薬剤師からエンジニアに転職できる?未経験からの現実と始め方
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「薬剤師からエンジニアに転職したい」。未経験から本当になれるのか、年収はどう変わるのか、何から始めればいいのか。実際にこの道を歩いた人のリアルな道のりを、向き不向き・後悔も含めて正直に解説します。
登場キャラクター

薬剤師じいさん
薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ
新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!
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読者からの相談
調剤薬局で働いて6年目の薬剤師です。毎日同じような調剤と服薬指導の繰り返しで、ふと「この先何十年もこれを続けるのか」と思ったとき、リモートで自由に働くエンジニアの友人がまぶしく見えました。薬剤師からエンジニアに転職できないか調べていますが、未経験だし、今さら年収を下げてまで…と思うと踏み出せません。実際のところ、可能なんでしょうか。
📌この記事のポイント
- 薬剤師からエンジニアへの転職は可能。ただし未経験からの転職では年収が一旦下がりやすく、楽な道ではない
- エンジニアになればすぐリモートで自由に働けるとは限らない。最初は地道な学習・保守・修正から始まることもある
- 薬剤師免許は残り、医療ITや薬局DXの領域では「医療がわかるエンジニア」として経験が武器になる
まず結論:エンジニアへの転職はできる。でも楽な道ではない

「薬剤師からエンジニアに転職できるか」。結論から言うと、できる。未経験から挑戦して、エンジニアとして働いている元薬剤師の実例はある。じゃが、多数派の進路ではないし、簡単に移れる道でもないんじゃ。

できる可能性はあるけれど、誰でも簡単に転職できるわけではない、ということですね。

そうじゃ。未経験スタートなら、年収は一旦下がることがある。面接でも何社も落ちる可能性がある。さらに、エンジニアになればすぐにリモートで自由に働ける、とは限らん。未経験のうちは出社が必要な会社もあるし、任される仕事も地道な修正や保守から始まることがある。

リモートで自由に働く友人を見ると憧れますが、最初から同じように働けるとは限らないんですね。

その通りじゃ。「自由そうだから」だけで選ぶと、入ったあとにギャップが出やすい。じゃが、ゼロからのやり直しというわけでもない。薬剤師免許は転職しても手元に残るし、医療の知識はIT業界で武器になる場面がある。だから、憧れだけで飛ぶんじゃなく、現実を知ったうえで決めてほしいんじゃ。

憧れと現実、両方を見てから決めることが大事なんですね。実際に転職した人がどんな道のりだったのか、知りたいです。
薬剤師からエンジニアになった、ある人の話

わしの教え子に、薬剤師からエンジニアに移った者がおってな。一般論だけよりも、一人の歩んだ道のほうが自分に重ねやすいじゃろう。その道のりを話そう。

ぜひ聞きたいです。そもそも、何がきっかけだったんですか?

きっかけは語学留学じゃった。留学先にソフトウェアエンジニアがおってな。当時はまだリモートワークが珍しい時代じゃったが、その人は場所に縛られず働いて、自分の作ったサービスを数千万円で売却しとったそうじゃ。

数千万円…!そんな働き方があるのか、と衝撃だったでしょうね。

そうじゃ。ただし、サービス売却までできる人はかなり特殊な例じゃ。大事なのは金額そのものではなく、「薬局とは違う働き方がある」と知ったことなんじゃ。

成功例をそのまま自分に当てはめるのではなく、働き方の選択肢を知った、ということですね。

それで自分でもプログラミングを始めた。学び方は独学でな。スクールには通わず、「自分が欲しい」と思うWebサービスを、実際に手を動かして作りながら覚えていったそうじゃ。

独学で、しかも作りながら覚える…。行動力がすごいですね。でも、転職してすぐは大変だったんじゃないですか?

うむ、厳しかったそうじゃ。未経験スタートじゃから、薬剤師時代に620万円ほどあった年収が、約200万円下がって420万円ほどになった。生活は一時的に苦しくなったと言うとった。

200万円ダウン…。それは、踏み出すのに勇気がいりますね。

つらかったのは収入面だけではない。プログラミングの文法は独学で覚えられても、開発の「作法」——設計の考え方や、チームで開発を進める流儀のようなものが分からず、そのキャッチアップに苦労したそうじゃ。

文法とは別に、仕事としての進め方があるんですね。

そうじゃ。今は独立して、時間単価でいえば税込6,600円ほどまで来た。ただし、これは会社員の月給や年収と単純には比べられん。案件がない期間、社会保険、経費、営業の時間も自分で背負うからじゃ。

時間単価だけを見ると高く見えても、会社員とは条件が違うんですね。

そうじゃ。単純な時間単価だけを見れば薬剤師時代を上回る水準まで届いた。じゃが、独立は収入の波もリスクも自分で背負う働き方じゃ。誰にでも勧められるものではない、とは正直に言うておく。

上がる可能性はあるけれど、その分リスクもある。そこまで含めて考えないといけないんですね。

そして、良かったこともある。薬局や病院の仕事は、職場によっては日々の業務にルーチン感を覚えやすいことがある。一方で、エンジニアの仕事には、課題を見つけて改善したり、仕組みを作ったりする面があり、そこに面白さを感じているそうじゃ。もちろん、地道な修正や保守も多いがな。

華やかな仕事ばかりではないけれど、作ったり改善したりする面白さがあるんですね。

しかも今は医療業界のDX——デジタル化を進める会社で、「医療がわかるエンジニア」として働いとる。薬剤師の経験を捨てたのではなく、ITとかけ合わせて活かしたんじゃ。

薬剤師の経験を捨てるんじゃなくて、活かせたんですね。それはちょっと希望が持てます。
現実として見ておきたい難易度・年齢・年収

一人の例だけでは「その人がたまたま」かもしれん。少し引いて、全体として見ておきたい現実も整理しておこう。

そうですね。まず、難しさの実際はどうなんでしょう?

難易度の話じゃ。30代の未経験からでも「無理」ではない。ただ、20代と比べると採用のハードルは上がりやすい。企業はこれから長く伸びる若手を採りたいと考えることが多いからの。年齢が上がるほど、早めに準備を始めることが大事になる。

30代だと厳しくはなる、でも無理ではない、ということですね。

そうじゃ。それと、採用の現実も正直に言うておく。未経験からの転職では、何社も面接に落ちることがある。1社や2社落ちただけで「自分はダメだ」と折れんことが大事じゃ。

何社も…。心が折れそうになりますね。落ちる前提で受ける、という心構えがいるんですね。

その通りじゃ。落ちることを前提に数を受けて、落ちるたびに、見せる作品——ポートフォリオや、面接での伝え方を少しずつ直していく。落ちるのは失敗じゃなく、改善の材料なんじゃ。

落ちても、次に活かせばいいんですね。少し気が楽になります。

年収も見ておこう。厚生労働省の職業情報提供サイトでは、薬剤師の賃金は令和7年賃金構造基本統計調査をもとに全国で566.8万円と示されている。一方、未経験からのエンジニア転職では、転職直後の年収が前職より下がることもある。さっきの教え子も、一旦420万円ほどまで下がっとった。

やっぱり、一度は下がる可能性があるんですね…。

じゃが大事なのは、その下がった状態がずっと続くとは限らない、ということじゃ。スキルが身につけば、そこから伸ばし直せる可能性はある。一度下がってから伸ばす——この前提で生活設計をしておくのが、後悔を防ぐ鍵になる。

下がる時期があると最初から分かっていれば、慌てずにすみそうです。
6年かけた資格は無駄になるのか

ここで、多くの人が一番ひっかかるところに触れよう。「6年もかけて取った資格が、無駄になるのではないか」という不安じゃ。

それは…大きいですよね。せっかくの資格を手放すのは、もったいない気がしてしまいます。

結論から言えば、無駄にはならん。薬剤師免許には更新の制度がなく、現場を離れても免許そのものが消えるわけではないんじゃ。薬剤師法に免許の取消し等の規定や2年ごとの届出義務はあるが、それは更新とは別の手続きじゃ。

辞めても、免許そのものは残るんですね。

そういうことじゃ。つまり、エンジニアが合わなかったら、薬剤師に戻る選択肢は残る。資格は「捨てるもの」ではなく、戻れる場所を残す「保険」と考えられるんじゃ。

戻れる場所がある、と思えると、ずいぶん気持ちが軽くなりますね。

もちろん、現場を離れた期間が長くなれば、調剤報酬や薬歴システム、在宅対応、制度変更などのキャッチアップは必要になる。じゃが、免許そのものが消えるわけではないから、完全に道が閉ざされるわけではないんじゃ。

簡単に戻れると考えすぎるのは危ないけれど、選択肢として残るのは安心材料になりますね。

もう一歩進んだ見方もある。知識を「捨てる」のではなく「掛け算する」という発想じゃ。医療ITや薬局DX、電子薬歴、オンライン服薬指導、医療データの活用といった領域では、医療現場を知っていることが評価される場面がある。

さっきの教え子さんが「医療がわかるエンジニア」として働けたのも、その掛け算なんですね。

その通りじゃ。医療現場を経験していないエンジニアには、現場の業務フローや用語、安全面の肌感覚がつかみにくいことがある。そこに薬剤師の経験が乗ると、医療ITの領域では強みになる。薬剤師の経験は、捨てずに武器にできるんじゃ。

捨てるんじゃなくて、活かす。そう考えると、見え方が変わりますね。

なお、「そもそも薬剤師を続けるか辞めるか自体で迷っとる」という段階なら、エンジニア転職を具体的に考える前に、その迷いを整理するのが先じゃ。
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薬剤師経験は、エンジニア転職でどう武器になるのか

「医療がわかるエンジニア」という言葉だけでは、少し抽象的かもしれん。実際に転職活動でどう活かせるかも見ておこう。

たしかに、薬剤師経験が武器になると言われても、どう伝えればいいのか分かりにくいです。

たとえば、薬剤師として働く中で身についた次のような力は、医療ITの現場でも評価されることがある。
- 患者さんや多職種に説明してきた経験からくる、分かりやすく伝える力
- 疑義照会や処方監査で培った、情報を確認しながら判断する力
- 薬歴や調剤過誤防止で求められる、正確性と安全への意識
- 薬局・病院の業務フローや、現場で使われる言葉への理解
- 医療制度や薬剤師業務を前提に、現場が困りそうな点を想像する力

こうして見ると、薬剤師としての経験もそのまま使える部分があるんですね。

そうじゃ。ただし、薬剤師経験だけでエンジニアとして採用されるわけではない。あくまで、プログラミングを学び、動くものを作り、そこに薬剤師経験を掛け合わせるから強みになるんじゃ。
向いている人・慎重になったほうがいい人

エンジニアへの転職は、誰にでも合うわけじゃない。向き不向きを正直に見ておこう。後悔を防ぐには、ここが一番大事じゃ。

自分に向いているかどうか、気になります。どんな人が向いているんですか?

まずは向いている人の特徴を見てみてくれ。
!エンジニア転職、自分に向いている?
- 新しいことを学び続けるのが、苦にならない
- ものを作ること自体が楽しいと感じる
- 正解のない問題を、試行錯誤しながら解くのが好き
- 分からないことを調べながら進めるのが嫌いではない
- 医療とITをかけ合わせる仕事に興味がある

作るのが楽しい、学び続けるのが苦じゃない…。当てはまると、楽しく続けられそうですね。

逆に、慎重になったほうがいい人もおる。「安定が何より大事」という人、「一定期間も年収を落とせない事情がある」人、「分からないことを自分で調べるのが強いストレスになる」人じゃ。

そこに当てはまると、諦めたほうがいいんでしょうか…。

いや、当てはまっても「だから諦めろ」とは限らん。たとえば年収を落とせない事情があるなら、いきなり辞めず、働きながら少しずつ準備して移行すれば、収入が途切れるリスクを抑えられる。独学が続かんなら、次に話すスクールという手もある。不利な条件は、進め方の工夫である程度カバーできるんじゃ。

工夫しだいで補えるんですね。それなら、当てはまっても考える余地がありそうです。
どう始める?独学とスクール、2つの道

「やってみたい」と思ったとき、学び方は大きく2つある。どちらが正解ということはなく、自分の性格・かけられる費用・状況で選ぶ。共通しとるのは、いきなり仕事を辞める必要はない、ということ。どちらも働きながら始められる。

働きながら始められるなら安心です。2つの道、それぞれ教えてください。
独学:自分で動くWebサービスを作ってみる

1つ目は独学じゃ。さっきの教え子のように、「自分が欲しい」と思う、実際に動くWebサービスを1つ作ってみる方法じゃな。

動くサービスを、自分で作ってみるんですね。

いいところは、働きながら始められて、費用が抑えられること。そして、作ったものがそのまま、採用面接で見せられる作品——ポートフォリオになることじゃ。一方で、自分で計画を立てて続ける力が要るし、開発の「作法」は独学だけだと身につけにくい面もある。

メリットも弱点も両方あるんですね。

まずは小さく作ってみる。それだけでも得るものがある。作ってみて「楽しい、続けられそう」と思えたら本気で検討すればいいし、続かなければ、それは「エンジニア転職は今の自分には違うかもしれない」と判断する材料になる。どちらに転んでも損はないんじゃ。

やってみて損がない、と思えると、最初の一歩を踏み出しやすいです。
!まず1か月で試したいこと
- 無料教材でHTML・CSS・JavaScriptに触れてみる
- 薬のメモ帳、服薬リマインダー、在庫管理メモなど、薬剤師業務に近い小さなアプリを考える
- 完成度よりも、1つ動くものを作ることを目標にする
- 作っていて楽しいか、調べながら進めるのが苦痛すぎないかを確認する
- いきなり退職せず、働きながら続けられるかを見る
スクール:伴走してもらえるが、保証条件は必ず確認する

2つ目はスクールじゃ。「独学が続かない」「何から手をつければいいか分からない」という人には、体系立てて学べてサポートも受けられるスクールが、現実的な選択肢になる。

体系立てて教われるのは、初心者には心強いですね。

中には、就職や転職の保証が付いたコースを用意しとるスクールもある。ただし注意がいる。就職保証には、年齢・受講状況・転職活動の条件などが設けられていることが多い。30代だと保証の対象から外れるケースもあるんじゃ。

保証という言葉だけで安心してはいけないんですね。自分が対象か、確認が必要ですね。

そうじゃ。自分が保証対象になるか、保証される就職先がどんな内容か、途中で辞めた場合の費用はどうなるか、ポートフォリオ支援や質問対応はどこまであるか。申し込む前に必ず確認してほしい。費用もそれなりにかかるからの。

もし、年齢で保証の対象から外れてしまったら…その時点で諦めるしかないんでしょうか。

いや、対象から外れても道がなくなるわけじゃない。さっき話した独学で、動くものを作って実績で勝負する手は、年齢に関わらず残っとる。保証がなくても、挑戦しとる人はおるからの。
踏み出す前に整理しておきたいこと

最後に、動き出す前に立ち止まって考えてほしいことを伝えておく。避けたい判断が3つあるんじゃ。1つ目は、今の職場がつらいだけなのに、その「逃避」だけで飛んでしまうこと。2つ目は、「スクールに払えば自動でなれる」と思い込むこと。3つ目は、年収が下がる期間の生活設計をしないまま、勢いで辞めてしまうことじゃ。

どれも、勢いがあるとやってしまいそうです…。避けるには、どうすれば?

それを避けるために、次の3つを整理しておくとよい。
- なぜエンジニアなのか——今の職場からの逃避なのか、本気で進みたい方向なのか
- 年収が下がる時期を許容できるか——その間の生活設計はどうするか
- 学習の時間を確保できるか——働きながら、どこにその時間を作るか

なぜエンジニアか、生活設計、学習時間…。大事なのは分かりますが、一人だと考えがまとまらなそうです。

そうなんじゃ。一人で考え続けると、たいてい堂々巡りになる。そういうときは、実際に薬剤師からエンジニアになった経験者に、直接話を聞いてみるのが近道じゃ。一般論ではなく、自分のケースに即して整理できるからの。
オンライン・45分
キャリア相談で方向性を整理する
薬剤師→異業種を経験した相談員が、考えの整理をお手伝いします
まとめ:薬剤師の経験を武器に、現実を見て次の一歩を決めよう
この記事のまとめ
- 1薬剤師→エンジニアは可能だが、未経験からの転職では年収が一旦下がり、何度も面接に落ちる前提が要る
- 2エンジニアになればすぐリモートで自由に働けるとは限らない。最初は地道な学習・修正・保守から始まることもある
- 3学び方は独学(動くWebサービスを作る)とスクール(体系的に学べるが、費用と保証条件に注意)の2つ
- 4薬剤師免許は残り、医療ITや薬局DXの領域では「医療がわかるエンジニア」として経験が武器になる
- 5なぜエンジニアか・生活設計・学習時間を整理してから動けば後悔しにくい

薬剤師からエンジニアへの道は、夢物語でも、誰にでも無理な道でもない。年収が一旦下がり、何度も面接に落ちる——その現実を受け止めたうえでなら、挑戦できる可能性はある。そして、これまでの経験は捨てるものではなく、武器にできる。

捨てるんじゃなくて、活かす。そう思えたら、前を向けそうです。

迷っとるなら、まずは小さく作ってみる。そして、薬剤師以外の道も含めて方向を決めかねるなら、勢いで飛ぶ前に、実際にこの道を歩いた経験者と一緒に、一度考えを整理してみるとよいぞ。

相談者さんにも、まずは小さく試してみて、と伝えたいです。一人で抱えず、整理してから決めればいいんですね。
オンライン・45分
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薬剤師→異業種を経験した相談員が、考えの整理をお手伝いします