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薬学部で留年、学費が親に申し訳ない|辞める前に確認するお金と奨学金

公開日:

薬学部で留年し、追加の学費を親に負担してもらうのが申し訳ないと感じている方へ。留年しても学費が必ず1年分満額とは限りません。辞めると決める前に、留年年度に実際いくら必要か、給付・貸与奨学金や授業料減免はどうなるか、親にどう伝えるかを整理しました。

登場キャラクター

薬剤師じいさん

薬剤師じいさん

薬剤師歴70年の大ベテラン。病院・薬局・ドラッグストアすべてを経験してきた生き字引。豊富な経験と公的データに基づいて、若手薬剤師の悩みにズバッと答えます。

みさ

みさ

新卒2年目の若手薬剤師。病院で働いているけど、年収やキャリアに不安を感じている。全国の悩める若手薬剤師を代表して、気になることをどんどん質問していきます!

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読者からの相談

私立薬学部の2年生です。前期で単位を落として、留年が決まりました。学費は年間200万円近くかかっていて、下に妹もいるのに、また1年分お願いすることになります。親にはまだ言えていません。薬学の勉強自体が嫌なわけではないんですが、申し訳なさすぎて、自分から辞めると言ったほうがいいんじゃないかとずっと考えています。

📌この記事のポイント
  • 留年しても、学費が必ず「もう1年分満額」とは限らない
  • 貸与も給付も、卒業延期が確定すると原則「廃止」。1年止まるだけとは限らない
  • 親には、大学で最低限の確認をしたうえで早めに話す

まず結論:留年のお金は3つに分けて考える

先生
相談者さんに最初に伝えたいのは、今日、退学を決めないことじゃ。やることは3つ。①留年年度に請求される額の見込みを出す。②返済不要の支援がどれだけ使えるかを確かめる。③残る必要資金をどう賄うかを確かめる。この3つを大学で確認して、その数字を持って親御さんと話す。決めるのはそのあとでよい。
新人
……いきなり結論なんですね。でも「あと200万円」という数字だけが頭にある状態で退学を考えるのと、その3つを確かめてから考えるのとでは、たしかに全然違いそうです。
先生
そこじゃ。お金の話は一段にまとめると答えが出ん。特に②と③は混ざりやすい。②は返さなくてよい支援——授業料の減免、給付型の奨学金、大学独自の給付制度じゃ。③は残った額をどう賄うか——貸与奨学金、分納や延納、家庭の自己資金、教育ローン。こちらは分納にしても総額は1円も減らんし、貸与や借入は今の支払いを将来の負担へ移すだけじゃ。
新人
「分納できるなら負担が軽くなる」と思っていました。総額は変わらないんですね。……ただ、②の支援は、留年してもそのまま使えるんでしょうか。
先生
そこが厄介でな。卒業が延びることが確定すると、貸与も給付も原則として打ち切りになる。いま受けておる支援を当てにしたまま数えると、読み違えるんじゃ。じゃからこそ思い込みではなく大学で確かめる。①②③は、今週のうちに確認を始められる。留年した年の学費が満額かかるのか、使える制度が何かは大学ごとに規程が違うから、ネットを眺めても自分の大学の答えは出てこん。
新人
じゃあこの記事では、辞めるか続けるかの答えは出さない、ということですか?
先生
出さん。それを決めるための数字が、まだ相談者さんの手元に揃っておらんからの。

薬学部の留年でかかる学費と、奨学金がどうなるか

先生
①②③を順番に見ていこう。
留年のお金の整理を示した図。総費用(留年者向けの納付規程を反映した留年年次の請求額と生活費)から、①にまだ反映されていない返済不要で賄える額(授業料減免・給付型奨学金・大学独自の給付制度)を引くと残る必要資金になり、その賄い方を親と相談することを示している
返済不要で賄える額を先に確かめると、親と相談すべき金額が出せる

留年のお金は3つの層に分けて数える

何を確かめるか必要な資金への効き方
① 総費用留年者向けの納付規程を反映した、留年年度に請求される額の見込み。追加でかかる生活費ここが出発点
② 返済不要で賄える額①にまだ反映されていない支援だけを数える。いま受けている給付奨学金・授業料等減免が残るか、新たに使えるものがあるか確かめた分だけ、自分で用意する額が減る
③ 残る必要資金の賄い方貸与奨学金、分納・延納、本人や家庭の自己資金、教育ローンや大学提携の学費融資総額は変わらない(後払い・借入を含む)

①総費用 — 留年すると学費はいくら増える?

先生
まずは①じゃ。私立薬学部の学費は大学によって幅がある。たとえば明治薬科大学が公表しておる2025年度の額は、初年度232万円、2年次以降202万円じゃ。ただしこれは一例で、まず自分の大学の学費表を見ることじゃな。
新人
留年した年も、この額がそのままかかるんでしょうか。
先生
そこが大学によって大きく違う。留年時も通常の学費を納める大学がある一方、授業料の減額や実験実習料の免除、未修得科目数などに応じた納付額を定めておる大学もある。たとえば横浜薬科大学は、留年期間中の納付額を「授業料の3分の1+前年度の未修科目数×5万円」としておる。
新人
「留年=もう1年分まるまる」と決めつけて絶望していたのに、実は違った…というケースもあり得るわけですね。
先生
うむ。じゃから①は、留年者向けの規程を反映した「実際に請求される額」の見込みとして出す。それと忘れがちなのが生活費じゃ。下宿しておるなら家賃も1年分延びる。①に入れるのは学費だけではないぞ。

②返済不要で賄える額 — 残るか、新しく使えるかを確かめる

先生
次は②じゃ。ここで賄えた分は返さなくてよい。ただし先にひとつ約束してほしい。①で留年者向けの減額を反映して請求額を見積もったなら、同じ減額を②でもう一度引かんこと。二重に引くと、足りない額を実際より小さく見積もってしまう。
新人
②で数えるのは、①にまだ反映されていない支援だけ、ということですね。
先生
そうじゃ。そのうえで②は2つに分かれる。ひとつはいま利用しておる国の修学支援新制度。もうひとつはこれから探す返済不要の支援じゃ。
新人
国の制度というのは、給付型奨学金と授業料の減免ですよね。留年するとどうなるんでしょう。
先生
給付型奨学金と授業料等減免は、同じ修学支援新制度の支援じゃ。給付奨学金は、修業年限で卒業できないことが確定すると原則「廃止」の基準に当たる。やむを得ない事由などの例外はあるがな。
新人
減免のほうも、一緒になくなってしまうんですか?
先生
授業料等減免も、卒業延期の確定は原則として支援を続けられない条件に当たる。ただし現在の制度には授業料等減免のみを受けるケースもあってな、給付が止まる=減免も同じ日に自動的に止まる、とまでは言えん。実際にいつ支援が止まり、留年年度の請求額がいくらになるかは、認定の時期や大学側の処理で変わる。ここは大学で確かめることじゃ。
新人
「減免があるから大丈夫」と数えるのは危ない、ということですね。……家計が急変したから、あらためて国の制度に申し込む、という手はどうでしょう。
先生
そこは期待しないほうがよい。給付奨学金の在学採用の学力基準にも「修業年限で卒業又は修了できないことが確定したこと」に当たる人は採用されない、とある。卒業延期が確定した人が普通に使える救済策ではないんじゃ。
新人
国の制度は当てにしにくい、と。……では、もうひとつの「これから探す支援」は?
先生
大学独自の給付奨学金や学費免除、大学が案内しておる民間団体・自治体の返済不要の支援じゃ。こちらは確認する価値がある。ただし留年者が対象外の制度もあるから、対象条件と申請期限をセットで確かめることじゃ。
新人
……あと、給付型って返さなくていいはずですけど、廃止になったら過去の分を返すことになったりはしないんでしょうか。
先生
一律に返すわけではない。JASSOでは、学業成績が著しく不良で、やむを得ない事由がない場合などには支給済み分の返還を求めることがある、とされておる。実際に返還が必要かどうかは、大学から交付される処置通知で確認するんじゃ。

③残る必要資金の賄い方 — 留年すると貸与奨学金はどうなる?

先生
②で賄いきれなかった分を、どう用意するかじゃ。代表的には4つに分けて考えられる。貸与奨学金、分納・延納、本人や家庭の自己資金、それと教育ローンや大学提携の学費融資。どれも総費用そのものは減らさんことを、頭に置いておきなさい。
新人
教育ローンというと、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」ですか。
先生
そうじゃ。保護者が借りる形の融資でな、大学と提携した学費融資を案内しておる学校もある。借入である以上、誰が返すのか・利息はどうなるのか・審査に通るのかは必ず確かめること。貸与奨学金も同じで、第二種は有利子じゃから、将来返す総額は借りた元本より増える。
新人
その貸与奨学金も、留年すると扱いが変わるんですよね。
先生
ここがいちばん大きく動く。JASSOの奨学金には「適格認定」という仕組みがあってな、毎年度末に判定があり、「継続」「警告」「停止」「廃止」の4つに振り分けられる。そしてJASSOはこう明記しておる。「卒業(修了)延期が確定した人、又は卒業(修了)延期の可能性が極めて高い人等は、原則『廃止』となります」とな。
新人
「停止」ではなく「廃止」…。この2つは違うものなんですか?
先生
停止は一定期間だけ止まるもので、条件を満たせば復活する。廃止は奨学生の身分そのものを失う処置で、同じ奨学金が自動的に復活する仕組みはない。最終的な認定の結果は大学から通知される。
新人
……ということは、廃止になったら、卒業まで貸与は使えないということですか?
先生
そうとも限らんのじゃ。JASSOは、成績不振による留年の期間中は新規の申込みはできないが、留年が明けて進級した後は、貸与奨学金へ改めて申し込めると案内しておる。最終学年を留年しておる場合は申し込めん、という例外もあるがな。一方、給付奨学金は卒業延期の確定で申込資格を失い、留年明けの後も原則申し込めん。貸与と給付でここに差がある。今後の資金計画まで含めて、窓口で確認しておくことじゃ。
新人
「廃止=残りの大学生活ぜんぶ自費」ではないんですね。それが分かるだけでも、だいぶ違います。……ちなみに、卒業して薬剤師になった後は、借りた分をどう返していくことになるんでしょう。
先生
それはまた別の話でな、返済の実像は別に用意してある。今はまず、在学中の見通しを立てるのが先じゃ。
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貸与奨学金が廃止されたら、返還開始をどうするか

先生
さきほど「在学中の見通しを立てるのが先」と言うたな。ここからは貸与奨学金——返す必要があるほうの話じゃ。廃止になったときに在学中どうなるかを、もう少し具体的に見ておこう。

在学中の返還開始は「在学猶予願」で先送りできる

先生
いちばん怖がられておるのが「廃止になったら、借りた分の返済がすぐ始まるのか」というやつでな。
新人
それは怖いです。在学中なのに返済が始まったら、生活が回らないですよね。
先生
そうとは限らん。廃止になると返還のための口座振替(リレー口座)の加入手続きが必要になるが、JASSOはこう書いておる。「引き続き在学する場合は『在学猶予願』の提出により、在学している期間、返還開始を先送りできます」とな。
新人
在学中は待ってもらえるんですね。……でも、これって手続きをしないと始まってしまうということですか?
先生
よい気づきじゃ。出さなければ猶予されん。しかも留年で当初届け出た卒業予定期を超える場合は、1年ごとに在学猶予願を出す必要がある。猶予の適用期間にも上限があって、2020年4月以降は通算10年じゃ。

休学も考えているなら、扱いを別に確認する

先生
もうひとつ。学費がどうしても用意できず、一度休んで働くことを考える人もおる。通常、休学すると奨学金は「休止」の手続きを取り、復学後に「復活」できる場合がある。ただし、すでに卒業延期が確定しておる人が休学を選んだ場合にどう扱われるかは、まったく別の話じゃ。
新人
先に釘を刺されましたね。……つまり、休学に切り替えれば廃止を避けられる、という話ではないと。
先生
そうはならん。休学を選んだからといって、卒業が延びる事実が消えるわけではないからの。休学は、体調や家庭の事情、あるいは資金を作るために一度離れる必要があるときの選択肢じゃ。自分の場合どう扱われるかは、必ず大学の奨学金窓口で確認しなさい。申請期限が早い制度もあるから、考える可能性があるなら期限だけは先に聞いておくことじゃ。

今週、大学で確認すること

先生
ここまでの内容を、動ける形にまとめよう。①②③の順に聞いていけばよい。窓口の名称や担当部署は大学によって違って、学生課が学費も奨学金もまとめて扱っておるところもある。大事なのは3つの中身であって、3か所回ることではないぞ。

!今週、大学で確認を始める3つのこと

  • ① 留年年度に請求される額の見込みを出す(留年者向けの規程・学費・生活費)出発点が決まる
  • ② ①にまだ反映されていない返済不要の支援を確かめる(残るか/新しく使えるか)自分で用意する額が見える
  • ③ 残る必要資金の賄い方を確かめる(貸与・分納・借入)手が何本あるか分かる

①学生課・会計 — 総費用の見込みを出す

先生
まずは①じゃ。聞くのは2つ。留年した年の学費は通常どおりか、留年者向けの納付規程があるか。それと、下宿しておるなら生活費が何か月分よけいにかかるかじゃ。
新人
ここで「実際に請求される額」の見込みが出るわけですね。想像だけで絶望せずに済みます。

②学生課・奨学金窓口 — 返済不要で賄える額を確かめる

先生
次が②。いま国の修学支援新制度を受けておるなら、支援がいつからどうなるのか、留年年度の請求額がいくらになるのかを聞く。給付が廃止となる場合に、支給済み分の返還が発生する処置かどうかもな。あわせて、大学独自の給付奨学金や学費免除、民間・自治体の支援があるかを探す。
新人
締切も一緒に聞くんでしたね。それと、①に反映済みの減額をここで二重に数えないこと。
先生
うむ。ここで拾えた分だけ、自分で用意する額が減る。

③奨学金窓口 — 残る必要資金の賄い方を確かめる

先生
最後に③じゃ。適格認定の見込みと、廃止された場合の手続き。留年明けに貸与へ申し込み直せるか。大学独自の貸与奨学金や提携の学費融資はあるか。分納・延納はいつまでに申請するか——ここまで聞いておく。
新人
最初に「奨学金が止まる」と聞いたときは頭が真っ白になりましたけど、こうして聞く項目に落ちていると、確認できることなんだと思えます。
先生
ただし、ここで出るのは「確定した額」ではないぞ。適格認定は見込みじゃし、減免も独自制度も申請前に通るかどうかは決まらん。それでも、必要な額と使える制度の見通しは立つ。親御さんと話すには、それで十分じゃ。

6年間で卒業できない学生は、決して少なくない

先生
数字の話がひと区切りついたところで、ひとつだけ。留年が決まった人はたいてい「自分だけが落ちこぼれた」と思い込んでおるが、数字を見るとそうでもない。文部科学省の「薬学部における修学状況等」2025年(令和7年)度調査結果によると、2019年度に私立大学の6年制薬学科へ入学した9,906人のうち、標準修業年限内に卒業したのは6,521人。卒業率は65.8%じゃ。
新人
65.8%…。ということは、約3人に1人は6年間で卒業していないということですか。思っていたよりずっと多いです。
先生
ただし、数字の読み方には気をつけての。これは「6年間で卒業していない人の割合」であって、そのまま留年率ではない。休学や退学など、留年以外の理由で卒業しておらん人も含まれておる。
新人
なるほど…。それでも、標準修業年限内に卒業できない学生が決して珍しい存在ではないことは確かなんですね。
先生
そうじゃ。自分だけが取り残されたように感じるかもしれんが、そうではない。そのうえで、親御さんにどう話すかじゃ。

親には、謝罪だけでなく見通しも持っていく

先生
相談者さんは「親にはまだ言えていない」「自分から辞めると言ったほうがいいんじゃないか」と書いておった。この2つは、たぶん繋がっておる。「辞めればこれ以上負担をかけずに済む」と考えて、数字を確かめる前に退学へ気持ちが傾いておるのかもしれんな。
新人
……本気で家計を心配しているからこそ、そう考えてしまうんですよね。

1枚にまとめる4項目 — 総費用・支援の見込み・残る資金・卒業はいつ

先生
報告の形を整えるとよい。謝ることが悪いのではない。謝罪だけで終わらせないことが大事なんじゃ。謝って終わると、親御さんは動揺だけを受け取って、中身の話に進めん。大学で聞いた結果を、4つの項目で1枚にまとめて持っていきなさい。
  • 総費用の見込み(留年者向けの規程を反映した請求額と生活費)
  • 返済不要で賄える額(確定した分と、申請予定の分を分けて書く)
  • 現時点で残る必要資金(幅のままでよい)
  • 卒業はいつになるか
先生
たとえばじゃ。留年年次の学費は通常どおり請求されて202万円、自宅から通っておるので生活費の増分はなし。大学独自の給付が30万円で採用が決まっており、大学の学費減免は申請すれば最大50万円下がる見込み——じゃが、まだ通ってはおらん。ここまで分かったとする。
新人
……その場合、1枚に書くのは「総費用202万円」「確定30万円」「申請予定は最大50万円」「今の時点で残るのは122万〜172万円」ということですか。
先生
そうじゃ。確定した分と、まだ通っておらん分は分けて書く。これを混ぜて「80万円下がります」と言うてしまうと、通らなかったときに話が崩れる。幅のまま出すほうが、親御さんと一緒に考えられるんじゃ。

最初の一言は、こう切り出す

新人
ただ、いざ目の前にすると、最初の一言が出てこない気がします。何と言えばいいんでしょう。
先生
そこじゃな。長い前置きは要らん。こんな形でよい。
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親への切り出し例

留年が決まった。本当にごめん。ただ、辞めると決める前に大学でお金のことを確認してきた。追加でかかる費用は◯円くらい。返さなくていい支援で確定しているのが◯円、申請中のものが最大◯円あるので、残るのは◯万〜◯万円くらいになりそう。分納や借入も含めて、残りをどうするか一緒に相談させてほしい。

新人
謝罪から入っていますけど、そのあとに「確認してきた」と続いて、確定と申請中まで分かれている。……受け取る側の印象がまったく違いますね。
先生
親御さんにとっては、金額だけでなく「この先どうなるのか」も大きな不安になり得る。見通しを一緒に渡せるかどうかで、話の進み方が変わるんじゃ。それと、親御さんに黙って退学や休学を決めるのはすすめられん。学費を出しておるのが親御さんである以上、それは相談ではなく事後報告になる。同じ情報を見て一緒に決めることじゃ。

先延ばしにすると、選べたはずの選択肢が減る

先生
最後にひとつだけ、急かすようで心苦しいが伝えておきたい。学費減免や大学独自制度の申請、分納・延納、休学願、JASSOへ本人が出す届出——こうした手続きには申請期限がある。期限を過ぎると、その年度は利用できなくなる制度もあるんじゃ。
新人
「言えないまま数か月が過ぎて、気づいたら減免も申請できなくなっていた」というのは…いちばん避けたい結末ですね。
先生
そうじゃ。今週大学に行くだけなら、親御さんに話す前でもできる。じゃが、全部の見通しが揃うのを待つ必要はない。期限が迫っておるなら、分かった分だけ持って早めに話すことじゃ。

親と話したあとは、3つを分けて決める

先生
親御さんの返事が出たら、そこからが本当の判断じゃ。ここも混ぜると答えが出んから、3つに分けなさい。
  • 残った必要資金を、家庭で背負えるか
  • 自分は薬剤師を目指し続けたいか
  • 同じ留年を繰り返さない手当てができるか
新人
「お金」と「気持ち」を分けるのが大事な気がします。「家計が厳しい」と「続けたくない」は、まったく別の話ですよね。
先生
そこじゃ。家計が厳しくても気持ちが固まっておるなら、休学時の学費や在籍料、奨学金の扱い、復学の条件を大学で確認したうえで、一度離れて資金を作る選択肢も含めて考える価値はある。逆に家計のめどが立っても気持ちが揺れておるなら、そこを先に整理せんと、同じ悩みが1年後に戻ってくる。

「薬剤師を目指し続けたいか」で迷ったら

先生
気持ちのほうで迷っておる人に、現場の側から言えることがある。わしが薬局や病院におった頃、留年や卒業延期を経て薬剤師になった同僚は珍しくなかった。もちろんわしが見てきた範囲の話で、採用の考え方は職場によって違う。じゃが少なくとも、留年したことだけで、その後の薬剤師としてのキャリアが決まるわけではない
新人
とはいえ、単位を落としている以上、勉強のほうも何とかしないといけないですよね。
先生
学業の立て直しも大事じゃ。じゃがそれは3つ目の軸の話でな、攻略法をここで語るつもりはない。何を変えれば繰り返さずに済むか、当てがあるかどうか。それだけは自分に問うておきなさい。
新人
……ただ、そもそも「自分は薬剤師になりたいのか」自体が揺れている、という方もいそうです。
先生
その場合は、お金の計算より先にそちらを整理したほうがよいな。順番が違うと、いくら計算しても答えが出んからの。
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まとめ:3つに分ければ、親と同じ数字を見て話せる

この記事の要点

  1. 1留年のお金は「総費用」「返済不要で賄える額」「残る必要資金の賄い方」に分ける
  2. 2①に反映した減額を②で二重に引かない。確定と申請中も分けて数える
  3. 3卒業延期の確定で貸与も給付も原則「廃止」。貸与は留年明けに申し込める場合がある
  4. 4親と話したあとは「家計」「気持ち」「繰り返さない手当て」を分けて決める
先生
申し訳なさは、数字が出たからといって消えるものではない。じゃがな、いくら要るのかも、どこまで賄えるのかもわからん状態では、本人も親御さんも何ひとつ決められんのじゃ。
新人
「申し訳ない」だけを持って話しに行くと、相手も「申し訳ない」を受け取るだけで終わってしまう…。今日いちばん腑に落ちたのは、相談者さんが辞めるかどうかを、必要な額も残る額も知らないまま決めようとしていたという構造でした。
先生
そこに気づけたなら十分じゃ。3つに分けて数えれば、少なくとも親御さんと同じ数字を見ながら話せる。続けるか進路を変えるかは、そこから決めても遅くはない。そして——見通しが立ったうえで、それでも「自分は薬剤師を目指し続けたいのかどうか」が決まらんのであれば、それはもう金とは別の問題じゃ。
新人
大学に行くのは今週でもできますもんね。順番が変わるだけで、こんなに動きやすくなるんですね。……もしそれでも進路そのものが決まらなかったら、一人で抱え込まなくていいということですね。
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