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薬剤師の定年、再雇用か転職かで迷ったら|60〜65歳の5年間を同じ物差しで比べる

公開日: 監修: 加藤智之(薬剤師)

再雇用か転職かで迷う60歳前の薬剤師へ。高年齢雇用継続給付は、基本手当を受けずに定年の翌日に移れば対象になりえます。60〜65歳の5年間を3列の表で比べる方法と、辞める日・入社日のそろえ方を解説します。

登場キャラクター

登場人物は架空のキャラクターです。セリフに出てくる現場のエピソードは、読者の状況を説明するための架空の例で、特定の人物の体験ではありません。記事の内容は監修者(薬剤師)が確認しています。

薬剤師じいさん

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みさ

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新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!

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読者からの相談

調剤薬局で正社員として働く59歳の薬剤師です。来年の定年を前に、会社から「60歳からは嘱託・1年更新で月給28万円」と再雇用の条件を示されました。今は月45万円ほどなので、他社へ移ったほうがいいのか迷っていますが、転職すると給付金がもらえないとも聞き、何と何を比べればいいのか分かりません。

📌この記事のポイント
  • 再雇用か転職かは、60〜65歳の5年間を「入る額・確かさ・辞める時期のコスト」の3列で並べて決める
  • 「転職すると高年齢雇用継続給付が出ない」は条件次第。定年の翌日に移り失業給付を受けなければ対象になりうる
  • 比べるのは定年の前。辞めるのは定年退職日で、入社はその翌日以降にそろえると、給付の基準額と退職金の事由を動かさずにすむ

まず結論:再雇用か転職かは、60〜65歳の5年間を同じ3列で比べて決める

先生
今日の相談は、定年を前に再雇用に残るか、他社へ移るかで迷っておる59歳の薬剤師さんじゃ。先に答えを言うておこう。「入る額」「確かさ」「辞める時期のコスト」の3列に、再雇用と他社を並べて決める。 比べるのは定年の前。辞めるのは定年退職日で、入社はその翌日以降にそろえるんじゃ。これは制度の決まりではなく、給付の基準額と退職金の事由を動かさんための段取りじゃ。
新人
3列、ですか。会社から条件が届いたら、その数字だけで「下がるなあ…」って悩んでしまいそうです。
先生
数字1つで決めてしまうのが、いちばんもったいないんじゃ。3列の中身はこうじゃ。
  • 入る額:賞与込みの年収×更新される見込みの年数。高年齢雇用継続給付が出るなら、その額を足す
  • 確かさ:契約期間と更新の基準、65歳の先の定め
  • 辞める時期のコスト:定年前に辞めた場合の退職金と給付の基準額の変化、入社までの無収入の期間
新人
会社の条件は紙で届いているのに決められないのは、比べる相手がいないから、ということですか?
先生
そのとおりじゃ。決められんのは判断力の問題ではない。物差しが片側にしかないからじゃ。 他社側の数字を定年前に1〜2件そろえれば、同じ表で比べられる。
新人
迷っている自分を責めなくていいんですね。まず材料が足りていないだけで。
先生
うむ。なお、まだ50代前半で、今の職場の定年や再雇用の決まり方を見極めるところから始めたいなら、先にこちらを読んでおくとよい。
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新人
材料が足りないと分かっても、何から集めればいいのか迷いそうです。
先生
まずは「入る額」の列を埋める材料を2つそろえるぞ。給付と、賃金じゃ。

「転職すると高年齢雇用継続給付が出ない」は本当か

先生
結論から言うと、給付は残るか移るかでは決まらん。 じゃから3列の「入る額」には、再雇用・他社のどちらの行にも同じ条件で給付を足す。「再雇用なら給付、転職ならなし」という話がどこまで正しいか、厚生労働省のQ&Aで確かめてみよう。

定年退職の翌日に移り、基本手当を受けなければ、移った先でも給付の対象になりうる

先生
高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満で雇用保険の被保険者として働く人の賃金が、60歳時点の75%未満に下がったときに雇用保険から出る給付のことじゃ。雇用保険の被保険者期間が5年以上あることが要件になっておる。
新人
再雇用で給料が下がった人のための制度、というイメージでした。
先生
そう思われがちでな。厚生労働省の「Q&A~高年齢雇用継続給付~」Q13は、60歳の定年で退職した翌日に別の会社へ再就職した場合を取り上げておる。基本手当、いわゆる失業給付を受けないまま翌日に再就職しとるから、高年齢雇用継続基本給付金の支給対象になる、としておるんじゃ。
新人
えっ、移った先でも対象になりうるんですか。相談者さんが聞いた「転職するともらえない」とは、話が違いますね。
先生
ただし条件つきじゃ。対象になるかと、額の基準がどう決まるかで、見るところは次の3つじゃ。
  • 60歳到達日より前に移ると、給付の基準額(60歳到達時の賃金月額)が移った先の賃金で決まる
  • 離職から再就職までの空白が1年以内か(1年を超えると受けられない。同じQ&AのQ12)
  • 基本手当を受けるか
先生
どの場合も、移った先で雇用保険の被保険者、つまり原則、週20時間以上で、31日以上雇われる見込みがある働き方をしていることが前提じゃ。
新人
「残るか移るか」じゃなくて、「いつ・どうつなぐか」で決まるんですね。
先生
よい整理じゃ。定年後にいったん休んで、基本手当を受けてから探す道もある。その場合は、基本手当の残りが一定以上あれば再就職後に出る別の給付、高年齢再就職給付金に切り替わる。期限のある手続きもあるから、この道を考えるならハローワークで先に確かめておくことじゃ。
新人
休んでから探す場合は、よくある質問にもまとめてありますね。

高年齢雇用継続給付の上限は10%——月28万円なら月2.8万円

先生
次は額じゃ。2025年4月1日以降に60歳になる人は、給付の上限が各月の賃金の10%になった。賃金が60歳時点の64%以下のときに10%で、64%を超え75%未満では率が下がり、75%以上なら支給されん。
新人
来年60歳になる相談者さんも…。
先生
この10%側じゃ。「最大15%」と書かれた情報は当てはまらんから気をつけることじゃ。
新人
古い記事を読んでいたら、15%で計算してしまいそうです。
先生
では相談者さんに当てはめてみよう。60歳時点の賃金月額が45万円で、60歳から月28万円なら、28万円は45万円の62.2%。64%以下じゃから、28万円×10%=月2.8万円が目安になる。
新人
再雇用の28万円に、2.8万円が乗るイメージですね。
先生
そうじゃ。そしてな、定年の翌日に他社へ移って同じ28万円でも、同じ額の対象になりうる。 ここで差はつかんということじゃ。
新人
それなら「給付があるから再雇用」という理由は、比べる材料からいったん外せますね。
先生
うむ。この計算の前提を並べておこう。
  • 定年退職の翌日から1年以内に、基本手当を受けずに移る
  • 移った先でも雇用保険の被保険者のまま働く
  • 賃金は賞与を除く月額で見る
  • 給付の額が最低限度額以下だと支給されない
新人
自分が当てはまるかは、どこで確かめればいいですか?
先生
対象になるか、額がいくらかは、ハローワークで確かめてほしい。給付で差がつかんと分かったら、次は給料そのものじゃ。移れば守れるのかを見ていこう。

60歳で他社へ移っても、給料を守れるとは限らない

先生
これは、他社の行の「入る額」を求人票の数字で仮置きするときの前提になる話じゃ。厚生労働省の令和7年雇用動向調査(2026年8月公表)で、60〜64歳の転職入職者(全産業)の賃金を前職と比べた結果を見てみよう。「減少」54.3%、「変わらない」24.2%、「増加」21.1%じゃった。
新人
半分以上が下がっているんですね…。移れば今の給料を守れるかもしれない、と期待していた相談者さんには、少しつらい数字です。
先生
期待したくなる気持ちは自然なことじゃ。1割以上下がった人だけでも47.6%おる。ただ、この値は年によって振れる。前年の令和6年は「増加」13.6%・「減少」60.9%じゃった。1年の数字で決め打ちせず、傾向として受け止めてほしい。
新人
どちらにしても、再雇用でも移っても下がりうる、と思っておいたほうがいいんですね。
先生
そうじゃ。比べるのは、どこまで下がるかと、それが何年続くかじゃ。
新人
「下がるかどうか」じゃなくて、「どう下がって、どれだけ続くか」を比べる、ということですね。
先生
そのとおりじゃ。そうなると、決め手は下がり方と続き方、そして辞める時期じゃ。3列目の前提になる、時期から決めていこう。

辞めるのは定年の前か後か——給付の基準額は60歳到達日、退職金の支給率は定年退職日で決まる

先生
「59歳のうちに動いたほうがいいのか」への答えはこうじゃ。比べるのは定年の前。辞めるのは定年退職日で、入社はその翌日以降にそろえる。 理由は2つの日付にある。
  • 60歳到達日(誕生日の前日):高年齢雇用継続給付の基準額が決まる。この日より前6か月の賃金(賞与を除く)で計算する(Q8)
  • 定年退職日:退職金の支給率が定年退職か自己都合かで決まり、離職理由も決まる
新人
60歳の誕生日と定年の日って、同じだと思っていました。
先生
別の日じゃ。給付の基準額は、60歳到達日に在籍しておる会社が出す賃金証明書で決まる。到達日より前に移れば、移った先の賃金が基準額になり、移って6か月に満たん分だけ前の職場の賃金で補う扱いじゃ(雇用保険の業務取扱要領)。相談者さんの例なら、基準額が28万円寄りになって、60歳からの28万円は「75%未満」にならん。つまり給付は出ん方向に働く。自分の場合の額はハローワークで確かめることじゃ。
新人
60歳より前に移ると、給付の計算の土台が移った先の賃金になって、出ない方向に働くこともあるんですね。そこは先に確かめておきたいです。
先生
もう1つの日付、定年退職日で決まるのが退職金じゃ。退職金規程には、定年・自己都合といった退職の理由ごとに支給率を定めているものがある。令和5年就労条件総合調査(令和4年の退職者)で、勤続20年以上かつ45歳以上で辞めた大学・大学院卒の管理・事務・技術職の平均を見てみよう。退職時の所定内賃金の何か月分かに直すと、定年36.0か月分、自己都合30.3か月分じゃった。
新人
定年で辞めた人と自己都合で辞めた人とでは、平均でそれだけ差があるんですね。
先生
ただし別の人たちの平均じゃから、自分の差は規程の支給率で確かめるしかない。まず自社の退職金規程で、「定年退職」と「自己都合退職」の支給率を読むことじゃ。退職金制度が無ければ、この点は気にせんでよい。
新人
じゃあ、応募も定年退職日を過ぎるまで待ったほうがいいんですか?
先生
そこは違う。2つの日付が縛るのは、辞める日じゃ。応募・内定は定年前に進めてもよい。 そのときは、入社日を定年退職日の翌日以降にすると先方と決めておく。内定が出ても、定年前には辞めんことじゃ。
新人
内定をもらうのは早くてもいい、でも辞める日は定年退職日。そう分けて考えればいいんですね。
先生
そうじゃ。両方の日付を過ぎてから辞めれば、規程で定年扱いになる退職金の不利は避けられ、給付の基準額が変わる心配もなくなる。逆に定年前に辞めても、給付の対象から外れるわけではない。基準額と退職金がどう変わるかを、3列目に書いて比べればよい。なお定年の定め方によっては、2つの日付が数か月ずれる職場がある。自分の職場がどちらかは、就業規則で確かめられるぞ。
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再雇用と他社を、入る額・確かさ・辞める時期のコストの3列で並べる

先生
ここまでの材料で、3列×2行の表を作れる。各列に何を書き込むかを確かめていこう。
再雇用と他社の2行を「入る額」「確かさ」「辞める時期のコスト」の3列で並べた表。再雇用の行は会社の書面で埋め、他社の行は定年前に求人票などで1〜2件書き出して埋める。比べるのは定年の前、辞めるのは定年退職日で入社はその翌日以降にそろえることを示した図
新人
他社の行が空欄になっていますね。
先生
そこを埋めるのが最後の仕事じゃ。まずは列ごとに見ていこう。

入る額——年収×更新の見込み年数に、給付が出るならその額を足す

先生
入る額は、賞与込みの年収に、60〜65歳で更新される見込みの年数を掛ける。再雇用は書面の条件で、他社は求人票の条件で仮置きするんじゃ。給付が出るかは、次の3点で判定する。
  • 雇用保険の被保険者のまま(原則、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み)
  • 賃金が60歳到達時の75%未満
  • 被保険者期間が5年以上
新人
この3点は、再雇用の行でも他社の行でも同じ基準で見るんですね。
先生
そうじゃ。それから、年金はこの5年の比較にはほぼ入らんと思ってよい。
新人
在職老齢年金の基準が上がったと聞いたので、60歳からの話かと思っていました。
先生
60〜64歳で受ける特別支給の老齢厚生年金は、男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前の生まれに限られる。いま59歳の人は男女とも対象外じゃ。2026年4月に支給停止の基準額が月65万円に上がったが、それが効くのは、繰上げ受給をしない限り65歳からじゃ。
新人
5年間の比較には入れずに、65歳から先の話として持っておけばいいんですね。
先生
そうじゃ。それとな、再雇用や移り先が短時間になる場合は、雇用保険・社会保険に残れるかの線も確かめてほしい。週20時間を下回ると、給付も出んからの。
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確かさ——契約期間と更新の基準、65歳の先の定めを書面で確かめる

先生
2列目は確かさじゃ。相談者さんの条件のように1年更新なら、更新の基準が書面にあるか、65歳の先の定めがあるかを見る。他社は、定年年齢が65歳以上の正社員なのか、有期・パートなのかと、契約期間を見るんじゃ。
新人
同じ月給でも、1年ごとに更新されるかどうか分からない条件と、65歳まで続く条件とでは、安心感がまるで違いますね。
先生
そこが確かさの列の意味じゃ。再雇用の条件が規程で決まっておるのか、都度の協議なのかは、先ほど触れた就業規則の読み方の記事で確かめられる。

辞める時期のコスト——定年前に辞めると退職金と給付がどう変わるか

先生
3列目は、辞めるのを定年退職日にして、入社をその翌日以降にそろえれば、退職金と給付の基準額の不利は出てこない。先方の入社日の都合で定年前に辞めるときに、ここで損失額を出すんじゃ。
新人
損失額って、どうやって出せばいいんでしょう。
先生
目安は、定年と自己都合の支給率の差に、退職金の計算の基礎になる額を掛けたものじゃ。計算のしかたは規程しだいじゃから、規程の式に当てはめてほしい。退職金制度が無ければ、この部分は空欄でかまわん。
新人
逆に、応募を定年のあとまで待つ場合はどうなりますか?
先生
定年退職日から入社までの間は、収入がない。その月数も、この列に書いておくことじゃ。
新人
3列そろったら、実際にはどう並ぶんでしょう。
先生
相談者さんの数字で埋めてみよう。再雇用の行は、月28万円に給付2.8万円で月30.8万円。確かさは1年更新で、65歳の先の定めはなし。辞める時期のコストは、定年退職日に辞めるから空欄じゃ。
新人
他社の行はどうなりますか?
先生
ここは求人例ではなく、仮置きの条件じゃ。仮に月27万円・65歳定年の正社員で、入社は定年退職日の翌日とする。27万円は45万円の60%じゃから給付は2.7万円、合わせて月29.7万円。賞与の条件も、両方の行で同じように足しておく。
新人
月の差は1.1万円なのに、確かさは1年更新と65歳まで続く正社員で、だいぶ違いますね。
先生
それが表の読み方じゃ。額の差が小さいなら、「確かさ」で決める。この例なら、移る側の確かさが上がる。逆に再雇用の更新基準が明記され、65歳以降の定めもあるなら、残る側の確かさが上がる。
新人
額の差が大きいときは、どう考えればいいですか?
先生
その差が5年でいくらになるかを出して、確かさの差と見比べる。月3万円の差なら、5年で180万円じゃ。1年更新で先が読めない条件と、65歳まで続く条件の違いを、その額で買うかどうか。どちらが正解というものではない。表が埋まれば、自分の答えを決められる。
新人
となると、あとは他社の行を本物の数字で埋めるだけですね。

60歳の転職に備えて、他社の条件を定年前に1〜2件書き出す

先生
最後は、表の他社の行を定年前に埋める方法じゃ。再雇用の条件と同じ働き方、つまり週の所定労働時間と雇用形態をそろえて、求人票の条件か、エージェント経由で聞いた条件を1〜2件書き出す。
新人
そのまま応募まで進んでもいいんですか?
先生
かまわん。ただし、入社日は定年退職日の翌日以降にすると、先方と決めておく。 条件が確定するのは、提示と労働条件通知書じゃ。
新人
60歳を過ぎると応募できる求人が減るとも聞きます。「応募要件は59歳まで」という求人も見かけて、不安です。
先生
求人の幅は両面から見ておくとよい。60歳定年の会社は、正社員の募集で定年年齢を上限にできる。じゃから60歳を過ぎると、そうした会社の正社員の枠は閉じることがある。
新人
やっぱり閉じてしまうことがあるんですね…。
先生
閉じるのは主に60歳定年の会社の正社員枠じゃ。入ってもすぐ定年を迎える枠じゃから、相談者さんが失うものは大きくない。65歳以上定年の会社の正社員枠は、この理屈では閉じん。
新人
閉じるのは、比べたい相手とは違う枠なんですね。少し安心しました。
先生
さらに、「60歳以上」に限った募集は、年齢制限禁止の例外として認められておる(厚生労働省 年齢制限禁止Q&A Q7-1)。こちらは60歳到達後でないと応募できん枠じゃ。59歳のうちは条件の相場を見る材料にしておくとよい。
新人
定年前に進められる応募と、60歳を待つ応募があるんですね。
先生
そういうことじゃ。明日からできることを4つにまとめておこう。

!定年前に済ませる4つのこと

  • 人事に「再雇用後の条件(賃金・所定労働時間・契約期間と更新の基準)を書面で確認したい」と伝え、提示の時期を聞く
  • 退職金規程で、定年退職と自己都合退職の支給率を読む(制度が無ければ飛ばす)
  • 再雇用の条件と同じ働き方の他社の条件を1〜2件書き出す。応募するなら、入社日は定年退職日の翌日以降と先方と決めておく
  • ハローワークで、高年齢雇用継続給付の対象か(被保険者期間5年以上)を確かめる
新人
どれも在職中にできることですね。3つ目の「他社の条件」だけ、どこから手をつければいいか迷いそうです。
先生
他社の数字を見るには、まず条件を聞く窓口、つまり転職サイトを選ぶところからじゃ。転職サイト診断は6問・約30秒で、登録なしに条件に合う転職サイトの上位3社が分かる。
新人
診断で窓口を選んで、そのサイトで条件を聞く、という順番なんですね。
先生
そうじゃ。転職意欲は「今の職場に残るか迷っている」を選べばよい。選んだサイトに登録したら、応募はまだせずに条件だけ聞けばよい。60歳以上の求人をどれだけ扱っとるかも、そこで担当者に確かめられる。
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まとめ:再雇用か転職かは、片側だけの物差しで決めない

この記事のまとめ

  1. 1「入る額・確かさ・辞める時期のコスト」の3列で、再雇用と他社を並べる
  2. 2給付は残るか移るかで決まらない。定年の翌日に移り基本手当を受けなければ対象になりうる
  3. 360〜64歳の転職入職者(全産業・令和7年)は半数超が賃金減少。移れば守れるとは限らない
  4. 4比べるのは定年の前。辞めるのは定年退職日で、入社はその翌日以降にそろえると、給付の基準額と退職金の事由を動かさずにすむ
先生
比べるのは定年の前、辞めるのは定年退職日じゃ。会社の条件だけで決めずに、他社の数字を1つ横に置いてみてほしい。比べた結果、再雇用に残るのも立派な答えじゃ。
新人
「転職すると給付金がもらえない」と思い込んだまま決めていたら、比べる前に選択肢を1つ消していたかもしれません。表が埋まれば、残るにしても移るにしても納得して決められそうです。
先生
そのためにも、まずは他社の数字を1つ見ておくとよいぞ。
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よくある質問

Q. 再雇用を断って他社へ移ると、高年齢雇用継続給付はもらえませんか?

A. 条件によっては対象になりえます。厚生労働省のQ&A Q13は、60歳定年で退職した翌日に再就職し、基本手当を受けていない場合を支給対象としています。離職から再就職までの空白が1年以内であること、移った先で雇用保険の被保険者であることも必要です。個別の可否はハローワークで確認してください。

Q. 59歳のうちに転職したほうが有利ですか?

A. 定年前に辞めても、高年齢雇用継続給付の対象から外れるわけではありません。ただ、比べるのは定年の前で、辞めるのは定年退職日、入社はその翌日以降にそろえるほうが有利になりやすいです。応募や内定は定年前に進めてもかまいませんが、入社日を定年退職日の翌日以降にすると先方と決めておきます。定年前に辞めると、退職金が自己都合の支給率になったり、60歳到達日前6か月の賃金で決まる給付の基準額が変わったりしうるためです。

Q. 定年後にいったん休んでから探したい場合、給付はどうなりますか?

A. 基本手当を受けてから再就職すると、高年齢再就職給付金に切り替わります。基本手当の支給残日数が100日以上あり、1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職に就くことが要件で、支給期間は残日数に応じて1年または2年です。再就職手当とは併給できません。雇用保険の被保険者期間が20年以上の一般の離職者は所定給付日数が150日なので、受け始めてから短期間で決めることになります。定年による離職は、ハローワークの案内では「解雇・定年・契約期間満了」の側に分類され、自己都合退職に付く給付制限(原則1か月)は付きません(待期7日はあります)。休む期間を取るなら受給期間の延長(最長1年)があり、離職日の翌日から2か月以内の申請が必要です。