新薬承認

クライジェファを承認 全身型重症筋無力症に新たな治療選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • クライジェファ皮下注300mgオートインジェクター、同皮下注300mgシリンジ
一般名
  • ゲフルリマブ(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)

注目ポイント

全身型重症筋無力症(generalized myasthenia gravis:全身型重症筋無力症、gMG)は、自己抗体が神経と筋肉のつなぎ目を傷つけることで、まぶたが下がる、手足に力が入りにくい、飲み込みにくい、息苦しいといった症状が出る病気です。症状が進むと、日常生活だけでなく呼吸に影響することもあります。 ゲフルリマブ(遺伝子組換え)は、補体C5に結合してC5aとC5bへの開裂を抑える抗体医薬です。補体は免疫の一部ですが、gMGではこの反応が神経筋接合部の障害に関わると考えられています。つまり、病態の途中でその連鎖を止めることで、症状の悪化を抑えることが期待される薬です。 今回の承認で注目されるのは、ステロイド剤やステロイド以外の免疫抑制剤で十分な効果が得られないgMGに使える点です。審査では、抗AChR抗体陽性患者を対象にした国際共同第III相試験(randomized, double-blind, placebo-controlled trial:無作為化二重盲検プラセボ対照試験)で、主要評価項目であるMG-ADL(myasthenia gravis-activities of daily living:重症筋無力症の日常生活動作スコア)の改善が示されました。加えて、QMG(quantitative myasthenia gravis score for disease severity:重症度を客観的にみるスコア)でも改善傾向が確認され、長期投与でも効果が維持される傾向が示されています。 用法・用量は体重で分かれます。40 kg以上の成人を対象とした試験データをもとに、80 kg未満と80 kg以上で投与量が設定されました。自動注射器製剤とシリンジ製剤があるため、在宅自己投与の場面も想定されますが、教育訓練を受けて適切に扱えることが前提です。


注意点

【投与方法・用量】 - 成人に週1回皮下投与します。 - 体重80 kg未満では、初回600 mg、2回目以降は300 mgです。 - 体重80 kg以上では、初回900 mg、2回目以降は600 mgです。 - 40 kg未満の成人は臨床試験に含まれていませんが、審査では安全性上の大きな懸念は想定しにくいと判断されています。 【感染症、とくに髄膜炎菌感染症】 - 作用機序から、髄膜炎菌感染症(meningococcal infection:髄膜炎菌による重い感染症)のリスクに注意が必要です。 - 審査では、投与前の髄膜炎菌ワクチン接種が原則とされ、発熱、頭痛、項部硬直などの初期症状への注意喚起が求められています。 - 髄膜炎菌感染症の診断・治療に精通した医師との連携が必要です。 - 髄膜炎菌以外の感染症も起こりうるため、上気道感染、尿路感染、肺炎、帯状疱疹などの症状があれば早めに評価します。 【過敏症・注入に伴う反応】 - 注入に伴う反応や注射部位反応は報告されていますが、多くは軽度から中等度でした。 - 発疹、そう痒、紅斑、呼吸困難などがあれば、投与時期との関係を確認します。 - アナフィラキシーは臨床試験では認められていませんが、初回投与時を含め経過観察は重要です。 【自己投与】 - 自己投与は、医療機関で教育訓練を受け、患者が適切に手技を習得していることが前提です。 - オートインジェクターやプレフィルドシリンジの使用に不慣れな患者では、押し込み不良などの品質苦情報告があったため、手技確認を丁寧に行う必要があります。 【妊娠・授乳など】 - 審査資料では、胎盤移行は限定的と考えられていますが、乳汁移行は完全には否定されていません。 - 妊娠中・授乳中の使用は、利益とリスクを個別に確認して対応します。


まとめ

クライジェファは、補体C5を標的にして全身型重症筋無力症の症状改善をめざす皮下注製剤です。ステロイドや他の免疫抑制剤で十分な効果が得られない患者に対する新たな治療選択肢として承認されました。 実務では、体重別用量、髄膜炎菌感染症への対策、自己投与時の手技確認をまず押さえることが重要です。


詳細は審査報告書をご確認ください。

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