薬学部の奨学金は返済がきついと聞いて不安な方へ。私立薬学部は第二種を月14万円まで借りられ、第一種と併せると6年で約1,469万円になります。第二種の利率も上がっており、低金利は前提にできません。借りる額を6年後の手取りから逆算する手順をまとめました。
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読者からの相談私立薬学部の1年生です。奨学金を借りて通っていますが、ネットで「薬学部の奨学金は地獄」「返済がきつい」と書かれているのを見て、急に怖くなりました。いまは月12万円借りていて、大学の窓口では薬学部ならあと2万円増やせると言われています。学費と生活費を考えると増やしたほうが安心な気もするんですが、卒業後に月いくら返すことになるのかは、正直まだ一度も計算していません。
📌この記事のポイント
- 返済がきついかは、卒業後の年収より「6年間でいくら借りたか」で先に決まる
- 第二種の利率は5年で0.369%から3.000%へ。低金利はもう前提にできない
- 借りる元金そのものを下げられるのは在学中だけ。月額は途中で変えられる
まず結論:返済がきついかは「6年間でいくら借りたか」で先に決まる
「薬剤師になれば返せる」という言い方をよく聞くじゃろう。じゃが、順番が逆なんじゃ。先に決まるのは借りた額のほうで、年収はそのあとに来る。
同じ年収でも、借りた額が違えば手元に残るお金は全然違いますもんね…。年収の話ばかりされるので、そこが後回しになっている感じはします。
そのとおりじゃ。借りた額が400万円の人と1,400万円の人では、毎月の暮らしがまったく違う。しかも借りた額は、卒業してからどれだけ頑張っても1円も減らん。
借りた元金そのものを動かせるのは在学中だけ、ということですか。
そこが肝心なところじゃ。卒業後にも打てる手はある。じゃが、どれも借りた元金を無かったことにするものではない。ここを取り違えると、「あとでどうにかなる」と思って上限に近い額を借りてしまうんじゃ。
「制度があるから大丈夫」と聞くと、つい安心してしまいますもんね。元金のほうは動かせないと知っていれば、借りるときの見方が変わりそうです。
じゃから、いま決めるのは「借りられる額」ではなく「6年後の自分が返せる額」じゃ。手順は3つに分かれる。まず返さなくていいお金から埋めて、次に無利子、最後に有利子。そのうえで月々の返済額を出して、卒業後の手取りの何割になるかで月額を決め直す。
相談者さんは「薬学部ならあと2万円増やせる」と言われたんですよね。それは借りたほうがいいという意味ではない、と。
増やせることと、増やすべきことは別の話じゃ。まずは、いくらまで借りられるのかを正確に見ておこう。
私立薬学部は、一般の学部より第二種の上限が高い
奨学金の話をするとき、多くの人は「借りられる額」をそのまま上限として受け取る。ところが薬学部は、その上限が他学部より高く設定されておるんじゃ。
私立薬学部の第二種は、月14万円まで借りられる
日本学生支援機構(JASSO)の第二種奨学金は、大学なら月2万円から12万円まで、1万円刻みで選べる。そのうえで公式サイトにはこう書かれておる。「私立大学の薬・獣医学の課程の場合、120,000円に20,000円の増額が可能です」とな。
月14万円まで借りられるのは、私立の薬学部と獣医学部だけなんですね。他学部の友人と奨学金の話をしても金額が噛み合わなかったのは、そもそも枠が違ったからか…。
学費が高いから増額枠がある、と考えれば筋は通っておる。ただし、これは「借りられる」という話であって「借りるべき」という話ではない。
第二種の上限ばかり気になっていましたけど、無利子のほうにも上限はあるんですよね。
第一種は私立大学なら、自宅通学で月54,000円、自宅外通学で月64,000円が最高月額じゃ。ただしこの最高月額は、申込時の生計維持者の年収をもとに「選択可能」と判定された人だけが選べる。誰でも64,000円を選べるわけではない。
そこは自動的についてくるものだと思っていました。金額を並べてもらえると、自分がどこに当てはまるのか考えやすいです。
第一種の最高月額は生計維持者の年収による判定がある(2026年8月時点)
| 奨学金の種類 | 月額の上限 | 6年間(72か月) |
|---|
| 第一種(無利子)私立・自宅 | 54,000円 | 約389万円 |
| 第一種(無利子)私立・自宅外 | 64,000円 | 約461万円 |
| 第二種(有利子)大学 | 120,000円 | 864万円 |
| 第二種の増額(私立の薬・獣医学のみ) | +20,000円 | +144万円 |
第一種と第二種を併せて借りられるか、給付奨学金と併せる場合に月額がどう調整されるかは、学校の奨学金窓口で確かめておくんじゃぞ。
第一種と併せると、6年間で約1,469万円になる
併用が認められた場合、第一種の64,000円と第二種の140,000円で月204,000円になる。72か月では約1,469万円じゃ。
第二種だけに絞っても、月14万円を6年で1,008万円じゃ。相談者さんが「あと2万円」を足すと、6年間で144万円増える計算になる。
月2万円だと小さく聞こえますけど、卒業までの総額で見ると144万円なんですね。窓口で言われたときは、そこまで想像していなかったと思います。
ただし、1,469万円はあくまで上限じゃ。全員がここまで借りとるわけではない。
利用者全体の平均は461万円。ただし六年制は600万円以上が41.2%
厚生労働省の「薬剤師の需給動向把握事業における調査結果概要」を見てみよう。六年制課程を出た薬局薬剤師のうち、45.8%が奨学金を利用しておる。
半分近くの人が借りているんですね。私の同期にも何人かいます。
そして卒業時の利用累計額じゃが、ここは数字の出どころに気をつけてほしい。平均461万円という数字は、六年制だけのものではない。四年制も含めた奨学金利用者1,046人を合わせた平均じゃ。いちばん多い層が200万円から400万円未満というのも、この全体での話でな。
四年制の方も混ざっているんですね。六年制だけで見ると、どうなるんですか。
同じ調査に、大学課程別の比較が載っておる。利用累計額が600万円以上だった人は、四年制で4.9%に対して六年制は41.2%じゃ。六年制のほうが借入額は重い。つまり461万円を「六年制の相場」として受け取ると、実態より軽く見積もることになる。
六年制だと5人に2人が600万円以上…。上限の1,469万円と並べると開きは大きいですけど、平均のほうを自分の目安にするのも違うんですね。「借りられるだけ借りる」も「みんなこれくらいだから」も、どっちも自分の判断材料にはならないということですか。
よい整理じゃ。それともう1つ。この調査は令和2年度の事業によるものでな、当時借りておった人たちは、いまとは違う条件で借り終えておる。
「奨学金は金利がほぼゼロ」は、もう前提にできない
奨学金でいちばんよく聞く安心材料が「金利がほぼゼロだから、借りても借りなくても大して変わらん」というものじゃ。これは数年前まで、おおむね正しい説明じゃった。
第二種の利率は、5年で0.369%から3.000%になった
第二種の利率は、貸与を終えた月によって決まる。JASSOが公表しておる「その月に貸与を終えた人の利率」を並べてみよう。
第二種奨学金の基本月額の利率(2026年8月時点の公表値。令和8年度は7月まで掲載)
| 貸与を終えた月 | 利率固定方式 | 利率見直し方式 |
|---|
| 令和3年度 3月 | 0.369% | 0.040% |
| 令和6年度 3月 | 1.641% | 1.100% |
| 令和7年度 3月 | 2.423% | 1.600% |
| 令和8年度 7月 | 3.000% | 2.000% |
令和3年度は0.369%だったのが、令和8年度には3.000%…。5年で8倍近いじゃないですか。
5年前に借り終えた先輩と、いま借り終える人とでは、条件がまったく違うんじゃ。しかも薬学部の増額部分、あの+2万円の分の利率は、基本月額より高く設定されておる。JASSOの説明では原則として0.2ポイント上乗せじゃが、水準によって別の決め方をする範囲もあってな。令和8年度7月に貸与を終えた場合の増額部分は3.100%じゃった。
上限が高いだけじゃなくて、上乗せした分の利率も高いんですね。それは知りませんでした。
同じ1,008万円でも、利息は約38万円と約334万円に分かれる
利率の差がどれくらい効くのか、実際に計算してみよう。第二種を月14万円で6年借りた1,008万円を、元利均等・240回で返す前提で試算するとこうなる。年0.369%なら月々約43,600円で、利息は約38万円。年3.000%なら月々約55,900円で、利息は約334万円じゃ。
借りた額は同じなのに、返す総額が300万円近く変わるんですか…。月々でも1万円以上違いますね。
この試算は、元利均等・240回・利率固定方式で、1,008万円すべてに基本月額の利率を当てた概算じゃ。実際には増額した2万円分だけ利率が別に決まるから、そのぶん少し大きくなる。端数の処理でも変わるでな、自分の数字はJASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で出すようにな。
「先輩が返せているから自分も返せる」が成り立たない理由は、ここにあるんですね。
あなたの利率が最初に決まるのは、借り終わる6年後
もう1つ押さえておきたいことがある。最初の利率が決まるのは、貸与が終わるときじゃ。いま1年生なら、自分の利率がいくつになるかは6年後まで誰にもわからん。
さっきの表の3.000%も、いまの1年生の数字ではないということですか。
そのとおりじゃ。しかも「決まったら終わり」かどうかは、申し込むときに選ぶ方式で違う。利率固定方式は貸与終了時に決まった利率が返し終わるまで続く。利率見直し方式は、そこで決まったあとも、おおむね5年ごとに見直されるんじゃ。
見直し方式のほうは、返している途中でも上がったり下がったりするんですね。表で見直し方式の利率が低いのは、そのぶんの違いですか。
そう考えてよい。いずれにせよ、低い利率を前提に借入額を決めることはできん、ということじゃ。
決まっていないものを心配しても仕方ない、とも言えますね。
よいところに気づいたな。コントロールできんもの(利率)と、できるもの(借入額)がはっきり分かれておるということじゃ。動かせんほうを心配するより、動かせるほうを決めるのが先じゃな。
卒業後にも打つ手はある。ただし、借りすぎを防げるのは在学中だけ
「きつくなったら、そのとき何か制度があるはず」と思っておる人は多い。制度はある。ただし中身を正確に知っておく必要があるんじゃ。
そうじゃ。JASSOはこう説明しておる。「減額返還は、毎月返還する割賦金を減額して、返還期間を延長するものです。返還予定総額が減額されるわけではありません」とな。
月々は下げられるけど、その分だけ期間が延びるということですか。返す総額は変わらないんですね…。
月々の返還額を2分の1、3分の1、4分の1などに下げられる。ただし1回の願い出につき12か月まで、通算では15年が限度じゃ。
自治体や企業による返還支援制度もある。ただし多くは、一定年数その地域・その職場で働くことが条件になっておる。
返済のために就職先を先に決めることになるんですね。制度がある、とだけ聞いていたときの印象とはずいぶん違います。
もう1つ、返す総額そのものを減らせる手もあるぞ。繰上返還じゃ。第二種は利子が付くが、まとめて先に返せば、繰り上げた期間に相当する利子はかからん。JASSOも「当初の約束どおり返還した場合より返還総額が少なくなる」と案内しておる。
総額を減らす手もあるんですね。……でもそれって、手元にまとまったお金を用意できたときの話ですよね。
そこじゃ。よく見ておくれ。減額返還は月々を下げるが総額は減らん。繰上返還は総額を減らせるが、返す原資がいる。返還支援は勤め先や地域を先に決めることになる。どれも、卒業後の自分が働いて背負う前提の手なんじゃ。
卒業後にできることが無いわけではないけれど、どれも代償があるということですか。
そういうことじゃ。それに対して、要らん分を最初から借りない、という選択ができるのは貸与中だけでな。これだけは、あとから取り返せん。いま月額を見直す意味は、そこにある。
実際に返済が始まってから何ができるかは、以下の記事で詳しく解説しています。いま読むものではなく、働き始めてから読むもので構いません。
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薬剤師の年収で奨学金を返すと手取りがどうなるかを公的データで検証し、減額返還や自治体の支援制度も解説
借入総額を下げる順番は決まっている
では、いま動かせるほうの話をしよう。埋める順番は決まっておってな、この順番を守るだけで総額が変わるんじゃ。
①返さなくていいお金から埋める
最初に確認するのは、返さなくていいお金じゃ。国の高等教育の修学支援新制度は、給付型奨学金と授業料等減免がセットになっておる。給付奨学金の支給月額は、私立大学ならこうなる。
- 第Ⅰ区分:自宅38,300円/自宅外75,800円
- 第Ⅱ区分:自宅25,600円/自宅外50,600円
- 第Ⅲ区分:自宅12,800円/自宅外25,300円
- 第Ⅳ区分(多子世帯または私立の理工農系に限る):自宅9,600円/自宅外19,000円
第Ⅰ区分の自宅外なら月75,800円…。これが返さなくていいお金なんですよね。借りる前にここを確認するかどうかで、総額がかなり変わりそうです。
さらに令和7年度からは、扶養する子供が3人以上いる世帯なら、所得制限なく授業料・入学金の減免を受けられるようになった。私立大学の支援上限は、授業料が年70万円、入学金が26万円じゃ。
所得制限なしというのは大きいですね。ただ、私立薬学部の学費って初年度で200万円台ですよね…?
そこが大事なところでな。これを「無償化」と呼ばんことじゃ。授業料70万円の減免は大きい額じゃが、それで全額が消えるわけではない。差額は自分たちで用意することになる。
「無償化」という言葉だけ聞いて、学費の心配がいらなくなったと思ってしまう人はいそうです。
もう1つ、多子世帯で気をつけることがある。所得制限が外れたのは授業料等の減免のほうでな。手元に入る給付奨学金の額は支援区分で決まるから、所得等の状況によっては減免だけが対象で、給付奨学金は0円ということもある。
セットと聞くと、両方まとまって付いてくるように思ってしまいますね。生活費のつもりで当てにしていたら、計算が狂いそうです。
じゃから、実際にいくら減免されていくら給付されるのかは、大学とJASSOで確かめてから足し算するんじゃ。
先に足し算してしまうと、あとから足りないと気づくことになりますもんね。
大学独自の特待生制度や給付制度を持っておるところもある。こちらは大学によって条件も金額もまるで違うから、自分の大学のものを直接確かめるんじゃ。
自分が対象になるかどうかは、記事を読んで判断できるものではないですもんね。
そのとおりじゃ。家計基準の判定はJASSOと大学が行う。まずは大学の窓口で「うちは対象になりますか」と聞いてみることじゃな。
「私立の理系だから支援がある」は薬学部に当てはまらない
修学支援新制度には、中間所得層に広げた第Ⅳ区分というものがある。条件は家計基準に加えて、「多子世帯に属する場合」または「私立学校の理工農系の学科等に在籍している場合」じゃ。
薬学部は私立の理系ですから、後者に当てはまりそうに見えますね。
そこを正確に確かめておく必要がある。対象となる理工農系の学科は、文部科学省が「理工農系学部学科の対象機関リスト」として公表しておってな。令和8年4月1日時点のリストには私立学校が2,482件載っておるが、この中に薬学部・薬学科の記載はない。
薬科大学が載っておるケースはある。じゃが対象になっとるのは生命科学部や応用生命科学部の学科で、6年制の薬学科ではないんじゃ。
つまり薬学部が第Ⅳ区分に入る道は、多子世帯のほうだけということですね。「私立の理系だから中間層向けの支援がある」と思って家計を組んでいたら、あてが外れることになります。
そういうことじゃ。ただし、このリストは随時更新されておる。いま話したのは令和8年4月1日時点のものじゃから、自分の学科がリストに入っておるかどうかは、そのつど文部科学省のリストで確かめるようにな。
②無利子の第一種、③有利子の第二種の順で足す
返さなくていいお金で埋まらん分は、借りることになる。ここでも順番があってな、先に無利子の第一種、そのあとで有利子の第二種じゃ。
利息が付かないほうから使い切る、ということですね。
ただし第一種にはいくつか条件がある。さっき話したとおり、最高月額を選べるかどうかは生計維持者の年収によって判定される。さらに給付奨学金と第一種を併せて受ける場合は、併給調整といって第一種の貸与月額が制限されるんじゃ。
給付をもらうと、第一種が減るんですか。それは想像していませんでした。
制限後にいくらになるかは支援区分と希望月額によって変わるから、これも学校の窓口で確かめるんじゃ。そして第二種は、第一種で足りん分だけじゃ。
そう考えると、相談者さんが言われた「あと2万円増やせる」は、この順番でいうといちばん最後に出てくる話ですね。
上限が高く設定されておることは、そこまで借りる理由にはならん。
月額は、入学時に決めた額のままでなくていい
月額を1万円下げると、卒業時に72万円軽くなるここまで読んで「もう決めてしまった」と思った人もおるじゃろう。安心してよい。貸与月額は、在学中に変更できる。入学のときに決めた額を、6年間そのまま維持せんといかんわけではないんじゃ。
一度決めたら卒業まで固定だと思っていました。それは知っておきたかったです。
月額を1万円下げると、6年間で72万円減る。第二種なら利息も付くから、返す総額の差はもっと大きくなるぞ。
1万円って、いまの生活だと大きく感じますけど…。72万円と言われると見え方が変わりますね。
逆に、足りなくなったら増やす方向にも動かせる。減らすことを怖がって、最初から多めに借りておく必要はないんじゃ。
変更の内容によって窓口が分かれておる。第二種の減額はスカラネット・パーソナルから、第一種の増額・減額と第二種の増額は学校の奨学金窓口から願い出るんじゃ。
減額だけオンラインでできるんですね。すぐに反映されるものですか?
そこが注意点じゃ。JASSOはこう案内しておる。「審査や月額変更の反映に2~3か月程度かかるため、願い出る際は余裕をもって申請してください」とな。思い立ってすぐに変わるものではないから、下げると決めたら余裕をもって動くことじゃ。
2〜3か月かかるなら、気づいた時点で動かないと1年分そのままになってしまいますね。
そのとおりじゃ。なお、留年して卒業が延びると、奨学金の扱い自体が変わる。減額どころではなくなることもあるでな。
留年した場合に奨学金がどうなるかは、以下の記事で詳しく解説しています。
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借りる額は、6年後の手取りから逆算する
動かせることはわかった。では、いくらに決めるか。ここが最後の作業じゃ。
月々の返済額を出して、手取りの何割かを見る
やることは単純でな。JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、いまの月額のまま6年間借りた場合の返済月額を出す。記事に書いた試算ではなく、自分の数字を出すんじゃ。
月額も、自宅か自宅外かも、人によって違いますもんね。
出てきた金額を、卒業後の手取りの何割にあたるかで見る。金額そのものだと学生には判断しづらいが、割合で見れば「これは多い」「これなら回りそう」の感覚がつかめる。
たしかに、金額だけ見ても多いのか少ないのかわからないです。……ただ、その「手取り」はいくらで置けばいいんでしょう。まだ働いたことがないので、見当がつかなくて。
そこは想像で置かんことじゃ。新卒の薬剤師の手取りが実際にどれくらいになるかは、別の記事で明細の中身まで出しておる。そこの数字を持ってきて当てはめるとよい。
割合を出すのに使う「卒業後の手取り」の実額は、以下の記事にまとめています。
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そのうえで、決め方はこうじゃ。割合を見て「これはきつい」と感じたら、貸与月額を1万円下げて、もう一度シミュレーションにかける。納得できるところまで、これを繰り返す。何割までなら安全という一律の線は無いから、自分で見て決めるしかない。
1回で決めなくていいんですね。下げて出し直して、を繰り返して着地させると。
それでよい。そして、この画面は親御さんと一緒に見ることじゃ。計算結果だけを持っていくのではなく、一緒に出すほうが話が早く進む。
結果だけ見せられると、どうしても金額の是非の話になってしまいますもんね。一緒に出せば、どこを削れるかの話に入れそうです。
!借りる額を決める前に確認すること
返さなくていい支援(給付奨学金・授業料等減免)の対象になるか、大学とJASSOで確認した
扶養する子供が3人以上の世帯にあたるかどうかを確認した
第一種でいくらまで借りられるか(併給調整後の額)を学校の窓口で確認した
第二種はいくら不足するのか、その差額だけを計算した
いまの月額のまま6年借りた場合の返済月額を、シミュレーションで出した
その返済月額が、卒業後の手取りの何割になるかを出した
きついと感じたら、月額を1万円下げて出し直した
その金額を親と一緒に見た
借入額が大きいほど、就職先を給与で選ぶことになる
もう1つ、学生のうちには想像しにくい影響がある。返済額が大きいと、卒業後の就職先を「どこで働きたいか」ではなく「いくらもらえるか」で選ばざるを得なくなるんじゃ。
給与水準が高くない職場を、はじめから候補に入れられなくなるということですか…。
薬剤師の仕事にはいろいろな現場がある。給与だけでは測れん経験が積める場所もある。返済額が大きいと、その選択肢が最初から消えるんじゃ。
いま月額を1万円下げることが、6年後の自分に選択肢を1つ残すことになるんですね。そう言われると、1万円の意味がまったく違って見えます。
わしが見てきた範囲の話じゃが、入職して最初の年に「本当はこっちに行きたかった」と言っておった新人が何人かおった。理由を聞くと、返済額の話でな。仕事ができんわけでも、意欲がないわけでもない。単純に、何年も前に決めた金額がそこまで効いておったというだけの話じゃ。
6年で終わらなかったときの分も、借りる前に考えておく
最後にもう1つだけ、借りる時点では見えにくいことに触れておこう。借りるのは入学のときで、返し始めるのは6年後じゃ。その6年の間に何が起きるかは、借りる時点では決まっておらん。
文部科学省の「薬学部における修学状況等」2025年度調査結果によると、私立大学の合計では、2019年度に入学した9,906人のうち、6年で卒業したのが6,521人で65.8%。そのまま国家試験に合格したのが5,629人で56.8%じゃった。
ここは正確に読んでほしいところじゃ。これを「薬剤師になれるのは57%」と読んではいかん。標準の年限内に到達した人の割合であって、留年してから合格する人は含まれておらん。実際、1年遅れて薬剤師になっておる人はたくさんおる。
そうですよね。同期にも1年遅れて入ってきた人がいます。
わしが言いたいのは、進学をやめたほうがいいということではない。上限に近い額まで借りるほど、追加でかかる分を用意する余地がなくなる、ということじゃ。
6年で終わる前提で枠を使い切らない、ということですね。いま月額を決め直すのは、そのためでもあるんですね。
まとめ:借りる額は、いまなら自分で決められる
この記事のまとめ
- 1返済がきついかは、卒業後の年収より「6年間でいくら借りたか」で先に決まる
- 2第二種の利率は5年で0.369%から3.000%へ。低金利は前提にできない
- 3埋める順番は、返さなくていいお金 → 無利子 → 有利子
- 4月額は在学中に変えられる。月1万円で6年72万円動く
利率も、6年後の年収も、いまの自分には決められん。決められるのは、借りる額だけじゃ。そして借りる額は、いまなら自分で決められる。
6年後の自分に押し付けないで済むんですね。1万円下げるのは今日できることですし、まず数字を出してみるところからならすぐ動けそうです。
それでよい。数字を出したうえで、それでも「この額を背負ってまで薬剤師を目指すのか」がはっきりせん場合もあるじゃろう。そのときは金額の話とは切り離して、進路そのものを整理する時間を取ってみるとよいぞ。
お金の見通しと、進路の気持ちは別ですもんね。まず金額を出して、それでも迷いが残ったら誰かに話してみればいいんだと思えました。
💬オンライン・45分キャリア相談で方向性を整理する
薬剤師→異業種を経験した相談員が、考えの整理をお手伝いします