薬局のお局にきつく当たられ、管理薬剤師に相談しても「ああいう人だから」で終わった薬剤師へ。ミスへの注意と陰口の分け方、管理薬剤師への確認の仕方、決めてくれないときに記録しておくこと、会社の相談窓口へ持っていく材料をまとめました。
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読者からの相談 調剤薬局で働いて2年目の薬剤師です。店に10年以上いるベテランのパートの薬剤師さんがいて、私にだけ口調がきつく、自分のいないところで「あの子は使えない」と言われているのも聞こえてきます。レセコンの入力の順番なども、研修で習ったやり方でやると「ここではそうしない」と言われ、別の日には逆のことを言われます。管理薬剤師に相談したら「ああいう人だから、うまくやって」で終わりました。毎日ビクビクしながら働いていて、このまま我慢するしかないのか、辞めたほうがいいのか分かりません。
📌 この記事のポイント
お局の言うことを薬剤師が全部受け止める必要はない。ミスへの注意と陰口は分けてよい やり方の食い違いも陰口も管理薬剤師に相談し、返答に応じてその後の対応を変える 「うまくやって」で終わったら、相談した日付と返答を書いて残しておく 1 まず結論:お局の言うことを全部受け止める必要はない。やり方の食い違いも陰口も管理薬剤師に相談し、返答に応じてその後の対応を変える 2 お局に言われたことは、ミスへの注意と陰口・人格否定に分けて受け止める 3 やり方の食い違いも陰口も、お局ではなく管理薬剤師に相談する 4 管理薬剤師に相談した後の対応は、返ってきた答えで変わる 5 会社に相談しても変わらない、体調に出ているなら、異動か、人間関係を重視して職場を選び直す 6 まとめ:ミスへの注意は内容だけ受け取り、陰口は記録し、管理薬剤師の返事も書き残して次にどうするかを決める まず結論:お局の言うことを全部受け止める必要はない。やり方の食い違いも陰口も管理薬剤師に相談し、返答に応じてその後の対応を変える 先に答えを言っておこう。お局の言うことを、全部受け止める必要はない。やり方の食い違いも陰口も、お局ではなく管理薬剤師(店によっては薬局長)に相談する。「ああいう人だから」で終わったら、相談した日付と返答を書いて残しておく。その記録が、次にどうするかを決める材料になるんじゃ。
お局さん本人に言い返すのではなく、管理薬剤師に相談するんですね。返事まで書いて残しておく、というのは思いつきませんでした。
その前に、ひとつ言っておきたい。食欲が落ちた、眠れない、出勤前に体が重くなる——そういう状態なら、この先の対処より先に、医療機関や相談窓口に話してほしい。厚生労働省の「こころの耳」に、働く人向けの相談窓口がまとまっておる。この記事で紹介する対処は、職場での確認や相談を進められる状態の人に向けたものじゃ。
食欲や睡眠に影響が出ているなら、職場で対処法を試すより、まず医療機関や相談窓口に話すのが先なんですね。それと、この記事を読んでいるのは、薬剤師さんだけとは限らないですよね。
そうじゃな。事務の方が読んでいたら、薬剤師の指示と先輩事務の指示が食い違ったときは、管理薬剤師に確認するのが筋じゃ。
薬剤師でも事務でも、迷ったら管理薬剤師に確かめる、ということですね。
ここで言う「お局」は、長く勤めていて、店のやり方を事実上決めている人のことじゃ。年齢や性別で決まるものではない。
立場と振る舞いで決まる、ということですね。相談者さんのお相手は、10年以上いるベテランのパートの薬剤師さんでした。
うむ。相談者さんは「我慢するしかないのか」と書いておるが、我慢か退職かの二択ではない。相談した日付や返答を残しておけば、店に残るときにも移るときにも役に立つ。
記録がどちらに進んでも使えるなら、今日からでも始められそうです。
なお、お局が管理薬剤師本人なら、相手は上司そのものじゃ。その場合は、先にこちらを読んでほしい。
あわせて読みたい薬剤師がパワハラ上司から逃れるには?転職で環境を変える判断基準
相手が上司(管理薬剤師)そのものなら、先にこちらを確認してください。
お局に言われたことは、ミスへの注意と陰口・人格否定に分けて受け止める 言われたことを全部同じ重さで受け止めると、身がもたん。まず2つに分けてみよう。
ミスへの注意は、言い方がきつくても内容だけ受け取り、決めつけには事実を一言返す きつい言い方で注意されると、内容より先に「嫌われているのかな」って気持ちが来てしまいそうです。
そう感じるのは自然じゃ。ただ、新人のミスへの厳しい注意は、言い方はともかく、中身は業務の話であることが多い。厚生労働省の指針も、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラに当たらないとしておる。
言い方がつらいことと、注意の中身が正しいかどうかは、別に考えたほうがいいんですね。
そうじゃ。受け取るのは内容だけ でよい。言い方まで受け止めなくてかまわん。
でも、注意のたびに人格まで否定されるとしたら、それも受け止めないといけないんでしょうか。
そこは別じゃ。業務上必要な注意でも、人格を否定する言い方や、人前で繰り返される威圧的な叱責まで受け入れる必要はない。厚生労働省の指針にも、そうした例が挙がっておる。そういう言い方は、このあと話す陰口と同じように記録に回すとよい。
それと、確かめもせずに「あなたでしょ」と決めつけられることもありそうです。
そのときは、事実を一言だけ返す。たとえば、補充していないと決めつけられたら、「昨日は不足が1本あったので、補充は済んでいます」と返すんじゃ。言い返して勝つことを目的にせず、確認できた事実だけを伝えればよい。
陰口や無視は、ベテランの同僚からでもパワハラに入りうるので、日付つきで記録する 2つ目は、陰口や無視、人前での人格否定じゃ。これは業務の話ではない。日付と、言われたことをそのまま、それから業務への影響を記録しておく。患者さんの個人情報は書かんようにな。
相談者さんの「あの子は使えない」も、ここに入りますね。でも、相手は上司ではなくパートの先輩です。それでもパワハラと関係があるんでしょうか。
パワハラは上司からだけのものではない。厚生労働省の指針では、同僚や部下の言動も対象になりうるんじゃ。業務に必要な知識や豊富な経験があり、その人の協力がないと業務が回らない場合は、「優越的な関係を背景とした」言動に含まれるとされておる。店のやり方を握るベテランは、ここに当てはまりうるんじゃ。
立場は同僚でも、その人がいないと仕事が回らないなら、逆らいにくい関係になりうるんですね。
そうじゃ。パワハラは、優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、働く環境が害されるもの。この3つを全て満たすものを言う。
3つ全部、ですか。1つだけで決まるわけではないんですね。
うむ。指針の例には「一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること」があるが、これは集団で無視する場合の例じゃ。1人からの陰口が、そのまま当たるわけではない。当てはまるかは個別の事情で決まるから、自分で「パワハラだ」と決めず、記録を残しておくのが先じゃ。
! 記録に書く3つ
日付
言われたこと(そのまま)
業務への影響(患者さんの個人情報は書かない)
決めるのは後でいいから、まず残しておく。それなら、つらい気持ちのままでもできそうです。
やり方の食い違いも陰口も、お局ではなく管理薬剤師に相談する やり方の食い違いも陰口や人格否定も、まず相談する先は管理薬剤師じゃ。やり方の食い違いは「どちらで進めればいいですか」と業務の質問として聞き、陰口や人格否定は記録を添えて相談する。
業務の確認先は管理薬剤師なので、「どちらで進めればいいですか」と聞くのは告げ口ではない 聞き方の例を出そう。「レセコンの入力の順番が2通りあって、どちらで進めればいいか決めてもらえますか」。お局の名前は出さず、責める言い方もしない。
名前を出さないなら、言いつけに来たようには聞こえにくいですね。それでも、上の人に言うのは告げ口みたいで気が引けそうです。
薬機法の第8条第1項では、薬局の管理者に、薬局で働く薬剤師その他の従業者を監督し、業務につき必要な注意をすることが求められておる。これは、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように行うものじゃ。だから、業務について確かめる先は管理薬剤師なんじゃ。聞くのは告げ口ではなく、業務の確認じゃ。
そうじゃ。薬局には、業務の手順書を作って、それに沿って業務をすることも求められておる。ただ、細かいやり方まで手順書に書いてあるとは限らん。
レセコンの入力の順番みたいなことは、書いていない店のほうが多そうですね。だから人に聞くしかなくて、迷うのかもしれません。
うむ。相談者さんのように、研修で習ったやり方を否定され、別の日には逆のことを言われるなら、まさに管理薬剤師に決めてもらう話じゃな。
相談者さんが迷っていたのは、管理薬剤師にやり方を決めてもらえないまま、お局さんの言葉に振り回されていたからなんですね。
相手が事務なら、疑義照会など調剤の判断は薬剤師が譲らない お局が、社歴の長い事務の人ということもある。その場合も、調剤や疑義照会の判断は薬剤師が持つ。薬剤師法の第24条は、処方箋に疑わしい点があるときは、処方医に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めておる。事務の「いつもこうしている」という言葉で、必要な疑義照会を省くことはできん。
薬局で働いている友人から、長くいる事務さんの言う通りにしていたらミスになって、怒られたのは自分だった、という話を聞いたことがあります。
たとえば、事務の人に「その疑義照会はいつもしていない」と言われたとしよう。事務の言うことは指示ではなく情報として受け取り、疑義照会が必要かどうかは薬剤師が判断するんじゃ。
情報として聞く、と考えると、関係を壊さずに線を引けそうです。
誰がどこまでやるかという分担そのものは、別の記事で整理しておる。
あわせて読みたい薬剤師が事務さんに仕事を頼めないとき|人間関係をこじらせない業務分担の伝え方
疑義照会以外の業務を、事務スタッフとどう分けるかを整理しています。
管理薬剤師に相談した後の対応は、返ってきた答えで変わる 管理薬剤師に相談すると、返ってくる答えは、だいたい3つのどれかじゃ。1つ目は、やり方を決めてくれたり、陰口に対応してくれたりした場合じゃ。それなら、管理薬剤師が決めたことに従えばよいんじゃ。
もし、お局さんのやり方のほうに決まったら、少し悔しい気もします。
それでもよいんじゃ。お局のやり方が採用されることもある。じゃが管理薬剤師が店でのやり方を決めてくれれば、言われるたびに迷わなくて済む。
誰のやり方かより、決まっていることのほうが大事なんですね。
「うまくやって」で終わったら、相談した日付と返答を書き残し、やり方は1件ずつ確認して申し送りに書く 2つ目が、相談者さんのように「うまくやって」で終わった場合じゃ。まず、相談した日付と返答を、そのまま書いて残す。陰口の相談でも、やり方の相談でも同じじゃ。
そうじゃ。たとえば「〇月〇日、陰口について相談。返答『ああいう人だから、うまくやって』」。この記録は、会社の窓口に申し出るときに、店の中では解決しなかったことを示す材料になる。
「相談はしたけれど、店の中では動かなかった」が日付つきで残るんですね。相談した側が悪いわけではないことも、伝わりやすそうです。
ただし、陰口や人格否定について相談したのに「ああいう人だから」で終わった場合は、業務の確認を続けるだけでは解決しないこともある。その場合は、相談した日付と返答を残し、会社のハラスメント相談窓口に申し出てよい。十分な記録がそろっていなくても相談できるぞ。
うむ。厚生労働省の指針も、会社の相談窓口に、パワハラに当たるか微妙な場合も含めて広く相談に対応するよう求めておる。窓口の探し方は、このあと話そう。
パワハラかどうか自分で決められなくても、相談していいんですね。
それから、やり方は1件ずつ 確認する。大きな方針を決めてもらうのではなく、その場ごとに「今日のこの処方は、Aの手順で進めてよいですか」と聞くんじゃ。
店全体のルールを決めてほしい、だと重く聞こえますけど、目の前の1件なら答えてもらいやすそうです。
そして、確認したことは書いて残す。申し送りノートや業務チャットに書く。口で確かめただけでは、後から管理薬剤師に確認した内容を示せんからな。
書いてあれば、お局さんに言われたときも、言い返さずに済みますね。
そうじゃ。「管理薬剤師に確認済みです。申し送りに書いてあります」と返せばよい。
でも、パートや中途で入った人は、管理薬剤師がいない日に働くことも多そうです。
管理薬剤師がいない日は、後日確認できる内容なら申し送りやチャットに書いておき、管理薬剤師の次の出勤時に回答をもらえばよい。ただし、その場で判断が必要な調剤業務は別じゃ。手順書や勤務中の薬剤師、連絡がとれる管理薬剤師などに確認し、安全に判断できないまま進めてはいかんぞ。
管理薬剤師がいる日:〇月〇日 〇〇の処方、Aの手順で進めてよいか → 管理薬剤師「Aで」 管理薬剤師が休みの日(後日確認できること):確認したい内容を書いておき、管理薬剤師の次の出勤時に回答をもらう 管理薬剤師が休みの日(その場で判断が必要な調剤):手順書・勤務中の薬剤師・連絡がとれる管理薬剤師に確認し、安全に判断できないまま進めない 1件ずつ書いていけば、管理薬剤師の判断が積み重なっていくんですね。
うむ。ただ、その小さな確認すら「自分で判断して」と返されるなら、次の段階に進む。
管理薬剤師がお局側につく、またはお局が管理薬剤師本人なら、陰口の記録と相談した日付の記録を持って会社の相談窓口へ 3つ目は、管理薬剤師がお局側につく場合や、お局が管理薬剤師本人の場合じゃ。店の中だけでは対応が進まんから、陰口や人格否定の記録と、管理薬剤師に相談した日付と返答の記録、この2つを持って会社の相談窓口へ行く。
会社の相談窓口って、どこにあるのか知らない人も多そうです。
就業規則や社内の掲示で確かめるとよい。チェーンなら本部や人事も相談先になる。窓口に申し出れば、会社は事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対処しなければならんと、厚生労働省の指針で定められておる。
申し出た時点で、会社のほうに確かめる務めが生まれるんですね。でも、相談したことで立場が悪くならないか心配です。
会社には相談に応じる体制を整える義務があり、相談したことを理由に不利益な扱いをすることは、法律で禁じられておる。
それを知っていれば、窓口に行くことを怖がりすぎずに済みそうです。
社内に窓口が無い、窓口も動かないなら、総合労働相談コーナーがある。各都道府県の労働局などにあって、無料で相談できるぞ。
お局が管理薬剤師本人の場合は、上司からのパワハラとしての対処を、こちらの記事で整理しておる。
あわせて読みたい薬剤師がパワハラ上司から逃れるには?転職で環境を変える判断基準
上司からのパワハラとして、相談窓口や記録の残し方を詳しく整理しています。
会社に相談しても変わらない、体調に出ているなら、異動か、人間関係を重視して職場を選び直す 会社に申し出ても状況が変わらない、あるいは食欲や睡眠など体調に影響が出ている。どちらかなら、今の職場から離れることを考えてよい段階じゃ。チェーンなら、退職より先に異動を相談できる。ここまでの記録は、異動の相談にも使えるぞ。
記録をつけてきたことが、ここでも生きるんですね。相談者さんは「辞めたほうがいいのか」とも書いていました。
やれることをやった記録があるなら、辞めることは逃げではない。次の職場を探すときは、人間関係を重視する条件に入れるとよい。
相談者さんも、次は人間関係で毎日ビクビクしない職場を選びたいですよね。
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まとめ:ミスへの注意は内容だけ受け取り、陰口は記録し、管理薬剤師の返事も書き残して次にどうするかを決める この記事のまとめ
1 ミスへの注意は内容だけ受け取り、陰口や人格否定は日付つきで記録する 2 やり方の食い違いも陰口も、お局ではなく管理薬剤師に相談する 3 「うまくやって」で終わったら、相談した日付と返答を書いて残す 4 会社に申し出ても変わらなければ、異動か職場の選び直しを考える 我慢か退職かで迷ったら、まず書いて残すことから始めるとよい。書いたものは、店に残るときも、移るときも、自分の味方になる。
我慢するしかないと思っていた相談者さんにも、明日からできることがあるんですね。書いて残すだけなら、今日の帰りにでも始められます。
そうじゃ。もし移ると決めたら、人間関係を大事にできる職場を探すところから始めればよい。
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