調剤なしのドラッグストアで、法令上薬剤師が必要になる主な場面は、要指導・第1類医薬品の販売と説明、それらを扱う店の管理の2つです。残りの時間はOTCの相談と売場の仕事で、割合は店ごとに違います。「OTCの相談を楽しめるか」「仮に売場の仕事が大半でもよいか」の2つの問いで、応募前に確かめる点を決めましょう。求人票で確かめる5つのことも解説します。
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読者からの相談調剤薬局で5年目の薬剤師です。1日80枚くらいの門前で、昼休みもずれ込むし、ミスをしないかずっと気を張っていて、正直疲れてしまいました。求人サイトで「ドラッグストア(OTCのみ)」に絞ると家の近くに求人が出てきて、条件も悪くありません。ただ求人票には「OTC医薬品の販売・相談業務」としか書いていなくて、調剤のない店で薬剤師が一日何をしているのか想像がつきません。市販薬の相談に乗るのは嫌いじゃないけれど、それだけで選んでいいのでしょうか。
📌この記事のポイント
- 調剤なしのドラッグストアで薬剤師が法令上必要になるのは、要指導・第1類の販売と説明、店の管理の2場面
- 「OTCの相談を楽しめるか」「仮に売場の仕事が大半でもよいか」で、応募前に確かめる点が決まる
- 応募前に求人票で5つ、面接で4つ確かめれば、入ってからの「こんなはずでは」を減らせる
まず結論:調剤なしのドラッグストアで法令上薬剤師が必要なのは2場面。残りの時間が自分に合うかは2つの問いで確かめる
今日は「調剤なしのドラッグストアを選んでいいか」という相談じゃ。先に答えを言う。調剤なしのドラッグストアで、法令上薬剤師が必要になる主な場面は2つ。1つは要指導医薬品・第1類医薬品の販売と、そのときの説明じゃ。もう1つは、それらを扱う店の管理じゃ。
2つ、ですか…。じゃあ、残りの時間は何をしているんですか?相談者さんが一番知りたいのは、たぶんそこですよね。
残りの時間は、OTCの相談と、品出し・レジなど売場の仕事に使われる。その割合は店ごとに違って、求人票からは読めん。
割合が読めないなら、応募する前に判断しようがない気がしてしまいます。
じゃから、2つの問いで確かめる。「OTCの相談を楽しめるか」と「仮に売場の仕事が大半でもよいか」。両方に Yes なら、調剤なしのドラッグストアは有力な候補じゃ。どちらかが No でも、応募前に何を重点的に確かめればよいかが分かる。
「調剤なしはやめておけ」でも「調剤なしは楽」でもない、ということですね。自分に合うかどうかの話なんですね。
そうじゃ。今日は、調剤なしの店で薬剤師の時間がどう分かれるかを見て、2つの問いに答え、求人票で確かめる5つと、面接で聞く4つまで進む。
もう調剤なしの店で働いていて、辞めたいか迷っている人も、同じ疑問を抱えていそうです。
よい気づきじゃ。すでに調剤なしのドラッグストアで働いていて辞めたい人は、辞めたい理由の整理が先じゃ。品出しがつらい人は、そのつらさへの対処から読むとよい。今日の話は「これから選ぶ人」向けじゃ。
すでにドラッグストアで働いていて辞めたいと感じている方は、こちらの記事から読んでください。
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調剤なしのドラッグストアで薬剤師の時間は、法令上薬剤師が必要な2つの場面・OTCの相談・売場の仕事に分かれる
調剤をしておると、調剤のないドラッグストアで薬剤師が何をしておるかは、案外見えにくいものじゃ。まず言葉をそろえておこう。調剤なしのドラッグストアとは、薬機法(医薬品医療機器等法)の「店舗販売業」の許可で市販薬を売る店のことじゃ。処方箋の調剤はできん。
調剤ができないのは、仕組みとしてそうなっているんですね。薬局とは許可の種類から違うんですね。
そういうことじゃ。ここからは、法令上薬剤師が必要になる場面、薬剤師の知識が生きる相談、それ以外の時間、の順に見ていく。
法令上薬剤師が必要になるのは、要指導医薬品・第1類医薬品の販売と説明、それらを扱う店の管理
市販薬は、要指導医薬品と、一般用医薬品の第1類・第2類・第3類に分かれる。薬剤師の関わりが強く求められる順に並べると、要指導医薬品、第1類、第2類、第3類じゃ。売り手が薬剤師に限られるのは、上の2つじゃ。要指導医薬品は薬剤師に販売させ(薬機法 第36条の5)、対面などで書面による説明と薬学的な指導もさせる(同 第36条の6)、と定められておる。
第1類は別の条文、第36条の9じゃ。第1類は薬剤師、第2類・第3類は薬剤師または登録販売者が販売する、と分けて書かれておる。
第1類を売るときは、薬剤師が毎回きちんと説明するイメージがあります。
第1類も、薬剤師が書面で情報を伝える決まりがある(第36条の10 第1項)。ただし、買う人が「説明はいらない」と伝え、適正に使われると認められる場合は、省略できる(同 第6項)。要指導医薬品には、この省略の決まりは無い。説明が省かれる場面はあっても、販売そのものは常に薬剤師じゃ。じゃから1つ目の場面は、販売と、そのときの説明(要指導医薬品では指導も)をまとめて数える。
第1類は説明を省けることがあって、要指導医薬品は省けないんですね。同じ市販薬でも、薬剤師の関わり方がだいぶ違うんですね。
もう1つが店の管理じゃ。店舗販売業の店に置く管理者を店舗管理者といって、薬剤師か登録販売者がなる(第28条)。求人サイトでは職種区分の「管理薬剤師」として載ることがあるが、調剤薬局の管理薬剤師(薬局の管理者)とは別の制度じゃ。
同じ「管理薬剤師」でも、薬局とお店で制度が違うなんて知りませんでした。登録販売者さんでもなれるんですね。
ただ、要指導医薬品や第1類を扱う店では、店舗管理者は原則として薬剤師じゃ(薬機法施行規則 第140条)。第1類を扱う店で薬剤師を店舗管理者にできない場合には、一定の従事経験がある登録販売者がなれる例外もある。じゃから店の管理は、「原則として薬剤師」と覚えておくとよい。
市販薬の販売・説明と店の管理を、誰が担うか
| 仕事 | 薬剤師が必要か | 根拠 |
|---|
| 要指導医薬品の販売 | 薬剤師に限られる | 薬機法 第36条の5 |
| 要指導医薬品の説明・指導 | 薬剤師が行う(省略の決まりは無い) | 薬機法 第36条の6 |
| 第1類医薬品の販売 | 薬剤師に限られる | 薬機法 第36条の9 |
| 第1類の書面での説明 | 薬剤師が行う(説明不要の申し出があり、適正に使われると認められれば省略可) | 薬機法 第36条の10 |
| 第2類・第3類の販売と相談 | 登録販売者もできる | 薬機法 第36条の9・第36条の10 |
| 要指導・第1類を扱う店の店舗管理者 | 原則として薬剤師(第1類を扱う店で薬剤師を置けない場合は、条件を満たす登録販売者もなれる) | 薬機法 第28条・施行規則 第140条 |
表にすると、薬剤師が必ず要る場面は、要指導医薬品と第1類のまわりに集まっているんですね。
1つ付け加えておく。2026年5月施行の改正で新設された「特定要指導医薬品」は、薬剤師が対面で販売しなければならん(第36条の5 第3項)。いま指定されておるのは、緊急避妊薬(レボノルゲストレル)じゃ。
対面が必要な薬が新しくできたんですね。そこは、はっきり薬剤師の出番です。
第2類以下の相談は登録販売者もできるが、薬剤師の知識が生きる場面になる
第2類を売るときの説明は、薬剤師か登録販売者の努力義務じゃ(第36条の10 第3項)。お客さんから相談を受けたら、薬剤師か登録販売者が応じる(同 第5項)。法律上は、薬剤師に限られた仕事ではない。
じゃあ、薬剤師がいる意味が薄く感じられてしまいそうで…。
そこは違う。飲んでいる薬との飲み合わせや持病、妊娠中かどうかを聞いて「これは受診したほうがいい」と判断する場面では、薬剤師の知識が生きる。OTCの相談が楽しいと感じる人がやりがいを感じやすいのも、この場面じゃ。
登録販売者さんと薬剤師のどちらが上、という話ではないんですね。同じ相談でも、受け止められる範囲が違うというか。
第1類の販売や相談がない時間は売場の仕事になりやすく、薬剤師が自分1人の店もありうる
第1類の販売や相談がない時間は、品出し・レジ・発注・売場づくりなど、ほかのスタッフと同じ売場の仕事になりやすい。どれくらいの割合になるかは店と会社で違って、全国の統計は無い。
統計が無いと、実際に入ってみるまで分からない気がして少し怖いです。
人数のほうは数字がある。主に店舗販売業に従事する薬剤師は5,090人で、前回調査から17.2%減っておる。届出のある薬剤師329,045人のうち1.5%ほどじゃ(厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」)。
1店に何人の薬剤師がいるかの統計は無い。じゃから、薬剤師が自分1人だけで、そのまま店舗管理者を任される募集もありうる。求人票で薬剤師の人数と、店舗管理者としての募集かを見ておく理由はここにある。
相談者さんの求人票にあった「OTC医薬品の販売・相談業務」って、こうして分けると中身がいろいろ詰まっているんですね。
そうじゃ。あの一文には、法令上薬剤師が要る時間、OTCの相談の時間、売場の時間がまとめて入っておる。その中身が自分に合うかを決めるのが、次の2つの問いじゃ。
調剤なしのドラッグストアを選ぶ前に、自分に聞く2つの問い
時間の分かれ方が見えたら、自分に合うかを2つの問いで確かめる。その前に1つだけ言っておく。調剤から離れても、薬剤師免許は失効せん。調剤なしのドラッグストアから調剤薬局へ移る道もある。
それを先に聞けると安心します。「一度離れたら戻れないかも」って、選ぶときに一番引っかかりそうなので。
その不安は横に置いて、問いに答えてほしい。戻る道の詳しい話は、こちらの記事にまとめてある。
あわせて読みたいドラッグストアから調剤薬局への転職は難しい?壁は業態ではなく「調剤経験の中身」にある
ドラッグストアから調剤薬局へ移るときに見られる調剤経験の中身と、未経験可の入口から移る方法を解説します
2つの問いに Yes なら、調剤なしのドラッグストアは有力な候補問1は「OTCの相談を楽しめるか」。問2は「仮に売場の仕事が勤務時間の大半を占めるとしても、受け入れられるか」じゃ。
問2は、実際に売場がどれくらいかを知らないと答えられない気がします。
問2は店の実態ではなく、自分の許容度を聞く問いじゃ。求人票を見る前に答えられる。実際にどれくらい売場に入るかは、このあと求人票と面接で確かめればよい。
「自分はどこまでなら平気か」を先に決めておいて、あとで店がその範囲に収まるかを見る、という順番なんですね。
そういうことじゃ。わしも昔、調剤のないドラッグストアにいたことがある。棚の前で相談に乗るのは楽しかったが、一日の大半は品出しとレジでな。正直、早く調剤のある店に移りたいと思っておった。
それって、調剤がしたかった先生だからですよね。調剤から離れたくて「OTCのみ」を探している人だと、同じ一日でも受け止め方は逆になりそうです。
そのとおりじゃ。わしは問1だけ Yes だった、というだけのこと。誰でもそうなるという話ではない。答えの組み合わせごとに、応募前に重点的に確かめることをまとめておこう。
2つの問いの答えと、応募前に重点的に確かめること
| 問1 OTCの相談を楽しめる | 問2 仮に売場の仕事が大半でもよい | 次にすること |
|---|
| Yes | Yes | 有力な候補として、求人票と面接で中身を確かめる |
| Yes | No | 売場の仕事の比率を重点的に確かめる |
| No | Yes | OTCの相談の比率を確かめ、調剤から離れたい目的と天秤にかける |
| No | No | 調剤なしだけに絞らず、ほかの業態も含めて比べる |
No が付いても、調剤なしが候補から消えるわけではないんですね。
そうじゃ。2つの問いは合否を決めるものではなく、応募前にどこを重点的に確かめるかを決めるものじゃ。たとえば問1が No でも、調剤から離れたいのが一番の目的で、売場の仕事が苦にならんなら、調剤なしを選ぶ理由はある。
なるほど、天秤にかけるんですね。両方 No の人はどうでしょう。
両方 No なら、調剤なしだけに絞らず、ほかの業態も含めて比べるとよい。今の疲れが処方箋の枚数や人員の少なさから来ておるなら、同じ調剤薬局でも条件を変えれば軽くなる可能性がある。
調剤そのものが嫌なのか、今の職場の忙しさが嫌なのかでも、比べる相手が変わりますね。相談者さんは「嫌いじゃない」と書いていましたけど、それは Yes に数えていいんでしょうか。
相談者さんは、問1は Yes に近いじゃろう。「嫌いじゃない」が「楽しい」まで行くかは、さっきの受診をすすめる場面を思い浮かべて決めるとよい。問2は「仮に売場の仕事が大半でもよいか」を自分に聞けば、今答えられる。どの答えになっても、OTCの相談と売場の仕事の比率は求人票だけでは分からんから、このあと確かめることになる。
答えが出たら、次は求人を探す段階ですね。どこで探すかも迷いそうです。
転職サイト診断を使うとよい。30秒で終わるし、転職を決めていなくても「まずは情報収集したい」を選べる。調剤なしを候補に残す人は、職場の種類で「ドラッグストア」を選び、出てきたサイトで「OTCのみ」に絞る。
ほかの業態とも比べたい人は、ドラッグストアだけを選ぶわけにはいかないですよね。それでも診断は使えますか?
使える。調剤薬局と比べたいなら、職場の種類で「調剤薬局」を選べばよい。出てきたサイトでドラッグストアの求人も見れば比べられる。どこで求人を探すかを決めるだけじゃ。
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「OTCのみ」の求人票で、応募前に確かめる5つのこと
求人票の「OTC医薬品の販売・相談業務」という一文だけでは、中身は分からん。集めた求人票では、次の5つの記載を見てほしい。
!「OTCのみ」の求人票で確かめる5つのこと
表記:「OTCのみ」「調剤なし」「OTC専任」のどれか。調剤併設店の売場担当の募集と混ざっていないか
第1類の取扱い:書いてあれば、薬剤師が販売する場面がある店。書いていなければ面接で聞く
店舗管理者(管理薬剤師)としての募集か:そうなら、店の管理の仕事も担う
薬剤師の人数:書いてあれば確認する。書いていなければ面接で聞く
業務と就業場所の「変更の範囲」:将来、会社が命じうる仕事と勤務地の範囲
最後の「変更の範囲」は、あまり見たことがない言葉です。
2024年4月から、求人票や募集要項に書くことになった項目じゃ(職業安定法施行規則の改正)。「会社の定める業務」「全店舗」と広く書かれておれば、売場の仕事も、調剤併設店への配置も、会社が命じうる範囲に入る。
調剤から離れたい人には「併設店に配置されるかも」と読めるけど、いずれ戻りたい人には「戻る余地がある」とも読めますね。
よい読み方じゃ。注意が2つある。分かるのは会社が命じうる範囲で、本人の希望する配置が通るかではない。それから、紙幅が足りない求人では「面談時に伝える」とされ、書かれていないこともある。
書いていない項目があると、それだけで不安になってしまいそうです。
書かれていなくても、怪しいわけではない。次の質問に回すだけじゃ。相談者さんの求人票なら、まず「変更の範囲」から見るとよいじゃろう。
求人票のほかの項目の読み方も、知っておきたくなりました。
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求人票で読める項目と、面接で聞かないと分からない項目を分けて、職場を見分ける方法を解説します
求人票に書かれないことは、面接か転職サイトの担当者に4つ聞く
相談者さんが一番知りたい「一日何をしているのか」は、求人票には最後まで書かれん。じゃから面接で聞く。売場に入る時間の割合や、薬剤師が1人になる時間帯もそうじゃ。求人票で見つからなかった第1類の取扱いや人数も含めて、次の4つをそのまま聞くとよい。
- 「売場に入る時間は1日どれくらいですか」:問2で受け入れられると答えた範囲に、この店が収まるかを確かめる
- 「調剤併設店に配置された例はありますか」:将来、調剤に戻る余地があるかが分かる
- 「第1類は扱っていますか。扱っているなら、売る時間帯(遅番を含む)は薬剤師が自分1人ですか」:責任と拘束の重さが分かる
- 「同じ会社の調剤併設コースと、給与テーブルは違いますか」:年収の話は面接ではこの1問にとどめ、具体額の比較は求人票でする
1つ目で、さっきの問2の答えと照らし合わせられるんですね。自分の許容度と店の実態が、ここでつながりました。
そうじゃ。4つ目で給与テーブルに差があると分かったら、求人票の年収を同じ条件に揃えて比べる。比べ方の手順は別の記事にまとめてある。
あわせて読みたいドラッグストア薬剤師の年収は本当に高い?求人票を同じ条件に揃える3つの手順
ドラッグストアの求人票の年収を、今の職場と同じ条件に揃えて比べる手順を解説します
面接で「売場の時間はどれくらいですか」って聞くのは、ちょっと勇気がいりそうです。
聞きにくければ、転職サイトの担当者に確認を頼むこともできる。
まとめ:2つの問いに答えてから、「OTCのみ」の求人票を読もう
この記事のまとめ
- 1薬剤師が法令上必要になるのは、要指導・第1類の販売と説明、店の管理の2場面
- 2第1類の販売や相談がない時間は売場の仕事になりやすく、割合は店ごとに違う
- 3「OTCの相談を楽しめるか」「仮に売場の仕事が大半でもよいか」で、確かめる点を決める
- 4求人票で5つ、面接で4つ確かめてから応募を決める
調剤があるかないかではなく、自分の時間がどう使われるかで選べば、入ってからの「こんなはずでは」は減らせる。
調剤から離れたい気持ちも、OTCが好きな気持ちも、どちらも選ぶ理由になるんですね。相談者さんも、2つの問いに答えるところから始められそうです。
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