働き方・キャリア

50代薬剤師が正社員からパートへ|収入と社会保険は働く時間と日数で変わる

公開日:

50代で正社員からパートへ切り替えるとき、収入と社会保険を決めるのは時給ではなく所定労働時間と所定労働日数です。社会保険に残れる境界、将来の年金がどれだけ動くか、求人票に出ない確認先まで、公的データで整理しました。

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薬剤師じいさん

薬剤師じいさん

薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ

みさ

新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!

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読者からの相談

調剤薬局に勤めて18年、54歳の薬剤師です。週5日のフルタイムで、遅番の日は帰ってから夕食を作る気力もなく、休みの日は昼まで動けません。週3日か4日にできたらまだ続けられる気がするのですが、うちは私の収入で家計が回っています。パートに変えたら収入がいくらになるのか、社会保険がどうなるのかが分からなくて、職場にも言い出せないままです。

📌この記事のポイント
  • 正社員からパートに切り替えるとき、先に決めるのは時給ではなく「週に何時間・何日働くか」
  • 社会保険の扱いは3通りに分かれる。時間と日数の両方で判定し、真ん中は会社の規模で変わる
  • 減るのは年金の報酬比例部分で、基礎年金は保険料を納める限り減らない

まず結論:先に決めるのは時給ではなく「週に何時間・何日働くか」

先生
相談者さんは「いくらになるのか分からない」と書いておられるな。まずそこから整理しよう。パートに変えたときの収入は、時給と時間の掛け算じゃ。時給を決めるのは職場じゃが、週に何時間・何日働くかは自分で選べる
新人
……あ。それはそうですね。金額のほうばかり考えていました。
先生
そして、この時間と日数が決まると、社会保険に残れるかどうか、雇用保険に入れるかどうか、将来の年金がどれだけ積み上がるかを、はじめて判定できるようになる。じゃから「いくらになるんだろう」から調べ始めると、いつまでも決まらんのじゃ。
新人
順番が逆になっている、ということですか。金額は時間が決まってから出てくるものだから、先に時間を決めないと計算しようがない……。
先生
そういうことじゃ。この記事では、時間と日数の決め方で社会保険の扱いが3通りに分かれることを見ていく。1つ目が「通常の労働者の4分の3以上」、正社員が週40時間・月20日の職場なら週30時間・月15日。2つ目が「週20時間以上・4分の3未満」。3つ目が「週20時間未満」じゃ。
新人
その3つのどれを選ぶかを先に決めてから、その条件で求人を探す。遠回りに見えて、そのほうが早そうですね。
先生
うむ。ひとつ断っておくと、正社員を続けるのが正解でも、パートに変えるのが正解でもない。決めるのは、どちらが自分の生活に合うかじゃ。

パートで働く薬剤師の平均年齢は52.5歳

先生
3つの働き方の話に入る前に、片づけておきたいことがある。相談者さんの「職場に言い出せない」という気持ちのほうじゃ。

1日5.8時間・時給2,540円という平均の姿

先生
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で、短時間労働者として働く薬剤師を見てみると、平均年齢は52.5歳じゃった。1日あたりの所定内実労働時間は5.8時間、1時間当たりの所定内給与額は2,540円じゃ。
新人
52.5歳……ということは、パートで働いている薬剤師さんの平均像が、ちょうど相談者さんと同じ年代なんですね。
先生
そうじゃ。1日6時間弱で働いておる50代前半、というのが平均の姿になる。相談者さんは54歳じゃから、その平均とほぼ重なる位置におるということじゃな。
新人
「自分だけが根を上げるのか」と思ってしまう気持ちは分かりますけど、平均像が同じ年代なら、自分の年齢のほうが特別なわけではないんですね。
先生
そう思ってもらってええ。じゃが、この数字から言えるのはそこまでじゃ。「50代で正社員からパートへ切り替える人が多い」とまでは、この統計からは分からん。平均年齢は、いつ切り替えたかも、何割が切り替えたかも示さんからの。
新人
なるほど……「平均が同じ年代」までは言えるけれど、「切り替えるのが普通」とまでは言えない、ということですね。
先生
ただし、量を落としたい理由が収入や制度ではなく、体そのものへの負担にあるなら、雇用形態を変える前にやれることもある。職場の条件を見直すという打ち手じゃ。
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比べる相手を間違えると、「落ちた」だけの話になる

先生
もうひとつ、気をつけてほしいことがある。同じ調査で、フルタイムで働く薬剤師の年収は566.8万円じゃ。パートに変えた自分の年収をこの数字と並べると、どうなると思う。
新人
それは……どう転んでも「下がった」という結論にしかならないですね。働いている時間が違うのに。
先生
そこじゃ。比べる相手は、同じ時間だけ働いておる人でなければ意味がない。同じ調査で、短時間労働者全体の1時間当たり賃金は1,518円じゃった。薬剤師の2,540円は、時給で働く働き方の中では高いほうに入る。時間を減らしたときの落ち方は、時給の低い職種と同じにはならんのじゃ。
新人
落ちること自体は避けられないけれど、落ち方が違う……。実際にいくらになるのかが気になります。
先生
それは3つの働き方を見てからじゃ。順番を守ろう。

社会保険が残るかどうかを決める、3通りの働き方

先生
ここからが本題じゃ。制度の話に聞こえるが、やることは「自分がどれを選ぶか」を決めるだけじゃよ。
週の所定労働時間と1か月の所定労働日数によって社会保険と雇用保険の扱いが変わることを、4分の3以上・週20時間以上・週20時間未満の3区間で示した図

① 時間と日数が4分の3以上——会社の規模に関係なく社会保険に残る

先生
まず1つ目じゃ。日本年金機構は、厚生年金保険の被保険者について「1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方は被保険者となります」としておる。
新人
4分の3……正社員が週40時間の職場だったら、週30時間ということですか。
先生
そうじゃ。日数も同じで、月20日働く職場なら月15日以上。時間と日数の両方が4分の3以上でなければならん。
新人
両方なんですね。日数だけ足りていても駄目、ということか……。
先生
この条件を満たしておれば、勤め先が大きな会社でも小さな会社でも関係なく、健康保険と厚生年金にそのまま残る。週4日で1日7.5時間、といったあたりが現実的な着地点になるじゃろう。

② 週20時間以上——鍵になるのは「会社の大きさ」

先生
2本目じゃ。時間と日数のどちらかが4分の3に届かんでも、次の条件を満たせば社会保険に入れる。週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、学生でないこと、2か月を超えて雇われる見込みがあること。
新人
週20時間なら、週3日で1日7時間弱くらいですよね。それなら入れるということですか?
先生
そこに条件がひとつ付く。勤め先が「特定適用事業所」に当たるかどうかじゃ。厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上になることが、1年のうち6か月以上見込まれる企業等のことをいう。
新人
51人以上……。薬局だと、1店舗にそんなに人はいないですよね。となると、ほとんどの薬局が当てはまらないということになりませんか?
先生
そこがいちばん誤解されるところじゃ。数えるのは店舗ではなく会社全体でな。法人であれば、同じ法人番号を持つすべての事業所の被保険者を合計して判定する。短時間労働者は人数に含めん。
新人
ということは、大手チェーンの1店舗で働いていたら、会社全体で数えるから51人はとっくに超えている……。
先生
そのとおり。「小さな店舗だから入れない」という思い込みは、まず外してええ。ただし補っておくと、合計して数えるのは法人の場合での。個人経営の薬局は、その事業所だけの人数で数える。
新人
同じ薬局でも、法人か個人かで数え方が違うんですね。
先生
そこは押さえておいてくれ。それと、51人未満なら必ず入れんというわけでもない。会社が被保険者の同意を得て申し出れば、51人未満でも短時間労働者を加入対象にできる仕組みがあるでな。
新人
「うちは小さいから無理」と決めつけずに、勤め先に確かめたほうがいいんですね。
先生
そこは確かめる値打ちがある。しかもこの人数の境目自体も動いておる。日本年金機構の案内では、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上へと広がる。さらに2032年10月から11人以上、2035年10月には10人以下の会社も対象になる予定じゃ。
新人
いま届かない会社でも、数年後には変わる可能性があるんですね。それは知っておかないと、判断を間違えそうです。

③ 週20時間未満——雇用保険からも外れる

先生
3つ目じゃ。週20時間を切ると、社会保険だけでなく雇用保険からも外れる。雇用保険の加入要件が、週の所定労働時間20時間以上で31日以上の雇用見込み、となっておるからじゃ。
新人
失業給付や教育訓練給付も使えなくなる、ということですか。それはけっこう大きいですね……。
先生
そこは分けて考える必要がある。週20時間を下回れば、その先は雇用保険の被保険者ではなくなる。じゃがそれまでに積み上げた加入期間まで消えるわけではない。基本手当は離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あるかで判定されるし、教育訓練給付も「被保険者であった方」が対象になる場合があるんじゃ。
新人
「これから積み上がらない」のと「今まで積み上げた分が使えない」のは、別の話なんですね。
先生
うむ。もっとも、基本手当は離職して求職しておることが前提じゃし、教育訓練給付には資格を失ってから1年以内という期限もある。使えるかどうかは給付ごとに違うから、ハローワークで確かめてくれ。なおこの加入要件も、2028年10月から週10時間以上に広がる予定じゃ。
新人
……ということは、いまは対象外になる働き方でも、いずれ雇用保険には入れるようになるんですね。
先生
そうじゃ。それと、この働き方を選ぶ理由がある人もおる。配偶者の健康保険の被扶養者になれる場合や、ほかに収入がある場合じゃな。3つに優劣はない。
新人
ところで、冒頭の相談者さんが書いていた「週3日か4日」は、この3つでいうとどれになるんでしょう。
先生
よい問いじゃ。1日8時間なら、週4日で32時間、週3日で24時間。ところが1日6時間にすると、週4日で24時間、週3日なら18時間になる。同じ「週3日か4日」でも、当てはまるところが変わってしまうんじゃ。
新人
日数だけでは決まらない、というのはそういうことなんですね。「週3日にしたい」だけ伝えても、社会保険がどうなるかは判定できない……。

「106万円の壁」は、薬剤師にはほとんど関係ない

先生
ここで、調べていると必ず出てくる「年収の壁」の話を片づけておこう。結論から言うと、この話は薬剤師の時給ではほとんど機能せん。

収入要件だけで計算すると週9.8時間——世帯を支えているなら選べない

先生
健康保険の被扶養者に認められるには、いくつか要件がある。そのうち収入の要件が、年間収入130万円未満じゃ。60歳以上または障害のある人の場合は180万円未満になる。
新人
時給2,540円で130万円に収めようとすると……週にどのくらいですか?
先生
週9.8時間じゃ。週1日と少しじゃな。ただしこれは130万円という収入の要件だけで計算した数字での。実際の認定には、被保険者に主として生計を維持されておることや、同居なら原則としてその年収の半分未満といった要件もある。
新人
週1日……。相談者さんのように自分の収入で家計が回っているご家庭では、そもそも選べる話ではないですね。
先生
そういうことじゃ。それともうひとつ、大事なことがある。よく見かける「年収130万円を超えると誰でも社会保険に加入しなければならない」という説明は、正確ではない。130万円は誰かの扶養に入れるかどうかの基準であって、自分が勤め先の社会保険に入れる基準ではないんじゃ。
新人
えっ。じゃあ、130万円を超えたのに社会保険に入れない、ということが起こりうるんですか?
先生
起こる。週20時間未満で働いておる場合や、勤め先が規模の条件を満たさず、加入対象とする申出もしておらん場合じゃ。この話は後でもう一度出てくるから、覚えておいてくれ。

分かれ目は金額ではなく時間

先生
もうひとつの「106万円の壁」、所定内賃金が月8.8万円以上という条件のほうも見ておこう。これも同じでな。時給2,540円なら、週8時間ほど働けば超えてしまう。薬剤師の時給では、賃金の条件は最初から効いておらんのじゃよ。
新人
世間で大きく取り上げられている数字が、この職種ではほとんど関係ない……。なんだか不思議な感じがします。
先生
しかもこの賃金の条件は、令和8年——2026年の10月に撤廃される予定じゃ。日本年金機構と厚生労働省がそう案内しておる。じゃが撤廃されようとされまいと、相談者さんが見るべき数字は変わらん。金額ではなく、週に何時間・何日働くかじゃ。

年収と将来の年金は、どこがどれだけ動くのか

先生
さて、ここからは金額を見ていこう。先に断っておくが、これから出す数字はすべて、さっきの平均時給2,540円で働けたと仮定した場合の試算じゃ。時給は地域や求人で変わるし、年収は1年を52週として計算しておる。自分の場合は、実際の求人の時給に置き換えて考えてくれ。

週30時間・24時間・20時間・16時間で働いた場合の目安

週の所定労働時間別の年収の目安(時給2,540円で1年を52週として計算した試算。時給は令和7年賃金構造基本統計調査の短時間労働者の平均)。社会保険の欄は所定労働日数の条件も併せて判定した結果で、51人未満でも会社の申出により加入対象になる場合がある

週の時間年収の目安社会保険
30時間約396万円日数も4分の3以上なら、規模に関係なく加入
24時間約317万円会社全体で51人以上なら加入
20時間約264万円会社全体で51人以上なら加入
16時間約211万円加入対象外(雇用保険も外れる)
新人
週30時間で約396万円……。フルタイムの4分の3の時間で、これだけ残るんですね。もっと落ちるものだと思っていました。
先生
収入は半分になるのではのうて、時間に比例して動くだけじゃからな。さきほどの統計では、パートで働く薬剤師の1日あたりの所定内実労働時間は5.8時間じゃった。これを週4日で掛けると23.2時間、週3日なら17.4時間という計算になる。
新人
ということは、この表でいうと真ん中あたりが、その計算に近い働き方ということですね。
先生
そうじゃ。ただしこれは、1日あたりの平均時間に日数を掛けただけの試算での。「週3日で17.4時間の薬剤師が平均」という統計があるわけではないから、そこは切り分けて見てくれ。

特に確認が必要なのは、社会保険に入れないまま130万円を超えるとき

先生
ここで、さきほどの「130万円を超えても社会保険に入れないことがある」という話に戻る。3つの中でいちばん見落とされやすいのが、2つ目で会社の規模の条件に届かず、加入対象とする申出もされておらん場合じゃ。
新人
年収は130万円を超えているのに、勤め先の社会保険には入れない……。あ、配偶者の扶養にも入れないですよね。
先生
そうなる。国民健康保険と国民年金の保険料を自分で負担することになる。国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円じゃ。
新人
働く時間を減らしたのに、固定費のほうは増えてしまうんですか。それは……気づかずに決めてしまいそうで怖いです。
先生
じゃから週20時間台のゾーンは、勤め先の規模と、申出をしておるかどうかを先に確かめる必要があるんじゃ。ただし、これが損かどうかは家庭の状況で変わる。配偶者の健康保険や、ほかの収入によって評価は変わるでな。金額を並べて、自分の場合を確かめてほしい。

「年金が減る」の中身——減るのは報酬比例部分だけ

先生
最後に、相談者さんが気にしておられた年金じゃ。「パートにすると年金が減る」という話は、中身を分けると怖さの正体が見えてくる。
新人
よく聞く話ですけど、いくら減るのかまで書いてあるものは見たことがなくて……。分からないから怖い、という部分がありそうです。
先生
老齢厚生年金のうち、働き方で動くのは報酬比例部分じゃ。平成15年4月以降の期間は「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で計算される。
新人
計算式だけだと、正直ぴんと来ないです……。
先生
では50歳から60歳までの10年間、120か月で比べてみよう。

50歳から60歳までの10年間で積み上がる老齢厚生年金の報酬比例部分(モデルケースの試算。平均標準報酬額は仮に置いた金額で、実際は標準報酬月額の等級と賞与によって決まる)

働き方この10年で積み上がる年金額(年額)
正社員のまま(平均標準報酬額50万円)約33万円
週30時間のパート(同33万円)約22万円
厚生年金に加入しない働き方0円
新人
正社員のままと週30時間のパートで、差が年11万円……。月にすると9,000円くらいですか。思っていたより小さいです。
先生
一方で、厚生年金に加入しない働き方を10年続けると、年約33万円、月にして約2万7,000円が積み上がらんことになる。ここは差が大きい。
新人
「年金が減る」といっても、どれを選ぶかで全然違うんですね。
先生
そしてもうひとつ大事なことがある。老齢基礎年金は、保険料を納めておる限り減らん。厚生年金から外れて第1号被保険者になっても、国民年金保険料を納めれば基礎年金の部分は変わらんのじゃ。
新人
減るのは報酬比例部分だけ……。漠然と「年金が減る」と怖がっていたものの正体が、これだったんですね。金額が分かれば、10年で月9,000円をどう見るかという、比べられる話になります。
先生
そのとおりじゃ。ただし標準報酬月額は等級で決まるし、賞与も計算に含まれる。上の数字はあくまで目安じゃ。自分の見込み額は、ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所で確認できるでな。
新人
ねんきん定期便、届いていても封を開けないまま置いてしまいがちです……。相談者さんも、まずそこからですね。
先生
時間が決まったら、あとはその条件で働ける職場があるかどうかじゃ。週何時間で働きたいかが言えるようになっておれば、探し方も絞れるぞ。
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求人票に出ない3つを、誰に聞くか

先生
働き方が決まれば、あとは条件で探すだけじゃ。ところが、ここでひとつ問題がある。決め手になる3つの条件——週に何時間・何日の契約なのか、その条件で社会保険に入れるのか、会社全体で被保険者が何人おるのか——は、どれも求人票に載っておらんのじゃ。
新人
載っていないんですか? 社会保険のことなら「社保完備」と書いてありそうですけど……。
先生
その話も後でする。先に断っておくと、60歳の定年を区切りに会社の制度として嘱託やパートへ切り替わる話は、ここで扱っておる話とは別物じゃ。あれは会社が決めること、こちらは自分で決めることじゃな。
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「週3日」だけで決めず、「週◯時間」まで詰める

先生
薬局の求人は「週3日」「週4日」という書き方で出てくる。職場に相談するときも、日数の話で進みがちじゃ。わしが薬局におったころも、入職の話が「週何日で」とまとまって、1日何時間なのかは初日に知る、ということが何度もあった。
新人
薬局で働いている友人からも、シフトの話は日数で聞くことが多いです。「週何日入れる?」って。
先生
ところが社会保険の判定は、日数と時間の両方で決まる。「週3日で」と合意しただけでは、自分が社会保険に残れるのか判定できんのじゃ。1日何時間なのかまで詰めて、はじめてどれに当てはまるかが決まる。
新人
さっきの「週3日でも18時間と24時間で変わる」という話が、まさにそれですね。日数だけで決めてしまうと、あとから違ったということになりかねない……。
先生
今の職場に相談するときも同じじゃ。「辞めたい」ではのうて「働く量を変えたい」という相談として、希望を「週◯時間」と数字で出す。今の自分の所定労働時間は、雇用契約書や労働条件通知書に書いてあるでな。
新人
数字で出したほうが、辞める話だと受け取られにくそうです。相談者さんが「言い出せない」と書かれていたのも、辞めると思われそうだからでしたよね。

確認先を3つに仕分ける

先生
では、何をどこで確かめるかを仕分けておこう。3つに分かれる。

!週の時間を決めたあとに確認すること

  • 今の職場:雇用契約書・労働条件通知書に書かれた、いまの所定労働時間と所定労働日数を確認する
  • 今の職場:就業規則のパートタイム勤務・短時間勤務の規程を確認する
  • 求人段階:所定労働時間が週何時間なのかを、日数ではなく時間で確認してもらう
  • 求人段階:その条件で社会保険に加入できるのかを確認してもらう
  • 求人段階:同じ条件で働いている人が実際にいるかを確認してもらう
  • 内定時:所定労働時間・所定労働日数と社会保険の加入の有無を、労働条件通知書で確定させる
新人
さっきの「社保完備」の話、ここで出てくるんですね。
先生
うむ。求人票に「社保完備」と書いてあっても、それは会社に制度があるという意味じゃ。自分がその加入対象になるかどうかは別の話でな。時間の条件とあわせて確かめる必要がある。
新人
制度があることと、自分が入れることは違う……。言われてみればそうなんですけど、あの4文字を見ると安心してしまいそうです。

まとめ:量を落とすのは撤退ではなく設計

この記事のまとめ

  1. 1先に決めるのは時給ではなく、週の所定労働時間と所定労働日数
  2. 2時間と日数の両方が4分の3以上なら、会社の規模に関係なく社会保険に残れる
  3. 3週20時間台は会社全体の被保険者数次第。法人なら全事業所を合計して数える
  4. 4減るのは年金の報酬比例部分。基礎年金は保険料を納める限り減らない
先生
週3日にしたいという相談は、辞めたいという相談とは違う。何時間・何日働くかを決め直すという、働き方の設計じゃよ。
新人
「もう続けられないから辞める」ではなくて、「続けるために量を決め直す」なんですね。そう考えると、相談者さんが職場に持っていく話も変わってきそうです。
先生
決める順番さえ間違えなければ、あとは条件で探せる。時間と日数を決めて、その条件で聞いてもらう。求人票に出ないことを代わりに確かめてもらう相手の選び方から、見ておくとよい。
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