。
!急な休みに対応できる職場のチェックリスト
就業規則に、介護休暇の申請方法と時間単位取得のルールが明記されているか
急な欠員が出ても、調剤・鑑査・服薬指導を安全に回せる時間帯別の人員配置か
近隣店舗や本部から応援薬剤師を手配できるか
介護や育児による急な休みを、実際に取得した人がいるか
管理者だけの善意ではなく、会社として欠員対応のルールがあるか
「実際に取得した人がいるか」は、求人票を眺めているだけでは分かりませんよね。どう確かめればいいんでしょう?
面接や転職エージェント経由で「介護や育児で急に休んだ人がいるか」を確認するのが近道じゃ。こうした職場の選び方と確認の仕方は、こちらの記事で詳しく解説しておるぞ。
あわせて読みたい介護中の薬剤師が働きやすい職場の選び方|エージェント依頼文テンプレ付き
求人票だけでは分からない「急な休みへの対応力」を、転職エージェントへの依頼文や面接での逆質問テンプレで見極める方法を解説しています
まとめ:介護休暇は有給とは別枠。使いながら、続けられる職場を選ぼう
この記事のまとめ
- 1介護休暇は年次有給休暇とは別枠(賃金の扱いは就業規則で確認)
- 2対象要件を満たせば、当日・口頭でも申し出られる
- 3時間単位取得は、始業時刻から連続または終業時刻まで連続が原則
- 4人手不足だけを理由に、休みを諦める必要はない
- 5制度を使えない職場なら、人員体制や運用を比較して選び直す
介護のための急な休みは、制度で認められた正当な申し出じゃ。年5日の枠は、罪悪感で温存するためのものではない。次の急な呼び出しからは、無理をする前にまず使ってみることじゃ。
「有給が残っていないから休めない」と思い込んでいた人ほど、知るだけで動きやすくなりますね。連絡例もあるので、次からそのまま使えそうです。
うむ。急な欠員への対応力は、職場によって大きく差がある。正しく申し出ても使いにくい職場なら、我慢を続ける前に他の職場と比べてみてよいんじゃよ。
今の職場で介護休暇を申し出ても嫌な顔をされる、急な欠員を補う仕組みがないという場合は、個人の伝え方だけで解決するのは困難です。介護中でも急な欠員に対応できる職場を探すために、複数薬剤師体制や応援体制まで確認できる転職サービスを選び、今の職場と比較してみましょう。
🔍比較ガイド薬剤師転職サイトの選び方・使い方
登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説