薬剤師を辞めて違う仕事に就くなら何がある?医療・製薬の周辺だけでなく、事務・営業・医療系IT・編集など業界の外の仕事を一覧に。年収は平均ではなく未経験で入るときの額で見る理由と、免許を残したまま求人票で確かめる方法を解説します。
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読者からの相談 調剤薬局で8年目、30代前半です。店舗を2回変わりましたが、どこへ行っても処方箋を追いかけるだけの毎日は同じで、薬剤師の仕事から離れたい気持ちはほぼ固まっています。でも「薬剤師 辞めて 違う仕事」で調べても、出てくるのはMRや治験の仕事ばかりで、薬から離れたい私には答えになりません。職歴が薬剤師だけの私に何ができるのか、年収はどこまで下がるのか、免許はどうなるのか。分からないまま、上司に切り出せずにいます。
📌 この記事のポイント
薬剤師を辞めて就ける違う仕事は、事務・営業・医療系IT・編集・ITなど薬の仕事の外にもある 違う仕事の年収は、職種の平均ではなく未経験で入るときの額を、辞表の前に求人票で確かめる 薬剤師免許は、違う仕事に就いても失効しない(2年ごとの届出は続く) 1 まず結論:薬剤師を辞めて就ける違う仕事は、薬の仕事だけではない 2 薬剤師以外の仕事を探しても、薬の仕事ばかり出てくる理由 3 薬剤師を辞めて就ける違う仕事には何があるか 4 違う仕事の年収は、職種の平均ではなく未経験で入るときの額で見る 5 薬剤師免許は、違う仕事に就いても失効しない(届出は2年ごとに続く) 6 辞表を出す前に、候補の求人票を3件開いて確かめる 7 まとめ:薬剤師を辞めても、薬の仕事の外に就ける仕事はある まず結論:薬剤師を辞めて就ける違う仕事は、薬の仕事だけではない 先に答えを言っておこう。薬剤師を辞めて就ける違う仕事は、薬の仕事だけではない。 一般事務、営業、医療系IT企業のサポートや導入支援、編集・ライター。学び直して就くITエンジニアもある。業界の外にも道はあるんじゃ。
相談者さんが調べて出てきたのは、MRや治験の仕事ばかりでしたよね。薬から離れたいのに、また薬の仕事を勧められたら、行き止まりに見えてしまいます…。
そうなるのも無理はない。この記事では、違う仕事を採用側が薬剤師の経験をどう見るか で3つに分けて見せる。経験が評価されやすい仕事、経験を持ち込める仕事、新しく学んで就く仕事じゃ。
候補が並ぶだけでも、少し気持ちが軽くなりそうです。でも、年収と免許のことも相談者さんは気にされていました。
そこにも答えておく。年収は職種の平均ではなく、未経験で入るときの額 で見る。免許は違う仕事に就いても失効しない。じゃから、辞表を出す前に候補の求人票を3件開いて、確かめてから動けば十分なんじゃ。
辞めてから探すのではなく、確かめてから辞める。順番が分かると、動き出せそうな気がします。
1つだけ断っておくぞ。この記事は「薬剤師の仕事から離れる」とほぼ決めた人向けじゃ。「今の職場が嫌なだけかもしれない」「辞めたいかどうか自体をまだ迷っている」なら、先に気持ちの中身を切り分けてほしい。判断できないほど疲れ切っているなら、仕事選びより先に休むことが先じゃ。
「辞めたい」が職業そのものに向いているのか、今の環境に向いているのかを整理したい方は、こちらの記事から読んでみてください。
あわせて読みたい薬剤師を辞めたいけど資格がもったいない|続けるか辞めるか迷ったときの考え方
「辞めたい」の正体を、環境・職業・疲れの3つに分けて整理する。今すぐ決めなくていい理由も解説
薬剤師以外の仕事を探しても、薬の仕事ばかり出てくる理由 「薬剤師以外の仕事」を調べても薬の仕事ばかり出てくるのは、探している場所と、記事の並べ方のせい じゃ。相談者さんの調べ方が悪いわけではないぞ。
相談者さんも、それを聞いたら少しほっとすると思います。何度調べても同じ仕事しか出てこないと、自分には他に道がないように思えてきますよね。
1つ目は探す場所じゃ。薬剤師向けの転職サイトは、薬剤師の資格や経験を活かす求人を集めた場所じゃ。一般事務やIT企業のサポートのような業界外の求人は、扱いの中心ではない。
使い慣れたサイトで探している限り、違う仕事の求人にはなかなか出会えないんですね。盲点でした。
2つ目は記事の並べ方じゃ。「薬剤師を辞めて違う仕事」で検索上位に出てくる解説記事の多くは、「資格を活かせる仕事」を並べておる。じゃから、MR・治験・医薬品情報(DI)など、結局は薬に関わる仕事が並ぶんじゃ。
相談者さんが「薬から離れたいのに答えにならない」と感じたのは、まさにそれですね。探し方ではなく、出てくる情報の側に偏りがあったと。
そういうことじゃ。業界外の求人は、一般の転職サイトや求人検索に載っておる。探す場所を変えれば、候補は見えてくる。
場所を変えるだけでいいなら、今日からでもできそうです。では、実際にどんな仕事があるのか知りたいです。
薬剤師を辞めて就ける違う仕事には何があるか ここからは、違う仕事の具体名を見ていこう。採用側が薬剤師の経験をどう見るかで、3つに分けて並べるぞ。
図で見ると、薬の仕事は3つのうちの1つにすぎないんですね。真ん中の「経験を持ち込む仕事」が気になります。
医療・製薬の周辺で、薬剤師経験が評価されやすい仕事 1つ目は医療・製薬の周辺じゃ。治験コーディネーター(CRC)、臨床開発モニター(CRA)、医薬情報担当者(MR)、医薬品情報(DI)、メディカルライターなどがある。薬剤師として身につけた薬学・臨床の知識が評価されやすい仕事じゃな。ただ、仕事の中身は薬剤師とは別じゃ。職種ごとの研修や経験を求められることもあるから、応募条件は求人票で確かめてほしい。
相談者さんが検索して出てきたのは、まさにこのグループですね。
そうじゃ。ただ、仕事の中身は薬に関わり続ける。薬の仕事から離れたい人には、答えにならないこともある。反対に「薬に関わる仕事なら続けられそう」と感じたなら、候補に残してかまわんぞ。
嫌なのが「薬そのもの」なのか「今の働き方」なのかで、ここを残すかどうかが変わるんですね。
薬に関わる仕事なら続けられそうな方は、調剤・服薬指導から離れる仕事の中身と移り方を、こちらの記事で確認できます。
あわせて読みたい薬剤師として働きたくない人へ|調剤・服薬指導から離れて免許を活かす3ステップ
調剤・服薬指導から離れたい人向けに、免許を活かせる非調剤の仕事と移り方を解説
業界の外で、薬剤師時代の経験を持ち込める仕事 2つ目が、この記事でいちばん見てほしい仕事じゃ。業界の外にありながら、薬剤師時代の経験を持ち込める仕事じゃな。表にまとめてみよう。
業界の外で、薬剤師時代の経験を持ち込める仕事
職種 仕事の中身 薬剤師時代の経験との接点 一般事務 書類やデータを正確に作成・管理する 処方内容を確かめる正確さ、薬歴などの記録 営業 顧客に商品やサービスを説明し、関係を作る 患者さんへの説明、窓口での対人対応 医療系IT企業のサポート・導入支援 薬局などの顧客に、システムの使い方を案内する 薬局業務の流れを知っていること 編集・ライター 情報を集めて、読み手に合わせて書く 薬の情報を平易な言葉で伝えてきたこと
薬剤師の経験は、薬局や病院の中でしか使えないと思い込みがちですよね…。薬局向けシステムのサポートなら、薬局の流れを知っているのは強みになりそうです。
そういう見方もできる。ただし、採用側がこの接点を評価するかどうかは、会社や求人によって違う。確かめる方法は、後で話す求人票の必須要件 じゃ。「未経験可」と書かれた求人があるかどうかも、求人票で確かめられるぞ。
接点があると思い込まずに、求人票で答え合わせをするんですね。
未経験から新しく学んで就く仕事(ITエンジニアなど) 3つ目は、薬剤師の経験より、新しく身につけた技能で採られる仕事じゃ。ITエンジニアが代表例じゃな。
薬剤師からエンジニアって、本当に移れるものなんですか? 畑がまったく違うように見えます。
移った人は現実におる。ただし、学習と、作ったものを見せられる実績づくりの期間が要る道じゃ。働きながら準備の時間を確保できるかも、選ぶときの材料になる。
3つの中では、いちばん時間のかかる道なんですね。それでも、選択肢として並べて考えられるのは心強いです。
一覧を見て「自分の経験がどこで通用するのか分からない」「2〜3個に絞れない」と感じたら、それは一般論では解けない、その人の経歴に即した整理が要る状態じゃ。実際に薬剤師から異業種へ移った経験者に、求人の紹介抜きで話を聞く方法もあるぞ。
自分の経歴で、どの仕事が現実的か一人で判断しづらい方は、薬剤師から異業種へ移った経験者と整理できます。求人の紹介は行わない相談です。
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違う仕事の年収は、職種の平均ではなく未経験で入るときの額で見る 次はお金の話じゃ。違う仕事の年収は、職種の平均ではなく、未経験で入るときの額 で見る。平均の額だけで比べると、判断を誤るんじゃ。
相談者さんの「年収はどこまで下がるのか」ですね。薬剤師を辞めたら、年収は大きく下がるイメージがあります…。
まず公的な数字を見ておこう。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」から、職種ごとの平均年収を並べるとこうなる。
職種別の平均年収(令和7年賃金構造基本統計調査・男女計・企業規模10人以上)
職種 平均年収 平均年齢 平均勤続年数 薬剤師 566.8万円 40.1歳 8.6年 総合事務員 541.4万円 44.6歳 13.1年 その他の一般事務従事者 528.7万円 44.0歳 12.6年 その他の営業職業従事者 660.7万円 42.4歳 13.6年 著述家,記者,編集者 673.2万円 41.5歳 13.7年 ソフトウェア作成者 578.5万円 37.1歳 9.9年
平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12か月+「年間賞与その他特別給与額」で算出。いずれも各職種で働く人全体の平均で、未経験で転職した人の初年度の年収ではありません。
えっ、平均だと薬剤師とそんなに変わらない職種もあるんですね。営業や編集は、薬剤師より高いくらいです。
そこで早合点してはいかん。事務・営業・編集は平均年齢40代前半・勤続12〜14年、ソフトウェア作成者も平均37歳・勤続10年近い人たちの平均じゃ。未経験で移った人の最初の年収は、この平均から始まらない。
平均の額だけ見て飛び込んだら、最初の給与明細でがっかりしそうです…。その職種で長く働いてきた人たちの数字なんですね。
転職全体で見ても、賃金が下がる人は少なくない。厚生労働省「令和7年雇用動向調査」では、転職で入職した人のうち前の職場より賃金が減った人は31.0% 、増えた人は40.8%、変わらない人は25.5%じゃった。
3割の人は下がっているんですね。これは薬剤師が異業種に移った場合の数字ですか?
いや、薬剤師に限らない。雇用動向調査が調べた、雇われて働いていた人が転職したときの数字じゃ。同じ仕事の中で移った人も含んでおる。未経験の仕事へ移るなら、下がる前提で家計を見ておくほうが安全じゃな。
下がる前提で見ておけば、慌てずに済みますね。でも、自分がいくらから始まるのかは、どうすれば分かるんでしょう?
求人票の想定年収 じゃ。職種の平均ではなく、実際に応募できる求人に書かれた額が、相談者さんの出発点になる。具体的な見方は、このあと話すぞ。
平均ではなく、自分が応募できる求人の額で見る。覚えておきます。
薬剤師免許は、違う仕事に就いても失効しない(届出は2年ごとに続く) もう1つ、踏み切れない理由になっている免許の話じゃ。薬剤師免許は、違う仕事に就いても失効しない。 ただし、2年ごとの届出は続くぞ。
相談者さんも「免許はどうなるのか」と書かれていました。使わない期間が長いと、消えてしまうイメージがありました。
e-Govで薬剤師法の条文を見ると、免許の有効期限や更新の定めは無い。免許の取消しなどは第8条の処分(戒告、3年以内の業務の停止、免許の取消し)で、欠格事由に当たる場合や、品位を損なう行為があった場合の話じゃ。
違う仕事に移っただけで、免許が消えることはないんですね。戻り道が残るなら、安心して考えられます。
一方で、忘れやすい義務が1つある。薬剤師法第9条で、薬剤師は2年ごとに、その年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年1月15日までに届け出ることになっておる。届出の年は偶数年じゃ(薬剤師法施行規則第7条)。
違う仕事に移っても、届出は続くんですね。自分で覚えておかないと、うっかり忘れてしまいそうです。
そうなんじゃ。届け出ないと、第32条で50万円以下の罰金の対象になる。次の届出は、2026年12月31日現在の内容を、2027年1月15日までに出す回じゃな。
2年に1回の届出なら、手帳に書いておけば違う仕事をしながらでも忘れずに済みそうですね。
届出の統計にも、違う仕事をしている薬剤師の姿が表れておる。厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」の届出薬剤師は329,045人。そのうち、薬局・医療施設・介護保険施設・大学・医薬品関係企業・行政機関など以外で働く「その他の業務の従事者」が9,001人 おった。
9,001人…。免許を持ったまま違う仕事をしている人が、ちゃんといるんですね。
統計では何の仕事かまでは分からんがな。じゃから、違う仕事を選ぶのは免許を捨てる決断ではない。戻り道を残したまま、試せる選択 なんじゃ。
そう聞くと、踏み切れなかった理由の1つが軽くなりそうです。
辞表を出す前に、候補の求人票を3件開いて確かめる 最後は、明日からできる一歩じゃ。辞表を出す前に、候補の求人票を3件開いて確かめる。
辞める前に、ですか。相談者さんはもう気持ちが固まっているので、早く辞めて転職活動に集中したい気もします…。
気持ちは分かる。じゃが在職中に確かめれば、収入が途切れない状態で比べられる。やり方は簡単じゃ。一覧から候補を2〜3個選び、一般の転職サイトで職種名と「未経験」を入れて検索して、求人票を3件開く。登録しなくても見られる範囲で十分じゃ。
3件なら、帰りの電車の中でもできそうです。求人票のどこを見ればいいんでしょう?
必須要件と自分の経歴を並べれば、さっきの表の「接点」が採用側に通じるかも見えてきますね。
その通りじゃ。3件見て「思ったより条件が合う」と分かっても、「想定年収が家計に足りない」と分かっても、どちらも前進じゃ。辞める前に分かったことは、辞めた後に知るより扱いやすいからのう。
合わなかったら、候補を入れ替えて同じことをすればいいんですね。ITを候補に残した場合も、同じ見方で大丈夫ですか?
見方は同じじゃが、ITは必須要件にプログラミングの経験や作ったものを求める求人もある。未経験から何をどれくらい学ぶのかは、薬剤師からエンジニアへ移った道のりをまとめた記事が参考になるぞ。
ITエンジニアを候補に残した方は、未経験からの始め方と現実を、こちらの記事で確認できます。
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薬剤師からエンジニアへ移る道の難易度・年収・始め方を、実際に移った人の道のりから解説
まとめ:薬剤師を辞めても、薬の仕事の外に就ける仕事はある この記事のまとめ
1 薬剤師を辞めて就ける仕事は、医療周辺だけでなく事務・営業・医療系IT・編集・ITにもある 2 違う仕事の年収は、職種の平均ではなく未経験で入るときの額を求人票で確かめる 3 免許は違う仕事に就いても失効しない。ただし2年ごとの届出は続く 4 辞表の前に、候補の求人票を3件開いて必須要件・想定年収・未経験可を見る 薬剤師を辞めても、薬の仕事の外に就ける仕事はある。違う仕事は平均ではなく出発点で見て、免許という戻り道を残したまま、辞表の前に確かめればよい。
候補が1つも浮かばなかった相談者さんが、求人票3件を開くところまで来られたら、大きな一歩ですね。探す場所と見る数字が分かるだけで、景色が変わりそうです。
薬剤師以外の道を本気で考えていて、自分の経歴でどの仕事が現実的かを一緒に整理したいなら、実際に薬剤師から異業種へ移った経験者に相談する手もあるぞ。
薬剤師以外の道を本気で考えている方は、薬剤師から異業種へ移った経験者と、次の一歩を整理できます。
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違う仕事に「在宅で働きたい」という条件も加えたい方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
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