新薬承認

ヒアニュオ錠10mgを承認 HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌に新たな治療選択肢

記事公開:承認日:

薬の概要

販売名
  • ヒアニュオ錠10mg
一般名
  • セバベルチニブ水和物
効能・効果
  • HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

注目ポイント

非小細胞肺癌(NSCLC)は肺がんの中でも多くを占めるタイプです。進行すると咳、息切れ、胸痛などが出やすく、治療の目的はがんを抑えて症状や生活の質を保つことになります。今回承認されたヒアニュオ錠10mgは、HER2(ERBB2)遺伝子変異をもつNSCLCを対象とする経口薬です。 HER2は細胞の増殖に関わる受容体の一つです。HER2に変異があると、増殖のスイッチが入りっぱなしのような状態になり、がんが育ちやすくなると考えられています。セバベルチニブは、このHER2のチロシンキナーゼを阻害して、がんの増殖を抑える薬です。審査では、HER2変異をもつ細胞や患者由来の腫瘍モデルで増殖抑制作用が示され、臨床試験でも一定の有効性が確認されました。 注目点は、エクソン20挿入変異だけでなく、他のHER2変異を持つ患者も試験に含まれていることです。一方で、変異の種類ごとのデータはまだ十分とはいえず、特に化学療法歴のない患者やTKD(tyrosine kinase domain:チロシンキナーゼドメイン)以外の変異では、今後の情報収集が必要とされています。そのため、承認時点では「HER2変異陽性の切除不能な進行・再発NSCLC」と広く効能を持たせつつ、実際の適応患者は臨床成績を踏まえて慎重に選ぶ必要があります。


注意点

【用法・用量】 ・成人にはセバベルチニブとして1回20mgを1日2回、食後に経口投与します。 ・状態により減量します。 【減量の考え方】 ・1段階減量:10mgを1日2回 ・2段階減量:10mgを1日1回 ・10mgを1日1回でも忍容できない場合は中止します。 【特に注意する副作用】 ・下痢は頻度が高く、重度例もあります。脱水や電解質異常につながることがあるため、便回数の変化や口渇、ふらつきの有無を確認し、必要に応じて休薬・減量を検討します。 ・肝機能障害も重要です。AST(aspartate aminotransferase:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(alanine aminotransferase:アラニンアミノトランスフェラーゼ)、ビリルビン上昇に注意し、基準を満たす場合は休薬や中止が必要です。 ・腎機能障害、膵炎(膵酵素上昇を含む)、ILD(interstitial lung disease:間質性肺疾患)、心機能障害(左室機能不全など)も注意喚起されています。息切れ、むくみ、腹痛、嘔吐の悪化、咳や発熱などは見逃さないようにします。 ・皮膚障害、眼障害、血球減少も報告されています。発疹、皮膚乾燥、爪囲炎、視力低下などの訴えがあれば確認します。 【相互作用】 ・強いCYP3A(cytochrome P450 3A:シトクロムP450 3A)阻害剤との併用は原則避けます。やむを得ない場合は減量が必要です。 ・CYP3A基質、P-gp(P-glycoprotein:P-糖タンパク)基質、BCRP(breast cancer resistance protein:乳癌耐性タンパク)基質では、曝露上昇の可能性があります。特に治療域の狭い薬は要確認です。 【投与対象での確認】 ・HER2遺伝子変異の確認には、十分な経験を持つ病理医または検査施設での検査が必要です。承認された体外診断用医薬品または医療機器を使うことが求められます。 ・術前・術後補助療法での有効性と安全性は確立していません。


まとめ

ヒアニュオ錠10mgは、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発NSCLCに使う経口のHER2阻害薬です。実務では、下痢と肝機能障害を中心に、腎機能障害、膵炎、ILD、心機能障害なども含めて監視し、相互作用では特に強いCYP3A阻害剤に注意します。


詳細は審査報告書をご確認ください。

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