50代の薬剤師が転職面接に備えたいのは、何歳まで働くか・なぜ今転職するか・体力・年下の上司・希望年収の5つ。どれも職務の確認として読み、今の勤務の事実で答えられます。前夜に1問1行で書き出す表と、家族のことを聞かれたときの答え方も解説します。
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読者からの相談 53歳、調剤薬局に勤めて24年の薬剤師です。転職を決めて、先週、今回の転職活動で初めての面接を受けました。面接は24年前に今の薬局に入ったとき以来です。「何歳まで働くおつもりですか」と聞かれてとっさに「体が動く限りは」と答え、「年下の管理薬剤師の下になりますが」と言われて「全く問題ありません」としか返せず、結果は不採用でした。来週もう1社の面接がありますが、また年齢のことを聞かれたら何と答えればいいのか分かりません。母の通院の付き添いで週に1回は早く帰りたいのですが、それを言うべきかも迷っています。
📌 この記事のポイント
50代薬剤師が転職面接で備えたい5つの質問は、職務の確認として読み、今の勤務の事実で答える 面接前夜に、5つの質問それぞれに今の勤務の事実を1行ずつ書き出しておく 家族のことを聞かれたら、事情ではなく勤務できる条件の形で答える 1 まず結論:50代の薬剤師が面接で備えたい5つの質問は、今の勤務の事実で答える 2 「何歳まで」「なぜ今」「体力は大丈夫か」を聞かれたときの答え方 3 「年下の管理薬剤師の下で働けますか」と聞かれたときの答え方 4 希望年収を聞かれたら、前職の額ではなく経験と相場で答える 5 家族のことを聞かれたら、勤務できる条件の形で答える 6 まとめ:50代の面接で聞かれることは、前夜に1問1行、今の勤務の事実で書いておく まず結論:50代の薬剤師が面接で備えたい5つの質問は、今の勤務の事実で答える 面接で年齢のことを聞かれるとな、「年だから無理じゃろう」と言われた気がして、とっさに謝るか強がるかになりがちなんじゃ。相談者さんの「体が動く限りは」も「全く問題ありません」も、まさにその場で出た言葉じゃろう。
20年以上ぶりの面接で、いきなり年齢のことを聞かれたら…。私でも頭が真っ白になりそうです。
先に答えを言っておこう。50代の薬剤師が面接に備えておきたいのは、何歳まで働くか・なぜ今転職するか・体力・年下の管理薬剤師の下で働けるか・希望年収 の5つじゃ。この5つは年齢の評価ではなく職務の確認として読み、今の勤務の事実で答える 。
年齢の評価じゃなくて、職務の確認…。受け取り方を変えるということですか?
無理に前向きに受け取れ、という話ではない。国が面接をどういう観点で行うよう求めておるかを見ておこう。まず、労働施策総合推進法の説明で、厚生労働省は「書類選考や面接において年齢を基準に採否を判断することも、法の規定に反します 」と示しておる。例外として年齢制限が認められる募集もあるがの。
年齢を基準に採否を決めてはいけない、が原則なんですね。
それに厚労省は、面接を「職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点 」で行うよう、事業主に求めてもおる。じゃからここでは、年齢に関わる質問を職務の確認として読む。そのうえで答えを用意すればよい。
職務に必要な力で見るなら、職務の確認として読めばいいんですね。答えの材料も用意しやすくなりそうです。
ただしな、50代が実際にどの質問をよく聞かれるかを示す公的な統計はない。これから見せる表は「こう聞かれた場合は」という仮定の例じゃ。
面接に備えておきたい5つの質問と、答えの材料(数字は記入例。3列目を自分の勤務の事実で埋める)
備えておきたい質問 職務の確認として読むなら(答えの軸) 答えの材料(今の勤務の事実)の例 自己申告型(避けたい形) 何歳まで働くつもりですか 勤続の見込み 今の職場での勤続年数と直近の担当業務。希望年齢は応募先の定年を確かめてから添える 「体が動く限りは」 なぜ今、転職するのですか 次の職場で続けたいこと 次の職場で続けたい業務と、今の職場で続けられない事実 前の職場への不満を並べる 体力は大丈夫ですか 担える業務の量 「薬局全体で1日◯枚を薬剤師◯人で回している」「在宅を月◯件担当」など 「健康には気を配っています」 年下の管理薬剤師の下で働けますか 立場と指示系統に入ること 年下の上司の下で担った業務/なければ年下の本部担当や薬剤師の指示で担った業務 「全く問題ありません」 希望年収はいくらですか 賃金の根拠 経験で担える業務と、目安を確かめたうえでの希望額(下限は手元の判断基準として決めておく) 「前職と同じだけ欲しい」
相談者さんが先週答えた「体が動く限りは」と「全く問題ありません」は、いちばん右の列に入っていますね…。
悪い答えというより、事実が入っていない答え なんじゃ。各行の答え方は、このあとの見出しの順に話していく。
それなら、来週の面接までにやることははっきりしていますね。
うむ。面接の前夜までに、この表の3列目を自分の言葉で1行ずつ埋めておく 。それが最初の一歩じゃ。
「何歳まで」「なぜ今」「体力は大丈夫か」を聞かれたときの答え方 まずは表の上の3行からいこう。どの質問も、気持ちだけでなく事実を入れて答える、という点は共通じゃ。
「何歳まで働くつもりですか」には、勤続年数と直近の担当業務を先に答える 相談者さんの「体が動く限りは」は、希望だけで事実がない答えじゃ。答えに入っているのは気持ちだけで、事実が無い。
気持ちは本物でも、それだけだと中身が伝わらないんですね。
そこで、事実を先に、希望を後に並べ替える。たとえばこうじゃ。「今の薬局で24年、直近5年は在宅も担当してきました。こちらの薬局の定年まで続けたいと考えています 」。
同じ「長く働きたい」でも、24年と在宅の話が先に来ると、ぐっと具体的に聞こえます!
勤続年数と担当業務は、今の職場で続けてきた事実じゃからな。希望年齢は、そのあとに添えればよい。
でも「定年まで」と言うには、応募先の定年が何歳なのかを知っていないといけませんよね。
よいところに気づいたの。求人票に定年の記載が無ければ、聞いて確かめることになる。どこで確かめるかを先に押さえておくと安心じゃ。
応募先の定年をどこで確かめるかは、以下の記事で整理しています。
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就業規則で定年年齢と再雇用の条件を読み取る方法と、転職先の定年をどこで確かめるかを解説
「なぜ今、転職するのですか」には、次の職場で続けたい業務から答える 次は「なぜ今」じゃ。50代の薬剤師が「どうして今、転職を」と聞かれたとしよう。前の職場への不満を並べると、次の職場で何をしたいのかが伝わらん。
辞めた理由を聞かれている気がして、つい不満から話してしまう方も多そうです…。
そこで順番を決めておく。次の職場で続けたい業務が先、今の職場で続けられない事実が後 じゃ。たとえば「在宅の仕事をこの先も続けたいと考えています。今の店舗では来年から在宅を別の拠点に集約することになり、担当を外れる予定です」。
この順番だと、在宅の経験がそのまま次の職場の話になりますね。
そうじゃ。データも1つ見ておこう。厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」じゃ。全産業の事業所調査じゃが、専門的・技術的な仕事の転職者を採用した理由の上位は、「経験を活かし即戦力になるから」64.1%、「専門知識・能力があるから」51.2% じゃった。該当する職種で転職者を採用した事業所を100とした割合で、3つまでの複数回答じゃ。
経験や専門知識が理由になっているなら、今の経験の事実をそのまま話していいんですね。
次の職場で続けたい業務を、今の経験の事実で語る材料になる、ということじゃ。
「何歳まで」は今の勤務の事実から、「なぜ今」は次に続けたい業務から。どちらも気持ちだけで答えない、ということですね。
「体力は大丈夫ですか」には、担当してきた業務の量で答える 表の3行目、体力の質問じゃ。「健康には気を配っています」は、ここでも事実が入っていない答えじゃ。
体力は大丈夫かと聞かれたら、「大丈夫です」としか言いようがないと感じる方も多そうです…。
担当してきた業務の量で答えればよい。「薬局全体で1日◯枚を薬剤師◯人で回しています 」「在宅を月◯件担当しています 」「土曜のピーク帯も含めてフルタイムで勤務しています 」といった形じゃ。
自分の頑張りを語るより、数字で並べるほうが伝わりそうです。
厚生労働省は、求人の年齢制限に関するQ&Aで、加齢による体力等の低下は「個人差が大きく」、年齢で一律に制限するのは適切ではないとしておる。
年齢でひとくくりにせず、一人ひとり違うものとして見る、ということですね。
求人では業務の具体的内容と必要な身体能力を示すことが重要、とも示しておる。これは求人側への回答じゃ。答える側も、年齢ではなく担当してきた業務の量で示せば、話がかみ合う。
「年下の管理薬剤師の下で働けますか」と聞かれたときの答え方 表の4行目、相談者さんが先週言われた「年下の管理薬剤師の下になりますが」じゃ。この質問には、「全く問題ありません」ではなく、年下の人の指示で業務を担ってきた事実 で答える。
相談者さんの「全く問題ありません」も、気持ちとしては本心だったと思うんです。
そうじゃろうな。じゃが、事実が入っていない答えではある。答えの材料は、経験があるかないかで2通りに分かれる。
年下の管理薬剤師の下で働いたことがある場合:その期間と担った業務(例:「今の店の管理薬剤師は12歳下で、この3年は一包化と施設分を私が担当しています」) 年下の上司の下で働いたことがない場合:年下の本部担当や薬剤師の指示で、何を担ってきたか(例:「本部の在宅担当は30代の方で、その方が組んだ訪問計画に沿って月◯件を回っています」) どちらも、誰の指示でどの業務を担ってきたかを並べるだけじゃ。
年下の上司がいなかった人でも、本部の担当者の指示で動いてきた分担なら話せますね。
年下の管理薬剤師がどう決まるのかは、以下の記事で整理しています。
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薬局の管理薬剤師がどう決まるかを条文と国の統計で整理し、経験の出し方と職場の選び直し方を解説
希望年収を聞かれたら、前職の額ではなく経験と相場で答える 24年勤めてきた人ほど、今の給与の額が頭にあるものじゃ。表の最後の行、希望年収は、前職の額をそのまま言うのではなく、経験で担える業務と相場を確かめた希望額 で答える。ここまでなら受けられる下限は、自分の判断基準として手元に持っておく。賃金を決めるときに、経験・能力を考慮する事業所が多いのがその理由じゃ。
希望年収の答え方の根拠:賃金は経験・能力で決める事業所が多い さっきと同じ厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」(事業所調査・全産業)を見てみよう。転職者の賃金を決める際に考慮した要素じゃ。
転職者の賃金を決める際に考慮した要素(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」事業所調査・複数回答。転職者がいる事業所=100。最も重視した要素は全産業のみ集計:経験・能力・知識38.4%、前職の賃金9.2%、年齢7.6%)
考慮した要素(複数回答) 全産業 卸売業,小売業(調剤薬局の属する産業) これまでの経験・能力・知識 59.2% 54.3% 年齢 35.3% 41.3% 賃金の世間相場 34.2% 40.1% 前職の賃金 27.0% 28.8%
前職の賃金を考慮した事業所は、思っていたより少ないんですね。
前職の賃金を考慮した事業所は27.0%(3割弱)で、最も重視したのは9.2%じゃった(全産業)。
年齢の欄は、調剤薬局が入っている卸売業,小売業のほうが高いですね。
そうじゃ。調剤薬局の属する卸売業,小売業では、賃金の決め方に年齢を入れる事業所が41.3%ある 、という調査結果じゃ。
年齢で給与を決める事業所が4割もあると聞くと、不安になる方もいそうです…。
年齢は、答え方では変えられん。面接で自分から出せるのは、経験で担える業務と、目安を確かめた額のほうじゃ。
前職の年収が高い50代は、希望額と下限を分けて考え、面接では希望額を答える 勤続24年の給与は、その会社で積み上がった額じゃ。そのまま希望として伝えるより、経験で担える業務(在宅・施設・一包化など)と、目安を確かめたうえでの希望額 を答えるほうがよい。ここまでなら受けられる下限は、自分の判断基準として分けて持っておき、面接では口にせん。
前職と同じ額を言わないと損をしそうで、つい言ってしまいそうになる方も多いと思います…。
その気持ちは自然じゃ。たとえば「在宅と施設調剤を担当できます。希望は◯万円前後でご相談できればと考えています」。前後と幅を持たせて言えば、下限を明かさずに話し合いの余地が残る。
下限は口にせず、希望額に幅を持たせて言えば、話し合いの余地も残せるんですね。
希望額と下限の分け方や、伝える時期は、以下の記事で整理しています。
あわせて読みたい薬剤師は転職で年収交渉できる?相場を踏まえた希望額の決め方・伝え方
希望年収と受け入れ下限の分け方、伝える時期、条件のすり合わせ方を解説
希望額は、口にする前に、業態と経験年数から自分の年収の目安を確かめておくとよい。答えに迷わずに済むぞ。
目安の数字が手元にあれば、希望額を落ち着いて言えて、下限も決めやすそうですね。
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家族のことを聞かれたら、勤務できる条件の形で答える 相談者さんが迷っておった、お母さんの通院の話に移ろう。家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴など)は、厚生労働省が面接で尋ねて把握しないよう事業主に求めている事項 なんじゃ。
そうなんですか! 聞かれたら全部話さないといけないと思っている方も多いと思います。
厚労省の「公正な採用選考の基本」は、これらを面接で尋ねるなどして把握することは「就職差別につながるおそれがあります 」としておる。
ただし、家族のことを尋ねる質問そのものを一律に禁じた条文があるわけではない。厚労省は職業安定法5条の5とその指針を根拠に、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報の収集は原則として認められないとしておる。
隠す必要はないけれど、全部を説明する必要もない…ということですか?
そういうことじゃ。答えるなら、家族の事情そのものではなく、勤務できる条件の形 で出せば足りる。相談者さんのお母さんの通院なら、たとえばこう言い換えられる。
「母の通院に付き添っていて」→「毎週◯曜日は17時までの勤務を希望します」 「親の介護があるので」→「月に1〜2回、平日に半日の休みをいただけると助かります」 「子どもの送り迎えがあって」→「朝は9時以降の出勤を希望します」 勤務の条件として言えば、相手もシフトを組むときに考えやすいですね。
勤務条件とは別の話じゃが、面接の中で「年齢的にパートではどうですか」と打診されることもあるかもしれん。
正社員で応募したのに、そう言われたら戸惑う方も多いと思います…。
厚生労働省には、募集・採用での年齢制限の禁止を説明したリーフレットがある。そこでは「本人の希望と関係なく、一定年齢以上はパートタイムにするなど、応募者の年齢を理由に雇用形態、職種などの求人条件の変更を行うことはできません 」とされておる。
年齢だけを理由に条件を変えることは、募集・採用の段階で認められていないんですね。
正社員で働きたいなら、「正社員の条件で選考していただけますか 」と希望を伝えてかまわん。表の5行と、この勤務条件の1行があれば、答えの材料はひととおりそろう。
相談者さんのように、来週までに一人で仕上げるとなると、心細い方も多いと思います。
一人で仕上げるのが不安なら、書き出した表を持って、面接対策まで一緒に準備してくれる転職サービスに相談すると、準備が具体的になる。質問は6つ、30秒ほどで自分に合うサービスを絞り込める診断があるぞ。
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まとめ:50代の面接で聞かれることは、前夜に1問1行、今の勤務の事実で書いておく この記事のまとめ
1 5つの質問は、職務の確認として読み、今の勤務の事実で答える 2 面接前夜に、5つの質問への答えを1行ずつ書き出しておく 3 家族のことを聞かれたら、事情ではなく勤務できる条件の形で答える 4 次の面接で詰まった行があれば、そこだけ書き直す 年齢の質問は、職務の確認として答えればよい。今の勤務の事実なら、24年分ちゃんとあるじゃろう。
先週の不採用が年齢のせいだったかは、分かりませんよね。でも、来週の面接の前夜に答えを1行ずつ書いておけば、相談者さんも同じ質問で言葉に詰まらずに済みそうです。
うむ。次の面接で詰まった行があれば、そこだけ書き直せばよい。一人で準備しきれないときは、面接対策まで付き合ってくれる相手を選ぶのも一つの方法じゃ。
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