薬剤師が辞めてから転職先を探すと不利?厚労省の調査では離職期間なし・1か月未満が半数超、採用理由の主軸は即戦力です。空白期間は理由を聞かれることがあるので答えを用意し、失業給付・健康保険・住民税・年金の期限を退職日から逆算する段取りをまとめました。
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読者からの相談 調剤薬局で7年目、32歳の薬剤師です。内科と整形の門前で、平日の休みは月に2日しかなく、その日も急に出勤に変わることがあります。夕方は一人薬剤師の時間帯があって抜けられません。転職したい気持ちは固まっているのですが、転職サイトに登録して面接に行く時間が作れず、いっそ辞めてから探そうかと思っています。ただ先輩に「辞めてから探すと空白ができて不利になるよ」と言われて、どちらにも動けないまま3か月経ちました。最近は朝起きるのがつらい日もあります。薬剤師が辞めてから転職先を探すのは、やはり不利なのでしょうか。
📌 この記事のポイント
辞めてから探すだけで一律に不利と示す公的データはない。空白期間は聞かれるので答えを用意する 在職中なら「情報だけ取る」3つの段取り。辞めたなら退職日と離職理由で決まる5つの手続きを逆算する 焦って妥協しないために、求人を見る前に「譲れない条件3つ」を紙に書いて担当者に渡す 1 まず結論:辞めてから探すだけで一律に不利と示す公的データはない。ただし不利にならない証明もないので、空白期間の答えと「長引かせない備え」を退職日から逆算して用意する 2 「不利」の正体は2つ。面接で理由を聞かれることと、離職期間が長引くほど焦って妥協すること 3 まだ在職中の人へ:辞める前に「情報だけ取る」3つの段取り(連絡手段の指定・面接は月2〜3件・半休で見学) 4 辞めた人・退職日が決まった人へ:退職日と離職理由で決まる5つの手続きを、退職日から逆算する 5 体調が限界で辞める人へ:退職日を決める前に、傷病手当金の4要件を確認する(退職日に出勤しない) 6 空白期間を面接で聞かれたら:何が響いたか・今は回復している根拠・次に避ける条件の3点を、1〜2文で答える 7 焦って妥協しないために:求人を見る前に「譲れない条件3つ」を紙に書き、担当者に最初に渡す 8 まとめ:在職中なら「情報だけ取る」から、辞めたなら「5つの手続き」と「条件を紙に書く」から始める まず結論:辞めてから探すだけで一律に不利と示す公的データはない。ただし不利にならない証明もないので、空白期間の答えと「長引かせない備え」を退職日から逆算して用意する まず結論じゃ。薬剤師が辞めてから転職先を探しただけで一律に不採用になる、と示す公的データは確認できん。ただし、不利にならないと証明するデータもない。厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」では、実際に転職した人のうち、前の勤め先を辞めてから次に就くまでの期間が「離職期間なし」と「1か月未満」の人を合わせて53.7% じゃった。2020年の、全職種の数字で、転職できた人の実態じゃ。
転職できた人の半分以上が、1か月以内に次の職場に就いているんですね。相談者さんの先輩が言う「空白ができて不利」とは印象が違いますが、「不利ではない」とも言い切れない、と。
そうじゃ。空白期間は、面接で理由を聞かれることがある。じゃから答えを用意する。そして、長引かせない備えを退職日から逆算する。この2つがあれば、辞めてから探す道は取れるんじゃ。「不利」と言われる中身は、面接で「この期間は何をしていましたか」と聞かれることと、離職期間が長引くほど無収入の焦りで条件を見ずに決めてしまうこと。この2つに分かれる。
どちらも、今日から備えられそうですね。先に聞いておきたいんですが…「辞める前に次を決めるべきだった」という話にはならないんですよね? 相談者さんは、もう限界に近い状態に見えます。
ならん。この記事では、それは言わんよ。体調、限界、入社前と違う条件。辞めざるを得ない事情は、ある。それを前提に話を進めるぞ。
よかったです。それで、この記事はどこから読めばいいんでしょう。在職中の人と、もう辞めた人では、やることが違いそうです。
読者の状態で、読む場所が変わる。まだ在職中で、面接に行く時間が作れずに動けていない人は「まだ在職中の人へ」の節へ。退職日が決まった人、すでに辞めた人は「辞めた人・退職日が決まった人へ」の節へ。体調が理由で辞める人は、その前に「体調が限界で辞める人へ」の節を先に読んでほしい。空白期間の答え方と、条件を紙に書く話は、どの状態の人にも共通じゃ。なお、この記事は「薬剤師として次の職場を探す」ことが決まっている人に向けて書いておる。
薬剤師を続けるかどうかで迷っている方は、こちらが先です。
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「不利」の正体は2つ。面接で理由を聞かれることと、離職期間が長引くほど焦って妥協すること ここからは、「辞めてから探すと不利」という先輩の言葉を、先輩の記憶ではなく、厚生労働省の調査で確かめていこう。採用した側と、転職した本人の両方に聞いた調査じゃ。数字は次の2つの小見出しで見るぞ。
相談者さんが先輩に言われた「空白ができて不利」を、実データと突き合わせるんですね。
離職期間なし・1か月未満が半数超。ただし10か月以上も5.5%いる(2020年・全職種の実データ) 離職期間とは、直前の勤め先を辞めてから、現在の勤め先に就職するまでの期間のことじゃ。厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」は、転職した本人にこの期間を聞いておる。表にするとこうなる。
離職期間の分布(厚生労働省「令和2年転職者実態調査」表20・総数。全職種・2020年調査・不明4.8%を除く)
離職期間 割合 離職期間なし 26.1% 1か月未満 27.6% 1か月以上2か月未満 13.3% 2か月以上4か月未満 12.9% 4か月以上6か月未満 4.6% 6か月以上8か月未満 3.5% 8か月以上10か月未満 1.7% 10か月以上 5.5%
離職期間なしと1か月未満で53.7%。2か月未満まで入れると67.0%ですね。辞めてから探した人も含めて、多くは数か月で次の職場に就いている、と読めます。
それが読み方の1つ目じゃ。2つ目は、長引く人もいるということ。同じ調査で、転職活動を始めてから前の勤め先を辞めるまでの期間が「転職活動期間なし」、つまり辞めてから探した(または探さずに次が決まった)人は23.6%、4人に1人おる。この人たちだけで見ると、離職期間10か月以上が7.9% になる。都合のいい数字だけを引くわけにはいかん。
4人に1人が辞めてから探していて、その中には長引く人も確かにいる、と。この数字は薬剤師だけのものではない、という点も押さえておいたほうがいいですよね。
そうじゃ。全職種の数字で、薬剤師だけの数値ではない。調査は2020年に行われ、次の令和7年調査は2025年の秋から冬に実施されて、2026年9月時点でまだ公表されておらん。公表されたら、この記事の数字も差し替える。それと、この調査は転職できた人に聞いたもので、辞めてから探した人と在職中に探した人の採用率を比べたものではない。「不利にならない」の証明にはならんことは、押さえておこう。
採用側が転職者を採る理由は「経験を活かし即戦力になるから」が最多。離職期間は選考で聞かれることがあるので、答えを用意する 同じ調査は、転職者を採用した事業所にも「なぜ転職者を採用したか」を聞いておる。専門的・技術的な仕事では、「経験を活かし即戦力になるから」が最も高い理由じゃった。ただし、これは「なぜ採用したか」を聞いた調査で、選考で離職期間をどう見るかを聞いたものではない。
採用の決め手は経験と即戦力、と。ただ、離職期間をどう見るかは、この調査からは分からないんですね。
そうじゃ。分かっておるのは、面接で「この期間は何をしていましたか」と聞かれることがある、ということじゃ。薬剤師の転職エージェントの記事にも、「離職期間が長くなるほど求人側の印象も厳しくなる」「空白期間があると面接で理由を聞かれる」と書かれておる。これは採用側の統計ではなく、エージェントの経験則じゃがな。
「聞かれることがある」なら、答えを用意しておけばいいんですね。じゃあ、「不利」と言われる中身は…
2つに絞れる。1つ、聞かれることがある。じゃから答えを用意する。これは「空白期間を面接で聞かれたら」の節で扱う。2つ、長引くと焦って妥協する。じゃから退職日から逆算して備え、条件を先に紙に書く。これは「5つの手続き」と「条件を紙に書く」の節じゃ。
じいさんも、辞めたあとの期間を面接で聞かれたことはありますか?
あるぞ。わしが調剤薬局を辞めたあと、数か月の期間について、次の面接で聞かれた。聞かれたのは「何をしていたか」であって、「なぜ空けたのか」を責める聞き方ではなかった。わしは採用担当ではないから、採用側がどう見るかを一般化はせん。ただ、答えが用意してあれば、それで終わる質問だと感じたのう。
まだ在職中の人へ:辞める前に「情報だけ取る」3つの段取り(連絡手段の指定・面接は月2〜3件・半休で見学) ここからは、まだ在職中の人の話じゃ。在職中に転職活動を進める負担は、連絡・面接の件数・見学の時間の3つで決まる。この3つを最初に決めておけば、月に2日の休みでも、情報だけは取れる。
相談者さんは平日休みが月に2日で、その日も急に変わる、夕方は一人薬剤師で抜けられない、という状況でした。面接を何件も入れるのは、正直無理ですよね…。
無理じゃ。じゃから、この節でやるのは「情報だけ取る」こと。応募も退職も、まだ決めん。段取りは3つじゃ。
転職サイトに登録するとき、連絡手段と時間帯を最初に伝える。「連絡は個人の携帯へ。平日は20時以降。日中はメールでお願いします」の一言。登録直後の電話が勤務中に鳴るのを防げる 面接は月2〜3件に絞る。担当者に「月に2〜3件まで」と先に伝えて、優先順位の高い求人から回す 見学は休日か半休で、1件ずつ。薬局の見学は1時間程度で済むことが多いので、午前半休でも行ける 1つ目の「連絡は個人の携帯へ、平日は20時以降」は、最初の一言で決まるんですね。2つ目の面接を絞るのは、気になる求人を全部受けようとすると休みが足りなくなるから、ですか。
そうじゃ。3つ目の半休は、シフト制の薬局だと工夫がいる。わしが調剤薬局で働いていた頃は、月初にシフト希望を出す段階で、薬剤師が2人以上いる曜日を選んで午前半休を入れておった。一人薬剤師の時間帯がある夕方は避けて、午前に寄せる。急な出勤変更が多い職場でも、月初に入れた希望は残りやすい。急な変更が入るのは、たいてい当日や前日の話じゃからな。
月初に寄せておけば、相談者さんの職場でも通りそうですね。この段階では、まだ退職を決めなくていいんですよね?
決めん。「情報だけ取る」の結果、今の職場に残る判断も、同じ重さで残しておくんじゃ。求人を見て「今の条件は悪くない」と分かることもある。
連絡手段を指定したとしても、「そもそも転職サイトに登録したら、職場に自動的に知られるんじゃないか」が気になる人は多いと思います。
その心配は自然じゃ。登録後にどこまで連絡が行くのか、気づかれるきっかけは何かは、別の記事にまとめてある。そちらで確かめるとよい。
登録後にどこまで連絡が行くのか、気づかれるきっかけは何かは、こちらの記事にまとめています。
あわせて読みたい薬剤師が転職サイトに登録すると職場にバレる?登録後の流れと気づかれる5つのきっかけ
登録しただけで現職へ連絡が行く工程は一般的な利用フローにありません。気づかれる5つのきっかけと、登録時に担当者へ伝えることを整理しています。
辞めた人・退職日が決まった人へ:退職日と離職理由で決まる5つの手続きを、退職日から逆算する ここからは、辞めた人、退職日が決まった人の話じゃ。退職後の手続きで、期限と条件が動くのは、基本手当・離職理由の区分・健康保険・住民税・国民年金の5つ。退職日を起点に、5項目の期限と条件を確認していく。期限の性質は項目で違う。任意継続の20日は過ぎると加入できんが、国保の14日は遅れても資格発生日に遡って加入し、保険料も遡るんじゃ。
退職の手続きって、もっとたくさんある印象でした。離職票とか、源泉徴収票とか…。
そういう書類は、勤務先の総務や事務の人に「退職時にもらう書類を教えてください」と聞けば揃う。この記事では、そこは扱わん。扱うのは、期限を過ぎると損をする5つだけじゃ。
退職日から逆算する手続きカレンダー
手続き 期限(退職日から) 申請先 自分の期限(書き込み欄) 基本手当(失業給付) 受給資格決定日 → 待期7日 → 給付制限 → 支給 ハローワーク 月 日に手続き 離職理由の区分 ハローワークが離職票と書類で判定 ハローワーク 手続き時に申し出 健康保険(任意継続 または 国民健康保険) 任意継続は退職日の翌日から20日以内(過ぎると加入できない)、国保は14日以内(遅れても遡って加入)。両方で試算して選ぶ 協会けんぽ・健康保険組合 または お住まいの市区町村 月 日 住民税 退職月で扱いが変わる(1〜4月退職は一括徴収、5月は最終月分、6〜12月は普通徴収) 勤務先 と お住まいの市区町村 退職前に勤務先へ確認 国民年金の切替(第1号は必要に応じて失業特例免除) 退職日の翌日から14日以内に種別変更(第1号は市区町村、第3号は配偶者の勤務先経由) 市区町村 または 配偶者の勤務先 月 日
任意継続の20日は、退職してから調べ始めたら間に合わないかもしれませんね。退職日が決まった時点で、この表に日付を書き込んでおくのがよさそうです。
その通りじゃ。もう1つ、前提を外しておく。「薬剤師ならすぐ決まる」を前提に段取りを組まんことじゃ。転職サイト各社は「内定まで約1か月」「1〜2か月」と書いておるが、これはエージェント側の目安じゃ。先ほどの調査で、2か月以上4か月未満が12.9%、10か月以上が5.5%いたことを、備えの側から見ておいてほしい。
「すぐ決まるはず」と思って備えないほうが、焦りにつながりそうですね。では、5つを順番に見ていきましょう。
基本手当:2025年4月1日以降の自己都合退職は、給付制限が原則1か月。5年で2回以上なら3か月 1つ目は基本手当じゃ。基本手当とは、雇用保険の被保険者が離職して求職しているときに受け取る手当のことで、いわゆる失業給付じゃな。
自己都合で辞めると、しばらく受け取れない期間があるんですよね。友人から「2か月は出ない」と聞いたことがあります。
それは改正前の扱いじゃ。自己都合で退職した場合の流れは、ハローワークで受給資格が決定した日から7日間の待期期間、そのあと給付制限期間、それが明けてから支給になる。厚生労働省の案内では、退職日が2025年4月1日以降なら、給付制限は原則1か月 とされておる。2025年3月31日以前の退職は原則2か月じゃった。
1か月に短くなっているんですね。転職サイトの記事で「7日+2か月」と書いてあるのを見た気がしますが、それは古い情報ということですか。
そうじゃ。ただし、条件がある。退職日から遡って5年間のうちに、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格の決定を受けたことが2回以上あると、給付制限は3か月になる。転職を繰り返している人は、ここを先に確かめてほしい。
5年で2回以上だと3か月…。受け取れる日数のほうは、どう決まるんですか?
所定給付日数は、自己都合退職の場合、雇用保険の被保険者期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日じゃ。相談者さんは7年目じゃから、90日に当たる。金額は離職前6か月の賃金から計算されるが、上限や細かい計算はハローワークで確認するとよい。もう1つ、2025年4月以降に教育訓練などを受けた(受けている)場合、給付制限が解除される制度もある。学び直しを考えている人は、ハローワークで聞いてみるとよいぞ。
体調・疾病が理由の離職なら「特定理由離職者」に当たる可能性がある。判定はハローワークが離職票と診断書等で行う 2つ目は、離職理由の区分じゃ。特定理由離職者とは、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した人など、正当な理由のある自己都合退職者として雇用保険で扱われる区分のこと。ハローワークの案内に、この文言で範囲が書かれておる。
体調が理由で辞めた人が、この区分に当たる可能性があるということですね。当たると、何が変わるんですか?
給付制限がなくなる。受給資格に必要な被保険者期間も、離職前1年間に6か月以上で足りる。ただし、所定給付日数は一般の自己都合退職と同じじゃ。相談者さんなら90日のまま変わらん。2027年3月31日まで特定受給資格者と同じ日数になる特例はあるが、それは有期契約の雇止めなど「範囲1」の人だけで、疾病などの「範囲2」には当てはまらん。
給付制限がなくなるだけでも大きいです。日数が増えるわけではない、と。ただ、体調が理由で辞めた人が、すぐに求職できる状態かどうかは別ですよね。
よい気づきじゃ。ここで2つのことを分けて考えてほしい。「退職前の業務を続けるのが困難だった」ことと、「今は求職できる状態である」ことじゃ。基本手当は、働ける状態で求職している人に支給される。療養が先で今は働けない場合は、基本手当を後に回す制度がある。病気やけがで引き続き30日以上働けないときは、その日数だけ受給期間を延長できる。受給期間は原則、離職の翌日から1年じゃが、延長は最長で3年じゃ。
療養が先なら後に回せるんですね。該当するかどうかは、誰が決めるんでしょう。診断書があれば通る、というものではないですよね。
ハローワークが、離職票と診断書などの書類で個別に判定する。「体調不良で辞めれば必ず給付制限がなくなる」「診断書があれば通る」とは言えん。主治医に相談したうえで、ハローワークの窓口で申し出るんじゃ。この区分は国民健康保険にも関係する。特定受給資格者または特定理由離職者と認められた人(離職日時点で65歳未満)は、国保の保険料が軽減される制度がある。前年の給与所得を30/100として算定し、離職日の翌日の属する月から翌年度末までじゃ。ただし、純粋な自己都合退職の人は対象外じゃぞ。
健康保険は任意継続(20日以内)と国保(14日以内)の両方で試算する。住民税は退職月で扱いが変わり、国民年金は14日以内に切り替える(第1号なら特例免除を申請できる) 3つ目から5つ目は、健康保険・住民税・国民年金じゃ。まず健康保険。退職後の健康保険は、家族の扶養に入る場合を除くと、在職中の健康保険を続ける「任意継続」か、市区町村の「国民健康保険」のどちらかになる。
任意継続は、期限が20日でしたね。ほかに条件はありますか?
退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に手続きすると、2年間加入できる。協会けんぽの案内じゃ。保険料は退職時の標準報酬月額に都道府県の保険料率をかけた額で、協会けんぽの場合、標準報酬月額が32万円を超えていた人は32万円で計算される。在職中は会社が半分負担していたから、目安は在職時の保険料の2倍じゃ。健康保険組合の場合は、組合の規約で条件が異なるから、組合に聞くことじゃ。
国民健康保険のほうは、14日以内に市区町村へ、でしたよね。持っていくものは?
健康保険の資格喪失証明書(または退職証明書・離職票のいずれか)と本人確認書類が基本じゃが、自治体で異なるから、市区町村のページで確認するんじゃ。
結局、任意継続と国保のどちらが安いんでしょう。年収いくらならこっち、という目安はないんですか?
どちらが安いかは、前年の所得と家族構成で逆転する。じゃから、この記事では「年収いくらなら国保」という一般論は書かん。やることは1つ。退職前に、協会けんぽ(または健保組合)と市区町村の両方で保険料を試算してもらう ことじゃ。期限が20日と14日じゃから、退職前に聞いておくと慌てずに済む。
両方で試算、ですね。次は住民税ですが、退職したあとも払うんですよね…。
払う。住民税は前年の所得に対して、6月から翌年5月まで12回に分けて給与から引かれておる。退職すると、残りの月の分をどう払うかが退職月で変わる。東京都主税局の案内では、退職日が1月1日から4月30日なら、本人の申し出がなくても残額を一括して給与から引かれる。5月31日までに支給される給与や退職金が残りの税額を超えるときの扱いじゃ。5月退職は、最終月分として特別徴収される。退職日が6月1日から12月31日なら、普通徴収に切り替わって、市区町村から届く納付書で本人が納める。申し出があれば一括徴収も可能じゃ。
1月から4月に辞めると最後の給与からまとめて引かれて、5月は最終月分、6月以降なら納付書が来る、と。翌年の分はどうなるんですか?
翌年度の住民税は、前年、つまり働いていた年の所得で決まる。無収入の期間があっても、納付書は来るぞ。最後は国民年金じゃ。会社の厚生年金を抜けたら、14日以内に種別変更の届出をするのが本来の手続きじゃ。自分で加入する第1号なら市区町村へ、厚生年金に加入している配偶者の扶養に入る第3号なら配偶者の勤務先経由で届け出る。第1号になった人は、本人の前年所得を審査から除いて保険料の免除を受けられる「退職(失業)による特例免除」を申請できる。日本年金機構の案内じゃ。
まず切替、そのうえで第1号なら特例免除、という順番なんですね。申請に必要なものと、一度申請すればいいのかを教えてください。
雇用保険の受給資格者証や離職票など、失業を確認できる書類が要る。免除の期間は7月から翌年6月までで、毎年申請する。それと、配偶者や世帯主の所得が一定以上だと承認されない場合がある。そこは頭に入れておくことじゃ。
5つとも、退職日を起点に期限や条件を確認しておけば、順番に進められるんですね。表に日付を書き込んでおきます。
体調が限界で辞める人へ:退職日を決める前に、傷病手当金の4要件を確認する(退職日に出勤しない) ここからは、体調が理由で辞める人の話じゃ。体調が理由で辞めるなら、退職日を決める前に、傷病手当金の継続給付の要件を確認してほしい。退職日に出勤すると、退職後の傷病手当金は受け取れん のじゃ。
その前に…相談者さんは「朝起きるのがつらい日がある」と書いていました。手続きの話より先に、受診したほうがいい状態ではないでしょうか。
その通りじゃ。相談者さんのように症状が出ているなら、手続きより先に受診してほしい。この記事は病名を当てはめる記事ではない。じゃが、症状が出ているのに手続きの段取りだけ整えても、身体はついてこん。受診は、これから話す傷病手当金の要件にもつながる。
傷病手当金は、病気やけがで働けないときの手当ですよね。金額はどのくらいですか?
傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やけがで働けず、給与が出ないときに支給される手当じゃ。1日あたりの額は、おおむね給与の3分の2。協会けんぽの案内じゃ。在職中に受給を始めた傷病手当金は、条件を満たすと退職後も続けて受け取れる。協会けんぽの案内にある4つの要件を、そのまま並べるぞ。
! 傷病手当金の継続給付4要件(協会けんぽ)
退職日までに、継続して1年以上の健康保険の被保険者期間があること
退職日に、傷病手当金を受給しているか、受給できる状態(連続3日の待期を満たし、働けない状態)であること
退職後も、同じ病気やけがで、医師が働けない状態と診断していること
退職日に出勤していないこと
4つのうち1つでも当てはまらないものがあれば、退職日を決める前に確認したほうがいいですね。健康保険組合の場合は、また扱いが違うんでしょうか。
協会けんぽか健康保険組合に確認することじゃ。組合の規約で扱いが異なることがある。それと、順番が大事じゃ。在職中に受診して、傷病手当金の受給を始めて、退職日には出勤しない。この順番で退職日を決める。
退職日を先に決めてしまって、最終日に挨拶回りで出勤したら…4つ目の要件を満たさなくなるんですね。それは知らないと、やってしまいそうです。
そうなんじゃ。退職日に有給休暇で休んでいる場合の扱いは、協会けんぽか健保組合に個別に確認するとよい。もう1つ、傷病手当金と基本手当は、同時には受けられん。傷病手当金は「働けない」人への手当、基本手当は「働ける状態で求職している」人への手当で、前提が逆じゃからな。療養が先なら、基本手当はさっき話した受給期間の延長で後に回す。そして「退職日に出勤しない」となると、有給休暇の残日数から退職日を決めることになる。残日数の数え方と、使い切って退職日を迎える段取りは、別の記事で確かめるとよい。
「退職日に出勤しない」ための、有給休暇の残日数から退職日を決める段取りは、こちらの記事にまとめています。
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退職時の有給は、退職日までの労働日を確保できれば原則使い切れます。残日数→最終出勤日→退職日→入社日の順に決める段取りを解説しています。
空白期間を面接で聞かれたら:何が響いたか・今は回復している根拠・次に避ける条件の3点を、1〜2文で答える ここからは、どの状態の人にも共通の話じゃ。空白期間の答えは、何が身体(または生活)に響いたか、今は回復している根拠、次の職場で避ける条件、の3点を1〜2文にまとめる。「体を壊して辞めました」で終わらせないことが、いちばん大事じゃ。
「体を壊して辞めました」だけだと、何がいけないんでしょう。事実ではありますよね。
知恵袋に、体調を崩して半年で退職した人が面接での答え方を相談した投稿がある。2021年で、薬剤師ではなく一般職の人じゃがな。回答は、「体を壊した」という点だけが記憶に残ると、「また同じことで体を壊して辞めるのでは」と見られる、体調が悪くなった具体的な原因と、その改善策を示すべきだ、というものじゃった。薬剤師の面接でも、聞く側の心配は同じじゃ。
「また壊すのでは」と心配されないように、原因と改善策まで言う。それで3点なんですね。
何が響いたか。「夕方の一人薬剤師の時間帯が続き、休憩が取れない日が重なって体調を崩しました」のように、職場の構造の事実で言う。人の悪口にしない 今は回復している根拠。「通院して、今は医師から就労に問題ないと言われています」「退職後の2か月は手続きと受診に充て、生活リズムは戻っています」のように、事実で言う 次の職場で避ける条件。「次は薬剤師が2人以上いる体制の職場を希望しています」のように、条件として言う。これは次の節で紙に書く条件と同じもの 相談者さんの状況で例文を作ると、こうなる。「前の職場では夕方の一人薬剤師の時間帯が続き、体調を崩して退職しました。通院して今は問題なく、退職後は手続きと受診に充てていました。次は薬剤師が複数いる体制の職場を希望しています」。2文と少しで、3点が入っておる。
病名は言わなくていいんですね。嘘をつかずに、事実を3点で言う、と。
そうじゃ。それと、空白期間に何をしていたか、という質問への答えも、ここに入っておる。受診、手続き、条件の整理。この記事でやることが、そのまま答えの材料になるんじゃ。
空白期間の過ごし方そのものが、面接の答えになるんですね。それなら、空白を怖がらなくてよさそうです。
焦って妥協しないために:求人を見る前に「譲れない条件3つ」を紙に書き、担当者に最初に渡す 辞めてから探す人がいちばん損をするのは、無収入の焦りで、条件を見ずに決めることじゃ。求人を見る前に、譲れない条件3つ、妥協できる条件、前の職場で身体に響いた条件を紙に書いて、転職サイトの担当者に最初に渡す。
貯金が減っていくと、条件を見る前に応募したくなる気持ちは分かります…。紙に書くのは、その焦りを止めるためですね。
求人を見る前に紙に書く条件
項目 自分の書き込み 譲れない条件① (例:薬剤師が常時2人以上いる) 譲れない条件② (例:通勤45分以内) 譲れない条件③ (例:月の休日数が求人票に明記されている) 妥協できる条件 (例:年収は今より20万円までなら下がってもよい) 前の職場で身体に響いた条件 (例:夕方の一人薬剤師の時間帯・休憩が取れない日が続く)
「前の職場で身体に響いた条件」は、前の節で面接の答えに使ったものと同じじゃ。答えと条件が同じなら、面接で言ったことと選ぶ求人がずれん。渡し方も決めておく。「急募だから」「すぐ入れるから」ではなく、「この条件に合う求人だけ紹介してください」と最初に伝える 。辞めてから探していると、担当者も「早く決めたいはず」と受け取りがちじゃ。先に紙を渡せば、その前提を外せる。
急いで決めた転職が、また合わなかったら…と思うと怖いです。
それは気持ちの問題だけではなく、制度の上でも損なんじゃ。先ほど見たとおり、退職日から遡る5年間に、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格の決定を受けたことが2回以上あると、基本手当の給付制限は3か月になる。知恵袋には、40歳で5月末に退職し、次が見つからずに無職になった薬剤師の相談がある。2014年の投稿で、大手ドラッグストアを転々とし、入社前の条件と違う転勤で退職した人じゃ。回答の1つは、薬局経営者からの「転職を繰り返す薬剤師は取りたくない」という率直な言葉じゃった。1人の経営者の見方であって、採用側全員の見方ではない。ただ、焦って決めた次の職場がまた合わなければ、その次の面接で聞かれることが増えるのは確かじゃ。
無収入の期間を短くする手段として、派遣や単発の勤務もありますよね。あと、この紙は在職中の人にも役に立ちますか?
派遣や単発はある。ただ、この記事では扱わん。在職中の人には効くぞ。「情報だけ取る」段階で条件を先に書いておくと、求人を見たときに「今の職場と比べてどうか」が数字で分かる。条件を紙に書いたら、次はそれを渡す相手を選ぶ。転職サイトの担当者には、渡した条件で求人を絞ってくれる人もいれば、急募の求人を先に出してくる人もおる。どこに登録して、最初に何を伝えるかは、転職サイトの選び方をまとめた記事で確かめるとよいぞ。
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登録から内定まで、自分に合うサイトの選び方を解説
まとめ:在職中なら「情報だけ取る」から、辞めたなら「5つの手続き」と「条件を紙に書く」から始める この記事のまとめ
1 辞めてから探すだけで一律に不利と示す公的データはない。空白期間は聞かれるので答えを用意する 2 在職中なら、連絡手段の指定・面接は月2〜3件・半休で見学の「情報だけ取る」段取りから 3 辞めたなら、基本手当・離職理由・健康保険・住民税・国民年金の5つを退職日から逆算する 4 焦って妥協しないために、求人を見る前に「譲れない条件3つ」を紙に書く 辞めてから探すと不利かどうかを、一律に決めるデータはない。決めるのは備えの有無 じゃ。空白期間は聞かれるから答えを用意する。期限は退職日から逆算する。条件は求人を見る前に紙に書く。この3つがあれば、辞めてから探す道も、在職中に情報だけ取る道も、どちらも取れる。
相談者さんが3か月動けなかったのは、「辞めてから探すと不利」という言葉の中身が見えなかったからなんですね。中身は2つだけでした。
そうじゃ。今日は、自分がどの状態かを決めて、その節の最初の1つだけやってみてほしい。条件を書いた紙を持って、担当者に最初に渡す。その相手をどう選ぶかは、転職サイトの選び方の記事で確かめるとよい。
辞めた人を責めない記事で、よかったです。私も、薬局で働いている友人に「辞めてからでも道はある、ただ備えは要る」と伝えてみます。
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転職を繰り返してきたことが気になっている方は、回数より職歴の中身をどう整理して伝えるかを、こちらの記事で確かめてください。
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在職中に情報だけ取る段階で次が決まったら、次に詰まりやすいのは退職の切り出し方です。
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